■国民的アイドルは嫌いだ・・・
「第66回NHK紅白歌合戦」の出場歌手が発表になりましたね。今回の初登場で意外だったのは「レベッカ」。ヴォーカルNOKKO率いる紅一点バンドとしては、1980年代が全盛だったわけですが、そのころに一度も紅白に出てなかったんですね。NOKKOさんも当時はロッカーというよりアイドルでした。
そのほかの出場アイドルとしてはPerfumeやAKB48、乃木坂46などなどが出場する中、ももいろクローバーZは紅白卒業を宣言。卒業する必要はないと思いますが、これではっきりしました。AKBは国民的で、ももクロは国民的じゃないってこと。僕らは国民的じゃないアイドルのほうが好きだってことです。
IT使いのスペシャリストでラジオパーソナリティの吉田尚記さんと、吉田さんも共同参画する株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志さんをメンバーに、最近気になるネットとラジオの近未来をトークセッションする月例会「トーンコネクト・トークジャム(略してトンコネ・ジャム)」。
今回もアイドル好きのフルメンバー、スーパー大学生のTehuさん、そしてTehuさんの後輩で同じくスーパー大学生の矢倉大夢さん、さらに「吉田ルーム」の大番頭さん・益子和隆さんで、アイドルの行方について語っていただきました。かなりよさ気な行方が見えたのでご期待ください・・・。
■今のアイドルは子供時代から育ててナンボ・・・
>今やテレビを賑わすお茶の間の国民的アイドルは芸人となり、本来あるべき姿のアイドルはネットで活躍している時代。この状況はどこに向かっていくのか、もっと尖ったアイドルは必要か・・・みたいな話題を取り上げたいと思うんですが・・・
(吉田)実はいまのアイドルは「尖りきっている」んです。たとえば釣りに打ち込むことを誓った少女たちで構成されるアイドルユニット「つりビット」(釣り人に掛けてある)。アイドル業界は、そういう方向に行きすぎたので、逆方向に寄り戻す動きもあるくらいです。
例えば「palet(パレット)」はすごい正統派の王道アイドル。どんなことが起きるかというと、ファンがみんな10代になるんです。
いまアイドルファンの中心年齢は30代。今のアイドルにおける成功しているビジネスモデルは「不貞の補完」。30代になったが子供ができなかった男たちが「不貞」を補うために、気持ちを注ぎこむ先がアイドルになっています。
昔はアイドルといえば「彼女」にするべき存在だったけれど、今のファンは「親」なんです。だから昔以上にスキャンダルは許されなくなっている。
昔はアイドル(彼女)がスキャンダル起こしても、再び自分に戻ってきてくれるかも、という気持ちがあったけれども、今は血を分けた子供がスキャンダルを起こすわけですから、勘当ものになってしまう。
そういう意味で、指原莉乃はもはやアイドルではなくスナックのママなんです笑。
>それは素晴らしい比喩ですね。
(吉田)また、アイドルをアイドルとして売るには、情報の伝達に意外に時間がかかるため、10代のアイドルを3年ー5年で売れるようにするのは今や困難を極めると言われてます。
ローティーン(12歳、13歳)からデビューさせて、19歳、20歳でブレイクさせ、それまでの経費をそこでようやく回収するというモデルで考えないと、うまくいかないからなんです。
>私もアイドルはなるべく小さい頃から始めるべきだとは思っていましたが、それほどですか・・・。
(吉田)12歳からやるしかなくて、その年頃の子は管理が大変。親は出てくるし、さまざまな面で芸能ビジネスへの理解力が足らない。
>以前、南青山少女歌劇団(南少)といろいろ仕掛けた思い出がありますが、あそこのプロダクションはまさしく「子役専門」プロダクションでした。最近では上坂すみれちゃんなんていう声優スターアイドルも登場してますね。
(益子)彼らはもともと、事務所でアイドルを作ろうと考えたわけではなく、浮いてる若い子たちに何かお仕事を提供しようと考えた結果生まれたようなものだと思います・・・。
(吉田)なので、小さい頃から意欲や才能のある子どもを集め、アイドルとして19歳、20歳になるまで育てていくシステムを作らなければだめだと思います。
パレットの話の続きなんですが、彼女たちはものすごくアイドルの王道を行くフリフリの衣装で、可愛い歌を可愛く歌う、メロディもとってもわかりやすい。一番尖ってて作詞・伊秩弘将、作曲・小室哲哉(『Run to the New Wind』)。こういうことをやると10代が付いてくるってわけです。
逆に、激しく尖ったことを仕掛けようとしてしまうのは、取りに行くアイドルファンが、初めて好きになるアイドルじゃないという想定だからです。
既存のアイドルファンを取りに行こうとすると、尖ったことをしなければならなくなる。2段階尖らせちゃうともうわけわかんない。ももクロは1段階分だけうまい方向に尖った例。しかもさまざまな偶然が重なってそうなった。これを頭で考えて仕掛けても商売としてはうまくいくはずがない。
>なかなか難しくなってきていますね・・・。
(吉田)群馬県太田市という日系ブラジル人の方が多く在住する場所で、ブラジル人アイドル「リンダ3世」(元ソニー・ミュージックの丸山茂雄氏が関わっている)なんていうのもいらっしゃいますが、これは極めつけですね。
そう考えると、思いつく言葉に「アイドル」と組み合わせれば、だいたい存在するというのが凄い時代。
ただそこで思いつきました。未だ前人未到のジャンルが「電子系アイドル」じゃないかと思っているんです笑。なんだかんだで、一昨年番組(吉田尚記 BUZZ ニッポン)のアシスタントをしてくれた「池澤あやかさん」が引く手あまたです。(彼女は慶応SFC卒業のRUBYでプログラミングできちゃうアイドル)
そもそもそんなことできるアイドルがなかなかいないからだけなんですが・・・。
>そういう話になったら、私も現役ディレクター時代にはチバレイこと千葉麗子がいましたよ。
(益子)僕が最近見つけた際どいアイドルは、リアル就活アイドル「キチョハナカンシャ」。
(矢倉)就活生が企業説明会などの後に使う決まり文句「貴重なお話ありがとうございました!」をそのままグループ名にしてしまったんですよね。
(益子)これは酷い笑。ダメな就活生の決まり文句をグループ名にしてしまうとは・・・。
>やれるもんだったら「電子系アイドル」やってみたいですね。
(加畑)電子系アイドルがクラウドファンディングでなにか新しい商品を作るとか、CD買う代わりにクラウドファンディングに投資してもらって電子系アイドルが考えた商品で思考を共有するみたいな・・・。
(吉田)電子ブロックとかをプロデュースしてしまったりとか・・。いままでアイドルに興味がなかった電子系好きな人たちが来る可能性ってアリだと思うんです。
■出た!電子系アイドル・・・
(吉田)アイドルについていろいろアイデアはあるんですが、やりたいことが多すぎて、そこまで手がまわらない・・・。
「マンガ大賞」にしても「なぜ、この人と話をすると楽になるのか」の本にしても、ひとつの仕事に集中できたからうまくいったんです。少なくとも2−3ヶ月はそのことだけしか考えないでいれないとうまくいかない。
そう考えると、いま私が一番集中してやらねばならないことは、アイドルの前に、自分の本業であるラジオ(ミュ~コミ+プラス)の聴取率を取り続けることですね笑。
>そういう意味では私がフォローしますよ笑。Tehuさんがやってる「ライフイズテック」と番組を連動させるとかしてみたいじゃないですか・・・。
(Tehu)いきなり振らないで下さい笑。
(吉田)だから、誰かがアイドルやってくれるんだったら「電子系アイドル」はアリ。ちなみに「つりビット」には釣りファンは全く付いてきません。なぜかといえば釣りファンは本音のところ女の子には興味ないから。
対する電子系の場合は、イベントに女の子が来たとき、いまはどうして良いかわかっていない。でもそういう電子系ファンに握手会の代わりに「Bluetoothスレ違い会」とかやれば絶対盛り上がるはず。
>なるほど、釣りファンとは違って電子系は女の子にも興味がある・・・。
(吉田)そのために新しいデバイスの普及促進なんかも可能。スポンサーも見えている。
TransferJet(トランスファージェット)で「あの娘の動画」がもらえるとなれば、電子系は財産投げ打ってでもTransferJet買うんです笑。
(益子)CDは売らないでいい。
(吉田)USBで毎回データ補給笑。
(加畑)USBすら使わない。未知のインターフェースを提示されてそれを探し出すのに燃えるのが電子系笑。
(吉田)いまDVDビジネスが死んでると言われてます。だったらDVDビジネスは死んでるのでネット上のコンテンツに課金してID/PWで500円とかやればいい。共有されたら終わりだと思ってやらなかったら損失の何者でもない。やったほうが良い。ID/PWの代わりのものを探せばいい、例えば虹彩認証とか。それが電子系。
これだけスマホのカメラが普及しているんだから全く問題ない。動画コンテンツを見るのに絶対必要な「目」で認証するわけだから絶対良いと思います。
(加畑)いまの技術ではまだすぐにはできないですけど近い将来は絶対そうなる・・・。
>「電子系アイドル」いいですね・・・
(吉田)DVDドットメイクで記者会見。そこでスタート記念で基盤にハンダ付け「イエーイ!」♫。
(益子)あなたとわたしでハンダ付け♬!
(吉田)インターネットオブアイドル(IoI)ってどうでしょ。アイドルのインターネット、アイドルをインターネット(IT技術)でつなぐ・・・。ラジオだからこういった先に進んだことができるんです。
(加畑)アイドルが作ってくれたラジオでミュ~コミ聴けたらいいんじゃない?
(吉田)ハードウエアとしてのラジオを作りたいという話もずっとあります。テレビコレクターはいないと思うんですが、ラジオコレクターは稀にいるじゃないですか。テレビが10台家にあるというのは変だけど、ラジオ10台いろいろあるって言ってもおかしくない。
ラジオの聴取時間に応じて聴ける番組が増えていくみたいな・・・そんなのあったらすぐに電子系です笑。
>私もディレクター時代に考えたラジオありますよ。聞けば聞くほど大きく育つ植物みたいなラジオ。その育った度合いを持ち寄って見せ合う・・・。
(吉田)無駄に「赤」や「青」のボタンがついてるけど、説明書にはなにも書いてないラジオ。番組で「赤を3回、青を2回押して下さい、すると・・・」というのがやりたい!
■当たり障りのないラジオ・・・
>いいですね、夢が広がる・・・
(吉田)ところで12月7日から我がニッポン放送も「ワイドエフエム」が始まります。在京AM三局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)が地デジ化で空いたVHF帯を使ってFM補完放送を始めるもの(補完なので内容はAMと同じサイマル放送)。(詳しくは下記リンクを参照)
実は今だけワイドエフエムの試験放送が流れてるんですが、自分で番組作ったらそこで流してくれる?って技術担当に聞いたら流してくれるっていうので「吉田尚記の当たり障りのないラジオ」っていうのを流してます笑。
>試験放送はサイマルじゃないんですね。
(吉田)全然違うものが流れてますよ笑。FM93.0MHzが聴けるラジオをお持ちのかたは、いまのうち(本放送が始まる12月7日まで)にお聞き下さい。番組コンセプトとしては、試験に邪魔しない程度の当たり障りのない内容をお届けするラジオです笑。
>どんな内容なんですか?
(吉田)「数を数えます」とか・・・ほかは聞いてみてください笑。
>最高ですね!!
(吉田)先日、エレベーターで上司とすれ違ったときに「あのなんでもないラジオとかいうの、期待してるぞ」と言われて度肝を抜きました笑。
>私も、悪乗りして番組作ってた時代に「息を止めるラジオ」というのをやったことがあります笑。「これから私が息を止めます、どのくらいまで止められるか挑戦です・・・」ってパーソナリティが言って無言になるんですよ。すると数秒無言がつづくと、すがすがしいBGMが流れ始め、それに乗って「現在放送が中断されています、そのままお待ち下さい・・」というアナウンスが流れる。全部コントなんですが、これを聞いた上司が放送事故だと思って送信室に飛んでいって、あとでえらく怒られました笑。
(吉田)いまや「吉田尚記の当たり障りのないラジオ」のtogetterまであります。こういう隙間を突いた仕掛けがしたいですね。電子系アイドルも含め・・・。
>アイドルの話からワイドエフエムの話にまで行ってしまいましたが、まだまだラジオは無限大。ラジオが頑張ればまだまだ新しいアイドルが生まれるし、新しい文化を生み出す可能性アリアリ。ラジオとともに新たな時代を作っていきましょう。
今日はどうもありがとうございました。
(参考リンク)
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■「つりビット」公式HP
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■「palet」公式HP
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■「リンダ3世」
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■リアル就活アイドル「キチョハナカンシャ」
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■在京AMラジオ3局、12月にワイドFMの放送を開始
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■Toneconnect
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■吉田尚記・ミュ~コミ+プラス
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■吉田尚記Blog
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■吉田さんの新刊本
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■吉田尚記の場外ラジオ #jz2
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■Tehu