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BS新時代 ~日本のテレビは進化するのか・・・

2011/10/03 11:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■BSデジタルの普及が整った・・・

10月1日、BSデジタル放送が現行の12チャンネルから24チャンネルに拡大した。これは7月24日の地上波アナログ放送の終了とともにアナログBSでも、NHK BS1(BS7チャンネル)、NHK BSプレミアム(BS11チャンネル)、WOWOW(BS5チャンネル)が終了し、その空いた周波数の有効活用によるもの。

「WOWOW」と「スター・チャンネル」が1チャンネルから3チャンネルに、さらに、アニメ専門チャンネル「BSアニマックス」、競馬関連番組の「グリーンチャンネル」、「BSスカパー!」など計12チャンネルが新たに加わった。

さらに、来年3月には第2弾として「BS釣りビジョン」「日本映画専門チャンネル」「ディズニー・チャンネル」など7チャンネルが加わり、NHK、BS日テレなど地上波局のBSも含め、テレビ放送29チャンネル、ラジオ放送1チャンネル、データ放送1チャンネルの計31チャンネルになる。

この動きについて、社団法人デジタル放送推進協会(Dpa)の間部耕苹(まなべ こうへい)理事長は9月20日の会見で、「地上波のデジタル移行によって、地デジ/BS/CS対応のテレビやレコーダーなど、3波対応受信機器の普及が進み、累計の出荷台数は1億1000万台を超え、BSデジタル放送を視聴する環境が整った。さらにチャンネル数が増えることを機に、BSデジタル放送の普及を進めたい」と語っている。

■有料多チャンネル放送の問題点・・・

例えばWOWOWは、今回の改編で「視聴料据え置きで選べる3チャンネル」を掲げている。視聴料は2415円そのままで、「プライム」「ライフ」「シネマ」の3チャンネル(それぞれ24時間)すべてを自由に選んで視聴できるのだ。これまで1チャンネル分だった選択の自由が、なんと3チャンネルに広がったというわけだ。

ここまで大盤振る舞いしてまでチャンネルや編成を強化する意味は、日本の有料テレビ放送の未成熟度に端を発していると思われる。

米国では、3大チャンネル+1と言われるABC、NBC、TBS、FOX以外はほぼすべて有料放送。その無料の4大チャンネルも、夜の看板番組が並ぶプライムタイム(20時~23時)とニュース以外は再放送などが多い。もちろん大リーグやNBAなどの人気スポーツ中継は無料の地上波では流れず、すべて有料。米国の視聴者にとって、視聴番組の選択は「お金を払って見る」のがあたりまえになっている。

ところが日本では地上波7チャンネル(NHKも含め)に加え、BS放送も9チャンネルが無料で放送、野球中継からJリーグ、ワールドカップなどのサッカーまで、大衆を惹きつけられる決定戦は、無料の地上波で見られてしまう。スカパーやWOWOWなどの有料多チャンネル視聴者が300万世帯程度で頭打ちとなっているのもうなづける。

日本での有料多チャンネルは「コレクター向け」チャンネルのイメージが拭いきれない。誤解を恐れず言えば、日本人は「無料ならスポーツ中継中に広告が挟まるのもやむなし」と思えてしまうほど忍耐強いとも言える。

■タイムシフトとコンテンツシフト

BS放送に携わる専門家によれば、現在テレビ放送は、タイムシフト現象(録画で視聴する人が増え続ける)と、コンテンツシフト現象(テレビ以外での視聴が増え続ける)の2つの大きな変化が止まらない、この大きなうねりにどう対応してゆくかがテレビ業界の未来への鍵となっていると語る。

「タイムシフト(録画視聴)」してゆく視聴者をチャンネルに留まらせる(囲い込む)にはどうしたら良いか。各社が力を入れているものが「見逃し視聴サービス」と言われるインターネットによる「オンデマンドサービス」だ。先週見たかった番組が見れなかったからほかのチャンネルの番組でいいや・・と他に流れないようにするために、我がチャンネルは「見逃したり録画し忘れてもサービスしまっせ」というロジックだ。オンデマンド視聴はチャンネルで選択するわけではなくなるが、それでもチャンネルの存在感は残されるというわけだ。

これは、YouTubeやUstream、さらには、米国ではすでに地上波を食いつぶしたと言われているHuluやNetflixなど(HuluはKDDIとの提携で日本上陸がすでに決定している)、インターネットによる動画配信へ視聴者が流れてしまう「コンテンツシフト(他メディア視聴)」への歯止めの役割も担っている。

NHKは約3年前からNHKオンデマンドを開設。いわゆる「見逃し視聴」を補う方策としてインターネットでの過去の番組やニュースの配信サービスを始めている。今年6月の報告書によれば、月間売り上げが約7000万円(5月6943万円)、配信番組数約5000本に対して、76万件の視聴数となっている。(月間見放題 1か月945円(税込))

■ハイブリッドキャスト

NHKオンデマンドで定時のニュースを見逃し視聴されたことがある方もいらっしゃると思うが、録画する程ではないが、あるなら見ておきたいというようなものにはかなり効果をあげているようだ。しかしその程度の動機で、月額945円という値段はちょいと高いとも思えるが、月間76万件という数字はそんな中から搾り出されたもの。局内外からも評価されていることから、各局もハイブリッドキャスト(テレビとネットの両方でサービス)するのはもはや当たり前の状況になってきている。

しかし、インターネットの世界から見れば、facebookの利用者が世界で7億人(日本で480万人)、ソーシャルゲームサイトのgreeで2641万人(2011年6月末現在の国内数)。greeの有料利用者数は公表されていないが、4半期売り上げ(4~6月課金売り上げ約183億8700万円)から推察すると、1人当たりの月間利用額を1000円と見積もっても月間613万人。NHKオンデマンドも含め、日本でのネット動画の有料視聴はまだまだと言わざるを得ない。

■視聴者は多チャンネルを望んでいるのか・・・

2000年12月にBSデジタル放送が開始されてから約10年、多チャンネル視聴の波は徐々に広がってはいるが、業界に詳しい専門家から聞くと、多チャンネルの認識度は未だ、一般視聴者のわずか20%程度でしかないと言う。

今回のBS新編成の動きは、地上デジタル化の話題も相まって、確かに有料多チャンネルの認識度をアップさせることには大きく貢献すると思う。しかし、まだまだ腑に落ちないこともある。それは、多くの視聴者が、こんなにチャンネルが必要なのか、そして今のようなチャンネル主体の視聴スタイルを本当に望んでいるのか、ということだ。

米国を例にとれば、HuluやNetflixなどに地上波が取って代わった最大の理由は、チャンネルに依存しない、ジャンルで見たい番組が探せたり、よく見る番組からレコメンド番組を自動で探してくれたり、情報が送られたりする、いわゆるスマートTVの世界に、視聴者が最大の魅力を感じたからなのではないかと思うのだ。米国ではチャンネルブランドは崩壊しているのだ。

■日本らしいテレビの進化形とは・・・

放送業界本来の目的は、堅固な放送局を維持することではなく、時代の流れに対応した新鮮なコンテンツを継続的に供給できるようにすることではないか。業界関係者からも、日本の多チャンネル化の手法に疑問を持つ意見も出てきている。専門チャンネルは1ジャンル1局に整理し、コレクターを惹きつけるコンテンツは、すべてオンデマンドサービスに移行させるくらいの改革が必要だと言うのだ。

これは私も同意見だ。このことで無駄なコストも削減できるし、結果、視聴料を安価にすることも可能。20代~30代の若者たちのテレビ離れも防ぐこともできる。さらには検索やソーシャルコミュニティーとの親和性も増し、ユーザビリティーも格段にアップできるに違いない。何より、それによって、コレクター(少数派)の意見が十分反映され、コンテンツのクオリティーも増す。

スマートフォンが出てきて、携帯電話が、日常的にわくわくしながらアプリを捜し求めるマシンに変化したように、テレビも確実に進化すべき時代。新しいBSが、旧態依然としたテレビの皮を剥ぎ取ってくれることを期待したい。

■■(既存のBSチャンネル)12チャンネル

NHK BS1 101
NHK BSプレミアム 103
BS日テレ 141
BS朝日 151
BS-TBS 161
BS-JAPAN 171
BS-フジ 181
BS-11 211
BS-TWELV 222
放送大学 231
放送大学(ラジオ放送) 531
Weather Channel(データ放送) 910


■■(10月からのBS新チャンネル)12チャンネル

★新しいチャンネル(6チャンネル)

グリーンチャンネル 234
BSアニマックス 236
FOX bs238 238
BSスカパー! 241
J SPORTS1 242
J SPORTS2 243


★1→3に増えたチャンネル(6チャンネル)

WOWOWプライム 191
WOWOWライブ 192
WOWOWシネマ 193
スター・チャンネル1 200
スター・チャンネル2 201
スター・チャンネル3 202


■■(来年3月からのBS新チャンネル)7チャンネル

BS釣りビジョン
日本映画専門チャンネル
ディズニー・チャンネル
IMAGICA BS
J SPORTS 3
J SPORTS 4
D-LiFe(仮称)



(リンク)

■社団法人デジタル放送推進協会
http://www.dpa.or.jp/
■BS!Site
http://bsman.jp/
■日本における衛星放送
http://ja.wikipedia.or.jp/
■WOWOW3チャンネル
http://www.wowow.co.jp/3ch/
■NHKオンデマンド2011年4~5月動向
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/shiryou/soukyoku/2011/06/008.pdf
■10月1日開局「新BS」とは?--有料加入者拡大に各社意気込む(2011/09/23)
http://japan.cnet.com/digital/av/35007951/
■新BS始動、10月1日の本放送を前に8事業者が一堂に(2011/09/21)
http://japan.cnet.com/news/service/35007818/

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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