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【シリーズ】日本のバカヂカラベンチャー訪問:株式会社アクセルスペース

2013/08/15 10:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■宇宙開発ビジネスを考えたことありますか?

シリーズ・日本のバカヂカラベンチャー訪問ということで、最近"私が"気になった「日本のバカヂカラベンチャー」を紹介させてもらってます。今回はなんと、人工衛星をビジネスにしてしまった民間会社。

つい先日(8月4日)も、H2Bロケットが種子島宇宙センターから打ち上げ成功。これに搭載された宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機も、10日未明には、国際宇宙ステーションと結合が完了したようだ。

「こうのとり」は、宇宙ステーションに様々な物資を運ぶという、世界の宇宙開発事業を背負った重要な役割を担っているという。それを日本のロケットで運ぶ。そんな時代なんだと実感する。でもまだまだ我々民間には縁遠い夢のような話・・・だと思っていた。

しかし今回株式会社アクセルスペースの中村友哉社長とお会いして(7月11日本社にて)、そんな考えも吹っ飛んだ。

それでは、夢の宇宙開発ビジネスの世界に足を踏み入れましょう。


中村友哉氏

■宇宙はあなたの手の届くところにある・・

株式会社アクセルスペースは、2008年8月8日創業(やおよろず、すえひろがり、フジテレビの日ですね・・)。夢の宇宙開発ビジネスを始めようと会社を設立した方は、中村友哉さん34歳(1979年、三重県生まれ)。

彼は元々、化学を勉強しようと思って東京大学に入学。ところがたまたま出会った「CubeSat(キューブサット)」という超小型人工衛星を打ち上げる学生プロジェクト(2003年)に魅せられ、人工衛星の魅力に取り憑かれることになる。

その時の超小型人工衛星「CubeSat」は、なんと10センチの立方体。重量はわずか1キロ。これが全世界に先駆けての学生の手による超小型人工衛星の幕開けになったのだそうだ。今では全世界約100大学が「CubeSat」の研究に関わっている。この時代に日本が関わったおかげで、日本が「超小型人工衛星」の分野で最先端を行くこととなる。

中村さんはそんな世界最先端の宇宙開発ビジネスの開拓者なのだ。

※ちなみに「CubeSat」は今回のこうのとりにも搭載され、様々な研究に役立てられるようだ。

(中村)学生時代には3つの超小型人工衛星に携わることが出来ました。その3台目の衛星には、地上約30センチ程度のものまで見分けられる機能が搭載できたんです。これってもはや教育・教養の領域を越えていると思ったんです。

幸運にも、文科省の大学発ベンチャー支援制度の採択と重なり、起業に向けて活動を開始。特任研究員(大学発ベンチャー創成事業)を経て、2008年にアクセルスペースを設立することになりました。

宇宙開発については、欧米がリーダーシップを取っています。でもこの超小型人工衛星においては、日本を最先端にしたかった。ここから「民間による宇宙利用」という考え方が広まっていくと思っています。宇宙はもうみなさんの手の届くところにあるんです。

株式会社アクセルスペースのスローガンはまさに、「Space within Your Reach(宇宙はあなたの手の届くところにある)」である。

■人工衛星で何をする?

(中村)会社を立ち上げてこの8月で満5年たちました。現在取り組んでいる超小型人工衛星は、創業当時から株式会社ウェザーニューズとともにプロジェクトを推進してきた「北極海航路支援用超小型衛星WNISAT-1」です。


WNISAT-1(ダブリューエヌアイサットワン)

約30センチ角の立方体で、約10キロ。この小さな箱から、北極海の(夏季における)逐次変化する海氷の観測します。近年、地球温暖化の影響もあって、夏の間北極海の氷が解けて陸地から離れるようになりました。これを応用して、地球レベルで航海する船の最短航路を見つけ出そうというプロジェクトなんです。もしこれを航路として実際に商用利用できるようになれば、例えば日本からヨーロッパへの航路を考えると、現在のスエズ運河経由に比べて、約3分の1も短縮できると概算しています。

航路短縮ができると、輸送コストを大幅に引き下げることができるため、船会社はこの北極海航路の利用に近年熱い視線を送っているという。ただし、北極海の氷は1日に数十kmも移動すると言われており、安全情報なしの通過は非常に危険。そこで、ウェザーニューズ社がWNISAT-1を使って氷を頻繁に観測し、北極海を通過する船舶に情報提供するというわけだ。

通常の気象衛星などいわゆる静止衛星と呼ばれる衛星は、地上約3万6千キロくらいのところに静止した形で飛んでいるそうだ。彼らが飛ばす超小型人工衛星は、地上500キロから800キロ、すなわち飛ばす位置がもっと低い位置(WNISAT-1は約600キロ)。

また衛星は静止していないため、通信できる期間は限られるが、開発費は静止衛星の数十分の一に抑えることが出来る。これが宇宙開発を我々の身近にさせた大きな要因である。

さて、超小型人工衛星のコストなのだが、中村さんに聞くところによれば、ざっくり言って、人工衛星の開発費用に約1億円、ランニングコストに約1億円、そして打ち上げ費用に1億円、合計3億円くらいだということだ。

開発費1億円と言うと、ヘリコプター1基とほぼ同じ値段。また通常の静止衛星や軍事衛星の開発費が数10億から数100億円かかることを考えると、超小型人工衛星がいかにコンパクトなのかが伺える。

■夢は放たれた・・・

ちなみに超小型人工衛星の打ち上げは、JAXAが打ち上げるロケットは、現状では研究目的のものしか搭載しないという約束事があるということで、ロシアのプロトンロケットなどを利用するとのこと。

ロシアは、つい7月に打ち上げたプロトンMロケットが打ち上げ直後に分解して炎上し失敗したばかり。今回の「WNISAT-1」も、この11月~12月にロシアから発射するロケットに搭載予定。これは絶対に成功して欲しいものだ。

(中村)「WNISAT-1」の成功は、民間の宇宙利用がついに手の届くところまで来たことを表します。何としても成功させたい。みなさんからもぜひ応援よろしくおねがいします。10月に打ち上がる際にツイッターやフェイスブックでみんなに知らせるだけでもいいんです。この宇宙利用新時代への突入をみんなで共有することが大切だと思っています。

アクセルスペースでは「WNISAT-1」以外にももう1機、「ほどよし1号機」という地球観測衛星の開発も行っている。こちらも来年2014年春には打ち上げるスケジュールで準備中とのこと。


ほどよし1号機

「ほどよし1号機」の目的は地上分解能6.7mの衛星画像の取得。将来的にこのような衛星をたくさん打ち上げると、Googleマップをリアルタイム化することが可能になるのだそうだ。これはものすごいことではないでしょうか。

世界最先端の技術レベルを行く日本の超小型人工衛星ビジネスに必要なことは、あとは、アイデアだけだという。我々のユニークな様々なアイデアが、さらに日本の宇宙開発ビジネスを促進させるのだ。


(参考資料)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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