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インターネットとの出会い

2006/02/08 23:20
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プロフィール

中島聡

Microsoftでチーフアーキテクトを務めた経験を持つUIEvolution CEOの中島聡氏が、「Web 2.0」と呼ばれる新しいネット時代のサービスのあり方や、ライフスタイルの変化について考察します。
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 私が、「今のパソコンのソフトウェアのアーキテクチャーって根本的に間違っているんじゃないか?」と疑問を持ち始めたのはOOSH(Object Oriented Shell)、Cairoの両プロジェクトも含めれば丸5年の歳月を費やして作ったWindows95を出荷したばかりの95年の夏であった。多くの仲間がたまりにたまった有給休暇を消化したり、せっかくのチャンスだからと小さなゲームを作って遊んでいたりした時期のことである。

 その時になぜか私の気を引いたのが、Windowsチームの脇に数ヶ月前に突然作られたIEチーム。94年の段階で「もうWindows95には新しい機能は増やさない」と硬く誓ったのにも関わらず、なぜか突然Windowsの一部として出荷されることになったInternet Explorerというブラウザーを作っている7〜8人の小さなチームだ。

 たまたまそこのチームのメンバーの一人が知り合いだったので、「どうやったらインターネットのことが勉強できるの」と尋ねると、「ネットスケープのウェブサイトを見ると良い」との返事が返ってきた。

 さっそく自分のオフィスに戻り、ネットスケープのウェブサイトを探検してみると、色々な発見があった。まず一番関心したのが、HTTPとHTMLの単純さ。Windows95の複雑さに食傷気味だった私にはものすごく新鮮であった。

 試しにHTTPサーバーを作ってみると、わずか2〜3日のコーディングであっという間に動いてしまうではないか。それを使って自分のホームページを作り、IEチームの知り合いに見せると「これはいいね、僕にも使わせてよ」と言う。それを皮切りに沢山の人から「使わせてくれ」というリクエストが来、あっという間に数百のイントラネットサーバーがマイクロソフト内に立つことになる。ただし、イントラネットサーバーとは言っても、全て通常の業務で使うマシン上でバックグラウンドで走らせるものなので、どちらかというとP2Pに近い使い方だ。

 一度ユーザーのコミュニティが出来ると、セキュリティホールを指摘してくれる人や、色々な機能をリクエストして来る人が出てきて、それに答えるのが楽しくなる。ただサイズだけはどうしても大きくしたくなかったので、取捨選択して機能を取り入れ、最終的にはHTTP1.1とISAPI(マイクロソフト独自のCGIを実行する仕組み)をサポートしながらHTTPリクエストが来ていない時の必要なメモリーをわずか4ページ(16Kバイト)に抑えたのを覚えている。

 私としてはこのマイクロサイズのパーソナル・サーバーを全てのWindowsマシンに常駐して世の中の全てのマシン同士がHTTPで通信できる仕組みを作ろうという野望を持っていたのだが、残念なことに政治的な理由で実現できなかった。それは今でも少し残念に思えるが、私としては色々な意味でとても勉強になった。

 とにかくこんなに単純な仕組みで世界中のコンピューターを繋いで、データを交換したり、片方のマシンで走っているプログラムのユーザーインターフェイスをHTMLを使って別のマシンに表示したりできるのであれば、今までさんざん苦労して作ってきたWindowsのAPIって、いったいなんだったんだろう、という思いが日増しに強くなって行ったのがちょうどこのころである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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