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人工知能を制するための、いまどきの子供のためのプログラミング教育考

2016/10/14 14:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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ついに11日(火)から「radiko.jp」の新たなサービス、過去1週間分の放送をさかのぼって聞くことができる新機能「タイムフリー聴取機能」がスタートしました。これはある意味ラジオメディアをまったく新しいサービスにしてしまうほどの画期的なものなんです。

ラジオは生放送が90%を占めていると言われています。そのくらい日常茶飯事にリアルタイムの話題が満載なのです。それを聞き逃すこと60年。これが今回の「タイムフリー機能」で完全網羅できるというわけです。

どのくらい画期的なことなのかは、例えば、数日前のラジオの生放送でパーソナリティが「ピコ太郎ってめちゃくちゃおもしろい動画があるんだよ、これがURL」って言ったとする。これをいままでは、聞伝えで友達に伝えるしかなかった。これが11日からは、ツイッターやフェイスブックで、番組の発言音声とともにURLを伝えることが出来るようになった・・・。

リアリティが格段に増した。適当に素人がたしかに聴いたんだよみたいなことがなくなったので、世の中にリアルな言葉が充満することは必至!!!

ところで私はこの4月から秋葉原で子供の教養としてのプログラミング教育を支援する「秋葉原プログラミング教室」をオープンさせました。ここ数年、この分野の教育事業はいまやサイバーエージェントやDeNAなども進出を始めるなど、年々注目を集めています。私はこういう動きがきっかけで始めたというよりは、代々教師の家系に生まれ、小さい頃から教育の重要性を肌で感じてきたことや、子供が好きなことから、なにか子供に教えたいと思っていた中で「プログラミング」にしたというほうが正しいです。

ということで、先日ラジオで「いまどきの子供のためのプログラミング教育考」を特集したので、このブログを借りてまとめておきたいと思います。

■50年前の義務教育からいまの子供のプログラミング教育・・・

子供のプログラミング教育について話す前に、改めて、子供が通う習い事について紐解いてみたいと思います。ケイコとマナブネットによる2015年度の子供の習い事ランキングでは、1位「水泳」2位「英語・英会話」3位「ピアノ」と続き、ほかには体操、ダンス、サッカー、そろばんなどが続いています。

それを見て思い出しますが、我々が子供だった約50年以前は、そもそも子供の教育といえば「よみかきそろばん」、文章を読むこと、文章を書くこと、そしてそろばんで計算ができることでした。

そこから、日本が豊かな国になるにつれ、まず情操教育としてのピアノやお絵かきが始まり、その後、健康に目が向くようになると、水泳や体操のような体力をつけることにも注目が集まりました。そして近年では、海外とのコミュニケーションが必須の時代に突入し、英語・英会話が習い事の中心になっていきました。

そしてこれからこうした習い事はどちらに向かっていくのか・・・。

ちなみに、さきほどのは習っているランキングでしたが、2015年の子供の習い事ランキングで、小学校高学年の「習わせたいランキング」の8位に「パソコン・プログラミング」がついにランクインしてきました。ここにこれからの習い事の方向性を匂わせる何かを感じるわけです。

■IT人材不足の深刻化、そしてプログラミング教育の義務教育化・・・

ここ数年のITベンチャー企業は、世界規模で見ても、すさまじい社会貢献を果たしてきました。こうしたことからIT会社に携わる人材も激増し、その中には当然、子を持つ親も多数いるわけです。中には、パソコンやITの概念に従いていけず、日々苦労している方も増えている。

こうしたことから、子供にはいまのうちからスキルを身につけさせたいという親心が芽生えていることは想像に難くありません。そんなことから一気に「プログラミング教育」が注目されるようになったと考えられるわけです。

現実に目を向ければ、ITはめまぐるしく進化を遂げ、世界レベルで「人工知能」や「自動運転」「ロボット産業」などの分野で競争が激化しています。経産省の試算によれば、このままIT産業が進化し続けていくと、人材不足がすすみ、2020年には約37万人、2030年には約80万人のIT技術者が足りなくなると予想しているそうです。

こういった状況に対応して文科省は、4年前の2012年から新学習指導要領に基づき、中学校の技術家庭科で「プログラムによる計測・制御」がすでに必修になっているのをご存知でしょうか。実際は、ただでさえ時間が足らない義務教育の中で、なかなか十分な時間をプログラミング教育にさけていないのが実情のようですが、中学・高校でのプログラミング教育が本格化するのは時間の問題となっているんです。

これに続き、今年の4月にはさらに文科省から、2020年を目標に、小学校でのプログラミング教育の必修科目科の検討に入りました。つまりあと4年以内に、小中高の学校教育においても、昔の「よみかきそろばん」のレベルで「プログラミング教育」に力を入れていくことが決まったというわけです。

■習い事としてのプログラミング教育

現在、首都圏にはおよそ100社程度の小中学生に向けたプログラミング教室が運営されていると推察されます。それぞれが100人程度の生徒を有していたと仮定すると約1万人の生徒がプログラミングを習い事している・・・。これは多いんでしょうか、少ないんでしょうか?

首都圏の5歳−19歳の男女は約900万人(全国で約1800万人、首都圏はざっくりその半分と仮定)とすれば、そのうちのまだ900分の1しかプログラミングを体験できていない・・・。全然少ないんです。

私事ではありますが、私が4月から始めた「秋葉原プログラミング教室」では、8歳から15歳の男女を中心に、完全オリジナルペーパー教材を使っての、自学自習スタイルのユニークな教習を行っています。パソコンは最後の最後のみ使用、メインはペーパーを使って、プログラムを組み立てるための「論理・分析力」「理解力」「判断力」を鍛えることです。これが受けて、人気もうなぎのぼり!!もしご興味ある方はぜひ「秋葉原プログラミング教室」で検索してみてください。

ここまで、子供のプログラミング教育の現状をお伝えしましたが、実は「プログラミング教育」は、これからの世の中を背負って行く若者技術者の育成もさることながら、昔から変わらない手習い事の3要素「理解力」「論理・分析力」「判断力」を養うということでは、ほかの教科にも負けない効果があるんです。それを次にお伝えしたいと思います。

■プログラミングとはなにか? プログラムとプログラミング

さてここで、まったくプログラミングというものがわからない方のために、そもそも「プログラミング」とは何かをご紹介したいと思います。

まず、プログラムとプログラミングという2つの言葉。

「プログラム」は設計図、レシピ、規則など、効率的にものごとをすすめるための手順を言います。そして「プログラミング」とは「プログラム」を使って、ものごとを効率的にすすめることを指します。

子どもたちに教えるべき「プログラミング」は、パソコンやスマートフォンを動かすためのプログラムを使って、ゲームやインターネット、人工知能を、効率よく操れるようになるための基礎的なスキルになります。

それではこの場を借りて、その「ものごとを効率的にすすめること」とは何かを、ちょっとおもしろい体験でみなさんにお伝えしてみたいと思います。

「ガウスの計算法」というのを聞いたことあるでしょうか? これを使うと足し算を「効率的」にプログラミングできます。

たとえば、1から10までの整数を足した和はいくら? 1+2+3+・・・+9+10=??

これを1+2=3、3+3=6、6+4=10・・・と順番に足していくのであれば、javascriptでプログラムすると

---------------------------------
var sum = 0;
for (i = 1; i <= 10; i++){
sum += i;
}
document.writeln(sum);//表示する
---------------------------------

となります。これでもいいんですが、19世紀最大の数学者・ガウスは、子供のころ、これをいとも簡単に暗算する方法を編み出しました。

紙に左からまず、1+2+3+・・・+9+10と書いてみましょう。次にその下に上の数字と並べて、10+9+8+・・・・+2+1と書いてみます。

1 +2+3+・・・ +9+10=??

10+9+8+・・・・+2+1 =??

ここでピンときた方は、すぐにプログラミングを学ぶべきです!! つまりひとつづつ足していく手間を効率的に解消させてしまうことこそがプログラミングの極意だからです。

上の数字と下の数字を見てみます。上には1、下には10が並んでませんか? そしてそのとなりは、上に2、下に9が並んでいる、つまり上と下を足すと全部11になるわけです。

11が何個ありますか? それは10個ってすぐにわかりますよね。つまり上下を全部足したら11が10個、つまり110になることがすぐにわかるわけです。つまり1+2+・・・+9+10の和は、110を半分にした数=55というわけです。これをjavascriptで書いてみると・・・

---------------------------------
var sum = 0;
sum = (10+1)*10/2;
document.writeln(sum);
---------------------------------

この10の部分をnなどにすれば、1からnまでの数字を足した和もたちどころに計算できるようになるというわけです。これがプログラミング!!

プログラミングとは「さまざまな現象の法則を見出してプログラム化する」ことなんです。ではこうしたプログラミングのスキルを身につけると、何ができるようになるのでしょうか?

■プログラミングで何が出来る?

さて、プログラミングの重要性は、なんとなくわかってきたと思います。でもプログラミングを勉強するとなにができるようになるのか・・・。もちろんゆくゆくは人工知能をあやつったり、インターネットでさまざまな便利なものを作ったりすることにもなろうかと思いますが、そこまでプロの道を歩まずとも、教養として学ぶだけでも、すばらしいことが身につくんです。

さきほどの「ガウスの計算法」ですが、1から10までの和にある法則を見出したために、効率よく足し算ができるプログラムを開発できるようになりました。これを続けていくことで、みなさんは、さまざまな課題について「理解」し「論理・分析」することである法則を見出し、効率的な「判断」を下すことができるようになります。

つまり「プログラミング」を学ぶということは、さきほどお話した手習い事の3要素「理解力」「論理・分析力」「判断力」を同時に身につけていくことができるということなんです。

「秋葉原プログラミング教室」でもいつもお話しているんですが、それを簡単なゲームプログラミングで経験することで、めちゃくちゃ楽しい上に「国語の読解力」や「算数・数学の論理・分析力」そして「社会・歴史などの判断力」が自然に身につきます。またプログラミングはほどんどが英語の単語で構成されているため、英語やタイピングまでをも身につけることが出来る。これってまさに理想の教育と言えるんじゃないでしょうか・・・。

■プログラミング力で世界を変えた人々

改めて、80年代にプログラミングに魅せられて、21世紀初頭に世の中を変えた海外の偉人たちを紹介してみましょう。

スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、ラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリン、ジェフ・ベゾスなどなど・・・。いまのIT産業を作り上げた方々は、ほとんどがプログラミングを自力で勉強して、論理的なものの考え方を提唱してこられた人たちだということがわかります。

米フォーブス誌が毎年発表している「世界長者番付」2015年版のトップ20人には、ウォルマート一族のサミュエル・ロブソン・ウォルトンをはじめとする、いわゆる2世富豪が7人いるそうなんですが、その残りの13人のうちなんと半数は、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズなどプログラマーが占めているそうです。つまり経営者としてもプログラミング教育は大いに役立っているということが証明されています。

■人工知能が変える未来・・・

最後に、これからプログラミング教育はどう進んでいくのかについてちょっとお話したいと思います。

経産省の試算によればプログラマーの人材不足がすすみ、2020年には約37万人、2030年には約80万人足りなくなると言いました。その元になっている産業が「人工知能」を活用した産業なんです。

以前ラジオでも、地方の農家の方が、きゅうりの見分け方を自動化するための人工知能装置を、おかあさんのためにDIYで作っちゃったという話題が紹介されましたが、今やそのくらい、やる気と簡単な知識さえあれば、誰でも人工知能をあやつって、さまざまな便利なものを作ることができる時代になっています。

もはやプログラミングは特別な人達のものではないんです。「よみかきそろばんプログラミング」の時代なんです。

ただここでさらなる難関が待ち受けています。子供にプログラミングを教えられる教師の不足です。現在は大学院生やプログラマーなどの専門家が対応しているのが現状ですが、彼らは必ずしも子供教育のプロではありません。私がこの半年やってみて一番痛感したのは、子供に教えるということは、会社の経営会議でプレゼンテーションするのとはまるで違うということです。

子供は何でもすぐに吸収します。理屈抜きで理解できます。でも面白くないとすぐに飽きます。興味がいくらあっても、持続力は大人の半分以下です。そこをどう埋めるのか、それには相当な工夫が必要です。こうした経験を活かして、この年末からは、子供に教える人のためのプログラミング教室を開講しようと準備中です。

これからの世の中を司るのは人工知能は間違いない、この人工知能を制するものがこれからの世界を変えていく。そのためにはなにはともあれ「プログラミング教育」をみなさんと一緒に推し進めていきたいのです。


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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