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miil(ミイル)でわかる、いまどきのソーシャルメディアの本質

2012/02/24 17:30
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■ソーシャルメディアは相変わらず熱いぜ!

米フェイスブックが2月1日、新規株式公開を申請した。株式時価総額は1000億ドル(約7兆6千億円)とも見込まれ、日本企業で言えばトヨタ自動車に次ぐ2位のNTTドコモ並みの規模だそうだ。

かたや国内でも、2月7日に発表されたDeNAの第3四半期売上高が、341億5300万円、営業利益は135億4900万円。グリーの10月から12月の第2四半期が、売上高で415億2900万円、営業利益で225億3500万円と、売り上げ、利益共に初めてグリーがDeNAに勝つなど、ソーシャルメディア業界は相変わらず熱い。

ソーシャルメディアの何がそんなにユーザーを盛り上がらせているのか。この盛り上がりは一過性のものではないのか。そして、これから我々はどうこの新しいメディアと接していけばよいのか。そんな思いを募らせていたとき、話題を共有していただけそうな方と、たまたま話しをする機会が実現した。今回は「いまどきのソーシャルメディア」を生み出した作者の試行錯誤の経験を通じて、ソーシャルメディアの本性に迫ってみたいと思う。

お相手をしてくださったのは、六本木界隈で有名な飲食店「豚組」オーナーで、(株)グレイス代表取締役の中村仁氏。「豚組」をツイッターを使って大人気店にした成功事例をお持ちなのはもちろんの事、(株)FlogAppsを立ち上げ、昨年10月に、食に特化した写真共有ソーシャルサービス「miil(ミイル)」をリリースさせるなど、ソーシャルメディアのエヴァンジェリストでもある。


(中村仁氏)

■飲食業界をソーシャルメディアで活性化

中村さんは(1992年)大学卒業後、家電メーカーにて営業企画、外資系広告代理店勤務を経験。その間に「食文化」に興味を持ったことがきっかけで、広告会社退職後、飲食業界に進出。その頃から、日本の食文化は中小の個人店が支えていることを実感するようになったそうだ。そして自分でやるなら、自分の店だけでなく、中小の飲食店全体が元気になることをやってみたいと考えていた。

「豚組」は開店時から、ツイッターを活用して、顧客とのコミュニケーションを強化した。それが功を奏して繁盛店となり、ソーシャルメディアは中小店の活性化にとても効果があることを身をもって確信したという。その成功の秘訣をまとめた『小さなお店のツイッター繁盛論 お客様との絆を生む140文字の力』(日本実業出版社)も出版されている。

そこで「豚組」で得たソーシャルメディアの恩恵を、他の飲食店と共有して、もっと飲食業界を楽しくしたいと思うようになった。

しかし、ツイッターには、飲食以外も溢れんばかりの情報が掲載されており、ちょっと書き込んだくらいではその中で結果をだすのは非常にハードルが高いことを実感した。ただその時、成功のカギは「顧客とのエンゲージメント(忠誠度・貢献度)を高めること」、そしてソーシャルメディアは最も有効だと確信していたそうだ。もっと気軽に顧客とのコミュニケーションの質を高められる手立てはないものか・・・。

ならば、顧客との会話をより簡単に充実させられるツールを作ろうと思い立ち、「KIZNA(キズナ)」というソーシャルサービスを開発することになった。

このアプリは、諸事情によって株式会社SIIISへ移管することとなったが、「KIZNA(キズナ)」の経験をもとに、さらに強力な「食のソーシャルサービス」を立ち上げようと意欲は頂点に達した。そこから生まれたのがmiil(ミイル)である。


miil(ミイル)アプリのトップ画面

■miil(ミイル)の意外な使い方

外食産業は、まだまだネットアレルギーが強い業界。なので口コミサイトをはじめインターネットに関してはかなりの抵抗感がある。ネットを活用しているという状況にはまだまだほど遠いのが現状だ。そんな状況を鑑みて中村氏は、飲食店とネットの仲立ちをしようと思ったという。それがmiilを作った源流にもなっている。

開発は2011年7月から10月の約4ヶ月。メインの機能は、食べた料理や飲み物をできるだけ美しく撮影し、コメントと共にオンラインで共有するという、食べ物に限定した写真共有サービス。できるだけシンプルで使いやすさを心がけた。ただ、デザインだけは妥協しなかったそうだ。食べ物は見た目も大切だからだ。

そして昨年10月末に完成。こまめにバージョンアップも続け、現在数万人がアクティブに利用している。

miil(ミイル)は、今、誰が、どんなお店で、どんなメニューを食べているかを共有することに優れているわけだが、そのリアルタイムの食の情報から、様々な利用者ならではの使い方が生まれているという。


miil(ミイル)はFacebookやTwitterとも連携できる

例えば、ミイル上で「食べたい」ボタンを押すことで、いまお店で食事をしている人とつながることができる。これがきっかけで、「おいでよ!」と誘われて、一緒に食事してしまう人たちも現れる。つまり、食を通じて友達になるという現象が生まれているのだ。サービスを開始してすぐにこうしたユーザーが現れることは期待以上だったそうだ。

また、人気の飲食店が並ぶだろうと予想して作った「HOT」コーナーでは、フタを開けてみれば一番人気のメニューは、「自宅」での食卓メニューが並ぶ。「これ作っちゃいました」と、飲食店顔負けのメニューが次々と並んでいる。「食べたい」とボタンを押せば、「じゃ、これからうちにいらっしゃい」と、見知らぬ人同士が「食卓メニューでつながる」なんてことも始まりそうな気配なのだ。

さらには、主婦のユーザーからは「miilのおかげで家庭での料理が楽しくなった」という声が多く寄せられているそうだ。これまで家庭での料理は「孤独な作業」となりがちで、なかなかやりがいを感じることは少なかった。しかし。miilで手料理を公開し、「おいしそう!」「すごい!」というコメントが寄せられることが、料理のやりがいにつながる。家庭での料理を、日々「作品」として発表できるようになったというわけだ。

■ソーシャルメディアの本質をmiil(ミイル)に見る

中村氏の説明によれば、これまでのグルメサービスとmiil(ミイル)は、明らかな情報の構成の違いがあるという。


miil(ミイル)にはほかのグルメサービスと明らかな違いがある

それは、グルメサービスでは「店」がデータの主役であったのに対して、miilでは、データの主役はあくまで「個人」になっており、食の情報は、基本的に個人(ユーザー)にぶらさがる構造になっている。おいしそうなものを食べている人をフォローするとその後その人が情報源となって、食の情報がタイムラインに並ぶようになる。そして「食べたい」をクリックすることで、友達の食事に対する共感が生まれるのだ。

自分が食べたいものを食べている人は、次も自分が食べたいものを食べるに違いない、という因果律(カルマ)的な意図に基づいたサービスになっている。これは、ソーシャルメディアすべてに言えることなのではないか。

ここから中村氏は、miil(ミイル)には日本の食生活の縮図が垣間見れるともいう。例えば、閲覧の人気上位が「自宅の食事」であることから、外食の比率はそれほど高くないことがわかる(当初利用者は、首都圏が中心なので外食が多いのではと思っていたそうだ)。よそ行きの食事ではなく、等身大の食事が人気になっている。

これを広げて、miil(ミイル)を多言語化すれば、他の国々の食文化も見られるのではと中村氏は想像を膨らませている。イタリアで本当に日常で食べている食事はスパゲティではなかったとか、チベット人はとても日本人と似た食文化を持っていたとか(あくまで仮定の話)、もはや、食の行動が集まれば、外国の人たちのリアルな日常が見え、文化や言葉の壁を越えて人々のより深い理解やコミュニケーションに繋がるかもしれな。

中村氏は、この食生活の共有こそ、miil(ミイル)の最大の価値になるのだと言う。ソーシャルメディアの本質は「生活情報の共有」に他ならない。

現在miil(ミイル)に日々写真投稿している人は、デイリーで総会員数の約10015%。マンスリーでは35%。かなりの人が写真投稿をしている。起動者数で見れば、月間でなんと登録会員の65%がアクティブで、日々利用しているのだという。

ソーシャルメディアが定着してきたことで、様々な産業の動きが変わってきている。飲食業は、その中でもソーシャルメディアの影響を受けやすい業界だと思う。中小の飲食店を、ソーシャルメディアで活性化させ、日本の素晴らしい食文化を元気にさせようという中村氏の努力から、日本の産業全体を元気にさせる糸口が見つかる気がしてならない。


参考リンク

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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