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凶悪犯逮捕のためならスマホロックを解除するべきか?

2016/05/12 10:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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先日私がお手伝いしているラジオ番組で、昨年の12月にアメリカで起きた銃乱射事件でのAppleとFBIのパスコード解除問題を取り上げ、こうした犯人逮捕のためならスマホロックを解除すべきかについて議論しました。

またリスナーの方々は普段から自分のスマートフォンにロックをかけているか、また自分のスマートフォンに中身を見られるのは嫌か否かについても意見交換しました。

そこに非常に興味深い結果が出たので、この紙面を借りてまとめておきたいと思います。

■なぜAppleはFBIの要請を拒否し続けたのか・・・

改めてAppleとFBIのパスコード解除問題について、さまざまな報道や記事を参考におさらいします。

昨年12月2日、アメリカ・カリフォルニア州サンベルナンディーノの福祉施設で銃乱射事件が発生。14人を殺害、17人に重軽傷を負わせ、駆けつけた警官によって、犯人の3人のうち2人が射殺されました。

射殺された犯人の一人は、この福祉施設の職員で、なおかつ3人共イスラム教に傾倒して、犯行声明も過激派組織「イスラム国」(ISIL)のホームページに掲載されていたため、テロ事件と認定されました。

そこで、今後のテロ活動の首謀者を特定する意味でも、犯人が所持していたスマートフォン(iPhone5C)でのやりとりなどを解析する必要に迫られ、FBIがAppleに対して、パスコードロックの解除要請をするという前代未聞の状況となりました。

なぜそれが前代未聞かというと、iPhoneなどのスマートフォンのパスワードロックは、その時点で電話内のデータが暗号化されている上に、パスコードを数回間違えると自動的に消去されてしまうしくみになっていたからなんです。FBIなどがパスワードを外すときは通常、コンピュータなどでパスワードを自動生成して総当りでロック解除するんですが、それが出来なかった・・・。

ところが、アップルはその要請を拒否しました。それはいやがらせでも何でもなかった・・・。

まず2014年のiOS8以降のiPhoneでは、セキュリティ機能を強化するあまり、暗号化されたデータを復元させるためのカギをAppleが保管することもやめてしまいました。つまりアップルですら、個人個人のパスコードがわからない限り、復元は不可能になっていました。

また、その背景には、2012年から2013年にかけてアメリカの国家安全保障局(NSA)の職員だったエドワード・スノーデン氏が、極秘情報を持ちだして公開(ウィキリークスなどに)した事件以降、アメリカは個人を監視するプログラムをさまざまなところで仕掛けるようになったと言われ、一般市民から「個人情報を保護すべきだ」という声が徐々に高まっていたこともあげられます。

ちなみにカギのない暗号化を解読することになれば、暗号化する方法そのものを公開することにもなるため、これが間違って流出してしまった場合、一台のスマホだけの問題ではなくなり、世の中すべてのiPhoneのロックが解除できるようになってしまいます。(この理由についてはざまざまなレポートが提出されています>「データセキュリティの脅威」「危険な前例」などなど)

なのでそんな状況の中でも、相手がFBIであっても、おいそれと暗号化の解除を受け入れられなかったわけです。

■FBIはイスラエルのセキュリティ会社に1億円支払って自分で解除・・・

さらに、今年の2月16日、アメリカ連邦裁判所は、アップルに対して、FBIの要請に従うようにと判断を下しました。つまり国から暗号解除の手段に手を下すようにと要請してきたわけです。それでも、アップルはびくともせず、その要請を断りました。これに対する反応は世界中にとどろきました。

マイクロソフト社やインテルなどそうそうたるIT企業32社からアップルを擁護する声明が発表されるなど、たいへんな騒ぎとなりましたし、ツイッターやSNSなどでの一般市民からの意見もおおむねは「アップルよくやった」でした。そんな中、ドナルド・トランプ氏は「何様だと思ってるんだ」と強く批判して話題にもなりました。

その後、世論の騒ぎも影響して、連邦裁判所も要請することに懸念を示すようになり、あげくは「そもそもFBIはアップルの協力無しでロック解除出来る方法をすべて実施しているのか!?」とも言うようになっていきます。

そして3月28日、FBIはiPhoneのロック解除を完了したこと発表。アップルも解除ソフトなどの開発に協力せずに出来て良かったとコメント。しかしながら、FBIがロック解除にかかった費用を聞くと、発表した長官が「今後働いて得る給料よりも多い」と発言したことから、134万ドル=約1億5000万円以上かかったと噂がされています。

それよりも重要な事は、このことである意味、ロックを解除できる脆弱性が発見されたとも言えるわけです。

ただ今回は、犯人が所持していたiPhone5Cのみの解除で、iPhone5S以降のパスワードロックは、5Cとはまた全然違う方式になっているとのことなので、5S以降の方はまだ安心・・・。(その後のニュースによると、以前にもiPhone4Sの時代にアップルがロック解除をしていたという噂もあります。)

かと思いきや、それがアメリカの凄いところ。FBIは、さらに5Sの解除要請を改めて連邦裁判所に提出したそうです・・・。さてあなたは、ここまでの話を聞いて、犯人逮捕のためならスマホロックを解除するべきだと思いますか?

■あなたのスマホを人に見られるということ・・・

ちなみに、この事件を受けて、日本でも参議院で答弁が行われました。日本を元気にする会の山田太郎議員が、アメリカの事例をあげて、日本の場合は刑訴法第111条などによってロック解除を外部業者に求められるかを質疑したところ、岩城光英法務大臣によれば、協力を求めることはできるが、やはり協力は任意で強制ではないとの見解を示したそうです。

これに対して山田議員は「日本はアメリカに対して一歩進んだ」と評価されたそうですが、みなさんはこうした凶悪犯罪の際にはロックの解除において、自分の大切な肉親や友達のことを考えると、犯人をあげるためには必要な権利と言い切れますか?

これを自分に置き換えたとき、あなたのスマホを誰かに見られることはどうでしょう?

調べていたところ、日本でも衝撃的なニュースがありました。それは昨年9月、都立高校1年の男子生徒(16)が、山梨県大月市のJR大月駅で列車に飛び込み自殺した事件。遺書もなく、大月駅にはなんのゆかりもなかったそうです。

そこで母親は、残された息子さんの携帯電話のロックを解除し、中身を見たところ、「死にたい」などのメッセージが多数ツイッターなどに残されていることを発見。これを学校側に見せ、いじめの有無について調査を要望。学校は全生徒に対するアンケートを実施しました。

しかし結果、自殺につながるようないじめなどの原因を特定できるまでには至らなかったのですが、こうしたときにスマートフォンなどのロック解除ができなかったら、何も原因がわからない可能性もあるわけです。

スマートフォンの中身を見られたくはない。しかしこうした事件に関わるときは、見てもらうことも必要になるかもしれない・・・。

■スマートフォンを安全に利用するために・・・

昨年はSNSのパスワードを盗み見られて、浮気のやりとりがだだ漏れしていた、という芸能の話題もありましたが、みなさんのスマートフォンや携帯電話に入っている個人情報や友達や同僚とのやりとり、メールなどなどを安全に使えるようにすることは大切です。

そのためには、何が重要なんでしょうか?

もちろんパスワードや指紋認証、パターン認証などのロックをすることも大事だとおもいます。だだ漏れしてしまわないかという心配からは開放されます。

でも、さきほどのFBIが1億円とか使ってロック解除したレベルでの方法をとらなくても、ネットを調べると、意外にロックを見破る方法が簡単だと書いてあります。

例えば、パターンロックは、スマホの画面をよく見ると、指を動かすその軌跡が残っているので、そのとおりにすると解除できるとか。指紋認証についても、寝ている間に、奥さんが自分の指を使ってロック解除してしまうとか・・・。数字でのパスワードは、生年月日や記念日とか1111なんかでけっこう開いてしまうそうです。

実はそんなことより重要な事は、人の迷惑になるような情報は、持ち歩くようなスマートフォンや携帯電話には入れておかないことなのではないかと、改めて今回の事件を通じて思いました。

IT系の会社では、そのようなことはもう当たり前になっています。会社の携帯電話で、会社の機密情報のやりとりの履歴を残してはいけないとか、得意先の方々の個人の電話番号などを保存しないとか、ルールが徹底しています。

そういった個人情報はあくまで、自宅や会社内に固定されたパソコンなどで管理しておくようにして、持ち歩いてどこかに落としてしまう危険があるスマートフォンでは管理しないということが大事なのではないでしょうか。

ちょっと昔なら、電話は家や会社でしか出来なかったわけです。だから電話番号や個人のやりとりも外部に漏れることはそうなかったわけです。ところが世の中が便利になって、どこでもいつでも連絡が取れる、そのためには、個人情報も持ち歩くようになってしまった・・・。

つまり、大切な個人情報は、スマホなどで持ち歩かないということ。もしも秘密のやりとりがどうしても必要なら、それは持ち歩かないスマホか、固定のパソコンでする。これしかありません。もともとこのような状態だったわけですから、不便になるわけではない!!!

ラジオでのリスナーの反応もおおむね同様の答えでした。スマホロックは必要だが、凶悪事件のときはロックを外して犯人の特定に協力すべきであると・・・。

みなさんも改めて、自分の身の回りの守らなければならない情報がどこにあるのか、見なおしてみてはいかがでしょうか・・・。


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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