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第4回トンコネJAM:拡散するメディア、拡散しないメディア

2012/10/18 20:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■トーンコネクトの専用番組がスタート!

最近気になるネットの近未来をトークセッションする会「トンコネJAM」、さて今月は・・・(10月2日渋谷にて収録)

トーンコネクトは、「ピ・ポ・パ」というダイヤル音を使って URL を送信する「音のQRコード」と呼ばれる技術。ニッポン放送アナウンサー吉田尚記氏がプログラマーの加畑健志氏と共同で開発し、ラジオでも複雑な情報を音で手元のスマートフォンなどに送るなどユニークなサービスを展開中だ。

そんなところに、TBSテレビでも9月末の「オールスター感謝祭」で、番組内で流れるBGMをアプリ内でキャッチすると、サイコロを振ってすごろくを楽しむことができる「キクミミ」というサービスが使われてプレゼント展開などが行われたという情報が飛び込んできた。

この「キクミミ」は、音声認識技術を活用した番組連動型のスマートフォンアプリとして、同社とユニークな社則で有名な「面白法人カヤック」が共同で開発されたもの。

「トーンコネクト」とネタがかぶると思ったら、ニッポン放送も負けじと、この10月からトーンコネクトを活用したレギュラーラジオ番組「Xperia presents 吉田尚記 Connect to you」(毎週土曜:吉田尚記 BUZZ ニッポン内19時15分〜45分)が始まった。

この放送時間帯、以前私が現役ラジオディレクター時代に企画制作していた「ケラと犬山犬子の四次元ラジオテクノスケ」という番組を放送していた、ある意味「テクノ」な時間帯だ。(懐かしくなって思わず昔の録音を聞いてみたら、内容があまりにカオス(跳び)過ぎて、良くこんな番組放送出来ていたと恐ろしくなった)

そこで今回は、吉田、加畑両氏に、10月からのそんなテクノなアプローチに関する抱負を聞いてみた。すると吉田氏から次の問題提起がなされた。それはある意味、吉田氏の「テクノ」に対する姿勢のようなものだった。


トークセッションは続く・・・

ツイッターやフェイスブックに何らかの話題を提供すると、瞬時に話題が拡散され、場合によっては数分で全世界にその話題が知られるようになりますが、最近のラジオ放送は「拡散しにくい」ような気がするんです。

例えば、ニコニコ生放送で話題を投げかけてそれが1000くらいのツイートとなって出て行くと、すぐにそれが4000とか5000に拡散されていく。しかしラジオで同様の話題を投げても、すぐには広まらない。拡散すれば良いってものではないですが、どうもそこに何か秘密が隠されているような気がするんです。ある意味、10月からの「BUZZニッポン」では、それを克服することをテーマにしてみたいと思ってるんです。

■拡散しやすい話題、拡散しにくい話題

吉田氏の問題提起を受けて、加畑氏が分析する。

まず、拡散しやすい話題と拡散しにくい話題があると思います。ブログやツイッターで良く拡散しているのは、拡散しやすい話題であって、今回の問題は、ラジオ拡散しにくい話題がネットだと拡散するというわけではないように思います。

では拡散しやすい話題とは何か。それは話題を伝えるための処理時間が短いもの、つまり一言で伝えるべきと理解出来ちゃうものですね。

例えば「スイーツ」や「ラーメン」は拡散しやすい話題ですよね。「美味しい」とか「美しい」とか「原料は何だ」とか、一言で伝えたいスイーツやラーメンの特色を伝えられる・・・。

それに対し「バカリズム」は拡散しにくいと思うんです。何が面白いのかを説明するのに時間がかかる。だから「スギちゃん」は拡散しやすいですよね。

つまりネットでは、溢れる情報が飛び交う中、そういった拡散しやすい話題だけが目に飛び込んでくる。ラジオは限られた時間内に、前回も論議した「コンデンス(凝縮)した」話題が取り上げられますが、もちろん、一言で言えてしまう話題だけを取り上げるわけではありませんよね。だから吉田さんはラジオは拡散しにくいと感じてるんじゃないですかね。

吉田氏はこんなことを言い出した・・・。

だから、あえて一言で説明できてしまうような話題だけを取り上げる番組というのをやってみたいと思うんです。我々が新入社員のころに教えこまれることは、話題を語るときに「リスナーの耳をこちらに向けるためのイントロが大事だ」ということ。落語で言えば「枕」、漫才で言えば「つかみ」ですよね。ちょっとした小話でリスナーの注目を向けさせたところで本題に入っていくのが常識と教えられます。今回はそれをあえて崩して、つかみなしでいきなり本題だけを伝えていく。これにはある手法が役立ちます。

さて、そのテクニックとはどんなものなのか・・・。

■つかみをカットしてリアクションだけで拡散させる

吉田氏は続ける。

ある話題を伝える際、あえて「つかみ」なしで、その代わりその話題に関する世間の「リアクション」をいきなり伝えるんです。ま、そのリアクションが「つかみ」とも言えるわけですが・・・。

いわゆるブレイキングニュース(ニュース速報)などはその典型ですね。それも何度も繰り返して同じ話題を短く取り上げる。一つ一つの話題を短くする代わりに、反復させたり、話題の数を増やすことでネットでの拡散と同じ効果をラジオでも起こせると思うんです。

これは察するに、例えば「八王子P(VOCALOIDを用いた楽曲を専門に制作する音楽プロデューサー)がニコ生に出演してくれて、サーバーがパンクしちゃったのよ」とか、「supercell(同じくニコ生で話題の初音ミクをメインボーカルにした架空ユニット)のメジャーデビューが決まったから、何か売っちゃう!」なんていう話題なんだそうだ。

ただこれって、ニコ生超会議に関連した話題だからなのかもしれない。だから拡散すると言っても、常連さんの中だけで激しく拡散されるだけなのかも・・。

吉田氏の悩ましい言葉に重なるように、加畑氏も付け加える。

拡散させたくないという人もいますよね。特にビビッドな話題、拡散したくなるような話題は、最初に気がついた人は、自分の手元に置いておきたい気持ちになることがある。でも、そこに我々は割って入って拡散していかないとビジネスになっていかない・・・。カオスですね・・・。

さあ、そろそろまとめる時間がやってきた。今回の結論は果たして・・・。

■パトロニズムとコピーイズム

吉田氏がまとめに入る。

私の経験からすると、取り上げる話題で拡散しやすいものは、その話題の原作者がはっきりしているものですね。つまり拡散することがその原作者に伝わると感じるものは、みんながツイートする。

例えば本を買うという行為を「パトロニズム」(原作者に投資すること)だとしましょう。原作者にはその気持がすぐには伝わらないが、自分の心の中には作者を支えているという自負が存在する。それに対して、ネット上で何かをツイートする行為。これは原作者の発言を複製する行為、これを「コピーイズム」と名づけてみる。実はこのコピーイズムは、金銭授受もないのに本を買うよりもずっと原作者にその気持が伝わるわけです。

なるほど、ネットで拡散する行為は、ちょっと大げさかもしれないが、原作者と心がつながるということなのだ。作り手と受け手がつながるとき、ものごとの拡散が始まるというわけだ。だから話題の原作者、張本人がいるもののほうが、拡散しやすく、そしてビジネスにもなる。

吉田氏は語る。

とにかくこの10月からの「BUZZニッポン」ご注目ください。まさに作り手と聞き手がラジオとスマホでつながります。「Connect to you」ではソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の協力もあって大胆に「トーンコネクト」を活用した番組を展開していきます。ご期待ください。

「ツイッターってラジオだ!」(講談社)の作者でもある吉田尚記氏ならではの手法で、ラジオを聖なる「拡散メディア」にして見せて欲しいものだ・・・。


(参考資料)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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