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【シリーズ】日本のバカヂカラベンチャー訪問:株式会社Cerevo

2013/07/22 10:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■コンシューマー・エレクトロニクス・レボリューション

シリーズ・日本のバカヂカラベンチャー訪問ということで、最近気になる「日本のバカヂカラベンチャー」を紹介する第2回目。今回は家電をファブレスでベンチャーしちゃった会社。

家電といえば、テレビや冷蔵庫に洗濯機、掃除機、電子レンジ、などなど。ジャパンアズナンバーワンと言われるようになったきっかけのひとつでもあり、日本の「家電」は世界中で認められた技術の結晶だった。

ところが21世紀に入り、世界中が日本の技術を真似できるようになり、機能や見た目はほぼ日本製品と変わらないものが氾濫。結果、価格競争に突入。そこに来て円高。家電における日本の世界シェアは激減。

日本電機工業会(JEMA)による2005年から2011年の白物家電5品目調査によれば、
 ・ルームエアコン:14.9%−>10.7%
 ・電気冷蔵庫  :5.7%−>4.9%
 ・電機洗濯機  :6.6%−>6.1%
などなど軒並み世界シェアを他国、とりわけアジアやブラジルなどの技術新興国に奪われつつある。

そんな状況下で「ネットと家電で我々の生活をもっと豊かにしたい」と颯爽と家電業界に挑戦を挑んでいるのが岩佐琢磨さん(35歳)率いる株式会社Cerevo(セレボ)という会社。

「セレボ」とは「コンシューマー・エレクトロニクス・レボリューション」の略だそうだ。


岩佐琢磨氏

この会社を作ったバカヂカラ野郎は、岩佐琢磨さん(35歳)。立命館大学卒業後、2003年松下電器産業株式会社(現・パナソニック)に入社。ネット連携家電の企画に5年ほど携わった後、企業での開発だけでは飽き足らず、2007年(今から6年前)に「株式会社セレボ」を起業。

今では「和蓮和尚 (@warenosyo)」のニックネームで、ツイッターの使い手としてもかなりの有名人。とにかくエレクトロニクス部品の知識が豊富。また心理学や、哲学などにも精通していてその独特の発言が、様々な人の心を射止めているようだ。

■ベンチャー会社成長の過程で初めて分かること

(岩佐)今年で創業5年目になるのですが、ようやくファブレス家電ビジネスの何たるかが見えてきたような状況です。

最初の1年は、資金調達に終始。有りもしない機械の企画書を書いては出資者を回りまくる。それも億単位の出資を募るのですから想像を絶する大変さ。

なんとか資金が集まり始めた2年目は開発に専念しました。とにかく絵に描いた餅を実際のものに仕上げなきゃならない。企画、設計から部品調達、組み立てに至るまで、すべてがほぼ初体験。パナソニックでの経験は殆ど役に立たないわけです。

それが3年目にようやく形になるわけです。売り出してみる。ユーザーからの反応。ここで初めていろいろわかってくるんです。部品をバカにしてるととんでもないことになるとか、組み立ては得意なヤツのほうがやっぱり精密に仕上げるとか・・・。これまで3年間頭で考えてきたファブレスへの取り組みの「芸風」をがらっと変えました。

その芸風が変わったとはいったいどういう事なのでしょうか?

(岩佐)最初に立ち上げたときは、設計までうち(セレボ)でやって、部品調達と組み立ては、製品ごとにそれぞれ得意そうな会社に「丸投げ」していたわけです。

でもそうやってると、数百もの部品から構成されている製品ですから、こだわった部品もあれば、いい加減に選んだ部品も入ってしまう。組み立ても一緒にお願いしていたのでなおさらです。組み上がる納期に間に合わせようとするから、ここに「妥協」が入るわけです。

私がベンチャーで家電をやってみたいと思ったのは、妥協しない製品作り。なので「芸風」を変えることにしたんです。

つまり、部品を調達する会社は、あくまで一つ一つの部品にこだわって見つけてきてくれる会社にお願いする。その部品を引き継ぎ、組み立てにこだわる組み立て専門の会社に組み立ててもらう。こうすることで、コストの削減ができるとともに、クオリティーコントロールにも我々が関われるようになるわけです。

■グローバルニッチこそ目指すところ

ファブレスならではの発想。言うは易しだと思うけれど、実際にこれを3年目に思いついて現在では実行に移せているのは正真正銘の「バカヂカラ野郎たち」だと感じます。でも彼らが実行していることはそれだけではありません。

(岩佐)ここまでが「芸風を変えた」ことの半分、つまり、「制作における」芸風を変えたことなんです。最初の3年で、あともうひとつの「芸風のチェンジ」を試みることになるんです。

それは「売り」の芸風のチェンジとで言いましょうか。それまでは、日本国内でまずは製品を軌道に乗せてと思っていたんですが、それが違っていたんです。

岩佐氏によれば、ユニークな商品であればあるほど、海外のディーラーにも情報が広がるというのだ。それはネットが普及したからだ。海外での見本市や展示会も、始終各国の都市で行われている。面白い製品であればあるほど「うちにこの地区の販売をやらせてくれ」と、思わぬ外国から連絡が入ることになるという。

(岩佐)そこで「売り」の芸風を変えたんです。日本で1万台売るのではなくて、10カ国に1000台づつ売れる商品を考えようと・・・。

これで大成功したのが、「Live Shell」という商品。ケーブルを1本接続するだけのかんたん接続で、あなたのビデオカメラがライブ配信可能にという、いわゆるネット動画配信機器。日本国内だけだったら数千台で終わっていたものが、世界に広げたことで、1万台に迫る人気製品になりました。展示会やインターネットからの情報で、いまや19カ国に弊社の製品の販売代理店があります。


ライブ配信機器「Live Shell」(下がpro版)

岩佐氏いわく、そんな製品を「グローバルニッチ」な製品と言うそうだ。ファブレス家電にはこの「グローバルニッチ」がお似合いなのだ。

(岩佐)企画を考えるときに思うようになったんです。こういうモノほしいよね、だけどこれではグローバルには売れない、世界で売れるにはこうすりゃいいんだ・・みたいな。

でもそんな堅苦しいマーケティング理論などないんです。グローバルに売れるための共通のポイントはけっこう普通に考えると出てくるものなんですよ。

■みんなの生活を変えたい・・・

岩佐氏の当面の目標は「あるジャンルの世界でのトッププレーヤーになること」だそうだ。普通に考えると、相当大それたことのように思うが、ニッチなジャンルで考えれば、十分考えられることだ。例えばiPhoneの磨きがかかったメタルの筐体は、新潟県燕市の金型工場の技術でしか誕生しなかったとか、そういうことなのではないだろうか。

セレボが目下発売を準備中の次期製品は、インターネット対応のテーブルタップ「OTTO(仮称)」。いわゆる電源タップなのだが、ネットにWi-Fiで繋がる仕組みが搭載され、手持ちのスマートフォンなどから電源タップをコントロールできるようにした。


ネットワーク対応テーブルタップ「OTTO」

これを使えば、このタップに差した炊飯器やクーラーは、帰宅途中に、スマートフォンからスイッチを入れておくことができる。家に着いたら、部屋は涼しく、ご飯が炊けている。タイマーでもそれは可能だが、いつも同じ時間に帰宅するとは限らないため、出るときに帰宅時間を予期しなければならない煩わしさから開放されるというわけだ。

また、彼女を部屋に誘う際に、部屋の明かりを薄暗くしておいたり、ムードランプを点けておくなど、様々な環境設定をネット経由でリモートコントロールすることが可能になるという。

今回話を聞かせていただいて、岩佐氏の部品へのこだわり、生活へのこだわり、経営へのこだわりがひしひしと伝わってきた。

(岩佐)将来は、セレボの利用者の方が、この製品が発売される前とあとで私の生活が変わったよね、と言われる会社になりたいですね・・・。

今まさに大手の家電メーカーが忘れかけていることを彼らが取り戻そうとしている。


(参考資料)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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