お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

ネットとリアル:多様であれ、寛大であれ・・・第26回トンコネ・ジャム

2014/10/29 15:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
ブログ管理

最近のエントリー


■必然メディアに飽きた人が向かうところ・・・

IT使いのスペシャリストでラジオパーソナリティの吉田尚記氏、音のQRコード「トーンコネクト(Toneconnect)」を生み出した株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志氏、そしてスーパー大学生のTehuさんをメンバーに、最近気になるネットとラジオの近未来をトークセッションする月例会トーンコネクト・トークジャム(略してトンコネ・ジャム)。

前回は「ソーシャルメディアの終焉の先にあるもの」と題し、世の中をつまらなくさせている原因としての「ネットにあふれる必然の情報」を取り上げました。偶然性に富み、感動を覚える話題は、ソーシャルメディアから弾き飛ばされてしまう。その結果、必然の世界に飽きた人たちはソーシャルメディアを捨て「旅」を始める・・・。

でも誰もが「旅」などのリアルな偶然に出会えるわけでもない・・・。ならその偶然はどう担保していけばいいのか・・・。

そんなところのヒントが今回のトークセッションで語られています。今年の4月にめでたく大学生になったスーパー学生Tehuくんのこの半年の大学生活から垣間見た必然メディアに飽きた人が向かう「ネットとリアルの行方」。

■SFCは才能のダイバーシティ

>今日はTehuさんが大学に進学して約半年ということで、Tehuさんに聞きたい。大学生になって自分が想像していたものと違ったこと同じこと・・。

(Tehu)SFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)に関してはすごい想像通りですね。研究環境とか教授陣という意味では前から知ってるすごく良い先生ばかりで理想通りでした。

周りの学生に関しても、東大を選ばなかった理由が、灘(彼の出身高校)と同じ雰囲気になるのがいやだったからなので、思いもつかない人も多いし、クズみたいなやつにも出会える。すべてが思ってた通りでした。

>高校に比べて大学に来て面白いなと思うことはありましたか?

(Tehu)それはめちゃくちゃいっぱいありますね。一番はやっぱりキャラが濃いことかな。

>灘高だってかなり特殊な人が多かったんじゃないですか。

(Tehu)特殊なんですけど、みんな特殊のベクトルが近いんです。僕らの言う特殊ってあいつ化学できる、あいつ数学できる、あいつ物理出来るなんですけど、それって傍から見たらあいつ勉強できるというだけ。全員が特殊であり普通。

でもSFCは本当に多様なんです。人間のくずから何から何までみんないます。僕も最近「クズ」扱いされてます笑。アーティスト肌の奴もいれば、芸能人もいるし・・・。

(吉田)アイドル多いよね。

(Tehu)アイドル多い。SFCでロボット作ってる女子がミスアイドル(ミスiD2015)を受賞しちゃって。ペンギンロボットを抱えたアイドル「近藤 那央」ぜひフォーカスお願いします。今後来ますよ笑、芸能人としてだけではなく・・。

(吉田)その発想素晴らしいな。彼女は東工大付属高校、機械科出身・・・。

(Tehu)彼女とっても面白いです。考えてることも、年相応の女性らしいことも考えながら、その先にロボットを社会に浸透させたいという野望を持っている。

そのほかアーティスト系では小林 颯(こばやし はやて)ってやつがいて、感性がぶっ飛んでる。3Dプリンタや3Dスキャナが学校にあるんですが、彼はこれを使っていきなり、鼻をかんだ紙をくしゃくしゃにして3Dスキャン。それをいろんな色で3Dプリンタで出力して並べて、最後に言った言葉「ごみを増やしてやった、、、」みたいな。「これもアンチテーゼだ」だと、、、何のアンチテーゼなのか・・笑。彼は高校時代、NHKの映像コンクールで優勝していたりもするんです。

ほかにも(世界的女優)二階堂ふみ、半端ない魅力ですよね。出演映画見てびっくりしました。ほかに(歌手の)山崎あおいもSFC。

(吉田)(℃-ute)の鈴木愛理もいるよね。

(Tehu)それなら(Sexy Zoneの)菊池風磨もいますよ。あとトリンドル 玲奈さんも・・。

>その人たちが全部同じSFCのキャンパスにいるんだ・・・。まさしく多種多様、才能のダイバーシティですね・・。

(加畑)いまふと思ったんですが、大学内の情報関係ってあまり外に開かれてないのかな・・・。

(Tehu)そうですね。学生はツイッターには普通に書いています。でも9割はツイッターにカギがかかってる。みんな鍵のネットワークの中でしゃべってる・・。

僕もそこに潜り込むために、鍵ネットワーク用のアカウントを別に持っています。ここでは講義の実況なんかもどんどん流れてくるんです。

(加畑)なんでみんなが知りたい情報があるにもかかわらず、なぜそこから出ていかないんだろう・・。

>公表するメリットがないんじゃないですかね。そういったプライベート情報を外で吹聴するメリットがそこで活動している人たちにないんじゃないかな。

(Tehu)パパラッチ文化はSFCにはないです。

>自分たちの仲間という意識もあるんじゃないかな。仲間を売ることはないみたいな・・。

(Tehu)それはありますね。芸能人だからと言ってオーラびんびんで、他人をシャットアウトするような人はほとんどいませんからね。やっぱ仲間意識ですね。

■ダイバーシティはパトロンの価値観にかかっている・・・

>今回はTehuさんが大学に入って学生の多様性(ダイバーシティ)に感激したという話題になっているんですが、その流れは一般社会にも浸透してるんでしょうか・・・。

(加畑)確かに僕の大学時代を思い返すと、多様性って範囲があると思うんです。地球全体とか、SFCのキャンパス内とか。そのバリエーションってそこのマーケットを支配したい人(パトロン、投資家)がコントロールしたいものの重要なひとつだと思うんです。

SFCであるためには多様性がSFCの存在意義なので、それがなくなったらSFCではなくなってしまう。だから多様性を担保するためのさまざまな施策を講じる。

一方で例えば、日大は多様性はあまり必要ない学校と仮定して、なるべく同じレベル、同じ趣味の学生に来てほしいと思えば、そういうスタイルの大学になる。大学の中に多様な学生は必要ない。パトロニズムの限界は(パトロンの考える)範囲に多様性が集約されてしまうことです。

(吉田)一般社会のダイバーシティ(多様性)は、パトロンの価値観の範囲内に限られているということですね。そうなると社会は「パトロン(投資家)の資質の多様性」に懸っているというわけです。

いまみんながITとか言ってますが、ザッカーバーグとビルゲイツの間に差はない。人としての価値の中で。でもそこにもっとダイバーシティがなければいけない。もっとわけのわかんないことやって儲けた人が出てこなければいけない・・。

>せっかく大学で多様性を経験したのに、一般社会に出ると儲けの手法に多様性が通じない・・・。

(加畑)そのひとつの解決策が「クラウドファンディング」だった・・・。ちっちゃいパトロンをたくさん集めていろんな変なものが出てくる、まさにダイバーシティ(多様性)の宝庫。

(吉田)もの好きですよね。

(加畑)しかしここにはまた問題があります。クラウドファンディングは人が集まらないと成立しないビジネスモデル、つまりみんなに受けるものでないと成立しない。最初の「もの好き」の精神から離れていく。変わったものを作るにせよみんなに受けるモノを作らなきゃならない。これがクラウドファンディングの限界。

>結局、やりたいことがわかりやすいものに人が流れる。多種多様な才能があっても結局は集約されてしまう・・・。

(吉田)同じような傾向として、ごったにイベントに人が集まらないということ。アイドルイベントだったら人が集まる、アイドルとロックバンドとコメディを一緒に見ようということをやるとびっくりするくらい人が来ない。これが大問題だと思ってて・・・。

>そういう許容力、演歌を聞いたあとでジャズやってもOKみたいな寛容な気持ちが大事ですね。そんな少数派の声に耳を傾ける言葉が「マイブーム」。あんまり好きな言葉ではないですが、マイブームは人に押し付けることもなく、否定もされずに個人の多様性を正当化出来てしまう。

(加畑)マイブームは「ブーム」なんですよ。ブームだから未来永劫すきなわけじゃないということを言わんとしている。

いままでだったら「飲み物何がお好きですか?」で「お茶です」と言うと、この人基本お茶が好きな人だとタグが貼られるわけです。マイブームとしてお茶が好きと言うとそうではない、剥がせるタグみたいな。

(吉田)始まりは何でも「にわか」から始まると思っていて、「マイブーム」は「にわか」を許容する言葉でもあると改めて思いました。

(加畑)「にわか」を初めて定義した言葉が「マイブーム」なんだ・・・。

(吉田)「にわか」のない文化は滅びる。例えば、モモクロ十年追っかけてます、と言う人がいたら「嘘」じゃないですか。だから全員「にわか」から始まるんですよ。

>だったら「ももいろクローバーゼットが好き」と言えば良いと思うんです、「モモクロがマイブーム」とは言わずに・・・。

(加畑)いまは「好き」「嫌い」はかなり攻撃的な様相を呈していますよね。すごい命かけてますみたいなレベルじゃなくて使える言葉がマイブーム。そうなっちゃったんですよ。

(吉田)だから「にわか」を許容することのほうが大事なんです。

■ダイバーシティ、そしてジェネロシティ

>少し戻りますが、パトロンの話。本来は誰に何を言われようが好きなものは好きと答えてバックアップする人が(本来、旧来の)「パトロン」だと思うわけです。でもクラウドファンディングなどのやり方で言えば、作り出す側もみんなの顔色を伺い、お金を出す側も周りを気にしながら出す。

(Tehu)今ちょうどクラウドファンディングの企画を始めていて、「ハヤカワ五味(はやかわごみ)」ちゃんというデザイナーの「貧乳向けのブラを作る」という企画があって(そのファッションショーの演出をTehuが担当)、貧乳ブラなど、万人受けするわけもなく、ある種のコンプレックスを持った人が、自分のコンプレックスを(わざわざ)カミングアウトしてパトロンになる(ファンドする)というもの。

彼女のファッションショー(ブランド)は下着や貧乳がメインではないんですが、今や25万円の目標に対して100万円越えている(現在130万円、締め切り10/31)。自分のコンプレックスがパトロンのきっかけになっている・・・。

>すなわち少数派がお金を出して成功している事例ですね。こういうものがもっと増えてくれば多様性が担保されていくんですね。

(吉田)ダイバーシティ(多様性)を実現する方法は、おそらく「寛大さ(ジェネロシティ)」なんだと思うんです。この「寛大」がいま明らかに足りていない。「寛大」とは何なのか。「愛は地球を救う」と言うけれど実際は愛では地球は救えない。まさに「寛大」が地球を救うんだと思うんです。

「寛大」を回転させる(普及させる、増幅させる)システムが今何もない。「寛大」であればあるほど評価されるようなシステム、「寛大」にインセンティブが支払われるしくみがどこかになければいけないのに、まだないんじゃないのか・・。

好きか嫌いかということを良く言うじゃないですか。すなわち、好きと嫌いの二分法が進んできたんですよ。好きでも嫌いでも我慢する時代を越えて、その反動で、好き嫌いを評価する時代が到来した。

その二分法は(さらに)誰でもネットでいくらでもできるようになった。好きなものだけ見続けるとか・・・。結果、好きか嫌いかの二分法が切り開く世界の限界が来ているんです。

次は「好き」や「嫌い」ではない、「許容する」「許容しない」なんです。好きでも嫌いでもないけどなんとなく近くにいるなという(許容力のある)人たちが次に何かを起こすんじゃないかと・・。

>つまり本来許容すべき事例を、ネットで二分法にかけてしまうことによって、誰も許容する気持ちを維持できなくなっているというようなことですね・・。

(吉田)(そう考えると)ネットさえなければ、(自己の)寛大さは担保されていたんじゃないかと・・。ネットが人の寛大さを棄損させているのかもしれない・・・。

ネットで否定される寛大さにもっとインセンティブを与える仕組みを考えなければならない。寛大さへのインセンティブ、なさすぎだと思うんです。

>競争社会イコール効率化であって、多様性、許容力、寛大さを圧し殺してしまう・・・。

(吉田)でも寛大な人のところに、未だ人は集まっている、だからなんとかぎりぎり(社会が)保たれているんだと・・・。

>Tehuさんが大学に進学して、人の多様性に感動したという話題から始まり、人の多様性や寛大さが次の世代の社会を生み出すということになってきましたが、最後にTehuさんから、この半年でそんな理想のキャンパスから得たことは何でしょう?

(Tehu)神戸と東京の違いもありますが、行動力が格段にパワーアップできたことでしょうね。自分の知らない世界を(目の前で)見せてくれる人がたくさんいるわけで、感動の日々ですよね。

(吉田)それだけの多様な人材を受け入れられるTehuくんの「フトコロ」の広さなんじゃないの笑?

>オチが付いたところで、今日はありがとうございました。

そもそも日本にはそういったフトコロの広さを測る言葉がたくさん溢れているそうです。「フトコロ」「ウツワ」「オクユキ」などなど。そもそもが日本は多様性を受け入れる文化構造。多種多様な食べ物、多種多様なファッション、多種多様な芸術、なんでも受け入れて、横に並べられる文化。多様なものが横に並んでいても気にならない寛容さのある社会。神様の神社とブッダの寺が並んでいるのもその理由。

それが、インターネットによってある意味、一かゼロを選ばなければならないと思うようになっていることが問題なのかもしれません。

Tehuさんが大学に行って、様々な人に会えることを素直に楽しむ気持ちが、今、どこの社会にも求められていると思います。


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー