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人生で大切なことは全部ラジオで学んだ...(その4)

2010/12/14 20:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■スッチーの刑!?


(写真:2010年12月14日:SANSPO.COMより)

英ヴァージングループのリチャード・ブランソン会長(60)と、マレーシアを拠点とする格安航空会社エアアジア最高経営責任者(CEO)トニー・フェルナンデス氏(46)とのF1レースでの年間順位争いで、負けたほうが相手の航空会社の“一日スッチー”になる(サンケイスポーツ11月17日既報)という賭けの結果が先月発表され、それを本当にやることになったと発表があった。(12月14日の記事)彼らのエンターテイナー性に脱帽する。この記事によれば、フェルナンデス氏が「2月21日で決定だ!」と自身のツイッターに11日に書き込んだという。あの毛むくじゃらのブランソン氏が、エアアジアの機内でキャビンアテンダントの格好をして、お客様サービスからトイレ掃除までやる姿を見たい人は、2月21日のエアアジア便のチケットをチャリティーオークションで購入するのだそうだ。ブランソン氏はエアアジアの株20%を所有しているので「自分が出資する会社のPRができることが唯一の救いだ」と答えたそうだ。素晴らしい!彼こそ経営者の鏡だと思う(笑)。

■パンツ一丁でマラソンの刑!?

この記事を読んで、ラジオでもまるで同じようなことやってたな・・・と思い出したことがある。
1980年代に一世を風靡した「ヤングパラダイス」(ニッポン放送)。これは、メインパーソナリティーが三宅裕司氏になる前の高原兄氏(たかはら・けい:完全無欠のロックンローラーで大ヒット、ヤンパラ後はあの羞恥心の大ヒットで復活)の時代で、裏番組奪還目指して躍起になってたときのことである。番組チーフが言い出した。各曜日の担当ディレクターが思い思いの企画で強化を図り、どの企画が一番面白かったかをリスナーから投票させる。その結果、残念ながらビリになった担当ディレクターはパンツ一丁でニッポン放送を含む丸の内警察署の周り一周をランニングする。責任としてチーフも一緒にパンツ一丁で周る。題して「パンツ一丁で丸の内警察署周辺一周マラソン大会!」

 
(写真:高原兄率いるアラジンの完全無欠のロックンローラー)

最初聞いたときはスタッフ全員耳を疑った。ニッポン放送に隣接して丸の内警察署があるのだが、その警察署の前をパンツ一丁で歩けば、当然、公然わいせつ罪で捕まることは必至だ。にもかかわらず、そんな大それたことをチーフ自ら言い出した。チーフはリスナーに番組スタッフが真剣にがんばってることを伝えたかったのだ。そこまでしてでもみんなに聞いてもらいたい。そんな気持ちを全員感じ取った。ブランソン氏とフェルナンデス氏も会社のスタッフやファンに、ビジネスに向き合うその真剣な態度を示したと言ってもいい。

かくして、この強化企画は早速実行に移された。うろ覚えだが、当時スタッフは、月〜木4名のディレクター(D)と全部を見ているチーフDがいて、ヤンパラに変わったばかりだったので、各曜日は必死に企画を考えていた。ヤンパラと言えば、「恐怖のヤッちゃん」や「ヒランヤの謎」など、名物コーナーがこのあと続々と登場するのだが、この最初の1年は苦しかった。番組聴取率(レーティング)最下位のどん底からの這い上がらねばならない時期だった。だからこそ、スタッフ一同、身を奮い立たせて生放送に臨んでいた。ほとんど当時の企画を覚えていなかったので、ウィキペディアで調べたら、あったあった、「クイズの王様」「ジャンケンマン」「女子高生でいっぱい!夜のパジャマパーティー」、クイズの王様の王様は、なんとへヴィーメタルの音楽評論家としても有名な和田誠氏だったっけ・・・。そんな寄せ集めのスタッフでやっていた時期だ。

■どうやって実行するか!?

私は確か火曜日の担当Dだったと思う。私は新人ではなかったが、まだ入社して2年目か3年目くらいの駆け出しDだったころだ。私以外の2人も私と同じくらいの駆け出しDで、月曜と水曜を担当、木曜はその年の新入社員・新人D2人が束になって担当していた。どんな企画でチャレンジしたかは全く思い出せないが、とにかく結果は、木曜の新人2人組がビリだった。リスナーも冷酷だと思った記憶がある。確かに新人の曜日の企画はあまりぱっとしなかったのだろう。が、しかし、新人なのによくやったと努力ポイントを加算して、ほかのDを突き落とすくらいの人情があってもいいのではないか・・。しかし、リスナーの目は冷静沈着なのだった・・・。

新人2人とチーフDがパンツ一丁マラソンをすることになった。番組内で、その結果が発表され、新人D2人が生放送に登場し、自分らを応援してくれたリスナーに謝罪。そして、「パンツ一丁で丸の内警察署周辺一周マラソン大会!」の詳細が発表された。発表したはいいが、ここまでは、ある意味勢いで企画を推進してきてしまっていた。よくよく考えると、大勢のリスナーが見守る中、ニッポン放送の玄関でおもむろにパンツ一丁に果たしてなれるのか? また、なれたとしても、となりの丸の内警察から警官が駆け寄ってきて、その場で逮捕!なんてことにはならないだろうか・・・。そうなったらリスナーにも申し訳ないし、翌日の新聞にでかでかと「ニッポン放送社員が公然わいせつ罪で逮捕!」などと出てしまったらクビも覚悟せねばならない。だからと言って、いまさら最後の罰ゲームを止めるわけにもいかない。そうなったら逆にリスナーの反感を買ってしまう。チーフDは相当悩んだようだ。

■そしてパンツ一丁マラソン決行!

パンツ一丁マラソン当日。はっきりとは覚えてないが、実際は、マラソンをする日を番組で具体的に言わなかったような気がする。もしも公表して、とんでもない人数のリスナーがニッポン放送前に集まってたら、実行はできなかったからだ。ある意味「パンツ一丁で丸の内警察署一周マラソン大会!」は 密室芸的なシャレの企画。こんなことできちゃったらヤバイよね・・・みたいに想像して楽しむものなのだ。まさに、本当はやらなかった・・。という結末でもいいくらいだったのだ。でも、当時のチーフDは真面目だった。 

 
(写真:あくまでパンツ一丁マラソンを想像させるための図:)

局の周辺にはリスナーがまばらにたむろしている。これはマラソンの噂を聞きつけて来たわけではなく、ニッポン放送フリークかタレントの出待ち組(タレントが出て来た時に、声をかけたり、何か渡したり、遠目で見て物思いにふける人たちのこと)。幸い、今のようにケータイにカメラ付きもなかったし、そもそもケータイがなかった時代だから、ぱっと見、誰もカメラを持っている様子もない。いまがチャンス!とばかりにニッポン放送の玄関を、厚手のオーバーをまとった男3人組のあやしいグループが飛び出す。

季節はまだ寒かった時期だと記憶している。そして時間も深夜だったような気がする。オーバーの中はパンツ一丁。玄関を出て左側(西側)が丸の内警察署。消防車や救急車が並んだガレージは、深夜のためシャッターが下りている。さっさとそこを通り過ぎ、最大の関門、丸の内警察署の玄関では、思わず警察署の玄関でこん棒持って仁王立ちしてる警官と目があったそうだが、まだオーバーを着た状態で何事もなかったかのようにそのまま通り過ぎることができたそうだ。そして裏通りに曲がったところで、おもむろにオーバーを脱ぎ捨て、2人の新入社員Dを両脇に従えて、1人の中堅チーフDが先頭を切ってランニングを始めた。両手を小脇にくの字にして通常のマラソンする状態とほぼ同じ格好ではあったが、3人ともパンツ一丁。寒々とした夜空のもと、颯爽と走る、走る、走る、走る・・・。あっという間に裏通りや丸の内仲通りを抜けてニッポン放送玄関までたどり着き、3人は何事もなかったかのように、他のスタッフが拾って来てくれたオーバーを再び着て、局に入っていった・・・。

■情報伝達の進化がもたらしたこと・・・

実はこの日、チーフDはパンツ一丁マラソンを実行する新人D以外には、このことを話しておらず、僕ら他のDは、制作室で通常業務をこなしていた。そして、彼らが制作室に戻ってくるや否や、「やってきました、パンツ一丁マラソン」と言って、スタッフが撮影した証拠のポラロイド写真を見せてくれた。お〜本当にやったんだ・・・。すげ〜〜。チーフDは有言実行の模範者だってことが完全に浸透した瞬間だった。

後日談としては、当日、リスナーにまったくばれずに済ませたと思っていたところ、リスナーの何人から「見ました」「写真取りました」といった問い合わせが数件・・。でもそんなことで済ませられただけ幸せだったのかもしれない。あのときに、ツイッターやカメラ付きケータイがあったら、あんなことでは済まされなかっただろう・・。

そこから推察される時代の流れを想像すると面白いことに気づくのだ。本当は面白い噂や情報を、文化の進歩がつまらなく(伝達)させているのではないか。2010年のいまでは、隠微なギャグを、人知れず実行することは至難の技だ。密室芸的なナンセンスなギャグ行為は、想像力を掻き立てるし、欲求不満やストレスの解消にもつながってくる。いま我々の上空で、ブランソン氏がスッチー姿でお客さまをもてなしていると思うと、だったらもっと面白いことをやってやろうじゃないの・・・と更なる勇気が沸いてくるのは僕だけだろうか・・・。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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