■写真加工アプリに新生登場!
スマートフォンで撮った写真をその場で加工したり共有サイトにアップすることはもはや日常的な行為となった。そのための様々なアプリやサービスが登場している中、ほかのものと一線を画すユニークなアプリが登場した。Blogサービス大手のシーサー株式会社が今年の5月にiPhone版として開発リリースした「MANGAkit」である。(Android版も8月リリース済み)
「MANGAkit」は、スマートフォンで撮った写真を簡単に漫画風に加工できるアプリ。写真を簡単に漫画風に加工できるというユニークさもさることながら、Blogサービスが主のシーサーがなぜスマホアプリの開発を始めたのか・・・。そんな興味が湧いて取材に伺うことになった。(2012年8月22日渋谷シーサー株式会社本社にて)
なんと迎えてくださったのが女性3名。おっとシーサーって女性社員の会社だったっけ? 話によれば、今回の「MANGAkit」の開発にはたまたま女性デザイナーと女性プログラマーのコンビが見事に成立して完成したそうだ。なんかめちゃくちゃワクワクしながら話を聞くことになった。
■少数精鋭が知恵や力を生み出す・・・
話を伺ったのは、プロデューサーでサービスコーディネーターの森川綾さんと、新規事業開発部の小山亜由美さん(デザイナー)と技術開発部の松田櫻子さん(プログラマー)。
左から小山さん、森川さん、松田さん
ちなみに森川さんは前職がLivedoorで、注目の的だった時代に切り盛りをされていた方。現在とのギャップが心地良いとのことだった。今回の「MANGAkit」では社外プロモーションと調整役として小山さん、松田さんのお姉さん役を担っている。
この新規事業開発部は、今年の創立10年突入を目前に、メインのBlogサービス事業とは別の新しい事業を立ち上げようと始めたものだそうだ。開発のために京都に事務所も立ち上げた。京都事務所については、受託開発専門で東京の事務所で自社アプリの開発を行なっている。今回のMANGAkitは東京で開発されたそうだ。
この事業部で「forkN(フォークン)」(電子書籍作成サービス)や「TabImpact(タブインパクト)」(Facebookページ作成ツール)「デコもじ」(ウェブフォントサービス)など次々と新サービスをリリースしている。
開発チームもユニークだ。MANGAkitで言えば、なんと今回お会いした小山さんと松田さんの2人だけだそうだ。普通ならいくら最少人数と言ってもディレクターをヘッドに、デザイナーとプログラマーの3人で開発すると思うのだが、デザイナーやプログラマが代わる代わるディレクターの役割も兼ねてお互いの意思を伝え合いながらサービスを完成させていくという、まさにサービス開発の理想型を実現している。(Android版については男性のプログラマ1人で開発。)
聞くところによれば、シーサーBlogも少数精鋭で運営に取り組んでいる。現在350万ユーザー登録、アクティブユーザーはその約50%を占めているとのことだが、それをプログラマを含め4~5人で運営しているそうだ。とても効率よく運営している。たぶん世の中のBlogサービスでここまで運営のコストパフォーマンスを追求しているところはないのでは? そのパフォーマンスの良さが外部にも好評で、BlogエンジンのOEM提供もされている。ちなみに弊社(ソネットエンタテインメント株式会社)のSo-netブログはOEM提供していただいている。
■「MANGAkit」の使い方
さて、それでは「MANGAkit」についてご紹介していこう。
まず既存の写真を使うか(Album)、今から写真を撮って使うか(Camera)を選んで加工を始める。これは撮った写真を取り込んだところ。
写真を取り込んだところ
写真を選ぶとまずはフィルター加工画面。写真を漫画タッチにするための「インク」フィルタと画質を変化させる「テクスチャ」フィルタがある。(最新アップデートでカラーペーパーというフィルタも加わった)例えば「インク」の種類は10種類、どれかを選ぶとあっという間に漫画タッチに加工される。
フィルター画面
右上の決定を押すと、続いてペイント加工画面に切り替わる。ここでは吹出し画像を始め様々な小道具を画面上に配置させることができる。漫画風のセリフや擬音文字(ギラッ!とか)なども選ぶことが出来る。また、ペンや鉛筆でフリーハンドの線を加えたり、文字を打ち込んで完成させる。
ペイント画面
で、完成したのが下の画像。ここまで数分でできる。保存完了画面ではツイッターにツイートする機能も付いている。
完成画面
■どんどん発展していく現場の創造力・・・
とてもライトな感覚でこれまでの写真加工サービスとは一線を画した作りがなんとも言えず心地良い「MANGAkit」だが、単刀直入な感想をぶつけてみた。
>現在どのくらい利用されているんでしょう?
5月のリリース以降3ヶ月で約53000ダウンロード。これがiPhone版。8月末にAndroid版もリリースし、好調な出だしです。
>インスタグラムや食べ物の写真共有のmiilなどとも肩を並べられるクオリティに仕上がっていると思いますが、加工した写真を共有したり、お互いに感想を言い合ったりするソーシャル機能は盛り込む予定は?
現在、ツイッターへの書き込み機能は搭載しています。ブログも含め、そもそもシーサー自体がソーシャル性をあまり意識していない会社のため、写真共有といった発想をしていませんでした。でも作ってみてそれは必要だと感じたので、これから加えていきたいと考えています。
>せめてフェイスブックにもアップ出来る機能は欲しいのでは?
現在開発中で10月頃リリース予定です。
>今後どんな展開を考えているのでしょう?
今後考えているアップデートは、
・ウエブでも画像が見られるようにする機能、
・4コマ漫画のようなストーリーを作成出来る機能、
・加工した画像の管理機能、
・サーバー連携(ソーシャル共有)機能、
・スタンプなど加工アイテムの提供機能によるコンテンツ課金など、まだまだ予定は、目白押しです。
>こういったアプリ開発は今後も力を入れていくんでしょうか?
自社サービスとしては、10月のリリース予定で
・19box.meのアプリ版(ユーザー好みの曲を次々と流すサービス)
・スマホ専用ソーシャルライフログアプリ(タンブラー的に使えるもの)を現在開発しています。
シーサーとしては、Blogサービスを主軸でいくことは変りないですが、これからはblogサービスとのソーシャル連携なども考えていきたいと思っています。スマートフォンアプリの自社開発はもちろんのこと、受託開発にもさらに力を入れていきたいと思っていますのでぜひご用命ください。
>どうもありがとうございました。
■ソーシャルになれるアプリジャンルはまだまだある・・
ツイッターやフェイスブックが全盛となり、インターネットがポータルの時代からソーシャルの時代に変わり、そこに蠢くサービスも信じられないくらいの勢いで変わってきている。
ショッピングサイトにソーシャルの機能を組み合わせた「Fancy」や「Pinterest」や、ネットラジオのソーシャル版「Spotify」や「pandra Radio」。
また写真をサイトにアップするときも、直接フェイスブックやツイッターにアップさせるのでなく、風景はインスタグラム、食事はmiilなど分別アップ。
つまりサービス側にはまだまだジャンルの分だけソーシャルになれる余地があるとも言える。ピピンと来たら、いまならまだ参入可能かもしれない。
「MANGAkit」はそういった開発側のワクワク感も大いに煽ってくれるサービスだと感じた。
■参考リンク
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シーサー株式会社
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MANGAkit(マンガキット)
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forkN(フォークン)
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TabImpact(タブインパクト)
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デコもじ