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人生で大切なことは全部ラジオで学んだ...(その3)

2010/11/09 21:01
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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■話題の絶えない年末・・・


(写真:2010年11月7日:産経ニュースより)

今年もあと1ヵ月半余り。今年はどうだった、良かった、悪かった、何が流行った、流行語は何だった・・などを省みる季節だというのに、振り返る間もなく次から次へと国内ニュースが飛び交っている。先週の「ロッテが3位から日本一に」は久々に気分爽快にしてくれた話題だったが、「尖閣映像流出」「八ツ場ダム建設中止方針撤回」「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加先送り」など暗雲立ち込める政治関連ニュースが次々登場、その一方、「NTT、光の道構想に難色」「3Dケータイ登場」「NHKが携帯への番組配信検討」などIT系の話題も目白押し。これらの話題に加えて、恐ろしい凶悪犯罪のニュースが日々更新されてゆく。とにかく話題には事欠かないのである。

ところがこれだけでも収拾できていないのに、インターネット全盛のイマ人は、さらに「googleトレンド」や「ついっぷる」などの話題のワードをいわゆる分析サイトなどで追いかけ、さらなる好奇心を満たしている。数十年前に高度情報化社会などと言って、情報が世の中を動かしてゆくといわれた時代があったが、情報が価値を持つ時代が来ると言いながら、日本ではいつまでたっても情報は無料のまま。だから受け手の意思で情報を取捨選択する機能が低下してきている気がする。

■ネット文脈が世の中を動かす・・・


(写真:ウェブで儲ける人と損する人の法則)

さて、そんなウエブでの「情報」に翻弄されている人の視点を鋭く捉えた中川淳一郎氏の最新刊「ウェブで儲ける人と損する人の法則」(ベストセラーズ)によれば・・・インターネットで飛び交う「キーワード」には「ネット文脈」という「クリックしたくなる」「人に言いたくなる」「思わず突っ込みたくなる」要素が詰め込まれているのだと言う。思わず突っ込みたくなるような、隙間がいっぱいある話題なのだから、本来、重要な話題とは言いがたい。が、しかし、ネットに記事として載ってしまうと、世の中の重要事件と肩を並べてしまうのだ。中川氏は、このノウハウを利用して、自社の製品のプレスリリースなどを巧みに工夫すれば、ネットで話題を盛り上げ、儲かる仕組みを作ることが出来ると語るが、そんなことは、数十年前からラジオで何度もやってきた手法だ。

■言葉遊びの殿堂「10回クイズ」


(写真:10回クイズや言わんのバカクイズなど)

「ピザと10回言って!」「ピザ、ピザ、ピザ、・・・ピザ」「ではここは?」(肘を指差して)「膝(ひざ)!」

みなさんもご存知の80年代の言葉遊びの最高峰「10回クイズ」である。ウィキペディアの「10回クイズ」の項目を見ると当時のことが書いてあった。

1987年秋に「鴻上尚史のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)で取り上げられ、翌1988年1月には同番組の番組本「10回クイズちがうね」(扶桑社、ISBN 4-594-00219-6)が出版されたことで一気に流行に火がつき、その後「笑っていいとも!」(フジテレビ)など多くの番組でこの遊びをベースとしたコーナーが作られた。

事実上の元祖といえる同番組では、最後の落ちのところで「ち〜が〜う〜ね!」と叫んでから正解を言うスタイルが採用され、これが他の多くの番組でも使われた。ただしブーム自体は1年程度で沈静化した。

ちなみにニッポン放送で同ブームの仕掛けに携わった土屋夏彦によれば、当初はオールナイトニッポンではなく「三宅裕司のヤングパラダイス」でこの企画を元にしたコーナーを立ち上げる予定だったが、同番組のスタッフの反応が悪く、たまたま「鴻上〜」の担当ディレクターにその話をしたところ興味を示したため、急遽そちらでコーナーを立ち上げることに変更したという。

元々、昔から語り継がれてきた「ヒマラヤ」というのがあった。

「ヒマラヤと10回言って!」「続いてヒラマヤって10回言って!」「さて世界最高峰の山は?」「ヒマラヤ?」 残念!エベレストでした・・・。

これの現代版を深夜放送で募集しようということになって始めたところ、あれよあれよと言う間に、リスナーからは数々の秀作が届くとともに、単行本にするやいなや、雑誌やテレビで取り上げられたうえに、類似本が数限りなく出版された。

■思わず人に言いたくなる・・・

なぜ、ここまで「10回クイズ」のブームが盛り上がったのか?もちろん、鴻上尚史という当時のカリスマからその話題が発信されたということも大きな要因の一つだが、まさに中川氏が言う「ネット文脈」と同じく「人に言いたくなる」「思わず突っ込みたくなる」話題であったことは確かだ。「クリックしたくなる」行為は、ネットがなかった当時だから、友人や同僚の口コミに聞き耳をそばだてたり、深夜放送の同録を誰かから借り受けたりすることで代用されていたと考えられる。


(写真:鴻上尚史:日本タレント名鑑より)

とにかく、お手軽に、仲間と集まった飲み屋や喫茶店で、ちょっと優越感に浸れる話題は口コミの連鎖反応が起きやすい。特に発言した際に、周囲にいる知らない人までもが尊敬の眼差しをしてくれるような話題の場合は特別だ。そしてその発信源が多少いかがわしい場所だとなお盛り上がる。当時はラジオの深夜放送は、まだまだその「いかがわしさ」を醸し出していた。鴻上尚史や三宅裕司、古田新太にドリアン助川、ケラや犬山犬子など、当時は劇団の若手たちがラジオのいかがわしさを出すには絶好の、知る人ぞ知るあこがれのカルチャーピーポーだった。すなわち、「人に言いたくなる」気持ちを後押ししたのがパーソナリティーのいかがわしさ(知る人ぞ知るカリスマ)だったように思う。

■人のぬくもりが足らないネットの話題・・・

こうして見てゆくと、話題を作り出す上で、ネットにまだ弱い部分があることに気がつく。発信源に人の気配が足りないのだ。Yahoo!トピックでこんなことが一番目に取り上げられいる、youtubeでこんな動画が話題だ、twitterでこんなワードが飛び交っている・・・。ラジオに置き換えてみると、ニッポン放送でこんなことが話題になっている、j-waveでこんなワードが飛び出した・・・。そういう言い方はまずしなかったと思う。鴻上さんのオールナイトで話題になってる、三宅裕司のヤンパラで話題のヒランヤ知ってる? などなど、発言する人物と彼らが主役を務める「番組名=かんばん」があるのである。

このノウハウを元に架空の口コミ話題を書いてみるとこうなる。

孫社長がニコニコ生放送の○○コーナーでマッチ棒を使ったひっかけ手品を披露している・・・。

孫社長、ニコニコ生放送、マッチ棒の手品、ひっかけ、それぞれの因果関係を想像できないことも重要だ。なんでいま孫社長がひっかけ手品を紹介しているのか、ましてやなんでマッチ棒、ニコニコ生放送ってグループ会社じゃないよね、こうなってくると、ちょっとした「マッチ棒ひっかけ手品」ブームが仕掛けられるのだ。(ちなみにマッチ棒ひっかけ手品は私の創作です、悪しからず・・・)

「人生の大切なこと・・・」を振り返っていると、なんだか、民主党の外交政策の弱さや巨悪犯罪の多発も、昔のような、くだらないけどみんなやってみたくなる楽しいことが少ないからなのではないかと思えてくる。12月から正式にサービスを開始予定の「radiko.jp」も始まることだし、もう一度、ラジオで世の中を楽しくさせることを流してみたいものだ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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