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パソコンの遠隔操作技術が会社を上場、世界へ!:株式会社オプティム

2015/10/27 10:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■TPPに真っ向からITで挑む・・・

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が今月5日、交渉参加12カ国による米アトランタでの閣僚会合で大筋合意されました。この中には、関税撤廃の問題や農業に関わるさまざまな生産者保護の問題、著作権保護期間延長でかかる経費の問題など、さまざまな課題が山積しています。

そんな中、農業市場にITを引っさげて新たな可能性を見出そうとする会社があります。私が以前から懇意にさせてもらっている株式会社オプティムです。創業当初からの知り合いなので、なんともう15年。昨年はマザースの上場を果たし、今年はなんと東証一部上場を果たされました(10月22日)。ということで久しぶりにお会いして、この15年の道のりをお聞きすることになりました。

最初は動画広告の配信サービスから始まったと思ってたら、パソコンの遠隔サービスみたいになっちゃって、一体どんな会社になるのかと思ってましたが、話を聞いてみると、そのパソコンの遠隔操作が世界を変えちゃったんですね。

何でもそうですが、やっぱり何かにこだわることが事業の成功に導いているということなのではないかと改めて感じました。ということで、今回は株式会社オプティムの創業者で代表取締役社長の菅谷俊二さんにたっぷりとお話伺いました。

■始まりは価格比較サイトから・・・

>オプティムは、2000年6月に佐賀で創業されたわけですが、ご出身はたしか神戸だったと思うんですが、なぜ佐賀だったんでしょう。

(菅谷)大学が佐賀大学で、学生時代にアルバイトをしていた会社が佐賀の会社で、その会社の社長のバックアップで起業することになって佐賀で立ち上げました。また県がスタートアップベンチャー育成制度を我々のために立ち上げてくださって補助金もいただくことができました。

当時、大変お世話になった佐賀県だからこそ、未だに本店は佐賀においています。

>10月22日に東証一部に上場も無事果たされ、パテント・リザルト社が調査した「特許資産規模ランキング」で堂々の第一位を獲得するまでになったオプティムですが、立ち上がりは確か動画広告サービスか何かでしたよね。

(菅谷)そうです。当時インターネットの通信速度は今ほど速くなく、コンテンツをダウンロードするまでに待ち時間が発生していました。そこで「iCM」というコンテンツをダウンロードする合間に広告を流して、有料のダウンロードコンテンツを無料にすることができるというサービスの提供を開始しました。土屋さんの会社でも採用していただきましたよね笑。

>そうだそうだ、当時ネットの速度がADSLが始まったばかりくらいで、映像配信などとても時間がかかっていたので、その待ち時間に広告を配信するという画期的なサービスでしたよね。やはりオプティムは「動画配信」のようなところから始まってたのは間違いなかったですね。

(菅谷)そういう意味では、一番最初にやったビジネスは「秋葉原仮想電気街」という日本初の価格比較サイトから始まっています。その後「カカクコム」との競争に打ち破れ、今に至っております笑。


株式会社オプティムエントランス

>振り返ってみると最初から特許的なサービスをやってたんですね。でもその後、ストリーミング動画サービス「i7」(2001年)のリリースくらいから、だんだんと会社の方向が変わってきたような・・・。

(菅谷)そうですね、それもそもそもは土屋さんの一言から始まってるんですよ。土屋さんから「菅谷は広告にこだわり過ぎだ」と当時おっしゃってて、当時の事業ドメインは「広告」でしたから、だったら何をすればいいのかと考えまくったわけです。

>そこから何か変な道に行っちゃったわけですね笑。パソコンの遠隔サービスになったんでしたよね・・・。

(菅谷)笑、パソコン教室を佐賀でやることになって、ブロードバンドラーニング教室みたいなの。ここからいわゆるリモートサポートシステム(リモサポ)に変わっていくんです。

そもそもは遠隔操作でパソコンの使い方を教えるシステムということで、佐賀で先生を雇って、ネットを通じて全国展開でパソコン教えてみることになったわけです。

それを当時NTTさんがフレッツの販売に力を入れていたので、販促物としてこのリモサポを利用してもらおうと売り込んだんです。そうしたらNTTさんから逆にフレッツ回線のサポートのほうを面倒見てくれと言われ、サポートシステムを作ることになったわけです。これが「リモサポ」。実はこのサービスがほかの企業にもよく売れたんです。


出願登録された特許の数々

■遠隔操作技術が世界特許に!?

>なるほど、だから一時期オプティムは電話受けサービス屋さんみたいに見えてたわけですね。その間も「KINJIRO」(モバイルラーニングシステム)や「ZENIGATA」(知的財産侵害監視)、「KINPACHI」(ブロードバンドパソコンスクール)など続々と新サービスを生み出していきましたね。

(菅谷)「ZENIGATA」は、その後全文検索などの解析機能も充実させ、ルーターの設定に使われたりもして、今年2015年に特許を取得した「IoTへの不正遠隔操作防止サービス」である「Optimal Guard」に変化していったわけです。

>ちょうどそのあたりの話題は、先日ラジオの番組のほうでも取り上げたんですが「デジタル・フォレンジック」(機密情報漏洩等に関する科学捜査)において、一連の「パソコン遠隔操作犯罪」などを未然に防ぐためのツールとして世界的に注目されていますよね。

(菅谷)これからますます大きな市場になっていくと思いますね。弊社の製品ですが、これまでウイルス対策ソフトというと、パターンマッチングと呼ばれるやりかたで、出てきた型に対するワクチンをトレンドマイクロ社などが作成して全世界に配布するものだったのですが、弊社は、感染は必ずするということを前提に、不正アクセスに注目して、そこのAPI(アクセスに必要なプログラムルーチン)を監視して抑えこんでしまうという手法を取りました。

ウイルスや遠隔操作が来ようが、悪さをした時点で押さえ込むという技術です。この基本ソフトが世界特許を取得いたしました。これが「Optimal Guard」です。

>そのほか私が興味があったのが「モバイルデバイスマネジメント(MDM)」という分野。このあたりの御社の対応についてお話いただけますか?

(菅谷)元々リモサポをやっていて、一般コンシューマーだけではなくて企業向けにもサービスを始めたんです。すると企業の要望では、まさにセキュリティだったりして、パソコン向けのセキュリティを遠隔で設定できるサービスになりました。それが「Optimal Biz」なんです。これが思った以上に好評だったんです。

そうこうするうちに世の中にはスマートフォンやタブレットの普及がどんどん進んでいきました。企業ではいっぺんに何千台も導入し、そのひとつひとつを企業に即した設定を施すのはかなりの手間になっていたわけです。これを一括で運用管理できるサービスにしようと作ったのが「モバイルデバイスマネジメント(MDM)」です。

これがどんどん採用され、いまやMDM市場では弊社が一番のシェアを持っています。この流れで、今度はIoT機器に対しても「モバイルデバイスマネジメント(MDM)」できるサービスに拡張しています。

そしてこうしたIT技術をさらに農業にも活用しようと、今年の夏に佐賀大学農学部と連携して“農業ビッグデータ”のビジネスに参入しました。これは農作業をサポートするために、ドローンやウェアラブル端末を含むデバイスの統合遠隔管理機能とデータ解析機能を併せ持ったクラウドサービス「SkySight」を共同開発し、農業の可能性を追求するものです。


菅谷俊二さん

>すばらしいです。お話を伺って、パソコンの遠隔操作技術(リモサポ)が粛々と御社の事業発展に大きく寄与していたことを改めて確認しました。ちょうど1年前に東証マザースに上場され、2015年3月期業績では前年度比3.6倍の営業増益を記録、9月に上場市場変更を申請し予定通り、1年後の先日10月22日、規定上最短の1年で東証一部に上場を果たされました。もはや私が夜な夜なオフィスにお伺いして、サッカーワールドカップを酒盛りしながらみんなで観覧していたオプティムとは全くの別物になりましたね笑。

(菅谷)何をおっしゃいます。これからはラグビーワールドカップもみんなで見れる場所を準備しますので、ぜひ遊びに来て下さい笑。

■IT屋✕農業=・・・

>今や会社としての特許出願数が320件以上、そのうち海外も100件以上あり、新興市場向け会社としての特許出願数では1位を獲得されたということで、最後に菅谷さんのこれから目指すところをお聞かせ願えますか。

(菅谷)オプティムとしては、今後「○○ ✕ IT」という黄金式を推進していきたいと考えています。いろいろな産業でIT(技術)を採用し始めている中、先日アメリカ最大の投資銀行の方から、大変感動した話があったんです。

アメリカ最大の投資銀行といったら、世界一の投資銀行じゃないですか。でも自分たちは銀行だとは思っていない、なぜなら社員の半数以上がIT出身者だからなんだそうです。いまデータアナリティクス(データ分析)ってとても大事な分野ですよね。データアナリストも大量に雇っているそうで、その数はマイクロソフトやグーグルよりも多いそうなんです。だから自分たちのことは、IT屋が銀行の免許も持っていると考えているそうなんです。これにえらくインパクトを覚えました。

僕らもそういう志を持った会社になっていきたいと思ったんです。ITの会社が農業もやる、医療もコスメも建設も教育もやる、そんな会社を目指していきたいと思っています。

>なるほど、すべてはパソコンの動画の遠隔操作から始まり、そして遠隔操作によるさまざまな設定技術に発展してきた株式会社オプティム。遠隔操作ってそんな使いみちがあったとは、そしてそれらを特許として出願までしてしまう、そのパワーはただ者ではありません。

10月22日の上場式典では、TPPに触れ、「農業が変われるチャンス、農業ITの分野に佐賀県と佐賀大学と一緒に取り組み、佐賀から日本の新しい農業をつくり、佐賀に恩返ししたい」と語った菅谷俊二代表。今後も期待しています。今日はありがとうございました。


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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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