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アニソンは軍歌、DJは救世主:第9回トンコネJAM

2013/03/27 09:30
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■再び日本の音楽産業の未来・・・

IT使いのスペシャリストでラジオパーソナリティの吉田尚記氏、音のQRコード「トーンコネクト(Toneconnect)」社長CEOの加畑健志氏と共に、最近気になるネットとラジオの近未来をトークセッションする会「トンコネJAM」。

それに昨年10月から吉田さんと一緒にニッポン放送のラジオ番組「XPERIA presents 吉田尚記 Connect to you」を担当している、Rubyアイドル・池澤あやかさんにも加わってもらっています。池澤さんは3月で番組が終了するので、このトークセッションの参加も今回が最終回。

今回(03/11)は、再び大崎のSo-net会議室で、音楽家の岩崎工(たくみ)さんをゲストに迎えて行われました。岩崎氏は1970年代に豪フェアライト社で研修を受け日本にフェアライトCMI1号機を持ち帰ったという、シンセサイザー奏者の草分け的な人物。その後80年代には雅楽とテクノをミックスさせた不思議なBGMで話題になったキューピーマヨネーズなど数多くのCM音楽を手がけられたり、FILMSなどのテクノポップバンドでも活躍されました。

そこで今回も、日本の音楽業界の未来について議論を交わすことになりました。


トンコネJAMの面々(手前左から岩崎氏、池澤さん、後ろ左から加畑、吉田)

■エジソンの時代のラジオと蓄音機

(吉田)日本の音楽に対する価値観が変わってきたのは、もちろんインターネットで自由に音楽が聴けるようになったこともあるでしょうが、日本の音楽そのものが成熟し、変化があまりなくなって来たからということもあるのではないでしょうか。

吉田氏はここで、エジソンの時代のラジオと蓄音機の話題を持ち出してきました。

(吉田)音楽ライターの榎本幹朗氏の『未来は音楽が連れてくる』という連載の中で、エジソンの時代にもラジオの登場でレコード産業(蓄音機)の売上が25分の1になったということが書かれているんです。

榎本氏の了解のもと、記事の概略を紹介する。

1920年は、エジソンが発明した蓄音機がバカ売れの時代だったそうです。ところが、家具調度品として珍重された蓄音機に、ピアノなどが猛攻撃をしたため、この年14万台あった蓄音機の売上は翌年、わずか3万台に落ち込んだという。

それを回避させたのがレコード産業。ハードとソフトの合わせ技。エジソン・レコード社を始め、蓄音機製造会社がこぞって専属歌手と契約してレコードビジネスに乗り出した。当時レコードはこの蓄音機ではこのレコードと、規格競争が続いていたので、結果、聞きたい歌手のレコードが聞ける蓄音機として、Victor社のほうが、エジソン社を超えてナンバー1の座を奪うことになった。このときあのニッパー犬が蓄音機の象徴となったのだそうだ。

レコードビジネスが充実して蓄音機もコンスタントに売れるようになったのも束の間、エジソンが社長を務めたこともあるGE社の新ビジネスとして始まったのがラジオなんだそうだ。ラジオは電波で音楽を無料で流し、これをキラーコンテンツにして、今度は無線受信機を売りまくるというビジネスとなった。エジソンはまんまと自分の投資で自分の首を絞めることになる。

ラジオは売れまくり、1940年までの約14年で全米世帯の80%に普及したという。これは現代のインターネットの全米普及時間を越えるほどのスピードだったそうだ。

ラジオの急速な普及で、レコード・蓄音機ビジネスは、1億4,000万枚をピークに、1932年にはわずか総売上600万枚と、数年で25分の1にまで縮小してしまった。

(吉田)まさに今の音楽業界が、インターネットの急速な普及でシュリンクしているのと同じ現象に映りませんか。私は、成熟された時代の音楽の末路はいつも同じ運命なのではないかと思うのです。

■ラジオにやられたレコード産業再び・・・

(吉田)この話には続きがあります。なんと、縮小したレコード会社をラジオ局が買収する形になったそうなんです。(Victor社は、RCAに買収。1938年には、CBSが親会社のコロムビアレコードを逆買収)

そしてさらに十数年後、今度はラジオ産業をの売上げを上げるために、買収したレコード会社で新たなアーティストを育成し、それをラジオでかけまくって、レコードを売りまくるビジネスに繋がっていくわけです。

吉田氏の話を進めれば、今の音楽産業はインターネット会社に飲み込まれていくんだろうか。と、思いつくのはエイベックスだ。彼らは音楽会社だが、今やインターネット会社でもある。インフラも持っている。では、ラジオ局を普及させてチューナーを売った、そのチューナーに代わるものとは。

そうだ、携帯電話、スマートフォンなのだ。まさに携帯各社は音源会社を手中に収めつつある。エイベックスもドコモやソフトバンクと様々な形で音源提供をしている。

たぶん1930年代に起きたことで考えれば、エイベックスがドコモの完全子会社になってしまうくらいの話なのかもしれない。そう考えると、携帯会社の事業の一部としてSpotifyやPandra Radioが始まるべきなのかもしれない。

そこから再びヒットを放って、新たなスマートフォンを売りまくる。もはやそのころには、単なるスマート端末になっていることだろう(phoneはラジオと共になくなる・・・)。あらゆるサービスを無線で送受信できるスマート端末。これが近未来のラジオコミュニケーターの形なのだ。

■アニソンは軍歌、DJは救世主

しかし携帯会社がこれまでのラジオ局に取って代われたとしても、次なることは、スマート端末をさらに買いたくなるほどの音楽コンテンツの開発が待っている。

岩崎氏は、ポップス(流行歌)は消費されるもの、即ち必ず飽きられていくものだと言う。だから次々と生み出さなくてはならない。お金がかかる。だからと言っていつの時代でも飽きの来ないスタンダードナンバー的なものだけでは、端末の購入促進力に欠けるかもしれない。

効率よく音楽開発できるノウハウ、普遍的に流し続けられる選曲の能力。これらを何としても確保する必要があるということになる。そこで吉田氏らの出番だ。

(吉田)今まさにその能力を持つ音楽の救世主がDJなんです。全世界的に音楽ヒットはDJによって生まれつつあります。私はアニメファン的な観点から見ているのですが、アニメファンにとって音楽は共通言語。仲間になる、一緒に歌う、何らかの革命的な共通体験をする。アニソンは、彼らに取っての革命歌、軍歌と言ってもいいかもしれない。

逆に曲のジャンルや内容は何でもいい、ただし誰にでも誇れるものでなければならない。世の中に迎合しているものはだめ。冷遇されるくらいのほうが革命らしい。大人が嫌い=大勢に逆らう=反体制である。それを担うのは、大勢の人では拾えないものを拾ってきてくれる人、それがアニメで言えばプロデューサー、ボーカロイドで言えばボカロP、ヒットチャートで言えばDJなんです。

吉田氏の言うことは、まさに欧米の音楽チャートで実現している。ヒットチャートの大半をDJプロデュース楽曲が占めているのだ。成熟した音楽の氾濫時代に必要なのは、冷静にかつ客観的に音楽を評価してくれるDJの存在が不可欠。携帯各社がまさに今確保すべきはDJなのではないだろうか。

そんな流れを見越して吉田氏は「ヨシダワイヤー」(3月3日MOGRA 秋葉原)というDJクラブイベントを実施中。携帯各社の担当は今すぐこれを研究すべし!


(参考資料)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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