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パーソナライズドラジオの本命は本気です!:「音楽聴き放題ラジオ:FaRao」

2013/05/07 10:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■音楽聴き放題サービスが騒がしい・・・

3月末にディー・エヌ・エー(DeNA)から新たなサービスがスタートした。サービス名を「Groovy」(グルーヴィー)、 いわゆるスマートフォン向け「音楽聴き放題サービス」の一種。音楽を選んで聴いていくうちに、ユーザーの好みを分析して、おすすめ楽曲が表示されるなどのソーシャルな機能も搭載。

守安社長はモバゲータウンなど、モバイル・インターネットで培ったノウハウを活かし、サービスをより多角化、よりグローバル化するための一手として「音楽サービス」を考えたということだが、どうも実際の理由はそれだけではないようなのだ。

例えば、「音楽聴き放題サービス」のパイオニアであるSonyの運営する「Music Unlimited」は、今年1月から月額価格を1480円から980円に値下げしたし、レコードメーカー各社が大株主のレコチョクも、この3月からダウンロードに加え「レコチョク Best」という聴き放題サービスに参入。

KDDIも邦楽を中心に100万曲以上が聴き放題のサービス「うたパス」を、これまでのauスマホユーザー向けだけでなく、iPhone/iPad用アプリとして提供を開始。これでSoftbankのiPhoneユーザーでもauのサービスである「うたパス」が受けられるようになった。

つまり「音楽聴き放題サービス」は、IT大手がこぞって強化を図り始めているという現状があったのだ。実はこのような状況は、そもそも昨年初頭あたりから全米ラジオ聴取率ランキングに、Pandora RadioやSpotifyなどのインターネットラジオが上位に食い込んできた(一部報道ではPandoraはロサンジェルス地区ではナンバーワンに輝いた)というニュースが全世界を駆け巡り、日本でのインターネットラジオのビジネス化に拍車がかかったことに端を発していると言われている。


今回はそんな渦中に、その歴史的なトレンドを実践されている方の取材ができたのでご紹介したい。話を伺ったのは、今年の1月末より「FaRao(ファラオ)」という音楽聴き放題ラジオサービスを立ち上げた、株式会社フェイス(Faith)の企画営業本部FaRao事業ユニット・名阪智宜(ともよし)氏(4/11取材)。「株式会社フェイス」は世界で初めて「着メロ」を規格化した会社としても有名。ガラケー全盛時代から日本のモバイルビジネスに音楽文化を取り込んできたリーディングカンパニーである。

■音楽聴き放題サービスはライフスタイルを変える!?

名阪氏のインタビューに行く前に、最近の音楽聴き放題サービスの現状をまとめておく。

先ほどもお伝えしたように、「音楽聴き放題サービス」の決定版と言えば、Sonyが運営する「Music Unlimited」やレコードメーカー各社で立ち上げたレコチョクが運営する「レコチョク Best」が挙げられる。あえてここでは「聴き放題フルサービス」と名づけておく。

「聴き放題フルサービス」は、例えば「Music Unlimited」なら、月額980円払えば、パソコンでもスマホでも、対応機種ならテレビやレコーダーでも、それらの機器を通じて自分が気に入った楽曲を好きなだけ聴き続けることができ、楽曲は思いついた時思いついたままに加えたり削除したりできる。

また聴き放題サービスには違いないのだが、楽曲やアーティストを選択できない「ラジオ型聴き放題サービス」と呼ばれるものも一部存在する。その代表がKDDIの「うたパス」であったり、今回取材させていただいた「FaRao(ファラオ)」などがある。これらは前者の聴き放題サービスのように楽曲の選択が出来ない代わり、好みのジャンルやアーティスト名を選択することで、それに類する楽曲を勝手に連続して流し続けてくれるもの。利用料は楽曲そのもの選択できない分無料だったり安価になっている。

このサービスは一見、音楽ファンにとって不自由にも思えるが、実際使ってみると、自分でいちいちアーティストや楽曲の設定を最初にする必要がないため、すぐに使い始められて、好きな曲だけかけてくれるラジオチャンネルのような存在になっていく。気に入った楽曲を発見すれば、その時点でリンクボタンから楽曲ダウンロードして保存していけば、最終的には前者の聴き放題フルサービスに近くなっていく。

そして「聴き放題フルサービス」と「ラジオ型サービス」との中間に位置するのが「従量課金サービス」と呼ばれる楽曲ごとに料金を支払う音楽サービスとなる。iTunesはその代表格だが、ダウンロードせず聴き流すだけの従量課金サービスというのも始まり、この代表格が最初にご紹介した「Groovy」(グルーヴィー)である。ここでは「Groovy」も「従量課金サービス」として整理しておく。

ちなみに、理由は後述するが、Spotifyは上記で言えば「聴き放題フルサービス」に近く、Pandora Radioは「ラジオ型サービス」の部類に属すると考えられる。ここが実は「音楽聴き放題サービス」のミソなのだ。

以上の各サービスを利用の流れで描いてみるとさらに鮮明に音楽聴取の進化が見えてくる。

これまでの音楽聴取ライフでは、

ラジオ等で楽曲に接触=>CDショップで確認=>購入(レンタル)=>プレイヤー(iPodなど)で聴取

と最低でも4段階の手段が必要だった。これが聴き放題サービスの時代を迎えると、
まず「聴き放題フルサービス」利用を想定してみると、

ラジオ等で楽曲に接触=>「聴き放題フルサービス」で聴取

という2段階で完結してしまう。また、「ラジオ型サービス」で考えてみれば、今度は楽曲を決める動機のほうに寄与し、

「ラジオ型サービス」で楽曲に接触=>「従量課金サービス」でダウンロード・聴取

どちらも2段階で完結なのだが、後者はもはやスマホの中で完結している。前者も「ラジオ等で楽曲に接触」部分をradikoなどのサービスを想定すれば、もはや「音楽聴取はスマホだけで完結してしまう時代がやってきた」ということが明白になる。

■FaRao(ファラオ)は日本版「Pandora Radio」・・・

あとは聴いても聴かなくても980円払い続ける行為に納得出来るか(聴き放題フルサービス)、使ったときだけ支払うほうが気持ちが楽なのか(従量課金サービス)ということになるわけだが、さてここで、「聴き放題フルサービス」でもなく「従量課金サービス」でもない「音楽ラジオ型サービス」とは一体どんな意味を持つのかが気になってきたのではないだろうか。

そこでお待ち兼ねの株式会社フェイス(Faith)の企画営業本部FaRao事業ユニット・名阪智宜(ともよし)氏の登場である。


       名阪智宜(ともよし)氏

音楽聴き放題ラジオ「FaRao(ファラオ)」(1月30日スタート)を考えるきっかけになったのは、Faith社が日本コロムビアを傘下に置くことになった2010年に遡ります。日本コロムビアをはじめ、音楽業界の落ち込みの実情を目の当たりにして、我々のやってきたIT技術やノウハウで何か立ち迎えられることはないのか。そういう思いからサービスやビジネスを模索した結果できたのがスマホ向けの音楽サービスだったんです。

そのときまさにお手本となったのが、全米で地上ラジオを抜く勢いだった「Pandora Radio」(Pandora)です。我々は「Pandora Radio」を日本に持って来ようと考えました。すでに日本国内では数社がPandoraの事業立ち上げに名乗りを挙げていたんですが、ご存知のように音楽著作権に関わる諸問題が解決できず、暗礁に乗り上げていました。

それならば、米国でPandoraに習ったテストサービスを実施してみようということになったんです。テストサービスは2011年から2012年にかけて行われました。ここから「音楽聴き放題サービス」に関する様々な諸問題を理解することになりました。

まず、米国のレコメンドエンジンの軸は「音楽ジャンル」になっているのに対し、日本の軸は「アーティスト」。日本では、例えば「嵐」というアーティストがジャズを歌おうがクラッシックを演奏しようが「嵐」ファンは好きなのだからジャンルが主になってしまうと探せない。つまり米国のサービスをそのまま持ってきても使えない。

他にも権利処理スキームについてはかなりの経験が得られました。米国においては2000年から「デジタルミレニアム著作権法」(DMCA-Digital Millennium Copyright Act)が試行され、デジタル化された情報の私的利用がさらに制限されました。そこから生まれたのが「非オンデマンドサービス」という考え方です。



FaRaoトップ画面

解説すると、「オンデマンドサービス」とはいわゆる音楽サービスで言えば楽曲をダウンロードするサービスのこと。これは1回ダウンロードするごとに、利用料の数%が著作権者に支払われるものなのだが、デジタル化の波に飲まれ、ストリーミングサービスでも一回楽曲が流れるごとに利用料の数%を著作権者に支払うことになった。すなわちストリーミングサービスも「オンデマンドサービス」の一種になったのだ。

ところがこれを実際に施行してみたところ莫大な金額が支払われるようになり、実際はラジオのようなストリーミング放送が成り立たない事実となった。そこで様々な制限を加えることで費用を安くすることを編み出した。それが「非オンデマンドサービス」だ。

詳しい説明は専門サイトに譲るが、例えば、事前に楽曲名やアーティスト名を知らせない、同じアーティストやアルバムの楽曲は3時間以内に何回までしか流れない、海賊版(違法に録音され販売されたもの)の放送の禁止する、など、まさに地上ラジオと同等の仕様ともいえる。これによってラジオ並みの利用料で楽曲が利用できるようにしたわけだ。



FaRao再生画面

Pandoraはこの「非オンデマンドサービス」に当たります。著作権者への利用料の分配も従来の著作権使用料徴収機関(ASCAPやBMIなど)とは別に「サウンドエクスチェンジ(SoundExchange)」がレコード制作者と実演家に代わり「報酬請求権」を一括して行使し、徴収・分配するようになりました。

このあたりに詳しい榎本幹朗氏の解説によれば、Sound Exchangeの2011年の売上の9割近くをPandoraが占め、1億3,800ドル(約138億円)にも上るという(文末リンク参照)。計算すると1,255億曲が去年、Pandora Radioを通して聴かれたことになり時間換算にすると通年で約73億時間、これは全米のラジオ聴取時間の3.4%、実際のレーティングが4%ということでほぼ計算どおりとなるという。

■パーソナライズド"ラジオ"=ソーシャルラジオサービス「SRS」ですね!

こうして米国でのテストサービスは我々にインターネット音楽サービスに関する様々な問題点の解決策を教えてくれました。そして考え出されたのが音楽聴き放題ラジオ「FaRao」になります。

1月30日のスタート以来、好調な利用推移をしています。非オンデマンドの考え方が、意外に日本でも受け入れられ、音源利用許諾を取るのに効果を発揮しています。現在、日本コロムビア、ユニバーサルミュージック、ポニーキャニオン、ワーナーミュージックジャパン、ビクターエンタテインメント、そして近日中に大手数社も加わる予定です。

レコメンドエンジンは完全にFaRaoのオリジナルとなっています。日本人特有のアーティスト優先のレコメンドエンジンなのですが、これについてはアーティストを司る様々なキーワードを数百項目設定できるようになっています。

このエンジンによって好きなアーティストや楽曲から得られる要素から、あなたの好きな楽曲やアーティストをピタリと選曲してくれるように仕上がっています。これからさらにその精度はブラッシュアップしていくので、ぜひ選曲の心地よさを味わっていただきたいと思っています。

国内外のメジャー楽曲、インディー楽曲の膨大な楽曲の中で、今まで見つけることができなかった楽曲やアーティストとの「出会い」を提供する、日本初の「非オンデマンド型」音楽聴き放題ラジオサービスになるでしょう。

基本無料というのも特徴のひとつです。フリーサービスは広告収入が主体のビジネスモデル。1曲あたり約1分30秒で数曲に1回、音声広告が流れますが、音楽に新しい発見を期待している人にはまさに打ってつけのサービスといえます。

さらに「聴き放題フルサービス」と比べた大きな優位点として、レコード会社の最新曲を発売日当日から配信できることが挙げられます。通常、オンデマンドのストリーミングサービスではレコード会社は発売から60-90日が経過するまで、新譜を提供しない方針を取っていますが、非オンデマンド型の「FaRao」は発売日から新譜を聴かせることができます。我々には「FaRao」をプロモーションメディアとしてレコード会社に使って頂きたいという想いが当初からありまして、それをご理解いただき、ご期待いただいている各レコード会社様には大変感謝しています。

競合サービスとしてauの「うたパス」がありますが、あちらは基本的には人が編成したプレイリストから楽曲を選択して再生しているのに対し(ムード検索もありますがサブ機能のような位置づけ)当社FaRaoはレコメンドエンジンによる完全自動編成でプレイリストを生成しているため、提供していただいてるレコード会社様の音源が最大限に活用できるところがFaRaoの優位点だと思っています。

現在iOSやAndroidアプリでのサービス中。今後マルチプラットフォーム化も目指し、カーオーディオへの搭載も決定しています。家庭用のSTBにも搭載予定。さらには店内BGM展開なども検討中です。

目標は今年度中に利用者100万人。4月末にさらに機能リニューアルを行い、自分の嗜好を記憶させて、手塩にかけて育てたチャンネルを友人や家族にFacebookやTwitterを使って共有する機能が実装します(現在実装済み)。個人的には音楽を聴くという行為は元々非常にパーソナルなものだと思うのですが、それがFacebookなどのSNSを通じてソーシャルに広がっていくことで、新しい音楽体験を創造していけるのではと期待しています。

今後はサウンドエクスチェンジの日本版の設立や、海外展開なども視野に入れていきたいと思っています。インド、ベトナム、フィリピンなどはすでに4月から交渉が始まっています。音楽聴き放題ラジオ「FaRao」をどうぞよろしくおねがいします。

いよいよ日本にも本格的な「パーソナライズドラジオ」サービスが始まろうとしています。今回の名阪さんの取材で、その本気度が十分伺えました。前回も書きましたが、Spotifyはいつ来るのか、Pandoraはどうなんだなどと言っている間に、日本らしい形を整えて「それ」がやってくるのです。その幕開けにぜひ立ち会いたいと思っています。


(参考資料)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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