お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

FIFAワールドカップ・日本対カメルーン戦を何故ネットラジオで流せないのか?

2010/06/15 22:51
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
ブログ管理

最近のエントリー

CNET Blogで初めてみなさまにお目にかかります。メディアプロデューサーの土屋夏彦と申します。6月にCNETがリニューアルされたのを機会に、新Bloggerメンバーに参加させていただきました。これから末永くお付き合いくださいませ。CNET JAPANでは、ラジオ局に22年、インターネットメディアに8年という放送と通信の両メディアをプロデュースしてきた関係で、3月15日からテスト配信を開始したIPサイマルラジオ「radiko.jp」についてこれまで2件の記事を書かせていただきました。

 ○IPサイマルラジオ「radiko.jp」が示すラジオ業界の課題(3月19日)
http://japan.cnet.com/news/commentary/story/0,3800104752,20410618,00.htm

○もはや地上波とネットを区別する意味ない--radikoで見えたラジオ業界の地殻変動(4月30日)
http://japan.cnet.com/news/commentary/story/0,3800104752,20412818,00.htm

特に3月19日に紹介した1つ目の記事は「radiko.jp」が始まったばかりということもあって大変な反響で、読者からの引用の数も去ることながら、雑誌から3件、BSテレビから1件のお仕事が舞い込みまして、4月は人生初めてのメディア多重露出の月となりました。実際、22年連れ添ったラジオが遂に何の制約もなくインターネットから流れてくるのを耳にして、自分としても、やっとここまで来たんだ・・・と感慨深い気持ちが高まったわけです。

この日から、久々にラジオを会社のパソコンで仕事をしながらとかiPhoneで電車で移動中などに聞くようになりました。やっぱりラジオは面白いんです。顔が見えない分、その人の本音が聞こえてきます。それに何かほかの事をしながらでもガンガン頭に入ってくるのです。ナイター中継も試合終了まで完全に聞けます。人気アーティストの音楽ライブも生中継で聞けちゃいます。こんな便利なものだったんだと今更ながらに思うわけです。

ところが、昨日の「FIFAワールドカップ・日本対カメルーン戦」で新聞のラジオ欄を見たらAM・FM局がこぞって生中継と出ていたので、こりゃうれしいぜ!twitterやりながらradiko.jpで聞いちゃおう・・・なんて思った私はバカだった・・。ラジオ局に何年勤めてたんだよ!!と、先輩に言われそうな衝撃的な出来事。試験配信とは言え、FIFAにはその事情が説明できなかったんだ・・・。

ワールドカップのネット配信権は売りに出ていましたので、これを買えば出来たかも知れませんが、そこまでの費用は民放ラジオ局にはなかったかぁ〜〜〜。残念・・・。そう思う気持ちと、ここまで来ているのになんでradiko.jpで出来ないんだ!という怒りの気持ちもこみ上げて来たのは僕だけじゃないと思います。

上記の2つの記事の中でも一部触れておりますが、放送メディアコンテンツは「放送」においては自由に「配信(放送)」したり、放送するために一部「編集」したり、「複製」したりすることができるよう法律で決められているのですが、「放送」以外での利用となると信じられないくらい「古臭い」「理不尽な」規制に縛られてしまい、目の前にいるパーソナリティーに「これから流す番組のあなたのおしゃべりをインターネットでも流していいよね?」とお願いしてその場で「承認」をもらえた「パーソナリティーのトーク」くらいしか流せない状況がインターネットが始まって以来10数年す〜っと続いていたわけです。

その理由は、様々な専門家の方々が書籍や記事で書かれているので、難しいことは説明しませんが、要するにそれだけ「放送」は優遇されてきたということなのです。「放送」は文化の発展にはなくてはならない最も身近な情報伝達機能にするのだから一切の制約は付けないでおこう、特に音楽に関しては文化発展の推進には最も機能するはずだから、編集してもコピーしても放送のための行為であればすべて認めよう、ということで始まりました。

そのときは電話に代表される「通信」が「放送」とほぼ同じような大衆に向けた伝達手段になるとは誰も考えていなかったわけです。その頃に決めた「放送法」がいまだにほぼ原型を留めたまま使われているのが現状です。

実はコンテンツを「放送」や「通信」に流す際に関わっている法律は「著作権法」もあるのですが、こちらはインターネットなどが始まった90年代から何度も法律を更新してきていて、現在では意外と時代にあった形で整備されているんです。なぜそんなことが起きるのかと言うと、「著作権法」は経済産業省の管轄で「放送法」は総務省の管轄で扱われているため、全く別々の進化を遂げてきたと言うわけです。まさにガラパゴス列島「日本」!

 

「放送」と「通信」の定義というのを総務省のページで見るととても面白いです!

○放送 − 公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信 (放送法第2条1号)

○通信 − 有線、無線そのたの電磁気的方式により、符号、音響または映像を送り、伝えまたは受けること (電気通信事業法第2条1号)

いろいろ突っ込みどころはありますが、重要なのは「放送」は無線通信で直接受信されるということです。インターネットは無線通信ではないし、直接受信もできませんね(サーバーなどを介している)。つまり、「FIFAワールドカップ・日本対カメルーン戦」は放送権だけしかラジオ局もテレビ局も買っていないので、無線通信で直接お茶の間に配信出来ない限り流せないのでした。

こう考えてくると、だんだん皆さんも分かってきたと思います。この「放送法」や「放送の定義」が古臭いわけです。無線だろうが有線だろうが「大衆に同時に伝達できるもの」は「放送」と言っちゃダメなの?

2011年7月24日、テレビのアナログ放送が終了します。そして地上デジタル放送(厳密には地上デジタルテレビ放送だそうです)だけになります。そのとき、放送と通信の地殻変動は起こるのか!? 話は尽きません・・・。次回またお会いしましょう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー