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「FlipViewer」にブロードバンドメディアの社会変革を見る

2011/05/16 16:30
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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上智大学出身のマスコミ関係者約2000名の会員で構成される「マスコミソフィア会」(会長:濱口浩三元TBS会長)の定例講演会で、去る4月21日(木)、「ITの進化とメディアの将来」と題したセミナーが行われた。近年進化がいちぢるしいブロードバンドメディアとしての「電子書籍」の未来を窺い知れる内容だったのでご紹介したい。

講演された方は、イーブック・システムズ(株)代表取締役の岡崎眞氏。イーブック・システムズは、シンガポールに本社を置くE-Book SystemsPte Ltd.社を母体に、2004年に設立、ソフトバンク クリエイティブ株式会社、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社などが株主に名を連ねる、電子書籍関連のソリューション提供会社である。



(講演会の岡崎氏)

■FlipViewerで変わる電子書籍の未来

彼が紹介してくれたのは「FlipViewer」という電子書籍を表示させるビューアーである。電子書籍を表示するビューアーは数々発表されているが、岡崎氏がこのビューアーを選んだ理由として、特許として様々な機能が保護できる点と、優れた閲覧性を挙げている。



(FlipViewerホームページ)

電子書籍は、いわゆるフィーチャーフォンでのビジネスでは、携帯小説や電子コミックで、ひとつの分野を築くまでにはなったが、これらは、あくまで、数百円程度の価値のもので、小説やコミックそのものの価値には程遠いものだ。それは、ユーザーが支払う価格としての価値は、コンテンツの内容ではなく、コンテンツを取り巻く「器」だからではないかと岡崎氏は言う。

リアルな本を思い浮かべて欲しい。ハードカバーは新刊本、豪華な装丁が魅力、調度品としての価値もある、そういうことで高くて納得。しかし、仮に新刊として出版されたベストセラー作家の本であっても文庫の形であれば500円前後の値段しか付けられない。つまり、コンテンツにいくら支払うかは、内容ではなくて入れ物(器)の値段だと豪語する。電子書籍も、これまで、入れ物はHDD(ハードディスク)のスペースであって、限りなくタダに見えたというのだ。では、電子ブックはどこに価値を見出すのか・・・?

ところが、昨年から利便性や表現力のあるブックリーダーとしてのiPadやAndroidなどのタブレット機器、そして、その上に載っている多種多様なアプリの登場で、電子書籍ビジネスの利便性(器の価値)が大きく変わってきたと言う。

岡崎氏は、求められるビューアーの中核は表現の多様性だと捉えている。そこで様々なビューアーを求めて世界を捜し歩いた結果、たどり着いたのが、この「FlipViewer」だと言う。

■何を継承して何を電子化するか

電子書籍化の波は、大きく分けて2通りあると言う。ひとつは、紙の本のシミュレート。すべての仕様は紙の本と一緒。紙でなく、メディアが電子ブックリーダーに変わっただけのもの。そしてもうひとつは、紙ではできないことを実現させた新しい本の形を創造するもの。岡崎氏は「いつの時代も、新しいメディアは、古いメディアの形式とコンテンツを転用することから始まる」つまり、何を電子化し、何をこれまでどおりを継承させるかが重要になると考えた。

まず、何について既存の書籍の仕様を継承させるべきか。それは、本の厚みではないか。これは今どこら辺を読んでいるかを直感的に知るうえでとても大事な仕掛けである。これまでの電子ブックリーダーには、そのような細かい表現はまだまだ乏しい。ページをめくるアニメーションや栞の挿入など、ある程度の機能はあるものの、本当の意味でぱらぱらとめくる表現(Multi-Flipと言う)は、現在の電子ブックリーダー以上に派手に表現したほうが好まれる。これはたまたまめくったページで、自分の好みの記事に出会えるという意外感につながるものだからだ。(これらすべてシンガポールのE-Book Systems社の特許となっている)



(ぺらぺらめくりMulti-Flip:資料より)

方や、電子書籍として進化させるべき仕様は何か。いくつかの調査から、挿絵や写真は動いたほうが良いものがあることがわかった。また、電子的な文章の特徴であるハイパーテキストをふんだんに使った本に進化させたほうが都合の良い結果も現れた。文章の中の重要語句がすべて注釈とリンクしていたり、さらには、その注釈部分が膨大にあっても電子書籍はびくともしないし、読みにくくもならない。何らかの手順を説明するにしても、文章や写真よりも動画やアニメーションのほうが、はるかに優れている。たとえば、お店紹介も、写真に店先ののれんをかけておき、そこをくぐるような動作で、店内の情報に入り込む、そんな旧来の本にはあり得ない表現こそが電子書籍ならではの表現が一般的になってゆくと彼は考えた。


(雑誌の例1)


(雑誌の例2)


(雑誌の例3)

最後にビジネスをする上で最も重要な収入源、広告をどうするか。広告に関しては、これまでのナローバンド時代のバナー広告はある意味で失敗だったと言う。早く中身を見たい読者に、見たくもないバナーという面積は圧迫感さえ感じさせる。しかし「ページをめくる」という行為は、次のコンテンツが約束されていないため、たまたまめくった先に広告があっても違和感なく取り入れられると考えた。従って、これまでのバナー広告では不可能だったブランディング効果が最大限発揮できるようになると直感したそうだ。広告を閲覧する都度に読者の年齢や職業、趣味などで入れ替わる手法も効果が発揮されるのだ。(これも特許になっている)

そのような仕様をすべて具現化してくれたのが「FlipViewer」なのだ。

■FlipViewerで巻物が書籍へ・・・

さらに岡崎氏は語る。これまで以上の快感でぱらぱらめくれるこの「FlipViewer」は、これまでのウエブの概念をも変える力を持っている。公開はされていないが、この技術を取り入れたASP(アプリケーションサービスプロバイダ:これを仮にFlipブラウザと命名する)を用意すれば、なんと、Googleの検索ページも「ぱらぱらめくり」出来るようになると言う。


(Googleのぺらぺらめくり)

これは、従来のIEなどのインターネットブラウザを、上から下に巻物を広げてゆく「巻物閲覧ブラウザ」と考えると、「Flipブラウザ」によって、ついにウエブ閲覧文化が、古代の絵巻物時代から、製本された本の時代に変わるときなのではないか・・・。これは大変興味ある考え方だと思った。

岡崎氏は、まだまだ、電子書籍の価値を大きく変えられるほどの表現技術は出てきていないように思うと言う。しかし様々な表現力を付加させることで、入れ物の価値を変えることこそが、ブロードバンドメディアで社会革命をもたらすきっかけになることは間違いないようだ。

(参考リンク)

イーブック・システムズ(株)
http://www.ebooksystems.co.jp/

FlipViewer
http://www.ebooksystems.co.jp/products/FV-download.php

FlipBook
http://stage.flipviewer.com/flipbooks/

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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