スティーブ・ジョブスが7月20日、2010年4〜6月の四半期決算発表会で発言した「年内に驚くべき新製品も発表!」( amazing new products still to come this year.)が気になってはや半月・・・。「iPod nano」で過熱事故が多発したり、iPhone 4のアンテナ問題が起きたり話題は耐えないが、いまだアップルからは何の新製品情報も出ていない。だがどのメディアもこれは絶対「テレビ」だと断言しているようだ。iPod、iPhone、iPad、iPhone4と立て続けに話題を出し続けるAppleのデジタル・ハブ構想。それに対抗する「知の蓄積会社」googleに「元祖IT」のマイクロソフト。googleがソニーと組んで「Google TV」(正しくは“Google TV”プラットフォームを世界で初めて採用した“Sony Internet TV”)をこの秋には投入すると5月に発表していることからすれば、何が何でもここでお株を取られたくないAppleの「amazing」はファンのみならずとも興味ある話題だ。
※この原稿を書き上げた直後に「次期AppleTV」の情報が出ています。
元はと言えば、ソニーのお家芸ともいえる「音楽の持ち出し」がデジタルで見事にiPodに乗っ取られ、PCとiPodのリンクが日常となり、そのiPodが進化してiPhoneとなった。もはやPCとのリンクも必要ない・・・ここまでが音楽=音の世界。そしてiPodで映像も見られるようになって、「映像の持ち出し」も可能になり、日本ではワンセグ携帯電話などでキャリアと放送局がうろうろしてる間に、iPadでさらにその画質を向上させた・・・というような流れだろうか。
日本ではまだ放送の映像は法律で保護されていて、テレビチューナーなどで電波を介して受信しなければ「放送」と呼べないようになっている。(ケーブルテレビは放送の同時再送信である)一方アメリカでは、前々回の「米国の放送と通信の地殻変動を見事にレポートした1冊」でもお伝えしたように、電波だろうとケーブルだろうと、広く人々に伝える手段そのものを「Broadocast(放送)」と呼んでしまっている。なので、すでにアメリカではそういった「放送」をiPadでガンガンに受信できる(見られる)のである。ipadにテレビチューナーなんか付ける必要もない・・・。なので日本でiPadは「電子書籍リーダー」時代の到来だの、iPhoneの大きい版だの言われている中、アメリカでは、手元において見る「パーソナルテレビマシン」として君臨している。
つまりみんなの予想はこうだ。iPhoneからの流れで、高品質の「映像持ち出しマシン」を先に出しておいて、ユーザーには映像の持ち出しライフを十分味わってもらう。そして年末になると、iPadを家に持ち帰ると、手元のリモコンに早替り、そして居間のテレビと自動リンク、外出先でブックマークしておいた番組をすぐに見る・・・なんていうそんな夢のような居間に置くインテリジェント大型テレビが出るんじゃないの・・・と思っているのだ。でもこのようなことなら日本にもあったような・・・。そうなのだ、日本でも、ソニーやパナソニックのハードディスクレコーダーからSDメモリーカードを介して、PSPや携帯に挿入すれば、通勤時に昨晩見逃したドラマを見られたりするではないか。また、「iPadでつかむビジネスチャンス」(朝日新書)の著者・板橋悟さんもご愛用だったらしい、ソニーのロケフリ(LF-X1)などでもすでに実現している手法なのだ。ちなみに今回の記事はこの本が刺激となって書くことになったので、板橋さんありがとうございます! iPadでビジネスチャンスをつかみたい方はぜひ上記本を読むことをお勧めします。もとい、Appleが攻めてくるポイントは、全く新しい分野ではなくて「いまもあるが便利になればもっと使う」というところなのだ。
さぁ、おちおちしてられないのは誰でしょう? そうです、ラジオ局のみなさんです。久々に私の故郷でもあるニッポン放送に伺って楽しい現場を見てきたので、少しだけレポートしたいと思う。伺ったのは今週9日月曜、丁度スタジオでは「Tokyo After6」(月〜金18時〜21時生放送)という番組が生放送中。(写真はスタジオの風景)放送中とは言っても地アナ1242kHzのほうじゃなくて地デジ9501チャンネル"Suono Dolce"のほうだ。こちらのほうは、インターネットでも生映像つきで受信できるし、iPhoneでも受信用のアプリがリリースされている。地デジラジオチューナーがなくても誰でも無料で聴ける(見られる)のだが、あんまり知られていないのが残念だ。この日は、月曜パーソナリティの元ニッポン放送アナの荘口さんがゲストのナカムラヒロシさんと最新ミュージックシーンを語る中、ナカムラさんの昨年の「POPOUT」という楽曲がビデオクリップとともに流れていた。「おぉ〜〜、すげ〜ポップな映像!(体験したい方はぜひナカムラさんのソロユニット「i-dep」の公式ページをご覧ください)、おっとこれラジオなんだよね?」でも音楽が流れるときにちょっとビデオクリップも見れるとその気になったりするじゃないですか・・・。じっくりは見ないけど、ちょっとあれば便利なのが映像。そうなのだ、そんな風に映像が見られるのがこれからのテレビなんじゃないのかと思うのだ。なのでもしかするとラジオのほうが、これからのパーソナルテレビに近いのかもしれないと思った。USTREAM、ニコニコ動画・・・そしてデジタルラジオ・・・。
世の中がデジタルの波にもまれて、日本もチューナー受信じゃなくても見られるiPadテレビに早くしてくれ!という今日この頃、伺ったニッポン放送でもデジタルの風が吹いていましたよ。なんと8月6日に、地デジラジオ「Suono Dolce」を聴くためのiPhone / iPod Touch向けアプリの有料版「Suono Dolceプレミアム」(350円)をリリースした。無料版は3月にリリースし、すでに27万ダウンロード(8月5日現在)されている。今回の有料版では、番組に流れる音楽の「歌詞」がリアルタイムで画面に表示される機能「Lyrica(リリカ)」がついたのだ。(関連記事はこちら)このアプリはもちろんiPadでも利用できるので、PCで「Suono Dolce」を映像つきで見ながら、手元のiphoneで流れる音楽の歌詞を見て、一緒に歌っちゃうなんてことが可能となったわけだ。これは近未来のラジオを髣髴させるものがありますよ。いまは、iPadそのものでは映像は見られないのだが(flashのみの対応のため)地デジテレビがiPadで見られるようになるよりは断然早くに見られるようになるでしょう・・・(願いをこめて)、iPadがアメリカのようにテレビになるのはラジオ局が先陣を切る可能性が高い気分になってきた。ラジオだからスタジオの模様もそんなに豪華ではないけれど、それはそれで新鮮な映像なのだ。おぉ、ラジオがiPadで見られる・・・もとい、ラジオが、年内発売されるであろう「Apple i-TV(仮称)」で見られる日が待ち遠しい。