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震災でもなにはともあれまずラジオ、これからラジオはどうあるべきなのか。:第41回トンコネ・ジャム

2016/04/26 11:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■震災にも心を支えるラジオの存在・・・

熊本・大分地震で被災された皆様ならびにご家族、関係者の方々に心よりお見舞いを申しあげます。

今回は阪神淡路大震災や、東日本大震災などで学んだことからICTを活用した、多くの被災地支援サービスが立ち上がっています。

Googleは、熊本県内の「スーパー営業情報」「炊き出し&支援物資集積地点」「給水所」の情報などを「Google マップ」上にまとめた「Google クライシスレスポンス」を提供。ちなみにこの情報は、東日本大震災の復興支援にも携わった経験のある九州大学の学生らが情報収集して手動でアップしているそうです。ほかにも「熊本県の透析施設マップ」や「入浴可能な銭湯・温泉」なども着手。

また、立て続けに余震が襲ってくるため自宅にいることも出来ず、避難生活を点々としている方々のためには、世界中のユニークな宿泊施設をネットで紹介、予約できるサービスを展開する「Airbnb(エアビーアンドビー)」が、熊本、大分のために、無料で泊まれる緊急宿泊場所の提供を開始しています。ちなみにこの「Airbnb(エアビーアンドビー)」は、自宅を無料で開放してくれる人も同時に募集中。宿泊したい人と宿泊出来る場所の提供者をつなぐサービスなんですね。

同じようなものに、無償で医師に遠隔健康相談ができる「ポケットドクター for 震災支援版」というサービスも立ち上がりました。これも、被災者のために無償で遠隔診療を申出てくれる医師と、遠隔診療を受けたいという被災者の方をソーシャルネットワークで結びつけてくれるサービスになっています。

こういったICTの活躍、ツイッターの日常化は日進月歩していますが、こういうときだからこそ、改めてラジオを見直して見ようと思います。

ラジオアナウンサーにしてIT使いのスペシャリストの吉田尚記さんを中心に、メディアの今を語り合う座談会「トーンコネクトジャム(略してトンコネジャム)」。

今回のメンバーは、吉田尚記さんに吉田ルームの益子和隆さん、そしてスーパー大学生で御意見番の矢倉大夢さんで、改めてラジオのあり方について語り合ってみました。

■SNSが日本人に自意識を輸入してしまった・・・

>AERA(3/14増大号)でも「聞きたい話はラジオにある!」というラジオ特集が組まれるなど、最近にわかにラジオへ視線が改めて向けられているような気がしますが、この10年くらいでラジオはどう変わってきたんでしょう。

(益子)ツイッターアナウンサーが誕生しました笑。

(吉田)もうツイッター飽きましたけどね笑。

(益子)いまやただの告知ツールなのかもしれませんが・・・。

>でもツイッターは残りましたよね。

(益子)上柳さんの番組(以前の「上柳昌彦ごごばん」での話、現在は「上柳昌彦あさぼらけ」放送中)でハッシュタグを読み上げているのを聞いて、時代変わったなと思いましたね。

>最近はテレビでもツイッターのメッセージを画面に流すようになりました。

(吉田)あれあんまり意味ないんです。あれは街頭ロケと同じ。街ロケで例えば民進党って名前どう思いますと言う質問で「イマイチじゃないですか」とかいうコメントもらうのと一緒で、予定調和、それ言わせてどうすんの、ということになるんです。

(益子)あれ、選んでますからね。

(吉田)テレビだからなんとなく見ちゃいますけど、これをラジオでやったら、はぁ?ってなります。意味のあることを聞き出さないとラジオは予定調和だけでは成り立たない。

(益子)ラジオだと、ツイッターコメントはすべてツイッター上でみんなで共有してるという前提でおしゃべりもしてますから、変なコメントももちろん共有している。そこにはウソは発生しない。そこがテレビでツイッターを活用するのとは決定的に違う。

(吉田)趣味の良いツッコミはありますよ。それは拾うし、だからといって、ニコ生のコメントみたいに読人しらずだといいんですが、いまやツイッターは誰だかわかってしまう。

先日どなたかが言ってたんですが、最近定期的に検索されている単語がある、それは「フォロワー増やしたい」という言葉(現在google検索で48万件ヒット)だと言うんです。絶望的だと思いませんか。

フォロワーを増やしたい理由がわからない。自分という存在の意味合いをフォロワーの数に置き換えようとしているとしか思えない。

(益子)自分は、ツイッター初期のときの自分ルールで、フォロワーとかツイートとか、見てる人を意識することが許せなかった。タレントさんがフォロワー何人とか言うならまだしも、フォロワーを意識する素人ってスゲー気持ち悪いと思った。そういう意味では、ツイッターなどのSNSは「自意識も輸入した」と思うんです。

もともと、日本人は自意識を抑えながらするコミュニケーションの文化だったと思うんです。対するアメリカ人(ガイジン)は、どんどん自分が自分がと言うのがあたりまえ。ツイッターは日本人にそれを出して良いんだと輸入し(教え)てしまった。



左から矢倉さん、吉田さん、益子さん

>その逆もあると思うんです。日本はもともと「あ・うん」の呼吸で情報を共有する文化。でもアメリカって多民族多人種で価値観がまちまちだから「ディベート」する文化。ところがツイッターによって、アメリカ人も人の言葉に「いいね」と賛同する習慣が出来てしまったのではないかとも思うんです。フェイスブックで「あ・うん」が出来るようになってしまったみたいな・・・。

(益子)僕の理論で言えば、いいねが増えても、ただのいいねだと思うんです。違って当たり前のカルチャーだから。日本人が「いいね」もらったのと、ガイジンが「いいね」もらうのとでは受け取り方がまるで違う・・・。

>日本人は「いいね」をもらえないと落ち込むんですよ。もともとの「いいね」はもっと単純な意味だったはずなんですね。

(益子)だからSNSは人の自意識を輸入(強化)させてしまったのではないかと思っています。

>ラジオの話に戻ると、結局、メディアはどんどん新しくなってきているんだけど、こういう特集をやるってことはまさに「自意識が輸入」される前のオールドメディアのほうが良かったのではないか、ってことなんでしょうかね。

(益子)見なおそうということでしょうね。

>そういう意味では、昔は、中学や高校に入学すると同時にラジオ(深夜放送)を聞くのが大人ぶる最初の行為だったんですが、そういうところにラジオがないですよね。何でですかね?

(吉田)そりゃネットがあるから・・。

(矢倉)中学に入ったらまずスマホ。

(吉田)先日ASCIIの遠藤さんの記事で面白かったのが、今の30-40代のアラフォーのネット社長にすごい共通することがあるって。それが、中学生の当時、ファミコンが欲しかったのにMSXしか買ってもらえなかったという経験だそうです笑。

でもオレがいまこういう仕事ができているのは、事実、MSXを買ってもらったからというのがすごくデカイ。つまり大人になる過程で必要なのはスマホ(ファミコン)じゃなくてパソコン(MSX)なのかなと。うちの娘もスゲースマホ欲しがりますけど、パソコンしか使わせない。スマホみたいな手軽なものは渡さない。

■スマホからは何も生産されない・・・

>スマホにいきなり行ってしまうと、タイプ打てないままネットを活用するようになってしまいますね。

(益子)いま大学生ってパソコン持ってない人いるのかな・・・。

(矢倉)持ってないほうが多いですね。日常はスマホ。

(吉田)なんだとぉ!!!レポートとかはどうすんの?

(矢倉)入学当時はほとんど出来ない人ばかりですね。

(益子)そこはボクらの時代と全く変わってない笑。

(矢倉)その後、学内のパソコンでレポートは済ませて、自分はスマホしか持たない。

(益子)だって6−7万円出してわざわざレポートにしか使わないPC買わないでしょ?

(矢倉)あと入学時に親に与えられたので、家にはPCあるけど、日常では使わない人も多い。

(吉田)終わった・・・。親がPCを何のために持たせるかといえば、世界に対する可能性を広げてほしいから。スマホって便利ですけど、世界の可能性を著しく限定させている。

(益子)便利にすることは「限定」することですからね。不便を便利にする努力があるから何かが生まれるわけで、不便を感じないとそこには何も生まれない。

(吉田)江藤淳の「閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫) 」という本を、評論家の福田和也氏が最高の三冊の一冊に選んでいたのを思い出しました。

これに書かれていることは、「あったものがなかった、とされることは、恐ろしい上に可能性を隠してしまう」ということ。

当時GHQの規制によって、始めは戦前から使い続けていた教科書を墨で塗りつぶしていた。墨でぬりつぶしてあるので、ここに何かがあったことは類推することができた。しかし、その後版が重なって、塗りつぶしたヶ所は削除されて印刷されるようになり、何かがあったということもなくなってしまった。

たぶんスマホを使ってる人にとって同じようなことが起きていると感じました。彼らは、これからデジタルで何が出来るのかについての可能性を「あったものがないまま」削ぎ落とされたまま触れている・・・。

デジタルの可能性に触れるためにはまだPCでなければならないんです・・・。

(益子)PCを使わないことで一歩損していることか確かだね。

(吉田)世の中、不便じゃなければダメなんですよ。子供には不便な思いをさせなきゃだめ。

(矢倉)パソコンオタクの出発点って、自分のパソコンが重いからより早くしたいということから自作の道に入ったり、OSを変えたりとかするわけですよ。

(吉田)何のためにこの低スペックのPCのチューンをしなきゃならないかみたいな笑。

(矢倉)そういう不便な出発点は必要ですね。

(吉田)スマホだって不便だと思って使ってますけどね。今日bluetoothキーボードとか買っちゃいましたけど、買って不便。便利であればいいってもんじゃない。

(益子)キーボードのほうが文字打つには絶対早いです。僕が危惧しているのはスマホにゲームが切り替わったことで、みんなのゲームの認識がスマホになっていることに否定はしない、ただ、タッチスクリーンになってからゲームの方向性が狭まってしまったと思っていて、コントローラーのほうが狭いと思ってってタッチだといろんなことできるだろうなって思ってやったら、タッチでおもしろくなるものはすごく限られていることがわかったんです。だからゲームがそれってなっちゃうとなんかつまんねーなと思うようになった。

(矢倉)マリオとかドラクエとかで鍛えられたゲームクリエイターは、もう出てこないんじゃないかと言われてます。

>まさに高橋名人が叩いてた連打みたいな技はスマホにはないですよね。

(益子)コントローラーが不自由で、ハイパーオリンピックみたいな2個しかないボタンで連射しなきゃなんなかったから、専用コントローラーが出来きたり、高橋名人の16連打みたいなのが生まれたわけです。スマホは拡張性はないからそういう発想自体がない・・・。

ゲームクリエイターとしては、スマホにチャレンジはしていると思うけど、それで育ったた人がどういうアイデアが出せるのか疑問。

>いままさに電車の中とかでやっているのは、パズドラみたいな画面を触るやつばっか・・・。

(矢倉)それか、2ちゃんまとめサイトを読んでるか笑・・・。

>あのにゅるにゅるする感覚がキモチイイみたくなってるからコントローラーには絶対戻らないでしょうね。

(矢倉)そもそもパソコンとは、何かを生産するために作られたもので、スマホは生産するためのものではないという違いがあります。

(益子)消費のためのもの・・・だね。

(矢倉)そうですね、スマホは消費のためのもの。スマホでパソコンの代わりができていると思ってる人は、モノは作れない人だと思いますね。

■ラジオこそが唯一の自作できる情報機器・・・

(益子)ラジオではないですが、「私をスキーに連れてって」という映画がブームになった時は、ハンディ無線が流行りましたね。いわゆる携帯がなかったから、スキー場で連絡を取るためには、男女がトランシーバーを使うのがカッコ良かった。今は全く影も形もないですが・・・。

>トランシーバーだけじゃなくて、トラック野郎が付けてた「パーソナル無線」とかありましたよね。

(益子)トラック運転手が仲間同士で、夜眠くならないようにしゃべりながら運転するために、無線をトラックに積んでいた時代。絶対今の学生さんにはわかんないだろうな・・・。

>そういうのも全部携帯電話が出てきてなくなったわけです・・・。

(益子)でもラジオは残ってるわけです・・・。僕が思うに、新しいとか古いとか、アナログとデジタルがたぶん並列に進んでいると思うので、だからこそ、ラジオへの新しいアプローチしてもいいんじゃないかと・・。むりやり押し付けてもしょうがないと思うんですが、ラジオにハマる人っていうのは、まだいると思うんです。そこに対して、まだアプローチが足りないと思います。

(吉田)ちなみに星野源のオールナイトニッポンレギュラー決定したというニュースに対するツイートが4900リツイート。かなりのものです。

>久々にそそられるラジオの話題でしたよね。

(吉田)ラジオは1ミリも使ってないのに、ラジオ的なブレイクを果たしたタレントに「厚切りジェイソン」がいると思うんです。なぜかというと、世の中の人が言ってることの逆張りをしてブレイクしたから。逆張りしても外国人だからまあしょうがないかとなるけど、逆張りで価値のある意見なんです。あれがラジオのあるべき姿だと思うんです。

ラジオって本質的にレジスタンスなメディアで、世の中の逆を行くのがあたりまえ。僕の場合は、逆張りも何もなかったんですが、オタクって変な人だったのが、僕らのころから普通と混じり始めて、レジスタンスの構造をオタクが持っていて、そこにハマった感じです。

ところがいつのまにか、それが普通になってきたので、超絶つまらない。僕はオタクであるよりもレジスタンスが楽しいんですよ。

>そういう反体制の気持ちを言葉に表すのがめちゃくちゃうまいのがタモリさん。やっぱりそれを言葉にできるかどうかが重要な気がしますね・・・。

(吉田)そう考えると、レジスタンスは楽しいですよ。ラジオって唯一自分で作ることが出来る情報機器なんですね。携帯電話もスマホも作れませんが、ラジオだけはパーツ買い集めてハンダで付ければ作れる。そして普通には聞けないパイレーツ・ロック(海賊放送)も聴ける。

>なるほど、ラジオはやはり海賊なんですね。ラジオを見直すにはレジスタンスの心、海賊放送の精神を蘇らせる必要がありますね。今日はどうもありがとうございました。


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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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