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IT技術はどう我々から「信用」を勝ち取るのか:フィンテック(FinTech)革命

2016/02/22 10:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■インターネットで何が便利になったのか・・・

改めてインターネットやソーシャルネットワークが普及して、何が便利になってきたのかを考えてみました。

すぐに考えられることといえば「いつどこでも、日々のニュースや話題がリアルタイムで見られる」、すなわち「情報収集=インフォメーション」におけるテクノロジーの進化(IT)。それと並んで、いつでもどこでも連絡・コミュニケーションが取れる「コミュニケーション」におけるテクノロジーの進化(CT)。この2つをあわせたいわゆる「ICT」は我々の日常を激変させました。

最近これに新たなものが加わり始めました。そのひとつが「IoT(インターネット・オブ・シングズ)=もののインターネット」。モノとモノがつながる、スマホでコントロールできる洗濯機、テレビ、部屋の照明、玄関のカギ、ドローン、ロボットなどなど。

そしてもうひとつ、進化の度合いに騒ぎ始めているのが「フィンテック(FinTech)」という動き。

ということで今回も、ラジオで特集したときの資料を元に、現状をまとめておきたいと思います。

■フィンテック(FinTech)とは何か?

「フィンテック(FinTech)」とはFinance(金融)とTechnology(技術)を掛けあわせた造語。金融サービスに関するIT技術革命を意味しています。今から2年前の2014年ころから使われるようになったそうです。

そもそも金融業界では、これまでもさまざまなIT技術を採り入れて便利になってきました。電子決済=EC(electronic commerce)もそのひとつで、今ではいつどこでもアマゾンや楽天で買い物ができたり、オンラインで旅行予約して代金を支払ったり、オンライン証券を使って株などの投資が日常になっています。

ただこれまでのネットを利用した金融は、あくまで銀行や専門の金融機関が中心となったサービスでした。ところが、ここ数年の世界規模での規制緩和や、さらなるコンピュータの性能の向上や人工知能やビッグデータ処理技術などが加わって、民間のベンチャー企業がこの分野に続々参入。これによって例えば、複数のオンライン証券を客観的に使い分けるサービスが誕生したり、融資先の審査を数分でできるようにしてしまうなど、全く新しい金融サービスが生まれるようになったわけです。

こうして「金融」と「テクノロジー」を掛けあわせて「フィンテック(FinTech)」ということばが生まれたというわけです。

現在の「フィンテック(FinTech)」市場をさまざまな記事から読み解いてみると、2010年(今から5年前)に約20億ドル(2300億円)程度だった「フィンテック(FinTech)」企業への投資が、2014年にはなんとその6倍の120億ドル(1兆4000億円)を越えたそうです。

中でもアメリカ企業への投資が圧倒的で、1兆1500億円(96億ドル)(全体の約80%)、次いでイギリスの713億円(6億ドル)、中国の386億円(3億ドル)と続き、日本は10位で約60億円(5000万ドル)。

一方、日本とアメリカのクレジットカード利用率は、クレディセゾンの調査によれば、2011年のアメリカの個人消費約900兆円(8兆3000億ドル)のうちクレジットカード利用は約26%:250兆円(2兆1200億ドル)。対する日本は個人消費約300兆円のうち、クレジットカード利用は約12%:約30兆円。

これをアメリカに習えば、クレジットカードの利用率を「フィンテック(FinTech)」で20%以上にアップさせ、利用額はさらに30兆円以上プラスの60兆円市場になる・・・。まさに2020年のネット通販市場が60兆円規模との予想ができる、だから「フィンテック(FinTech)」は市場でみても大注目なわけです。

■フィンテック(FinTech)の4つの分類と注目のサービス

それでは、フィンテック(FinTech)の「融資・投資支援」「決済」「財務管理」「暗号通貨」の4つの分野それぞれを象徴するサービスをピックアップしながら、その興味深い進化を見ていきたいと思います。

◎「融資・投資支援」:「Kabbage(カベージ)」(アメリカ)

例えば、これまで融資をしてもらおうと銀行などに出向くと、何のための融資なのか、その融資で本当にビジネスがうまくいくのか、信用できるのかなどを審査するのに早くても1週間などの時間がかかっていました。

ところがそれをビッグデータを活用して、数分で審査を完了させるサービスを立ち上げてしまった。その代表が、アメリカの「Kabbage(カベージ)」というベンチャー会社。

ここはビッグデータの解析になんと人工知能を活用して審査は人でいらず。ただし、融資を希望する人は、申し込む際に、住所や名前だけではなく、利用しているさまざまなネットサービスのアカウントを登録する必要があるそうです。決済サービスやオンライン通販などの利用の頻度や使い方見て、この人は信用が置けるかどうかをシステムが判断するわけです。

◎「決済」:「Square(スクエア)」(アメリカ)

クレジットカードでの決済を導入したいけど、手数料も高いし、いくつも提出する書類を用意しなきゃなんないし、審査にも何ヶ月もかかる・・・。これまでは、お店を出店しても手軽にクレジット決済ができるようにするのは、至難の業でした。ところが、これをあっという間に解決させてしまったのが「Square(スクエア)」というサービス。

「スクエアリーダー」と呼ばれる2センチ角の小型端末を用意して、それをスマートフォンのイヤフォンジャックに挿して、専用アプリを起動させるだけで、なんとクレジットカードの決済ができるよになってしまいます。さらにはスマホやタブレット上で、売上管理や決済記録の管理などまで出来てしまう。

これを考えだした「ジャック・ドーシー」という人はなんとツイッターを考えだした人でもあります。

昨年6月には、レコード会社のポニーキャニオンがイベント会場でアーティストグッズの販売にこのスクエアリーダーを利用して話題にもなりました。

さらに、このスクエアリーダーはいまや全国のローソンでも販売されてるので、明日からでもあなたのお店をクレジット決済ショップにできちゃいます。

◎銀行代理店サービス:Simple (シンプル)」(アメリカ)

創業者が、既存の銀行から多額の手数料を取られてムカついたことから自ら銀行を立ち上げようと思って作ったのがこの「Simple (シンプル)」。

利用者から見るとまったく銀行と変わりません。自分の口座を開設してそこに預金するだけ。「Simple (シンプル)」はそれを運用して利子を付けます。実はこの利子が既存の銀行よりも低い代わりに、ATMでの手数料や引き落としや振り込みなどの手数料すべてを無料にしたというところが新しい。

さらに面白いのは、企業として「銀行代理店サービス」と名乗り、自社に銀行管理の能力があるのではなく、既存の銀行の口座を運用し、銀行の代理店として機能している点も新しいですね。

■日本でも「フィンテック(FinTech)」に続々参入

フィンテック(FinTech)の主な4つの分野「融資・投資支援」「決済」を紹介してきました。残るは2つ。

◎「財務管理」:Money Forward(マネーフォワード)(日本)

利用者の複数の口座や金融取引会社を登録することで、自分の財務状況を一覧で把握できるようにできたら便利。さらにそれぞれの利用状況などを分析してくれて、どうすれば資産運用がうまくできるかを教えてくれたら・・・。そう思って作っちゃったのがこの「Money Forward(マネーフォワード)」というまさに「フィンテック(FinTech)」を象徴するサービス。

この会社の辻庸介(ようすけ)社長はもとソニー出身で、その後マネックス証券に出向したのがきっかけで金融に興味を持ち、2012年に現在のマネーフォワード社を設立して、いまや「フィンテック(FinTech)」を代表する日本企業にのしあげた・・・。

「マネーフォワード」では、財務管理サービスのほか、「MFクラウド請求書」というユニークなサービスもあります。

これまでは、ある企業が請求書を送ると、受け取った会社が処理をして翌月に銀行を通して支払うのが常識。早くても支払いは1ヶ月後になる・・・。ところが、この「MFクラウド請求書」を使うと、相手に請求書をメールで送るだけで、仲介するクレジットカード会社がすぐに支払ってくれるという、まるでコロンブスの卵のようなサービス。支払う側もゆっくりクレジット会社に支払えばいいわけで、なんでこんな簡単なことをこれまで考えつかなかったのか不思議なくらいです。

■「フィンテック(FinTech)」を支える驚くべき技術「ブロックチェーン」とセキュリティ

フィンテック(FinTech)の主な分野、残るは「暗号通貨」・・・。

「暗号通貨」は、まさにみなさんの記憶にあたらしいいわゆる「仮想通貨」(ビットコインなど)を作ってしまおうというサービス。

その象徴とも言える「ビットコイン」は今のところあまり良い印象ではないと思います。あの一連の事件では、日本での取り扱い会社(マウントゴックス)は経営破綻しましたが、ビットコインそのものは健在、世界レベルではさらなる普及が始まっています。実は「フィンテック(FinTech)」の究極のゴールはこの「暗号通貨」にあると言っても過言ではない・・。

◎「暗号通貨」:「bitFlyer(ビットフライヤー)」(日本)

「仮想通貨」が普及すると、現在の通貨というものに取って代わる可能性、さらには金融そのものを掌握できてしまう可能性を秘めている。そんな夢のようなことが今始まっているんですが、ここには2つの重要なカギが隠されている。それは「暗号通貨を支える技術」と「セキュリティー」なんです。

この「暗号通貨を支える技術」は「ブロックチェーン」と呼ばれる技術で、実は「フィンテック(FinTech)」の動きの中でも最大級の注目の技術。

ブロックチェーンとは、誰もが使える「金融台帳」に例えられています。銀行の場合は、金融台帳を使えるのは銀行のみ、利用者は銀行にいくら使いたい、いくら貯金するとお願いするだけ。そして銀行の台帳はセキュリティが何十にもなっている。つまりお金のやりとりは銀行が管理している。

ブロックチェーンの場合は、台帳には誰でも書き込める、書き込まれるとサービスを受けている全員のパソコンにその情報が伝わり、その書き込みが正しいかどうかを全員のパソコンが確認する、全員正しいと言う連絡が戻ってきて初めてその書き込みが成立する。成立したという証明を次のブロックに書き込む。私が解釈したつもりのとっても簡単な説明はこんな感じ。

これまでの銀行の管理システムを、つながっている全員のパソコンで「目配りする」みたいなシステムが「ブロックチェーン」というIT技術。これを考えたのがあの謎の人物「ナカモトサトシ」と言われています。

ビットコインはそのブロックチェーンという技術が正しいかどうかをみんなで確認しようと始めたものだったわけですが、始まった2009年以来、現在も一度も静止すること無く稼働していることから、いよいよ、この技術を使ってさらなる新しいサービスを始めようという動きが加速を始めているというわけです。

bitFlyer(ビットフライヤー)という日本の会社は、ビットコインを取り扱ういわゆる取引所サービス。破綻したマウントゴックスと違うのは、外部からのサイバー攻撃などのセキュリティを堅固なものにするために、すべて国産自前でシステム開発を行ったこと。

金融サービスの場合、1円でもおかしくなると、その金額そのものが損害額になります。つまりネットに保存されているデータが、どんな攻撃にも寸分違わず保持され、外部に持ち出せないことがセキュリティにつながっている。そのためには、世界最大級のセキュリティ技術を誇る日本の技術が重要なカギを握っているというわけです。

■朝ドラ「あさが来た」の印象深いセリフ・・・

NHKの朝のドラマで大人気放送中の「あさが来た」は、まさに大阪の金融市場の話。実在のあさ(広岡浅子)の実家は「三井財閥」で、いまの「三井住友銀行」。嫁いだ先は「加島銀行(かじまぎんこう)」、いまでは三菱東京UFJ銀行などが引き継いでいる銀行です。

ドラマでは、激動の明治時代に、両替商だった加野屋が加野銀行になっていくなかで「銀行の神様」として知られる渋沢栄一が登場。彼はあさに「銀行設立に際し、銀行経営で何よりも大切なことは何か」を問いただすシーンが印象的でした。銀行経営で何よりも大切なものは「お金」?それとも・・・・。

あさは、銀行に大切なのは「お金」ではなくて「信用」であるという言葉に感動を受け、客の窓口となる従業員の大切さを痛感し、従業員教育に専念すると誓うんです。

つまり金融とは「信用」がすべて。だからこれまで誰でもが始められるような仕事ではなかった。ITが普及してきたからといっても、巨額の費用をかけて多くの人手と堅固なコンピュータ・システムでなければ「信頼」は得られなかった。

ところが、両替商が銀行に変わったように、信用のおけるインターネットサービスが次々と簡単に安価に作り出せるようになって来た、それが「フィンテック(FinTech)」(金融でのIT技術革命)なんです。つまり「フィンテック(FinTech)」は世の中の信頼・信用を得るためのIT技術といえるのではないでしょうか。

これからの「フィンテック(FinTech)」のさらなる進化に注目していきましょう。


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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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