お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

「Pokemon GO」は日本の「散歩」文化を世界に広める!?:第44回トンコネ・ジャム

2016/07/28 10:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
ブログ管理

最近のエントリー


7月20日、ニッポン放送はラジオ局ならではの新型のラジオを制作すると発表。クラウドファンディングサイト「camp-fire(キャンプファイヤー)」で支援者の募集を開始しました。

ラジオ局が考えるかっこいいラジオ「hint(ヒント)」。募集の締め切りは9月20日、手元に届くのは来年2017年3月を予定。これだけ大掛かりなラジオ開発は久々なので、とても期待したいと思っています。これについては別途詳しくご紹介していきたいと思っています。(cnetでの記事はこちらを御覧ください。)

ところで、アメリカやオーストラリアなどで7月頭からリリースされ世界的な話題となっていた「Pokemon GO(ポケモンゴー)」が、先週金曜(7/22)に正式に日本でもリリースされました。なので先週末から、全国各地で「Pokemon GO」旋風が巻き起こりました。

ラジオアナウンサーでIT使いのスペシャリストの吉田尚記さん、「吉田ルーム」の大番頭さん・益子和隆さん、吉田さんも共同参画する株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志さん、さらにスーパー大学生のTehuさん、同じくスーパー大学生の矢倉大夢さんをメンバーに、メディアの今を語り合う座談会「トーンコネクトジャム(略してトンコネジャム)」。

今回はいつものメンバーで、海外での「Pokemon GO」現象を受けて、その受け止め方について議論してみました(7月14日時点の会話です)。けっこう面白い「ポケモンGO」の真髄がクローズアップされたのではないでしょうか。

■お遍路さん? スタンプラリー?

>全米ほかで「Pokemon GO」がスタートし、まだ日本はスタートしていない状況の中で、アメリカでの「ポケモンGO」の話題をみなさんはどう受け止めていますか?

(益子)知り合いの雑誌編集にベータ版をやっているやつがいたんです。気持ちはわかるけども、飽きる要素もあるって言ってました。ちょっとやってるとそんなに長続きするかなと思ったそうです。

>以前DSとかでマクドナルドの近くに行くとポケモンがゲットできるという企画やってましたよね。それをスマートフォンで誰でも出来るようにしたって感じだと思いますが・・・。

(吉田)これで一番喜ぶべきことは、元の「Ingress(イングレス)」ではヒットするという面では弱かったわけです。これを一般層に広げていくときに日本発のコンテンツが採用されたことは喜ぶべきことだと思うんです。

日本の得意な「カワイイ」とか、デジタルと普通の人との接点というところに、バツグンに強いキャラであるというところもある。アメリカンキャラクターにはない世界観だと思うんです。日本製のキャラクターでアメリカでうまくいっているものもいくつかある、例えば中国でキティちゃんが大ヒットとかあるじゃないですか。その辺が日本人が本当に得意なところなんだなと感じさせるところで良いなと思います。

(益子)これの前身はスタンプラリーだったんじゃないですかね。スタンプラリーっていうカルチャーが日本には昔からあった・・・。

(吉田)スタンプラリーは海外ではあんまりないのかな・・・。

(益子)電車を使うのと、手頃に駅と駅が近くないと成立しないから少ないかも・・・。

(吉田)車社会だとスタンプラリーしない感じしますね。

(益子)しないでしょうね。あれは、鉄道会社が一日なんとか乗車券を買ってもらってスタンプラリーの台紙を渡すしくみですからね笑。

(矢倉)車でスタンプラリーさせようと思ったら、凄い広いネットワーク持ってる交通会社じゃないとできない・・・。

(吉田)スタンプラリーって日本だけの文化なのかもしれないですね。

(益子)ニワトリが先か卵が先かということもありますが、いまや「アイカツ!」(アイドル活動に励むアイドルたちの姿を描いたアニメ「アイカツ!スターズ」)も西武鉄道でスタンプラリーやってますし、ウルトラマンなんかもこれでリバイバルヒットしたわけです。

キャラクタービジネスとゲームみたいなところを、日本は前々から先取りしていたということなんじゃないですかね。

(吉田)それから見ると「Pokemon GO」は、日本での公開前にいろいろ言うのはあんまり面白くないんですが、「Pokemon GO」的に僕らが持っているコンテンツが展開できるといいなと思いますね。つまりその「スタンプラリー」みたいなしくみで世界に持っていける僕らのコンテンツは何か・・・。

(加畑)「Pokemon GO」はその世界観が世界共通であって、物語も世界で共有されていた、それがリアルに落とし込まれれば、そりゃ誰もが飛びつきやすい。同じように現実世界で共有できるほかのストーリーがあるかどうかだな・・・。

(Tehu)そう考えるとRPGもののなかで、モンスターを集めて仲間にして戦うというものも、海外では意外とないのかもしれませんね。

(益子)それこそ日本の「やおよろずの神々」思想から始まっているから日本は馴染みやすい・・・。

(加畑)集め系物語って世界の中でどうなんだろう・・。

(Tehu)「ジバニャン (じばにゃん)」(妖怪ウォッチ)はまさに本当は・・・。

(加畑)今のではなくて、昔話のなかでどうかと考えた時、「Ring(指輪物語)」は指輪を必死に返しに行く物語じゃないですか笑。それ以外も世界中のお宝を集めるというと、インディ・ジョーンズか、くらいになっちゃう、これはちょっと違うような・・・。


左から加畑さん、吉田さん、矢倉さん、益子さん、Tehuさん

>アメコミ・ヒーローは正義と友情がコンセプトですからね・・・。

(益子)人ですよね、アメリカのキャラクターは。だからモンスターみたいなものはあまりいない。

(加畑)世界の中で何かを集めるという物語が(アメリカに)なかったから、そもそも「Pokemon(ポケモン)」が受けたのかもしれませんね。それがリアルに出来るようになったのだから、そりゃ「ゲットだぜ!」と流行る。

(益子)ちょっとスタンプラリーの話に戻ると、スタンプラリーの要素の大本には「お遍路」があるんだと思うんです。

(加畑)最古のスタンプラリーだね笑。

(加畑)ヨーロッパやアメリカの文化って「お遍路」さんじゃなくて1ヶ所を目指していくんだよね。聖地は1ヶ所・・・。

(矢倉)イェルサレム・・・。

(加畑)イェルサレムに行くという物語は子供の頃から馴染みがある・・・。

(益子)だから「Ring(指輪物語)」で滅びの山(オロドルイン)にリングを返しにいくのも馴染みがある・・・。

(加畑)日本の場合は、どこを目指すのではなくて、分散処理になっている。遠く古代から、神様が分散処理をしてきた国なんですよ笑。

(益子)出張所ですね笑。

(加畑)出張所からリンクが貼られまくっている笑。

(吉田)日本はクラウド型の神様の思想なんですかね、Cloud God!

(益子)最後に風神やっつけても雷神がいるとか笑。インドだったら「バラモンGO」ですね笑(バラモン教は複数の神様が存在する多神教)。

(加畑)ギリシャ神話の場合は・・・。

(Tehu)「ゼウスGO」!

(加畑)「ゼウスGO」だと、ゼウスがどっかをふらふらしていることがないから、成立しないわけです笑。パルテノン神殿かどこかに(ゼウス神殿)固定されて登場するわけだから、いろいろ回っても、一定の神と対面するだけのストーリーになる。

(矢倉)ギリシャ神話では、神は場所に紐付いてはいない、全能の神ゼウス、芸術の神アポロンとか・・・。

>やっぱり何ヶ所も回るという考え方が世界にはなかったのかもしれませんね。

(益子)「東海道五十三次」もそうですね。あれはゴールは京都の「三条大橋」と決まっていますが、歩いて回りますね。

>シルクロードと言っても何ヶ所巡りとは言わないかもしれませんね。

(益子)天竺(てんじく)(三蔵法師が目指した目的地:いまのインド)を目指す、つまりゴールしか出てこない・・・。シルク(絹)という物質が渡ってきたルートなだけであって、間の中継地点はクローズアップされない・・・。

(吉田)石油のパイプラインみたなもんですよね。

(益子)「東方見聞録」は近いのかな、いろいろ町が出てくる?

(吉田)あれも東方を目指すだけであって行きたいのは東方(日本:ジパング)。すべて海外は「目的論」なんでしょうね。

(矢倉)「奥の細道」は目的地はないですね・・・。

(吉田)ないない、ふらふらしたいだけ。

(益子)ひとつひとつのポイントが楽しい・・・。つまり「散歩」ですね。

■「散歩」から「観光」へ・・・

(吉田)「散歩」って単語は海外にあるんですかね・・・。

>検索すると「walk」としかでませんね。動きが出れば「go around」とか「take a walk」とか・・・。

(吉田)「go around」では歩きまわるということであって「散歩」とはニュアンスがだいぶ違う。

>そう考えると単語としては日本以外にはあまりないのかもしれない・・・。

(益子)つまり「散歩」の意味を表す言葉がこれから「pokemon」になるかもしれない笑。

(加畑)普通の散歩のようにボーッとはしてませんけどね、超集中して歩きまわる笑。

(吉田)犬の散歩は「take my dog for a walk」。単語としてはなさそうですね。やはり「散歩」という言葉を持つ日本は世界から見てもかなり特殊な文化だということですね。

(益子)「ちい散歩」(地井武男さんと散歩してましたね)という言葉ができるくらい、日本では浸透しているわけです笑。

(吉田)「ちい(地井) walks around」ですね笑。

(益子)「ブラタモリ」もあります。

(加畑)「ぶらぶらする」はやっぱり「walk around」となっているけど、aroundしませんよね。「そぞろ歩き」っていうのはどうかな・・。

(益子)そもそも海外では「治安」という意味で日本とは比べ物にならないくらい危険なところが多いから、ぶらぶら歩くというカルチャーが生まれなかったのかも・・・。

>やっぱり目的がない状態で歩き回るという概念がないのかも・・・。

(吉田)「そぞろ歩き」は「Stroll」とありますが・・・。

>話を戻すと、アメリカに「Pokemon GO」のような「walk around」なものが浸透していくってことが、すごく新しい現象なのでは?

(益子)「オリエンテーション」(オリエンテーリング)とは違うんでしょうか・・・。

>オリエンテーリングははっきりした方向や目的があってそれに突き進むことですよね。

(吉田)オリエンテーリングはそれをやるために目的をわざわざ設定しますよね。

>散歩はそうじゃない・・・。

(加畑)目的がない状態を日本人はあんまり気持ち悪くないんだけども、欧米では目的もなく行動するのはドキドキしちゃうように教育されている・・・。

>そういえばスマートフォンの普及が始まった頃に、GPSを使って世界中のネット上にお宝を埋めて、それを探すゲームありましたよね。(ジオキャッシング (geocaching) )

(加畑)あの四国八十八箇所のお遍路さんとかを最初にセッティングした人は誰なんだろうね。

>ウィキペディアによれば、1937年に大阪の南海鉄道が「四国八十八ヶ所出開帳」というイベントを催し、これがきっかけで1942年に「四国八十八ヶ所霊場会」が組織されることになったと書かれていますね。

(加畑)回るといいことありますよというPRが、地元に観光客を呼び寄せるマーケティングになった。回ってもらえばお布施がいっぱい集まります、回る人は江戸時代から続くご利益があります。これは「観光」ですね。

>私の先輩の「観光学」の先生から聞いた話ですが、江戸時代は関所がいたるところにあって、誰もが自由に自分の町から出て観光はできなかった。でも唯一「伊勢参り」だけは許された。これが明治に入って関所が廃止され、一気に旅行することが広まった。ここに、これまでの巡礼といった目的ではなく、単に楽しみだけを目的とした旅行のことを「観光」と言葉を充てて、日本中に広めたんだそうです。

(吉田)観光という概念を導入したんですね。

>その先生によれば、当時外国人を招く(日本を観光してもらう)「喜賓会」が盛んに行われていた。つまり外国人をを「喜ばす」「もてなす」ことで「産業の発展」や「外交」「外貨取得」を積極的に行い始めていた。このことを世に広めるために「観光」を広く一般民衆にまで広げ、自分の目で見聞を深めようと言う動きになっていったんだそうです。

(吉田)僕は未だに観光旅行って何が楽しいのかわからないんですが笑。

(益子)伊勢参りは観光と巡礼が混じったものですよね。

(吉田)先日、ファッション界の異端児の石川涼さん(VANQUISHブランドの主催者)がおっしゃってたんですが、俺達はこれから「伊勢神宮になる」そうなんです。なぜかというと洋服(ファッション)はどんどん売れなくなる、服なんてECで十分だ。わざわざ街に出る理由などない。なら街を歩く人間が行くところはどこなのかというと、最終的に土産物屋だけが残るというんです。

彼がブログに書いていたのは、ニューヨークに行って、H&M見たらもうガラガラだった、ほかにもそういったファストファッションはどこもガラガラ。ところがNINTENDOショップ行ったら人がいっぱいいて、そこでみんなはゲームをやっていた。そのあとみんな記念にTシャツを買って帰る。結局、服はこういうところで買うようになる・・・。これを教訓に俺たちは「伊勢神宮になる」と話になったそうなです。

だから彼らは今、自分の渋谷のお店「VANQUISH 渋谷109MEN’S店」でチームラボと組んでインタラクティブな展示(プロジェクションサイネージ)とかしているんです。その上、服だけじゃなくて日本酒なんかも作ってるそうです。インバウンドも狙っているのかな・・・。

では「観光」とは何だろう。100年ちょっと前までは日本人は「観光」をしていなかった。ギリギリお伊勢参り。つまり観光旅行の原点は聖地巡礼だったってことですね。

「観光」を調べてみたら、易経の中の「観国之光 利用賓千王」(国の光を観ればもって王の賓たるによろし)という箇所から「観光」(国の光を観る)という2文字を取ったとありますね。つまり他国の王をお迎えして自国の良い所をお見せする旅行の意味から「国の光を観るための旅行」という意味になっていったということ。

(益子)いまも「観光」は、ここではないどこかに行くことですよね。たぶん違う価値観を見に行く(体験する)要素が入っているような気がします。昔は、ここ以外に違う価値観があると知らなかったので、どこどこに行きたいと思わなかったし、観光という言葉もなかったわけですね。

(矢倉)ツーリズム(Tourism)の訳語として「観光」が充てられたとありますね。

(加畑)何しに来たの?ってイミグレーションで聞かれたら「ツーリズム」じゃなくて「サイトシーイング」って言いますけどね笑。

>ちなみに「観光」は異国人に自国の見聞を深めてもらうことから始まったわけですが、このときに必要になったことが「Hospitality(ホスピタリティ)」おもてなしの精神。この語源も「Hostis」すなわちよそ者を受け入れる、異国人を受け入れて大切に扱うことから来ているそうです。

(吉田)まさしく、異国の王様をお迎えして、国の光を観ていただいてもてなすということですね。

>観光に来た王様を受け入れて大切に扱うことが「おもてなし(ホスピタリティ)」。

(吉田)ちなみに日本で「観光」という言葉が最初に使われたのは、旅行についてではなく、「観光丸」という船の名前で使われたのが最初だとあります。「観光」おもしろいですね・・・。

■「Pokemon GO」は世界に新たな文化を広める・・・

>まさに「観光」はあるA地点からB地点に行って、再びA地点に戻ること。ラテン語で「Tornus(トルナス)」は「ろくろ」のことでくるくる回ることから来ていて、ここから「Tour(ツアー)」という言葉になったそうです。では「Pokemon GO」は観光なのか!?

(益子)結局「散歩」なんですよ笑。

(加畑)巡礼でみると、もともとは修行から来ているわけだから「Pokemon GO」も修行に近いんじゃないかと。修行っていう概念、何かを全部クリアする、達成すること。それってロールプレイングゲーム(RPG)の基本ですよね。RPGはまさしく修行。

(矢倉)仏教の修行は最高レベルは「即身仏」になること笑。

(益子)結局、欧米のRPGは、目的をもって誰かを倒しに行く、悪いやつを倒す・・・。

>でもそこには日本で言うところの「散歩」的な要素はない・・・。「Pokemon GO」は全く新しい文化を世界に広めているんですね。

(矢倉)ところで、任天堂が「Pokemon GO」で上がった株価(企業価値の総額)はLINEが上場したときの価値よりもデカイとか言ってました笑。

(吉田)番組(ミュ~コミプラス+)でもネタにしたんですが、この時価総額9300億円を計算したところ、任天堂が歴史上雇った一番給料の高い人ってたぶん「イチロー」だと思うんですよ笑。マリナーズ時代のオーナー企業が任天堂。そのときの全盛期の年俸が18億円だった。全盛期のイチローを516年雇えるって計算になる笑。

>つまりは西暦1500年の戦国時代から現在までずっとイチローを雇っていられるくらいの企業価値上昇を「ポケモンGO」がやってのけたとか放送でいってましたね笑。

(Tehu)時を同じくして、USJが大阪の敷地内の「ニンテンドーランド」を作るという話も巻き起こっていますね。2020年までに開業・・・。

(吉田)2020年に新しい元号にするとか言ってるから「ポケモン」にしたらどうですかね笑。

(益子)「任天」とか笑。ちなみに僕は「Pokemon GO」が日本で公開されるのを機に株を始めようと思っているんです。任天堂の株を買うのではなくて、パナソニックとかの株を買おうと思ったんです。

(吉田)その心は・・・。

(益子)モバイルバッテリが売れる笑!! 「Ingress(イングレス)」をやってる人もみんなモバイルバッテリを使ってて、あれがある意味リアル課金とかまで言われてましたので、目的はここなんじゃないかと・・・。

(Tehu)「Pokemon GO」もオフィシャルバッテリメーカー付くな笑・・・。

>ということで、「Pokemon GO」は日本の「散歩文化」を世界に広め、モバイルバッテリメーカーの株価を上昇させるであろうという結論ですね。お後がよろしいようで・・・・。


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー