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コネの解体、スケスケ化、3Dプリンタ、デ・ザイン「年の瀬座談会:第17回トンコネJAM」

2013/12/27 16:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■2013年はIT業界再生の年・・・

年の瀬の26日、またまたとんでもないニュースが飛び込んできました。ソフトバンクが米携帯電話4位の「TモバイルUS」を買収する方向で検討に入ったというのです。これが実現すると、7月のスプリント社の買収も合わせて、グループ売上が7兆円に達し、中国移動(チャイナモバイル)の約9兆円に次ぐ世界2位の携帯会社となるのだそうです。

相変わらず孫さんのバカヂカラはお見事ですが、今年を改めて振り返ってみると、IT業界「再生」の兆しが数多くみられた年となったように思います。

日本のIT産業はこの数年は、東日本大震災の影響もあってか、ソーシャルゲームの頭打ちなど、なんとなく停滞気味だったように感じていたのですが、1月のLINE利用者1億人突破を皮切りに、メイカーズムーブメントが実体を現し、3Dプリンタの普及やクラウドファンディングが盛り上がり、さらにはネット選挙(応援)の解禁(4月)、アベノミクスのビッグデータ戦略(6月)、ソフトバンクのスプリント買収(7月)、LINEが3億人突破(11月)と、再び盛り上がる種がいくつも芽を出し始めたように感じました。

これを受けて2014年はどうなるのか、何が起きるのか。そんなことを題材に今回の「トンコネJAM」は座談会形式でお送りしたいと思います。メンバーは、IT使いのスペシャリストでラジオパーソナリティの吉田尚記氏、音のQRコード「トーンコネクト(Toneconnect)」を生み出した株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志氏のレギュラーメンバーに加え、エフエム東京編成制作部WEBコミュニケーションチームリーダー・藤井大輔氏と、来年の大学進学を目前に燃えに燃えてる天才灘高生「Tehu(テフ)」君にも参加してもらって、様々な角度から2013年を語っていただきました。


参加メンバー(左から藤井氏、吉田氏、加畑氏、Tehu氏※丸枠)

■インターネットが「コネの解体」・・・

>2013年を振り返って・・・今年を象徴するような話題を上げるとしたら・・・

(吉田)こないだ言いましたけど、Linked Horizon(リンクトホライズン)が大晦日に紅白出て、小林幸子がニコファーレに出るんですよ、真裏で。メジャー(テレビ)が「ネタ化した」と思うんです。

>そのネタがどっから来てるかと言えばインターネット。そんな海のものとも山のものとも分からないもの(ネタ)をメジャーが平然と取り上げる時代になっちゃったってことですか?

(吉田)つまりインターネットが「コネの解体」を起こしているというわけです。

先日神谷明さんと話したとき、神谷さんが声優として一番大切なことは何だと思うと聞かれたとき、(同業の)山寺宏一さんが声優アワードでギャグのつもりで言った「一番大切なのはコネだ」ということを受けて「声優に大切なコネとは、信頼のことである」とおっしゃったんです。

>インターネットが「コネ」(信頼)を解体してしまったということでしょうか?

(吉田)これまで信頼は「対面」以外では得られなかった。直接会ったことがあるとか、周りの人の話を聞くとか・・・。でも今では(就職とかの)面接でブログやフェイスブック見せろとか人事部が言うらしいじゃないですか。つまり、ある程度ならネットで検索すれば(その人の信頼性は)わかっちゃうんですよ。

例えば、僕がもう何十年後かに、(政界に)出馬することがもしあったとしたら、する気ないですけど、そんときに、おまえ昔「ああ」言ってたじゃん、と言われることがこの先どんどん起きてくる・・・。

そのコネ(信頼性)のあり方が大きく変わってきている。今年は象徴的な年だったんじゃないかな。

頓智ドットの井口さんが言ってた話で、世の中にどんどん信頼の絶対量が増えている中、どんどん「スケスケ化」しているというんです。いろんなことがすぐにわかるようになってきた。

昔だったら、行ったことのない街のどの飯屋が一番うまいのかなんて、地元の人に聞いてみて、偶然当たるかどうかだったのに、今や食べログで検索、みたいなことですね。

これの最も重要なポイントは、誰かが「スケスケ化しろ」と旗振ったわけじゃなくて、人間の生理として自然にそうなってしまったことだと思うんです。

>なるほどそれが「コネの解体」ですか・・・。ネットではコネ(信頼)が解体されている、すなわち、ネットに書いてあればどれも信頼のおけるものだと見なされるということ・・・。

(吉田)スケスケ化していたほうが住みやすいし、スケスケ化させたいという気持ちもどっかにあるんですが、一方でそれはいやだとアレルギー反応も起きている。そのあたりをTehuくんに聞いてみたい・・・。

ひとつ思うことは、ブログやtwitterやってない人って、正当な理由がない限り、信頼が置けない気がしませんか?

(Tehu)言われてみるとそうですね・・・。やらないというんじゃなくて、なんでやらないっていう。ただやってるほうからしても、SNSでここまで広がりました、わぁすげー、ただそれだけですね。

>ブログやSNSにいろいろ書いてあるから信頼されたという感じはしない?

(Tehu)茂木(健一郎)さんだって、顔も合わせていないころからツイッターで2年間文通して、(対談をすることになったのは)3年目ですからね。よくもそんなことが実現するなという・・・。うまくいったからそう言えるんですけど。未だに文通だけだったかも知れないし・・・。

結局(信頼の源は)「モノ」だと思うんです。根本突き詰めると「モノ」・・・アプリ1本出してそれが180万ダウンロードされましたという事実=「モノ」、それだけしかないと思うんです。

例えば今でも僕をテレビで紹介するとき、権威付けが必要になるじゃないですか。となると未だに4年前の功績を出してくるし、いやなんですけど、たぶん結局そこなんですよ。で、いろんな形に展開していって、いまの信頼された僕がいる。だから(何らかの)「モノ」を持ってない人って、けっこう(信頼が)長続きしないのではないでしょうか。

>それは、ネット上にある「モノ」や「こと」が信頼の鍵になっているということですよね。

(Tehu)双方向に通信できる「敷居」がすごく下がってきた(ような気がする)。(通常)普通の人は受け取ることしかできなかった。自分の名前の付いた情報を発信する(すべは)ことはできなかった。それが、ネットが出来ても(すぐには)出来ず、SNSになったことで、自分の名前のタグを付けたものを発信できるようになったから、自分からアピールして承認を得られるようになった。

昔は(SNS以前は)自分を承認してくれる情報を、たくさん降ってくる情報の中から自分を承認してくれるものを探すということしかなかったから、当然もし、自分がニッチな趣味を持っていたとしたら、そんな情報は流れてこないので、承認はされなかった。

(吉田)ちょっと思いましたが、今や、言論のほうが、芝海老よりも全然トレーサビリティが高い(正しいかどうかを確かめやすい)と思うんです。芝海老のほうがずっと(本当に芝海老かどうかを知るのが)難しい笑。

■3Dプリンタの先にあるもの・・・

>今年を象徴する「メイカーズ」だったり「3Dプリンタ」などについてはいかがでしょう?

(吉田)カバヤん、最近ものすごくハンダ付けしてるじゃないですか。

(加畑)今年はデジタルデータ(プログラムソフト)というものに全く価値を感じなくなってしまいました。だから触れるもの(ハード)をやろうと決めたんです。

(藤井)ハードと言いますけど、今年は汎用の部品を組み合わせた専用機が増えた・・・。

(加畑)まさに私がそれ作ってます。ハードの世界でも、それぞれ(の機能)がコンポーネント化されることで、(必要な機能だけ)組み合わせれば専用マシンが出来るようになったんですが、根本的にハードとソフトではかなり違う、たくさん作ることがこんなに大変だとは思ってなかった・・・。ソフトなら100万コピーされようが、こちとら痛くもかゆくもなかったが、ハード100台だとヒヤァっとなる。

(藤井)スティーブ・ジョブズの最大の成功はそこにあるわけですから・・・。

(加畑)ジョブズがアップルを出荷したときの話が、いま再び正しい形で再現できそうな気がしています。当時あれが出来たのは、異例中の異例だった。誰でもできることではなかったと思うんです。今はメーカーとかディストリビューションとか、ハード的にも(誰でも)できるようになった。ソフトさえしっかりしていれば・・・。

(Tehu)UBIがその辺のところ頑張ってますよね。清水さん。

>清水さんのファブレスタブレット「enchant.moon」がビックカメラに置かれるような時代になったということですよね。

(加畑)ジョブズがアップルを出荷したようなことを、今や誰でもできる・・・。モノが動くとき、ロジックは同じだが、物理的なスペースとか人の動きとか、リアルな問題が山積しますよね。ソフトだけ作ってるのとまるで違う問題が出てくる・・・。そこのデリバリータイムの考え方で、時間の流れが変わってくる。

(藤井)ロジスティックスでの今年の最大のニュースは佐川のアマゾン撤退ですね。そのくらいアマゾンの流通は進化している、それに対応できないロジスティックスは撤退・・。

ECの進化って、ほとんど流通の進化であって、サービスの進化はほとんどないわけです。実はそれって特定の人の無理の上で成り立っているんじゃないかと・・・。だから(人海戦術のうまい)日本は進化しすぎたのかも知れない。コンビニとか。だから次に何が起きるかと言えば3Dプリンタでしょ・・・。

(吉田)そう、3Dプリンタでロジスティクスも変わる・・。例えば食べられるものがなんとかなるんだったら、全ての家に自動ケーキ作成マシンがあったっていいくらいだと思うんですよ。3Dプリンタで作れるようになっちゃう。(流通にはデータが乗るだけになってしまうと言われている。)

>3Dプリンタって夢があるのは、(確かドイツの事例だったか)細胞の再生とかもできるんですよね。生き物も再生できる・・・?

(吉田)生き物でなくとも、最高に美味しいサーロインステーキを再生できるだけでいい。

(加畑)スター・トレックで昔からありますよね。(※レプリケーター(replicators))

(Tehu)最終的には原子カートリッジと量子カートリッジと中性子カートリッジ入れて原子単位から創りだすみたいなことやって欲しいと思います笑。

(吉田)そうか、それなら100年後にも生き残る日本の企業はキャノンやエプソンなのかな笑。

■2014年のキーワードは「デ・ザイン」

(藤井)今日面白いニュース出てます。世田谷一家殺害事件の現場再現を3Dプリンタで家の間取りを作ったってニュース。

(Tehu)これから犯行現場の資料とかは3Dデータになるかもしれんませんね。

(藤井)3Dデータが撮れるスキャナも安くなったし・・。そういう時代ですね。

(加畑)入力デバイスがどんどん進化していってるんですよ。或いは、生成される情報量はものすごい勢いで増え続けているんですよ。しかし、出力デバイスはあまり進化していない。3Dデータは腐るほどあるのに、3Dプリンタはまだまだ。つまり出力デバイスが進化のボトルネックになっているってこと。

(吉田)それって、人類全体がそうなっていませんか?情報量は膨大になっているのに、それを解釈して形に出来るという力のある人がいない。出力ができない・・・。そうすると(必要なのは)「デザイン」なんですよ。「デ・ザイン=実在させる」という意味。データとして蓄積はあるけれど、実体を見せる方法=デザインが足らない。アイデアはいくらでもあるが、実現させないと無価値である。昔はアイデアに価値があると言ってたけど・・・。

(加畑)今年のキーワードで「メディアアート」(コンピューターの性能の飛躍的な向上と社会への普及を背景に登場した、新しい芸術表現)というのがあります。以前はインスタレーションとか言ってたもの。

メディアアートって出力スタイルを探す芸術。(画像データをモニターで見せるのか、プロジェクションマッピングするのか・・・)だからみんな(出力をどうすればいいか)そこにフラストレーションがたまってるってことですよ。

(吉田)夢を実現させる=夢を出力させる、夢を「デ・ザイン」させる!

今年の「再生」から来年2014年はどこにこれら膨大なデータを出力させるか、そしてどう見せるのかの「デ・ザイン」がキーワード。まさにメディアアートの象徴でもあるLinked Horizon(リンクトホライズン)にそのヒントが隠されているのかもしれません。芸術の世界では出力探しがもう始まっているんですね・・・。みなさま良いお年を。


(参考資料)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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