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メディアの価値はリアルリーダーの対話テクで決まる!:第6回トンコネJAM

2012/12/21 13:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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日本では安倍新政権が発足間近、おとなり韓国でも歴史上初の女性大統領が誕生。リーダーシップが問われる時代に、今回はそんなリーダーのお話。さてどんなリーダーなんでしょうか。

■「ネットサービスあらし」どうなった・・・

IT使いのスペシャリストでラジオパーソナリティの吉田尚記氏、音のQRコード「トーンコネクト」社長CEOの加畑健志氏と共に、最近気になるネットの近未来をトークセッションする会「トンコネJAM」も6回目。

10月からの吉田氏の新番組「BUZZニッポン」に出演中の現役女子大生Rubyアイドル・池澤あやかさんも加わって、年末最後のトークセッションが、大崎のソネットエンタテインメントで行われました。


BUZZニッポンの面々

話題は、前回盛り上がった「ネットサービスあらし」、ラジオの生番組と連動して、ソーシャルメディアを使って同時に多くのリスナーとコンテンツを共有しようという試み。これが「大人のバカ添付ファイル!」と銘打ち「Google Drive」で複数の人が同時に1つの企画書を仕上げたことが大いに話題に・・・。

そこで、それをさらに発展させて、次回は「NAVER まとめ」を使って、ラジオの放送時間中になにかのまとめをリスナー全員で作り上げてしまおう、とうことになっていたんですが・・・。

しかし残念ながら、「NAVER まとめ」では複数の人が同時に1つの企画書に書きこむようなことが出来ないことが判明。また別のサービスで考えようということになりました。

ところが議論の矛先は、そもそも免許事業者である放送(ラジオ)局が、「Google Drive」や「NAVER まとめ」などの一般コンシューマー向けのサービスを利用するというのはいかがなものだろうか、という方向に。今回はそのあたりを掘り下げることになりました。

■民生機とプロ仕様機

私がニッポン放送に入社したころ(1980年代)は、カセットレコーダーが普及して、誰でも録音が手軽にできるようになってきた時代。お気に入入りのミュージシャンのレコードをカセットテープに録音して、それをウォークマン(1979年に誕生)で屋外に持ち出せるようになった時代でした。

しかしながら、当然ではありますが、カセットテープで録音したものを番組で放送するということはなかったわけです。音質的には、AMラジオであれば、実は、カセットテープでの録音でも十分聞くに耐え得るものでしたが、そんな民生機(一般ユーザー向けオーディオ機器)を使って放送するなど、諸先輩方のプロ根性が許さなかったのだと思います。

しかし世の中ではその手軽さゆえ、エアチェックブームも巻き起こり、雑誌では「サウンドレコパル」などが売れ、一般リスナーがカセットに録音した音声の面白さで競い合うラジオ番組もありました。今で言えば、Youtubeに一般ユーザーが飼いネコの動画をアップしたりすることと何ら変りないでしょう。でもそれはあくまで素人の録音データとして番組で披露されていました。

でも放送局員が一般ユーザーが使うカセットレコーダーを使って放送番組を収録することは間違ってもしなかったし、使うとすれば放送用機器専用の、一般販売はされていない高額で堅固なマシンでした。

今から考えるとなんと偏屈だったかとも思いますが、そういった一般ユーザーでは使わせてもらえないプロ用機器を使って番組を制作しているからこそ、現場に転がっている他愛のない情報でも、価値のある情報に生まれ変わるのだ・・・みたいな気にさえなっていたように思います。

ところが、パーソナルコンピュータが出現し、デジタル時代になると、プロだろうが一般ユーザーだろうが、扱うコンテンツはすべてデジタルとなり、コンシューマー機器で録音しようがプロ用機器で録音しようが、基本は変わらないものになってきてしまいました。

お気づきになるでしょうか、デジタルである以上、「質」という観点から見れば、プロ用機器も一般コンシューマー機器も何ら違いはないのです。

私は、ここに現在の既存メディア(新聞、ラジオ、テレビ、雑誌)の危うさがあると思っています。では本当に違いがないんでしょうか・・・。


BUZZニッポンの面々

■今のメディアの情報の「質」は何で決まる?

ほとんど前置きになってしまいましたが、そういった時代を歩んできた我々と一世代若い、吉田さん、加畑さん、池澤さんらは、そんな放送メディアの価値観についてどんな思いがあるんでしょうか?

(吉田)これまで、既存メディアの存在価値は、それぞれユニーク(メディアごと唯一)な情報があることだったと思うんです。しかしインターネットが普及し、ほぼすべての情報はインターネット上で閲覧できるようになり「ユニークな情報」というものが存在しなくなったのだと思います。

(加畑)現在の新聞やラジオの価値は、溢れる情報の中でそれぞれのターゲットに応じた「価値ある情報」をきちんと集約しているかのみに懸かっているのではないでしょうか。ですから例えばラジオで言えば、ターゲットが絞られているものは生き残り、総合的なユーザーを獲り込もうとしているものは、ほぼ壊滅状態(広告収入的にも)になってきています。

(池澤)つまりユーザーのニーズが、世代や関わっている業界や趣味などによって、はっきり分かれてしまったため、広く浅い情報には価値がないってことになりますね。

我々の時代は、ラジオならではの情報がまだまだあったため、その価値を高める意味でもプロ用機器で「質」もアップさせるといった気持ちがありましたが、今の放送マンには、内容そのものの価値が問われているんだなと思いました。それはもちろん良いことである反面、違いを出しにくくなっているとも言えるのではないでしょうか。

そんな中、リスナーにはまだ価値を認めてもらえているものがあるという話に進みます。

(吉田)リスナーからの「リクエストや相談」はまだまだ価値を認めてくれてるんじゃないかな。リクエストや相談というラジオとリスナーの双方向コミュニケーションは、生身の人間、即ち番組パーソナリティがリスナーのニーズを受け止めていることに価値を見いだせているんです。

なるほどこれはインターネットなどのデジタルメディアではあり得ない。以前Sysop(シソップ、シスオペ:システムオペレーター)という役割が、ネットコミュニティには存在したのだが、現在はあまり見かけなくなってしまいました。現在のソーシャルネットワークでは、見事に存在していませんね。つまりネットにはそういった役割が必要ないという結論なのかも知れません。

■リアルリーダーにこそ価値がある

吉田さんは続けます。

(吉田)これからますます、ヴァーチャルのメディアが氾濫する中、こういった「リアルの対応」の価値は、ユニークな情報以上の価値を見出すようになっていくと思うんです。まさに音楽だってCD(バーチャル情報)からライブ(リアル情報)に価値観が移り変わってきていますよね。

そんな変化の中、価値を見出すとすれば、コミュニケーションを円滑につないでくれる「リアルリーダー」なのではないでしょうか。フェイスブックなどはその役割を「システム(ヴァーチャル)」が担っています。これにはあまり価値はない、だからこそ「リアルリーダー」の存在に価値があるんです。

ラジオパーソナリティは、まさにその「リアルリーダー」。このリーダーがリスナーとの対話(コミュニケーション)をどのくらい心地良く「スイング」させてくれるかに懸かっているわけです。

今回は結構重要なポイントが顕になったように思います。

話のきっかけは、放送局のようなプロ集団が、一般ユーザー向けの「Google Drive」などのソーシャルサービスを使って番組を製作するのはいかがなものか、ということでした。しかしポイントは、利用するツールにあるのではなく、利用する「リアルリーダー・パーソナリティ」との「対話」ということなのだということ。

改めてみると、全くもって当たり前の話ですが、デジタル化が進む中、対話ができるリーダーこそに価値が出てくる、価値を見出すべきは「リアルリーダー・パーソナリティとの対話」であるという結論は、重大な事実です。

まさに安倍新政権しかり、韓国・朴槿恵(クンヘ)政権しかり。メディアも、ニュースやバラエティのような一方的な情報番組(バーチャル情報)から、リアルリーダーとの対話で綴る情報コミュニケーション番組(リアル情報)、ついては対話の出来るパーソナリティの育成にもっと力を入れるべきなのかもしれません。


(参考資料)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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