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今年の夏に新たに始まるデジタル放送、V-Lowマルチメディア放送に注目!

2014/01/18 16:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■地デジ化はまだ終わっていない・・・

2011年7月24日正午、岩手、宮城、福島の3県を除く44都道府県の全局が地上アナログテレビ放送の通常番組を終了。同日24時(25日0時)にはアナログ放送が停波、いわゆる「地デジ化」の完了です。1953年のNHKによるアナログテレビ放送開局以来、約60年の歴史に終止符が打たれたわけです。

あれからかれこれ3年経ちましたが、震災の影響は多少合ったものの、特にほかには問題も起きず地デジテレビ放送は行われています。アメリカではチューナーの普及が間に合わず、予定より4ヶ月遅れるなど、世界的に見てこれほどスムーズに地デジ化に成功できたことを誇りに思ってもいいくらいです。

ご存知のように地デジ化を世界各国で行っている理由は、有限の資源の一つとされる電波の有効利用が大きな目的。デジタル化や通信技術の進歩により、これまで使えなかった高周波帯に活用範囲を広げることで、様々な新しいサービスやビジネスを生み出そうというわけです。

以上の話題はテレビ放送の地デジ化(地上デジタル放送化)でしたが、さてラジオの地デジ化は一体どうなっているんでしょうか。知らぬ間にテレビと一緒に地デジ化されたんでしょうか?

実はテレビの地デジ化と同じような時期(2010年)にradiko(ラジコ)というサービスが始まったため、これがラジオ放送の地デジ化だと思っておられる方もいるようですが、あれは単にラジオ放送をインターネットで同時再送信(サイマル配信)しているだけで、何も電波の有効利用がないため、地デジ化ではありません。

そもそも、テレビの地デジ化によって空いたVHF帯(90 - 222MHz)を活用した様々なサービス構想には、現在放送中の「スマホ向け放送局NOTTV‎」のほかに、デジタルラジオもあったはずなのですが、そのあたりがどうなっているのか気になっていたわけです。

ところがなんと2014年、今年の夏に新たなデジタル放送が始まることが分かりました。

■そもそもラジオのデジタル化って・・・

その新たな地上デジタル放送の正式名称は「移動受信用地上基幹放送」と言い、自動車その他の陸上を移動するものや携帯して使用するものの受信設備で受信することを目的とした(基幹)放送として、2014年今年の夏から放送が始まると言うんです。

呼称としては「V-Lowマルチメディア放送」。運営母体となるマルチメディア放送ビジネスフォーラムのメンバーで、エフエム東京・マルチメディア放送事業本部・副本部長の仁平成彦氏に話を伺いました。


仁平成彦氏

>デジタルラジオがこの「V-Lowマルチメディア放送」に至ったいきさつからお聞かせください。

(仁平)今から約15年前の1998年に「デジタル放送懇談会」が立ち上がり、地デジテレビの準備を始めた際に、ラジオもデジタル化するということになったわけです。で、テレビはUHF帯に移ることが早々と決まり、ラジオもVHF帯でやろうとなったわけです。

それを受けて2003年10月10日に「デジタルラジオ推進協会(DRP)」が実用化試験局として免許を取得し試験放送を始めることになったわけです。

そして2003年12月に地デジ(テレビもラジオも)が始まりました。実用化試験放送なので、本放送に行くための実用化試験という位置づけだったんですが、その後ラジオのほうはなかなか制度整備が進まなかったんです。なぜかというと、テレビのデジタル化でVHF帯が空き、そのあとの電波の使い方が決まっていなかったからなんです。

当時は現在携電話などで使われているUHF帯の上のほうのところなども決まってなかった。それで、決まってない、議論がし尽くされていない、ということになり、デジタルラジオの部分だけでも先行して、電波使える7チャンネル(旧アナログテレビの)でやっちゃおうじゃないかということになったわけです。

それでマルチプレックスと言って、全国で一つの会社を作って、そこにAM局、FM局などが入ってやることになったんですが、順調に実用化試験放送は進んでいたのですが、最後の最後でひっくり返って、総務省がそれは認めないと言われてしまった。電波の使い方がまだまだ十分関係各位で議論し尽くされていないと・・・。

そのときには、すでにauからはデジタルラジオ対応携帯なども出てたんですよ。我々はせっかくやるならいろいろ新しいことをやりたいと思い「着うたフル」の音源をラジオ放送と一緒に送信したりもしました。でも本放送には至らなかったわけです。

>そう言えば2002年のころには、衛星ラジオ(BSデジタルラジオ)の放送もありましたよね。あれもなくなっちゃいましたね。(2000年(平成12年)12月1日放送開始し、2007年に終了、その後2011年に放送大学がこのBS周波数帯を活用して音声放送を始めている。)

(仁平)平成19年(2007年)にVHF/UHF帯電波有効利用作業班による中間報告書が出され、ここで電波の使い方を見直し、V-HighとV-Lowという考え方がようやく誕生した。V-Highは現在nottvを放送している周波数帯ですね。(我々はV-Low)

このあたりから方向性がいろいろ出てきて何回か懇談会とか研究会とか開かれたんですが、2008年、エフエム東京はDRPから脱退し、そのころユビキタス特区となっていた福岡で、独自に実験局を立ち上げることになったんです。

>その後もTBS、QR,LFは7チャンネル帯で実用化試験放送は2011年まで続けられ、テレビの地デジ化とともに終了しましたね。

(仁平)そのあとも、V-Lowの制度化についてどうするかなどいろいろあったんですが、オールジャパンで考えた時主要なプレイヤーとしてNHKの意向が重要だった。NHKは、民放がまとまればそれで検討すると言われたわけです。

そこで2012年(昨年)民放連で民放としての意見を固めようとなり、議論の結果、AMラジオの課題としては送信所問題、送信所を完全デジタル化するのは大変お金がかかる、そもそも難聴取地域をなくすということが課題だったので、であればFMラジオ(アナログ)にしようという新たな選択肢が出てきた。

そして今年(2013年)の3月、民放連から出した結論は、民放はひとつにまとまらず、個別に分けて行動しましょうということになったわけです。

AMさんは難聴取対策としてFM(アナログ)放送をV-Lowを利用して実現させる、我々はV-Lowマルチメディア放送をやることを希望しますとなったわけです。これでようやくラジオの地デジ化の方針が決まったというわけです。

>AM局のFM放送化はデジタル化ではないですが、電波の空き枠有効利用には違いない。

■かくして2013年、ラジオの地デジ化の方針が固まった・・・

>そこでV-Low帯の90-108Mhzの帯域をアナログFMとマルチメディアで分けようとなったわけですね。

(仁平)V-Low帯を見ため半分に分けました。AM局のFM中継局を作るだけでなく、コミュニティ放送をやりたい人たちもいるということで、90-95MHzはコミュニティ放送とFM新局。我々のマルチメディア放送は99-108MHzまでとしました。

マルチメディア放送と呼ぶ理由は、これまでのリアルタイム放送に加え、蓄積型放送やIPデータキャスト、いわゆるインターネットのIPパケットデータを放送に乗せるしくみも用意しているからです。

一番根底にあるコンセプトなんですが、今まで放送と通信の融合というと、radikoとかNHKオンデマンドなど、テレビやラジオで放送されているコンテンツを通信に乗せるという意味合が強かったのですが、V-Lowマルチメディア放送は、通信で行っているサービスを放送電波で実現させる、そういうインフラを誕生させる、これが根底に流れています。

なぜかといえば、これからコンテンツサービスのバラエティ、多様性を考えたとき、放送よりも通信コンテンツのほうが爆発的に拡大すると考えられます。その多様性の中から同時に多くの人達に喜ばれるコンテンツを放送で拾いあげていくことで、放送を継続していきやすいと考えられるからです。そういう仕組を持っておきたかった。

V-Lowマルチメディア放送の特徴ですが、V-Highは携帯版の有料テレビ(CS放送)のようなサービスで全国同一コンテンツ、対するV-Lowは地方ブロック別、九州広域、東北広域など全国を6つに分けて地域密着型のコンテンツを提供。今までにない放送対象地域が想定されているため、県域別とはまた違ったサービスが提供でき、地方性も生かせます。


V-HighとV-Lowの特徴の整理(画像クリックで拡大)

(仁平)基本的にはユーザーから見れば「無料」。一部ダウンロードサービス(雑誌など)は(開くための)鍵を有料にします。

受信端末は、nottvはスマホなんですが、V-Lowマルチメディア放送もスマホやタブレットはもちろんなんですが、車向けのサービス用やデジタルサイネージなども対象にしていきます。

「安心・安全情報」を提供するということが(サービスの)大きな柱になっていますので、デジタルサイネージに向けたもの(サービス)も考えているわけです。

事業構成なんですが、V-Highと同様にハードとソフトの分離することになっています。送信所を運営する会社(ハード)があって、番組を配信する会社(ソフト)があります。


V-Lowマルチメディア放送の全体図(画像クリックで拡大)

(仁平)この2つの事業者は総務省が認定をする(免許を付与する)ことになりますが、その上にもうひとつCP(コンテンツプロバイダ)というレイヤーを設け、ここには通信でサービスを提供している事業者や、或いは自分たちでメディアを持ちたいと言った事業者が参加できるようにしました。

ハード会社(基幹放送局提供事業者)とソフト会社(認定機関放送事業者)は、一度決まったらころころ変えられないわけですが、CPについては、(現在のテレビやラジオだと)番組制作会社のようなものですが、いつでも参加自由、入れ替え自由。番組改編のように、いつでもサービスごと入れ替えられるようにします。

衛星放送で言えば、ハード会社がJ-SAT、ソフト会社がスカパー、その上に番組提供チャンネルが乗っている構成と同じですね。

■ラジオの枠を超えた究極のマルチメディア放送・・・

>なんとこの「移動受信用地上基幹放送」通称、V-Lowマルチメディア放送は、早くはこの2014年夏より放送が開始されるということですが・・・。

(仁平)現在制度整備、法律の改正などまで進んでいて、近々に事業者の募集が始まる予定です。(正確な放送開始日はまだ未定)

ハード会社をV-Low Infrastructure Provider(V.I.P)と命名し、ソフト会社は東京マルチメディア放送株式会社(2009年10月設立)を始め全国6つのブロックをそれぞれのマルチメディア放送株式会社が受け持つようになります。

さらにV-Low事業全体の推進と端末の普及を目的としたホールディング会社として「放送革新株式会社」(Broadcasting Innovation Company:B.I.C)も立ち上げます。


資本施策案(画像クリックで拡大)

(仁平)CPについてはChannel-VとChannel-Loがあって、Channel-VはVehicle(車)、自動車メーカーのサービス(提供番組)や高速道路会社のサービスを考えていて、Channel-LoはLogistics(電子物流)、新聞社や印刷会社などの情報配信やデジタルサイネージ会社のサービスになります(FMラジオのサイマル放送もここで考えている)。

Channel-Vは高速道路の会社と一緒にやろうとしています。例えばハイウェイラジオをどこでも聞けるようにしたり、サービスエリア・パーキングエリアのショップ情報やイベント情報も流していきます(ことを検討中)。


V-Lowマルチメディア帯域想定イメージ(画像クリックで拡大)

(仁平)また各自動車メーカーが進めている独自のサービスも、現在は通信(インターネット)でやっているんですが、通信料がバカにならない。だからハイグレードの車だけ搭載して通信費込みで販売するようになっている。これからは放送を使えば、軽自動車などでもサービスを提供できるようになる。

「放送革新株式会社」では、受信端末の普及はもちろんですが、Wi-Fiチューナー型受信機、V-Lowを受けてスマートフォンなどに送信する機器、iPhone用ワンセグチューナーなどと同じようなもの、これが数千円でできるので、5年間で100万台普及させるといった目標を持っています。

さらには、公衆無線LANの(街中の)Wi-FiスポットなどでV-Lowを受けて、Wi-Fiで配信することも検討中。

今後の展開スケジュールですが、5年間で全国展開を完了(カバー率76.6%)させるというロードマップを考えています。具体的には、2014年に福岡、大阪を皮切りに、2015年には東京、2016年に名古屋、そして2017年以降で札幌、仙台、広島。

V-Lowマルチメディア放送の一番の肝は、その時々に普及しているもの(モバイル機器)に随時、受信機もしくはアプリを埋め込むことができること。そして、アプリケーションであれば、それぞれのCP側での開発が可能であること。どんどんサービスを(時代に応じて)進化させていくことが出来るわけです。


Channel-Vイメージ(画像クリックで拡大)


Channel-Loイメージ(画像クリックで拡大)

(仁平)安心安全情報のための、防災情報なども通信で提供されるものをそのまま配信できるように整備し、数千円で配布できる安価な受信端末の開発も行っています。これらは防災行政無線の受信機の代わりとして自治体が地域に配る。自治体とソフト会社が協定を結び、緊急時は自治体からの情報を優先させるようにすることで、受信端末の普及に拍車をかけていくことができます。

最近電車やバスへのデジタルサイネージ配信が盛んに行われるようになりましたが、今は通信回線を利用しているものが大多数。これだと通信費がコストがかかります。これをV-Lowでやればコストカットができます。

地デジテレビだったら2Kから4Kへ、そして8Kなど放送技術や映像技術が進化するたびにハードも変えていかなければならない中、V-Lowマルチメディア放送は、アプリケーションの変更だけで対応ができる、継続がしやすい放送プラットフォームである・・・。私がこの世からいなくなった2060年ころでも(笑)続けていることを願っています。

>ありがとうございました。

いよいよラジオ業界も地デジ化が現実のものとなり、今年はその新たな新時代を迎えることとなります。


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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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