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技術指向のSony、ビジネス指向のMicrosoft、ユーザー指向の任天堂

2006/05/12 06:28
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中島聡

Microsoftでチーフアーキテクトを務めた経験を持つUIEvolution CEOの中島聡氏が、「Web 2.0」と呼ばれる新しいネット時代のサービスのあり方や、ライフスタイルの変化について考察します。
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 今週はE3が開かれたこともあり、ゲーム業界全体、もしくは次世代ゲーム端末に関する情報が色々なところにあふれかえっている。個々の情報に注意を払うことはもちろん大切だが、全体の流れをしっかりと把握して、三社それぞれが何を重視し、何を狙っているかを良く理解することが重要である。そこで、今回は私なりの解釈を、それぞれの会社のトップが何を一番重視しているかに着目して書いてみようと思う。

技術指向のSony

 まず第一にSony(正確にはSony Computer Entertaiment)だが、リーダーである久夛良木氏が何よりも重視していることは「とにかくすごい技術を作り、それで世の中を変える」ことである。そのためにPS2のビジネスで得た数千億のお金を投入してCellという革新的なチップを作り、それをまずはPS3を使って世の中に広め、続いてワークステーション、サーバー、スーパーコンピューターなどのハイエンドなコンピューターから、テレビなどの組み込みデバイスにまで幅広く使ってもらおうという戦略である。つまり、久夛良木氏にとってのライバルは任天堂やXBoxグループではなく、Microsoft本体でありIntelなのである。

 その意味では、PS3は決して単なるゲームマシンではなく、家庭用のスーパーコンピューターなのであり、その位置づけで考えれば、後藤氏が「後藤弘茂氏のWeeklyニュース」で指摘したとおり、59,800円は決して間違った値段付けではないのである。

ビジネス指向のMicrosoft

 Microsoftが最も重視していることは、XBoxグループに限ったことではないが、「とにかく敵を打ち負かし、ビジネスとして成功させること」である。真っ向からの戦いを避けた「ブルーオーシャン」という言葉がもてはやされているが、血みどろの「レッドオーシャンの戦い」が世界中で一番強いのはMicrosoftであることを忘れてはならない。彼らにとってテクノロジーとは勝つための道具でしかない。XBox360とMedia Center PCでファミリー・ルームの覇権を狙っているMicrosoftにとって、その二つの中間に位置するPS3は「徹底的に叩き潰しておくべき敵」でしかない。

 莫大な資金力を持ったMicrosoftなので、次にどんな手を打ってくるか油断ができない。ひょっとするとXBox360とMedia Center を統合し、巨大なハードディスクを抱えた「Media Center XBox」をPS3と同じぐらいの価格でPS3の発売日にぶつけて来るぐらいのことをしかねない。MicrosoftとしてはAppleのファミリー・ルームへの進出も阻止しなければならなし、iTunes Music Storeとの真っ向からの戦いもしなければならないので、十分ありうる戦略だ。

ユーザー指向の任天堂

 任天堂に関して言えば、最も重視していることは、「たくさんのユーザーに楽しんでもらうこと」である。今回のE3での岩田社長のメディアブリーフィングにおける、「ゲーム人口を拡大すること」「人とゲームの関係を変えること」「毎日電源を入れるのが楽しみになる」などのキーワードからもはっきりと読み取れるし、Wiiのコンセプトビデオが、ゲーム画面ではなく、遊んでいる人の姿を中心に映していることがその証拠だ。

 これだけ際立ったビジョンと戦略を持つ三社。どこが最終的な勝者になるのかを見極めるのはとても難しいが、一つだけ確実に言える事は、Microsoftが体力勝負の戦いをSonyに仕掛けてコアゲーマー層の奪い合いをし、任天堂はDSとWiiでゲーム人口の裾野を広げる、という構図が少なくともここ2年ぐらいは続くだろうということ。ひょっとすると、若年・カジュアル層は任天堂、コアゲーマー層に関しては地域別にMicrosoftとSonyが支配、なんていう妙な住み分けがされてしまう可能性すらある。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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