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スマホ依存症候群〜人はなぜそこまでケータイに委ねるのか

2011/11/12 14:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■スマホ旋風が吹き荒れる・・・

ついにソフトバンクの独占販売態勢が崩れ、auもiPhoneを発売。携帯電話各社が11月8日に発表した10月の携帯電話契約数によれば、上位はすべてソフトバンク版iPhoneとau版iPhoneが独占。これによって、auの2011年10月の純増数は、NTTドコモを抜き2位で、首位ソフトバンクモバイル(SBM)を猛追。ナンバーポータビリティによるauへの他社からの流入では約7万件と、ドコモから流出(7万5千件)した大半をauが受けた形となっているらしい。各社アンドロイドへの移行も順調との報告もあり、10月はiPhoneを中心としたスマホ旋風に吹き荒れた。

私も何を隠そうiPhoneユーザーで、先日auのガラケーをiPhoneにチェンジした者の一人なのだが、今回は、そんなスマートフォンにまつわるリアルサスペンス。東野圭吾風のタイトルでご紹介しよう。

■シーン1.落胆る(おちる)

先日、たまたま携帯電話(iPhoneですがスマホで統一)を忘れたまま取材先に向かってしまった時のこと。

気がついたのは、取材先の会社付近の地下鉄の駅改札を出て地上に出たとき。いつものように、行き先の会社の場所をスマホのGoogleマップで確認。かばんの中を探すと「ない!」今日は朝から携帯を使ってメールの確認やら取材先の会社の場所などを確認していたために、かばんの中に入れずに家のどこかに忘れてきてしまったらしい。

取材先の会社に伺うのは今回が初めて。訪問先の住所や連絡先などは、すべてカレンダーアプリに登録してあるため、手元には何の情報もない状態。だいたいの場所はうろ覚えだが、なんとなくイメージがあったのでまずは、そのあたり周辺を散策。ビルを片っ端から入っては入居している会社名を見て回る。しかし、目当ての会社名はどこにもない。探すこと10分。予定の面会時間まであと20分、焦りがこみ上げてくる。

だが、この辺だという場所の確信が持てなかったため、このままでは探せないと判断。近くの交番に行って聞いてみようと、今度は交番を探す。ところが、こういうときに限って交番が見つからない。もちろんいつものようにマップで「交番」と検索することもできない。交差点の角だとか、丁目が変わる場所とか、交番のある場所の法則もわからない。少なくともこのあたりにはどこにも見当たらなかった。さらに焦りがこみ上げてくる。この時点で予定の面会時間になってしまった。

だったら公衆電話を探そう。そう思ったものの、会社の電話番号はわからない。会社のホームページを見たとき、電話番号は確か書いてなかった。でもどっかにかけて訪問先の会社の手がかりを探す・・。それくらいしか会社につながるすべは思いつかないのでとにかくやるだけやるのだ。

■シーン2.殺気す(さがす)

公衆電話、公衆電話・・。「ない!」町のどこにも見当たらない。昔だったら交差点付近や大きなお店の店先にはだいたいあったものだ。何十年か昔、ラジオの生中継をする際に、無線が通じにくい場所からの中継の際は、店先の公衆電話に装置をセットしてやったもんだ・・・。あのときは、どこにでも公衆電話があった・・・。そんなことが思い出された。しかし今やどこにも見当たらない。汗がにじむ。

そうだ、駅の周辺ならあるかもしれない・・・。先ほど出てきた地下鉄の駅にすぐに向かった。階段を3フロア降りる。深すぎるぞ地下鉄・・・。そう思いながらも、あることを祈りながら階段を駆け下りてゆく。「あった!」駅改札の横にポツンとグレーの公衆電話が見えた。助かった・・・。ネット対応にもなっている。あ〜パソコン持ってりゃ繋げたのに・・・。だったらパソコン自体をWi-Fiで繋ぐぜ・・・。

公衆電話はあったが、ここで改めて、自分の覚えている電話番号の少なさに驚いた。自分の携帯、自宅、実家、自分の会社・・・。このくらいしか覚えていない。その他はすべてスマホの住所録アプリの中なのだ。昔は手帳などに書いていたが、そもそも手帳の住所録を毎度毎度書き直して、修正修正で真っ黒になっていたのがいやだったからスマホの住所録に統合してしまったのだ。

自分の携帯番号、これはたぶん無人の自宅にかかるだけなので却下。自宅、これも同様だ。実家、母親は70を越えてもアクティブなので、まず出ないとは思うが、もしかしてつながっても、これから行く会社をパソコンで調べてくれとも言えない。そんな能力はない。自分の会社。これが曲者だ。昔だったら代表電話番号に電話すれば、誰かが出てくれて何らかのヘルプをしてくれただろう。いまや、ダイレクトコール。自分の部署の、それも自分の席の前の電話にしかかからない。この時間、部員は出払っている。秘書でもいれば良かったが、残念ながら今はいない。近くの席に座っている他の部署の社員は自分の管轄外の電話には出るなと教育されている。誰も出ない確率が高い・・・。孤独感が襲う・・・。

あ、そうだ、電話番号案内にかければいいんだ。よく気がついた。焦る気持ちをなだめながら、すぐに104を回した。「硬貨を入れてください」まだ入れていなかった。公衆電話は硬貨を入れなければ電話できないのだ。そんなことも忘れていた。財布を捜した。こんなときに限って100円玉だけ、それも300円。チャンスは3回しかないってことだ。その先は、紙幣をどこかに崩しに行かねばならなくなる・・・。緊張感がつのる・・・。

■シーン3.悶々く(もがく)

まずは104で、行く先の会社の電話番号を聞いた。会社名と今いる場所の区を言って待った。「見当たりません」え〜〜、登録がない?。この近くにあることは確かなの・・・。やはりホームページにも書かれていない会社の代表電話番号など、登録されていないのかもしれない。埒があかないので一旦切る。

電話を切ると100円が戻ってきた。番号案内は硬貨は必要だが無料なのだ。これだけが救いだった。では、こうなったら絶対誰かが出そうな友人の会社の番号を聞こう。知り合いの会社だったらいろいろ調べてもらえるかもしれない。ものすごい回りくどいやり方だとはわかっているのだが、スマホを忘れてきたがためにできることはそれくらいなのだ。

もう一度104を回して友人の会社の名前とおおよその場所を告げる。「見当たりません」この会社も登録されていない。ではこの会社は?・・・「見当たりません」 おいおい、僕の知り合いの会社は番号案内にことごとく登録されていないではないか・・・。もはや万事休す。

アポの時間はとっくに30分以上過ぎている。だめもとで自宅にも電話してみた。呼び出し音が鳴る。1回、2回、3回、「ただいま留守にしております・・・」お〜〜誰も出ない上に今度は100円がなくなってしまった・・・。

ふと、何か持ってるだろうと思った。知り合いの会社の名刺があれば、そこに電話できる。名刺はあったのだが、どれも最近会った一度きりの人の名刺ばかり。笑ってる場合ではない。そんな人にいきなり電話して「先日お会いした土屋ですが、○○という会社の電話番号を調べてもらえますか?」などと聞くわけにも行かぬ。

でも一枚だけ、その希望がありそうな名刺を見つけた。すぐに電話してみた・・。ちょっと古い名刺。「お客様の電話番号は現在使われておりません」もはや落語の世界だ・・・。これならやけくそだ、実家、会社。どれも留守電。300円がパア。やらなきゃよかった・・。

■シーン4.錯乱す(みだす)

家に置き忘れた携帯電話には何度も先方から電話がかかていることだろう。その履歴をあとで見ることを考えるだけで心が折れてゆく・・・。そうだ、知り合いにメールを送って連絡してもらおう。そんなことが頭をよぎったが、スマホを持っていない今、そんなことはとうにできないのだ。

なぜ、訪問先の会社の連絡先や住所などを紙に目盛って置かなかったのか・・・。反省を通り越して、自分を責める・・・。少し前だったら、googleマップを使ったにせよ、プリントして持ち歩いたもんだ。いまやそれすら持っていない。googleマップをプリントするのは、レストランの10%オフクーポンくらいなのだ。

時間も十分過ぎてしまっているいま、もはやなすすべもなし。完全にあきらめて、自宅に戻ることにした。家にさっさと戻って、謝りの電話しよう・・・。ほかにも家電量販店のPCコーナーやスマホコーナーで調べるとか、インターネットカフェに行くなどいろいろ考えたが、その場所を探すくらいなら自宅に戻ったほうが早そうだと確信した。自宅が都内でまだ良かった・・・。

そうなのだ、すべてはインターネットに依存しているのだ。インターネットさえあれば何か困ったことを解決できるすべがいくつもできる。ここで改めて自分の生活がスマホに依存していることを悟った。スマホ依存症候群に侵されている・・・。

早く自宅に戻ろうとタクシーに乗る。乗ったとたんに土砂降りの雨。傘も持ってなかったので助かった・・・。電車で戻ってたら、こんな惨めな状況にプラスして、びしょぬれになっていたことろだった・・・。

そして、アポ予定時間の約1時間半後、無事自宅に戻り、10件以上の留守電の履歴を目の当たりにしながら、先方に謝りの電話を入れた。先方は「急に風邪でも引いたかと思ってました」なんて言ってくれて・・・涙が出た。なんとか先方も理解してくださって、次回のスケジュールをいただけることになったので、事なきは得たのだが・・・。

■シーン5.反省る(くいる)

今回の件で、改めて自分の生活が、携帯電話やインターネット、特にスマートフォンへの依存度の大きさに恐怖を覚えた。スマホ依存症候群なのだ。これが、自分の会社に行くとか、場所を知ってる親戚の家に行くとか、自分だけで町をウォーキングするとかだったら、万が一スマホを忘れてきてもなんとかなっただろう。

そもそも初めての会社に訪問するといった場合、スマホにすべてを任せておくのはとても危険なのだ。今回はスマホを自宅に忘れたと、忘れた場所もある程度特定できていたので、まだましだったかもしれない。(実際帰宅するまではそれすら怪しかったが)どこに置き忘れたかもわからなかったら、更なる困難が待ち受けているのだ。そんな経験は誰しもあるのではないかと思う。そんな経験のある方からすれば、私の大混乱ぶりも滑稽に見えるかもしれない。しかし、この経験から導き出される現状への反省は、深刻なものがある。

昔のように、住所や連絡先は紙に書いておくこと。地図もプリントして持参すること。言ってみればあたりまえのことなのだが、そんな過去の習慣にはもう戻れないのだ。ETCのカードを付け忘れたら高速道路に乗れない(実際は現金を払えば乗れる)とか、携帯電話を持ってなかったら電車に乗れないくらい(これも現金があれば乗れるわけだが)、自分を追い込んでゆかねばならないのだろうか・・・。

今回もスマホでお財布ケータイを使っていれば、自宅付近の駅で気がついて取りに戻れたかもしれない。そう考えると恐ろしい世界になった気がしてくる。もう昔には戻れない、世の中はどんどん進化して、その便利な生活があたりまえになればなるほど、万が一のことが起きたとき、その対応はこれまで以上に困難を極める・・・。それはまるで原発事故のごとく深刻な話だと思うのだ。

アドビもついにモバイル版「Flash Player」の開発を中止し、これからはモバイルソフトウェア開発の分野ではHTML5に注力すると発表(11/10)したようだ。亡きスティーブジョブズがアドビに引導を渡していたことが現実のものとなったわけだが、これはまさに、これからさらにインターネットに関する技術開発は「モバイル」にシフトしてゆくことを意味している。

スマホで生活を便利にしてゆくと同時に、スマホを忘れたときの対処にも最善の注意を図ってゆかねばならない時代なのかもしれない。


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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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