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【シリーズ】日本のバカヂカラベンチャー訪問:株式会社GADGET(ガジェット)

2013/12/11 10:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■「バカヂカラ」オヤジに会ってきました!!

シリーズ・日本のバカヂカラベンチャー訪問と題して、最近"私が"気になっている、日本のものづくり業界に「バカヂカラ」の息吹を与えてくれている会社をシリーズで紹介。今回は、ドコモ・イノベーションビレッジ第1回プログラム(2013年5月)に最年長パートナー(笑)として参加し頑張っておられる「株式会社GADGET(ガジェット)」代表取締役社長の浅見敬氏。


浅見敬氏

浅見さんは長年の経験から培った様々な技を駆使して、昨年、超短篇(電子)小説サービス「nanovel(ナノベル)」を立ち上げられた。

彼のユニークなプロフィールと超短篇小説に至ったいきさつについてお伺いして参りました。これから起業されたり新サービスを立ち上げる方の大いに参考になるのではないかと思います。

今回は録音インタービューを再構成してお送りします。

■歴史的なIT会社の立ち上げに2度も関わった・・・

Q:浅見敬さんは、東京オリンピックが開催された1964年の東京生まれで来年50歳。ベンチャーを立ち上げるには少々遅いスタートなんですが、今、起業されたのはどんないきさつから?

実は株式会社GADGETの立ち上げ以前にも、かなり大がかりなIT会社立ち上げには2度ほど関わっていて、会社の起業に参加の経験はあるんです。

1986年、大学卒業とともに最初は小さな広告代理店に入社しました。そこから出向で(映画の)松竹ほか映画会社に5年、東京テアトル(映画配給)に移籍しました。どっぷりと映画関係の広告制作からプロモーションなどを担当しました。

このままだったら映画宣伝マンを全うしていたかもしれませんが、当時ディズニーが日本支社を設立して本格的にビジネスを始めようとしていたころで、ここに深く関わることになります。

1996年、あの「トイ・ストーリー」の公式サイトの制作に関わることになりました。今から思えば、ここが私の人生を一変させた瞬間だったのかもしれません。

元々新し物好きだった私は、当時まだパソコン通信の時代で、ホームページなど誰も見られないにも拘らず、本格的な「トイ・ストーリー」の公式サイトを初めて制作したんですね・・・。

ここで、当時、ウォルト・ディズニー・ジャパンにおられた前刀禎明(さきとうよしあき)さんと運命的な出会いがありました。そういった新しもの好きの私を、前刀さんが大いに気に入ってくれて、その翌年(1997年)のAOLジャパンの立ち上げに誘われることになるんです。

ここで遂にこれまでの映画人生を投げ打って、AOLの立ち上げに参加することになったんです。なんとAOLに入社したのはローンチ1か月前、激動のIT人生が始まりました。

ここではユーザーの滞在時間やリピート率をアップさせるための主にコンテンツアグリゲーションを担当。またAOLライブという今で言うチャットルームのようなサービスでは、坂本龍一氏やドリカム、聖飢魔IIなどをブッキングして大いに話題を盛り上げました。

AOLで3年くらいやっていたころ、前刀氏が今度は、完全無料のインターネット接続サービス「ライブドア」の日本ローンチに関わっていて、再びここに呼ばれることになります。これが2000年。元々のライブドアは広告収入で賄うという完全無料でネットに接続できるという画期的なプロバイダサービスでした。

ここでは主にマーケティングの仕事を担当。それから約2年後の2002年、堀江氏に営業譲渡したことで、私も退社するわけですが、まさにIT急上昇の時代に、AOLとライブドアの2つの会社立ち上げに参加したことがとても良い経験となったわけです。

■物語を作る人と映像作る人の橋渡しがしたい・・・

Q:そこから超短篇小説に至ったいきさつは?

実はライブドアを退社したあと、求人広告から松竹の2文字を見つけ面接を受け、再び松竹に入社しました。このころ松竹では新たなビジネスへの機運が高まっていました。私には映画宣伝ではなくて動画配信サービスの立ち上げの仕事が回ってきました。

この動画配信サービスの立ち上げがまずまずだったこともあって、2008年からは本格的に動画配信ビジネスに携わるようになり、結局当時テレビ朝日の子会社であった「ブロスタTV」に転職してしまいました。ブロスタTVは、クリエイターが自主制作のオリジナル動画を発表するクリエイター発掘サイト。映像クリエイターは登録制で各々が随時新しいコンテンツを配信するようなしくみ。ここで動画クリエイターの発掘を担当することになりました。

今でも人気のアドリブ芝居とアニメーションを融合させた「Peeping Life(ピーピング ライフ)」というアニメを生み出すなど、ここで接したクリエイターは2700人にも上ります。

多くの脚本家や映像(CG)作家の人と出会う中、映像作家は映像は作れるがストーリーの才能も共存している人は少ないということを痛感しました。ここから「物語を作る人と映像作る人の橋渡しをしよう」という発想が生まれました。そして「創る、をつなげる」をコンセプトに、2011年6月「株式会社GADGET」設立しました。

Q:「株式会社GADGET」は超短篇小説サービス「nanovel」を立ち上げるための会社?

「nanovel」を中心に「作品販売(原作活用)」「企画制作」「作家活用」「タイアップ」、これらの業務を総合的に行おうと始めた会社です。

そのために原作者(作家)はすでに50人が契約、さらにゲームシナリオ作成の受託業務も行っており、こちらには17名の専門ゲームシナリオ作家が登録されています。作家の調達は、昔取った杵柄で「青山シナリオセンター」などにも協力を仰ぎ、優秀な若手が集まるしくみを確立しています。

現在はKBS京都で放送されているラジオドラマを2,000字にリメイクしてナノベルアプリで配信。共同で作品販売やライセンス展開を行っていくなどのタイアップにも力を入れています。さらにプラスアルファとしてのライセンス事業や映像化、コミック化、ゲーム化、海外展開なども視野に入れてビジネスを展開していきます。「株式会社GADGET」は活字と映像の総合商社のようなものだと思っています。

■「ボーンデジタル」しかできないことをやる!

Q:「nanovel」の状況は?

昨年11月にiPad/iPad mini用アプリを公開しました。しかしなかなか普及は思うようにはいきませんでしたが、今年の1月にiPhone版アプリをリリースして一気に広がりました。


「nanovel」アプリトップ画面
(画面を指で縦横自由に移動できる)

当初はiPadなどのタブレットをターゲットに考えていたんです。しかしタブレット端末は全国6~700万台程度。これから増えていってもせいぜい2000万台どまりではないか。それに対し、スマートフォンはすでに1億台、これからさらに普及は全人口に。ここから考えて、電子書籍はスマホサイズにしなければ普及しないと考えたんです。

ただ、現状としてはまだ数万ダウンロード程度。ドコモからの送客も始まりましたので実力が試されるのはこれからです。

短編(ショートショート)は「引き算の文学」と言われています。いかに無駄なものを省くか、最低限の言葉と表現ですべてを語れるかの挑戦。

日本語はそのことに大変優位だと思うんです。日本古来から短歌なども普及していたじゃないですか。ナノベルという文化が日本から始まったことに意味があると思っています。


「nanovel」作品選択画面
(読む作品を選ぶとタイトルがクローズアップされる)


「nanovel」機能画面
(検索、しおり、表示などの機能が選択できる)


「nanovel」シェア画面
(評価を付けてコミュニティにシェアできる)

だから見せ方にものすごくこだわっています。これまでのKindleなどのような、リアルな書物のシミュレーション的な見せ方ではなく、まったくリアル書籍ではできないようなページめくりを実現させています。(めくると文字がパラパラっと散っていくなど)好評です。


「nanovel」ページ遷移画面
(ページをめくると文字が気持よく・・・)

Q:GADGET社としてのゴールは?

全世界をまたにかけて「nanovel」というレーベルがブランド化するのがゴールです。それだけのビジネスマーケットがここにあると確信しています。

ありがとうございました。

出版社が電子書籍を考えると、自己資産をいかにコスト掛けずに2次利用できるかを考えてしまう。これでは電子書籍は普及しないと浅見さんは言う。紙でできていたものをなるべく安価にデジタイズしようとなったら、画面をそのままコピーしてPDFにする程度のことしかできないからだ。

読者が電子書籍に求めることは、これまでの本では体験できないわくわくすること、これまで読んだ小説も、電子書籍で読むとさらにわくわくする、感動する、気持ちよいもの・・・浅見さんの考える電子書籍とはそんなイメージなのだそうだ。

また、スマホで日常的にすることはその時々のニュースや話題を見ること。だったら、電子書籍は、ニュースを見た後に移行しやすいインターフェイスやレイアウトに注意を注ぐべきだろう。これまでなかった動く挿絵などもはさんで行きたい、、、これこそ浅見氏の得意分野「ストーリー作家と映像作家の融合」が生きてくる。

こういう発想は「ボーンデジタル」(デジタルで始めたビジネス)だからこそ思いつくものだという。紙にできないことをデジタルでやるから、みんな着いてくる・・・。頑張れバカヂカラベンチャーオヤジ!!


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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