■アプリビジネス参入の救世主現わる!?
調査会社大手のMM総研によれば、2011年度上期(4月~9月)の国内携帯電話端末のの総出荷台数は前年比6.0%増の2,028万台。久々の半期2000万台越え。そのうちの49.5%(約半分)がスマートフォンで、その約8割がAndroidスマートフォンだったそうだ。
また、アプリケーションストアに関する分析を行なっているDistimoの調べによれば、Android Marketでは現在(2011年10月時点)約13万本(134,342)の無料アプリケーションが提供されているとのこと。方やApp Storeでの無料アプリケーション本数は約12万本(121,845)。
洗練されたアプリと言う意味では、AppStoreに軍配が上がるのだろうが、スマホアプリの時代到来であることは間違いない。ちなみに2011年の全世界におけるアプリダウンロード数については年間290億回を上回る予想(米ABIリサーチ社)。これは昨年(2010年)の約3倍になるのだそうだ。
そんなスマートフォンアプリ市場に、誰しもが関わりたいと思う最中、プログラミングの知識がなくても簡単にAndoroidアプリが作成できるツールが、この11月に登場した。オンラインで自由にオリジナルの検定クイズが作成できる「けんてーごっこ」など、e-ラーニングに力を入れている「学びing(まなびんぐ)株式会社」が開発した「AndroQ(アンドロキュー)」というオンラインサービスだ。
■Androidアプリが誰でも作れる!
通常は、AndroidアプリならJava、iPhoneアプリならObjectiv-Cの知識やアプリ生成のための総合開発環境が必要になるが、AndroQはなんとオンラインでテキストを入力してゆくだけでアプリができてしまう。
これまでも比較的プログラミング技術がなくてもアプリが作れるサービスはいくつか存在する。
Google Labsが公開している「App Inventor for Android」はその代表。しかし、それでもアプリのしくみについての予備知識がなければ、ど素人にはかなり難しい。
そんなプログラミング知識ゼロの人でもサクサクAndroidアプリがわずか30分程度で作れてしまう夢のサービスがこの「AndroQ」である。
■AndroQってこんな感じ・・・
では実際に作ってみよう。例えば「AKB48クイズ」(私は自分クイズにしてみた)を考えてみる。
※アプリ制作はhttp://qapp.kentei.cc/をクリック
◎AndroQホームページで会員登録をして「アプリを追加する」をクリック
◎アプリケーション名を入力して「確認」をクリック~「登録」
◎するとホーム画面に登録したアプリ名が表示されるのでそれをクリック
(アプリ登録画面)
ここからが面白い!!
◎入力する一覧が表示されているので改めて「アプリ名」「著作情報「クイズ内容の説明」などを入力・確認後、「カテゴリおよびクイズの登録」のところで、問題をインポートするか手入力するか決めるのだが、ここからがAndroQの威力が発揮される。
◎クイズの問題と正解はインポート用の雛形として「EXCELフォーマットのダウンロード」を使う。その雛形に入力し、入れ込んだらそのファイルをオンラインでインポート(テキストファイルとして書き出しておく必要がある)すれば完了、なのだが・・・
クイズの問題を作るのはかなりの手間がかかる。手間がかかるから意味があるわけなのだが、早くクイズをやってみたいという衝動のほうが先に行ってしまう方のために、クイズにするためのキーワードだけで問題が作れてしまう「Qろいど」というサービスが併設されている。(アプリ登録画面の右側にリンクがある)
(Qろいど)
例えば「AKB48クイズ」を作りたいと思ったら、「Qろいど」でキーワードに「AKB48」と入力。(著作物を利用する場合はあくまで個人で楽しむのが前提)するとあっという間にウィキペディアからAKB48の情報を取り出して、穴埋めクイズの問題にしてくれる。穴埋め部分は手動でカスタマイズも可能。1セット15問で構成されているのだが、「Qろいど」を使うと(検索で情報が引っ張り出しやすいキーワードである必要があるが)、手動で修正していっても、15分くらいで問題が完成してしまう。
こうして、30分もあれば、立派な「AKB48クイズ」アプリが完成。僕の場合は自分のクイズアプリが完成!
(↑写真は土屋夏彦クイズ:オープニング画面)
(↑問題画面、この問題は自動でウィキペディアから拾ってきたもので自分では書いてない)
(↑回答画面)
(↑終了画面)
(↑階級を見る画面)
わずか30分で作ったアプリの画面はこんな感じ。BGMまで付いているので結構本格的だ。ちなみに出来上がったapkファイル(androidアプリファイル)はメールなどで添付して知り合いに配ることが出来る。
■企画運営会社に突撃取材!!
このアプリの企画をされた、学びing株式会社企画営業部の杉本敦さんに話を伺った。
「とにかく、誰でも簡単にアンドロイドアプリが作れるサービスを心がけました。今回は特に、アンドロイドマーケットで不特定多数に配布するのではなく、個人的に友達に配布したり、会社内だけで使えるアプリを作りたいと思っている人に向けて考えました。」
アンドロイドマーケットで配布するには、サイトにデベロッパ登録をしたり、アプリのアップロードなど、難しい段取りが必要になるが、AndroQはあくまでメールの添付資料で、知り合いに配布することができる。「そんなものでも、十分みなさんに楽しんでもらえるのではないでしょうか。」と杉本さんは語る。
私は仕事柄、アンドロイドアプリの企画・制作・配布も手がけているが、クイズ形式のものしか作れないという制限はあるものの、これほどまでに簡単にアプリが作れてしまうことに感動した。
現在は、問題数の上限が300問だったり、クイズの構成もあくまで雛形に沿ったものだったり、また、facebookなどのコミュニケーションサービスとの連携ができないなど、まだまだ開発の余地はたくさんあるが、杉本さんは「利用者の声を拾って、さらなる利便性の向上に努めて行きたい」とおっしゃっていた。
「11月はテスト期間として、すべて無料で登録からアプリ書き出しまでできるので、ぜひアンドロイド携帯をお持ちの方は、その楽しさを体験してみていただければと思います。」
■アプリの未来がさらに楽しくなってきた・・・
(杉本氏)
杉本さんによれば、今後は一部有料サービスにする代わり、利用者からの様々な質問やカスタマイズにも対応してゆくとのことなので、試しに社内アンケートをアプリで取ってみようとか、勉強の予習復習をアプリで楽しみながら実習してもらおうなど、簡易版とは言え、様々な利用の仕方に合わせた無限の可能性を秘めている。
私の職場での代表的なサービスでもある「Postpet(ポストペット)」という簡易メールソフトをご存知の方も多いと思うが、2000年初頭に、これが普及したことで、メールに対する意識が全く変わったことを思い出す。
事務的なメールという行為を、ピンクのくまさんが運んでくれることで、誰しもが、メールをする楽しさを味わうことになったように、こういった簡易制作サービスが普及することで、アプリの世界もさらに身近に楽しくなってゆく予感がする。
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