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あなたの自分の戻り場所はどこ?:第20回トンコネ・ジャム

2014/03/27 18:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■チェックメイトとビットコイン・・・

先日チェックメイトなど奇声をつぶやきながら逮捕された竹井聖寿容疑者。竹井容疑者は、インターネットライブ「ニコニコ生放送」で「JOAKU 除悪(ジョアク)」と名乗って、たびたび生で登場していたことや武器マニアだったなどと書かれています。

彼の生活が浮き彫りにされ、まさにここ数回議論してきたいわゆる「スモールクラスタ社会」に生きる若者そのものであることに気が付きます。

破綻したビットコイン大手取引サイト運営会社「マウントゴックス社」(東京)を立ち上げたマルク・カルプレス元社長も「スモールクラスタ社会」の住人です。

フランス生まれでパリの工業高校を卒業後ソフトウエア会社に勤務ののち、日本のアニメ好きの超オタクが高じて来日し、生活のために持ち前のプログラミング力でビットコインの取引システムを構築したようです。就職時に提出した3枚の履歴書には、習得したプログラミング言語「C言語」がびっしりと書き込まれていたそうです。

法に触れてしまったゆえに彼らの夢人生は断たれてしまったかもしれませんが、「スモールクラスタ社会」の住人達は、誰もがこの場所で生き、ここだけで人生を完結できる・・・。彼らの戻り場所はここだけなんです。平和であるがゆえに、この状況は深くなる一方の気がします。

さて、IT使いのスペシャリストでラジオパーソナリティの吉田尚記氏、音のQRコード「トーンコネクト(Toneconnect)」を生み出した株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志氏と共に、最近気になるネットとラジオの近未来をトークセッションする月例会トーンコネクト・トークジャム(略してトンコネ・ジャム)。

いよいよ4月からは大学生の元スーパー高校生Tehuさんも参加して、今回も「スモールクラスタ社会」の延長線上にある話題を議論します。

■すっごい大きいか、すっごい小さいか・・

>「スモールクラスタ社会」のこと。まだそういう言い方が一般的に普及してませんよね。

(吉田)一般の人はまだ気づいていないと思います。

(加畑)超村社会ですね。超バーチャル村社会とも言える。

(吉田)となりの村(クラスタ)のことをみんな知らない、興味もない。その上もはやテレビがない家も増えている。テレビはどんどん「話題賞」になる。

宇野常寛さんが言われてましたが、テレビというものは知らないとまずいようなこと、例えば伝染病が流行し始めているから気をつけなさいとか、税制が変わったのでこうしないとみんな損するよとか、広域的な情報以外伝える意味が無い媒体になった・・・。

(リアル社会は)どんどん趣味性が高くなっていく・・。お互いがお互いのことに興味がない。その現れとして、紅白歌合戦で大島優子さんが卒業を発表した瞬間の話。AKBファンはうゎーーとなっている中、他の人はどうでもいいという顔になっていました。小気味良い、そのとおりだよね、と納得してしまうわけです。公共性、みんなのため、そいうことが崩壊してきているわけです。

(加畑)それが、アメリカではケーブルテレビが1970年代からものすごく伸びて、多チャンネル化がすすみ、400チャンネルとかなって、みんなの見たいという嗜好がばらばらになった。そこで「昨日何見た?」という話題はなくなったとされています。かと思いきや、何が起こったかというと・・・。

「フレンズ」とか、全米でものすごく視聴率の高いモンスター番組が現れるようになった・・・。

(吉田)それが(日本では)半沢直樹ですよ。

(加畑)すっごい大きいか、すっごい小さいか、全員か、15人か・・・。

(吉田)だからと言って、半沢直樹が他のドラマと作り方が違うほどお金がかかっているわけでもなく、小さな予算でたくさんやってるうちに、知らないうちにドカンと行く。

例えば「魔法少女まどかマギカ」が他のアニメと予算が違うかといえばそんなことはなかった。普通の予算組みで十分作れる。いま大予算をかけて贅沢なものを作るというのは大間違いになっている。一個の大作を作る予算で10個の小さな企画を走らせたほうがずっと当たる。これはすべてのコンテンツ作りに言えることになっている・・・。


参加メンバー(吉田氏、Tehu氏、加畑氏)

>これも「スモールクラスタ社会」現象の一つなんですね・・・。

(加畑)(前回も話しましたが)それが可能になったからなんですよ。小さいものでもひとつひとつの告知が十分に可能になった。昔は1個告知するのと10個告知するので手間が全然違っていた。いまや1個も10個もあまり変わらない。

何でもそうですけど、知ってもらわないと見てもらえない。1つあたりの告知のコストが下がったため、損益分岐点の計算もやりやすくなった・・。だからライブ(コンサート)も昔ほど「集客がきつい」とか誰も言わなくなった。

■コピー機の中で唯一性をどう保証するのか・・

(吉田)ところでいまみなさんも気になってることは「ビットコイン」ではないですか?

(加畑)「ビットコイン」もまさにスモールクラスタ社会のものですよね。人が増えると意味がなくなる、意味を失う・・・。

(吉田)インターネットは巨大なコピー機に例えられるんですよ。コピー機なのにオリジナルを保存するシステムが「ビットコイン」だと思ったんです。コピー機の中にオリジナルを保証するシステムがあるという矛盾・・・。

本来ネットでのコピーは劣化しませんから、おんなじものが出るはずなのに、何かネットをみんなが見てる状況を担保して何らかの唯一性を保証するシステムというのは、初めて見たような気がしたんです。インターネットの歴史の中で・・・。

さらに「ビットコイン」と同じ仕組み(概念)が、電子書籍の古物取引に当てはまるような気がしたんです。インターネットを介することによって、今まで1個(ユニーク)であることが保証できなかったのに、これ(ビットコインのしくみ)は保証できるんだと。そう考えると、すごくいろいろなことが変わらないかと・・・。村社会(スモールクラスタ)の話でもあるんですが、技術的可能性のほうに興味がある・・。

>ビットコインでアイデアがあります。「ラジオビットコイン」というアイデア。ビットコインの原資、大元の価値は何から始まっているかというと「超難解な数学問題が解けた」ですよね。それが解けたことに対する対価がビットコインになっている。

つまりビットコインの価値はある労働の対価なんです。これを採掘(mining)と言っているわけです。「貨幣」が金を採掘した労働の対価とみなしたのと同じ概念です。

この「ビットコイン」を1ドルで売って欲しいという人が現れると、そこに取引が始まります。通貨からビットコインへの両替が行われる。ビットコインでドルを購入するとも言えます。

これに習って「ラジオビットコイン」の採掘者を番組のハガキ職人に置き換えます。ハガキが採用された対価をラジオビットコインで支払う。ラジオの聴取率が上がれば上がるほど報酬も高くなる。ハガキ職人はラジオビットコインを貯めていく。

ハガキ職人はそのラジオビットコインで、例えば、ラジオショッピングでステーションTシャツが買えたりする。そのTシャツがほしい人がラジオビットコインを10円で売って欲しいという人が現れれて、誰もが使えるラジオビットコインになっていく・・・。

(Tehu)深夜放送でハガキを読まれるのはなかなか難しいので、それが価値を高める(担保になる)ということですね。

(吉田)このような話をしていると思い出すのは「 WIIFY(ウィッフィー)」(コリィ・ドクトロウ作「マジック・キングダムで落ちぶれて」に出てくる価値概念)。フェイスブックで言えば「いいね」ですね。

>ウィッフィーやいいねも、そこに労働が生まれて1つあたりの価値が認められると、バーチャル通貨になり得ますよね。

(吉田)僕はデリバティブ(金以外のもので同じ価値観で取引すること)が出来るようになった段階で、金融構造は崩壊したと思っているんです。お金の曲がり角に来ているという裏返しが「ビットコイン」だと思うんです。

さらに言えば、お金が曲がり角に来ているということは所有も曲がり角に来ている。資本主義の構造が崩壊始めている・・・。

■自分が戻る場所・・・

>現在の金融構造は、各国の中央政府がある意味貨幣価値を担保して成り立っているわけですが、ビットコインは中央政府がない代わりにアルゴリズム(超難解プログラム)が担保している・・・。

(加畑)まさにアルゴリズムが希少性を担保しているわけです。価値ではなくて希少であるということ。

(吉田)ネットで見てたらありましたよ。初めてのビットコインでの取引は何だったのか。ビットコイン1万枚を25ドルに換算してピザ(2枚)を買ったというのが初めての取引だそうです。

(加畑)たぶんピザ屋さんの友達が一緒にやってみようということで始めたんでしょう。

(吉田)2013年の段階ではピザが1枚75万ドルの価値になっていたそうです。やっぱ金融はやばい。暴走していると思う。止められるのは金融商品を持っている人だけど、彼らは止められないし止めようとしない・・・。

貨幣の本質という話を山田真哉さんから聞いたことがあって、お金って「交換」と「保存」と「比較」で成り立っているそうなんです。インフレになるとこの「保存」機能が損なわれる。日本ではお金は安全だと思われている、しかしこれは幻想に過ぎないと・・・。

>話し変わりますが、昨年の猛暑とか思い出せませんが、ものすごく暑いところとか極寒の場所でも、人はみな一度土着するとそこで生活し続ける・・・。今なら手軽に移動できるようになったにもかかわらず。なぜそんな辺鄙な場所に住み続けるのでしょうか。

(加畑)人間誰しも、どこで生まれたかにこだわりがあるからでしょう。気候や風土よりも強い。場所が持つ力が勝っている。

>前回加畑さんが「人間は戻る場所が必要である」と言ってたのがとても印象的でした。「スモールクラスタ社会」で一番重要なことは、自分の戻る場所が「そこ」であるということ。それがなくなると人類は戻る場所を探して流浪の旅に出る・・・。

(加畑)戻る場所イコール家族の住む場所。自分探しとか言いますが、自分の居場所(帰るところ)探しなんですよ。自分をちゃんと認めてくれる場所を探す。

(Tehu)国の話に戻っちゃいますが、国籍みたいな話。外国人参政権が欲しい、だったら帰化すればいいと言われるが、そうしてしまうと無になっちゃうんですよ。いったん帰化してしまうともう戻れない、戻る場所がなくなってしまうような気分に襲われるわけです。

(吉田)たぶん住む(土着する)という感覚のほうがお金よりも確かですね。

>「戻る場所があるかないか」が最も大切なんですね・・・。「ビットコイン」とかバーチャルマネーとかの話をしてきて「スモールクラスタ社会」の話となり、最後にたどりつくのは「自分の戻る場所」。財産よりも「ビットコイン」よりも、何よりも大切なのは「自分の戻れる場所」なのですね。今日はありがとうございました。


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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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