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VR(ヴァーチャルリアリティ)の底知れぬ可能性をUEI清水亮氏に聞く

2016/07/11 10:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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7月10日の参議院選挙は自民公明の圧勝、改憲派も入れると参議院3分の2確保だそうです。国民はみんな改憲よりもなによりも景気回復をちゃんとやってくれるかどうかなんですよ。少なくとも他の人よりは回復してくれそうな人に票が集まったというだけの結果ですね。景気回復なくして改憲じゃないってことなんだろうな。前置きはそれくらいで・・・。

2016年は、VR(ヴァーチャルリアリティ)元年と言われるほど、VRに対する期待が高まっています。ご存知のようにこのVRは 「仮想現実」とも訳され、高度なCGやサウンドによって、あたかもリアルな「現実世界」にいるかのような体験ができる「人工現実」技術。

アメリカの投資銀行・ゴールドマンサックスは、VRの市場規模が、2025年までに800億ドル(およそ9兆円)まで成長する可能性があるとの分析が、今年1月のbloombergオンラインに掲載されています。

VRヘッドマウントディスプレイにおいても、元祖VRの「Oculus Rift」を始め、「HTC Vive」そしてSonyの「PlayStation VR」など主要製品が出揃って、それぞれのアプリケーションも続々と登場し始めています。

ちなみにこの10月に発売予定の「PlayStation VR」の予約受付が6月18日に始まりましたが、一瞬で初回分が完売するという騒ぎにもなりました。

そこでこのタイミングで、VRについて今後の展望など基本的なことをまとめておきたいと思い、我がIT関係の師匠でもある株式会社UEIの清水亮氏に話を伺ってまいりました。なぜVRが改めて注目があつまっているのか、これから先にVRのどんな展望が待ち受けているのか、予想を遥かに超えたVRの未来が垣間見れました。

■VRはある種ひとつの新しい宇宙・・・

まずは、UEIオフィスにて、HTC Viveの「Tilt Brush」という3D空間にペイントできるお絵かきアプリケーションを体験させていただいたところで、お話を伺いました。


【動画】仮想空間に3Dペイント!HTC Viveのチルトブラシ(Tilt Brush)!

>これはスゴイですね。VRのコンテンツというと、ジェットコースターの体験だったり、サファリパークで動物を追っかけたりシューティングする体験だったり、古代エジプトの秘宝を探すダンジョン体験だったり、水族館の水槽に入ってしまって、魚や水の生き物と一緒に泳いでしまう体験だったり、はたまた、音楽のバンドメンバーの中に入って一緒に歌うカラオケ体験だったり、すでにいろいろありますが、「Tilt Brush」は別格ですね。

(清水)ぼくは、VR(ヴァーチャルリアリティ)というのは、ある種ひとつの新しい宇宙だと思ってて、この「Tilt Brush」はまさにその表現がぴったりだと思うんです。

立体空間上に絵を描くって、これまでと違う発想が出来る気がしませんか。そこが面白い。これを3Dデータとして書き出すこともできるので、3Dプリンタで描いたものを立体物にすることもできます。これを使ったVR展覧会も近く開催させたいと思っています。

VR空間っていうのは、人間が生きてる3次元空間に隣接したひとつのパラレルワールド、ワームホールみたいなものだと思ってるんです。

>これまでのペイントソフトとはまったく次元が違いますね。空間に何かを描けるという感覚が全く新しい一方、立体彫刻的なこともすることができる。これは画期的な出来事ですね。

(清水)あと、いま実験中なのが、人工知能との組み合わせを考えていて、人工知能ってなにがいいかというと、データをひたすらたくさん読ませて、読んだデータを自動的に分類してくれることなんです。そこが便利。

例えば監視カメラの写真を読み込ませて、この人は男、この人は女とかやっていくと、ある商品の購買層は、この種の人たちがよく買っているとわかりますよね。これを縦軸が買った金額で横軸に見てた回数とか選んで、自分が知りたい項目を絞り込んでプロットしていきます。そのとき助けになるのが「次元圧縮」という技術なんです。

もともとのデータが、1000次元くらいあったとき、人工知能が学習して3次元とか2次元とかにまとめあげるのが次元圧縮なんですが、これまでもマーケティングデータとして3次元化することが多かったんですが、実際のローデータは目で見れない(次元圧縮されてしまっているから)。時系列で見ようとしても、いちいち軸を変えて見ないと、3次元データと言っても、実際は紙の上の2次元でしか見れないため、限界が合った。増してや4次元でまとめようとかしても、紙の上ではまったく確認できなかった。最低でも3次元空間で確認する必要があるから・・・。

これが、僕らが現在開発中のものだと、人工知能がデータを分析して、VR空間にプロットしてくれる。VR空間上での並びなら、人間が直感的にわかる、俯瞰で見られる。これが可能になるため、4次元でのビッグデータ分析も可能となる。こんなことも開発中なんです。


【動画】Feature Space Diver by DEEPstation

>なるほど、これまでは人間がリアルな世界のデータを使ってヴァーチャルな世界を形作っていたわけですが、ここにリアルな世界を越えられない限界があった。ところが、人工知能やでディープラーニングの技術が進化したことで、データを沢山読み込ませるだけで、勝手にヴァーチャルな空間を作り上げてくれるようになった、この世界は、リアルを超越した世界というわけですね。

(清水)データマイニングなどでも十分応用できますし、ほかに地形の解析とかにも威力を発揮しそうですよね。以前聞いたことあるんですが、軍隊の作戦会議で(これまでは模型を使ってやってたことが)、VR使えば、本物の地形をみんなで体感しながら動きを確認できます。

僕らはVRの活用法としてのゲームは全体のごく一部に過ぎず、むしろそれ以外の体験を作り出すというほうに興味があります。メガネが発明されるまで、目の悪い人は文字が読めず図を描くことも難しかった。メガネが発明されたことで人の認識は大きく拡張され、新しい知覚が備わった。VRにも同じような効果、人の認識や知覚を拡張するような効果があるのではないかと考えています。


株式会社UEI 清水亮社長

■VRは人間の認識が大きく拡張される技術・・・

>そういう意味では、ほかにも医療とかでも可能性ありますよね。

(清水)医療であれば、まさしくVRが一番効果を発揮します。そもそもCT(コンピューテッド・トモグラフィ)ってもとはVR技術に由来しているわけですよ。空間的なデータを空間的に把握するために輪切りデータ化してあるわけです。これまでは輪切りデータは2次元でしかなかったから、立体物として回転させたりすることはできなかった。あくまで断面でしかなかった。

これがVRになれば、患者さんの体の中に入り込んで、わーっと見上げたり出来るようになる。この壁にがん細胞がこぶを作っているんだとか、ではこのこぶをこの方向から切ろうとか、実際切る時も、体の中に入り込んでこういう感じでレーザーカッターで切ろうとかできるわけです。

さらにはその先生が指示した切り方で、ロボットが人間よりはるかに精密な動きでカットする・・・。それがVR技術なんです。

>人間が何度もVR空間で練習して、一番いい筋道がわかったらそれをロボットが実行するみたいなことですね。

(清水)そういうことです。いま一般的なゲームで活用されているVRって椅子に座って体験するものが多いんですが、HTC Viveってやつだけは立って歩き回れるんです。ということは、1.5メートル✕2メートルの空間自体がまた別の宇宙なんです、言ってみれば。このなかでいろんなことができるし、それこそ自分が巨人になったりミクロになったりまさにパラレルワールドって言う意味はそういうことです。

>このHTCのもの以外ではこういった広い空間を歩き回れたりするのはないんですか?

(清水)いまのところないですね。これだとスペースが必要になるので、基本的なVRは椅子に座って空間の中で、方向ボタンを押して動かすものが主流だと思います。

ただコンテンツはどんどん手軽なものになっていく・・・こういうダンボール型のヘッドセットなんかも出ていて、非常に簡単な構造なんだけど、意外と使える・・・。

>Googleが資本参加してる「Cardboard」は、すでに出荷台数500万台突破しているようですね。ところで清水さんは、VRとARの境界みたいなのを意識しますか? いまのVRは画面がすべてCGの状態のなかで起きるものが多いわけですが、ヘッドセットを通して、実際の自分の机の上が見えて、その空間の中にヴァーチャルなものが追加されるみたいなこともできるんじゃないかと思うんですが。

(清水)それはARの王道的な研究で、マイクロソフトの「Hololens」なんてのはそれに近い。

>例えば実際の自分の机の上の操作をVR技術を使って操作するみたいな、操作する入口としてのVRの使いみちというのはいかがでしょう。

(清水)そういう可能性は十分あると思います。ただ僕はどっちかというと、違う世界に行くほうが面白いと思っているんで、ARもおもしろいんですが、まだまだ利用するには難しいことが山積してるんです。さきほどの机の上になにか出てくるとなったとき、おもちゃとしては作れるんだけど、実用的なものとしてはまだ難しい。つまり誰の机の上を想定してそれにあったデザインの文房具を用意しておくとなると、使う場所がわからないと、あくまでおもちゃ的なものしか作って置けないわけです。日本の4畳半で使うものとアメリカの大邸宅の書斎で使うものではまったく違うものを用意しておかなくてはならなくなるじゃないですか。

>つまりおもちゃとしてのARはオッケーなんだけど、実用性で考えると、まだまだ発展途上。背景ごとできているVRのほうが完成度が高く保てるということなんですね。UEIとしてのVRへの取組は具体的にこれからどんなことをされていくんでしょう。

(清水)もともとVRに関しては、UEIの子会社のUEIソリューションズが開発を手がけていて、例えば四万十川や、高知県の観光用VRコンテンツなどを手がけています。

そういったVR動画を作成するための「VRider」というサービスも提供中。

>清水さんとしては、VRによって世の中のどんなところが変わっていくと思いますか。

(清水)人間の認識っていうのが大きく拡張される技術だと思っています。そもそもディスプレイの限界というのがあって、平面じゃないですか、ディスプレイって所詮。3Dテレビとかも出てきましたが、視点を動かしたら立体じゃなくなってしまう。

ところがVRであれば、巨大なものを見れば本当に大きく見えるし、高いところに行けば本当に高いところにいる足がすくむような感覚が得られる。車のゲームだったら、本来は存在しないはずの横方向のG(重力や遠心力)などを感じるくらい、VR体験は人間の本能に訴えかける。それっていままでは、実際にそういう体験をするしか得られなかったもの。ところがVRが身近になってきたことで、誰でも気軽に体験できるものに変わりつつあるんです。


HTC ViveなどのVR機器がいっぱい・・・

■VRは写真では得られなかった体験を得られる・・・

(清水)まず変わるのは「教育」だと思います。どうしても地図とかを見て、ここは何県ですとか、ここが何区だとか言われても頭に入ってこない、体験じゃないから。人間は所詮動物だから、教わるという意味では、体験の方が圧倒的に強い。

だから100万回青森県の地図を見ようが、東京都の地図を見ようが覚えられないし、土地勘がでてくることはまずないわけです。ところがVRでこの学校はここにあるとか、ここから幽体離脱して、ぱーっと自分がどんどん巨人化していって、ここが荒川だ、ここが23区だって、見下ろしたり、少し進むと奥多摩湖ですとかなれば、大きさや距離感まで体感できて、圧倒的に人間の認知力をアップさせるんです。

つまり頭のなかでぼんやり地図を眺めていても、想像するだけでしかない。師匠の水口哲也という人が昔言ってたんですが「ラスベガスに行くときは日本からの直行便で行ったらだめだ、ロサンゼルスまで行って、そこからレンタカーでラスベガスに行くんだ」そう言うので、やってみたんです。

お金もかかるし時間もかかるけど、この体験で、アメリカの町と町の間の距離感や風景や空気感から、全く新しいアメリカを得られるわけです。これは僕にとって鮮烈な体験となりました。同時に僕はそれ以降、世界中どこにいくときもなるべくレンタカーを借りて運転することにんしたんです。

点と点の移動だけだと写真で見るのと認識は変わらないが「体験学習」で認識が変わるということが非常に大事だということなんです。

>いまの「VR」は、そういうことをすべて今いる場所でできるようになったわけですね。

(清水)そうなんです。例えば、僕はNASAも好きなんで、ヒューストンのNASAのジョンソン宇宙センターに行くわけですよ。そこに実物大のサターン5型ロケットがある。これを見に行くまでわかんなかったことがあるんです。あることは写真で知っているし、何メーターと書いてあるのも知識としては知ってるんだけど、実物って意外とちっちゃいんです。この「意外とちっちゃいな」っていうことがわかるということがスゴイわけです。

現在、このViveには、サターン5型ロケットに乗り込んで宇宙に行くというコンテンツがあるんですが、それって本当に狭いんですよ。その狭さが良い、みたいな笑。

>やっぱり写真や3Dではまったく得られなかった体験なんですね。

(清水)VRってカラーディスプレイの発明にも匹敵する世紀の発明なので、絶対無視はできないですね。

>わかりました。今日はありがとうございました。

VRの凄さは、さらに来るべき日本の少子高齢化社会に向けて、一番活躍する技術でもあるようです。

つまりこれからの少子高齢化社会では、高齢者でも働ける世の中にしてかなければならない。そのためには高齢者が働ける環境をつくればいい。このときVRを使えば、体力的なデメリットも、健康的なデメリットもVRが補ってくれます。

経験を豊富に持つ高齢者の知識を活用しながら、若者と肩を並べて仕事をすることができるような社会がもう目の前に広がっているんですね。


(参考リンク)


※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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