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CNET Japan ブログ

未来語り

2006/02/02 03:21
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プロフィール

中島聡

Microsoftでチーフアーキテクトを務めた経験を持つUIEvolution CEOの中島聡氏が、「Web 2.0」と呼ばれる新しいネット時代のサービスのあり方や、ライフスタイルの変化について考察します。
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 この業界(注1)で働いていると、いろいろな場面で「今年こそはビデオ・オン・デマンド・サービスが一般に普及すると思いますか?」とか、「PS3は世界市場でXBox360に勝つことができると思いますか?」などといった質問されることが多いが、極力具体的な回答をするのは避けるようにしている。どんなに情報を集めようと、そういった「いつ」とか「だれが」といった個々の事象に関しての予想をすることはものすごく難しいからだ。

 しかし、質問が「将来のテレビを担うのは、地上波デジタルによる放送なのでしょうか、それともブロードバンドを介した配信サービスなのでしょうか?」とか、「次世代のゲーム機はテラフロップス級の処理能力を持っていますが、そもそも消費者はそんなものを必要としているのでしょうか?」という『業界の方向性』に関してのものであれば、喜んでうんちくを傾けることができる。

 この違いは、ある意味で「天気予報」と「天候予測」の違いに似ている。「一週間後の東京の天気」を正確に当てることはとても難しいが、「今年の東京の平均気温がどのくらいになりそうか」はかなりの精度で予測できるのと同じく、「ビデオ・オン・デマンド・サービスがいつ一般家庭に普及し、その時に勝つのはどの企業か」を予測するのはものすごく難しいが、「IPネットワークを介した映像の視聴が近い将来に一般家庭に普及し、ある時点で地上波デジタルを含めた『放送』による視聴を越す」ことはほぼ確実に予測できるのである。

 ただ、天候とこの業界が大きく異なる点が一つだけある。天候に関しては人間はまったくと言ってよいほど無力であるが、業界の方向性を決めていくのは、我々自身なのだ。私の大好きなことばに、Alan Kayの「未来を予測する一番の方法は未来を作ってしまうことである」ということばがあるが、まさにその通りであり、そこが一番面白いところでもある。

 しかし、「未来を作る」とは言っても当然一人では作れないので、自分の作りたい未来を語ったり、目に見える形で未来を垣間見せたりしながら、同じビジョンを共有出来る『仲間』を増やして行くしかない。そんな意味で、2000年に UIEvolution という会社を作ったのだが、まだまだやりたいことの5%も実現できていないし、一企業にできることは限られている。

 それならば、ここ(CNET Japan)でブログ執筆という絶好の機会をめいっぱい活用させていただいて、私なりの「こんな世界を実現したい」、「未来のライフスタイルはこうあって欲しい」ということをつらつらと書いて行こうと思う。それを通して、一人でも二人でも私とビジョンを共有していただける方を増やすことができれば幸いである。

(注1)上で安易に「この業界」という言葉を使ったが、私が意識して見ている業界を何と呼べば良いのか悩んでいる。今後、さまざまなデバイスがネットワークに繋がり、それを通して、音楽、映像、ゲーム、コミュニケーション、というったさまざまなものがサービスとして提供される時代が来るのは目に見えている。この大きな流れは、ソフトウェア、ウェブサービス、家電、通信、放送、音楽、映像、ゲームなどのさまざまな業界の企業を巻き込み、そういったビジネスのありかたそのものまで大きく変えてしまう可能性を持っている。そんな話をしているときに、単にそれを「IT業界」と呼んでしまうのはどう考えても間違っているように思えるのだ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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