7月1日に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行できた。これまでも色々な行政職務を経験させていただいたが、この法律の施行は、かなり難産だった仕事の一つである。
まだまだこれからが勝負とはいえ、ここまで来れた感慨も深い。これを節目に、標記について、現在の状況をまとめてみようと思う。
はじめに
エネルギー政策にとって、3.11はとつてもなく大きな転換点となった。
これまで、エネルギーは、電力・石油・ガス会社などにお任せして「作っていただく」しかなかった。石油開発、LNGインフラ、発電所の整備など、エネルギー産業には巨額の投資と設備が必要となるからだ。
しかし今、化石燃料は高騰し、原子力コストも以前と比べ高くなっている。 結果的に、「高い、高い」と思われてきた再生可能エネルギーも、以前ほど高くは見えない時代になった。加えて、太陽光発電などを活用すれば、なお安くはないけれども、電気は個人でも作れる。太陽光ファンドなど、様々な形で、個人や地域経済に参加を促すことができるのも、再生可能エネルギーの大きな特徴だ。
これは、エネルギー市場の変革に向けた、大きなチャンスだ。
スペインで電気の約30%、デンマークで約27%、ドイツで約16%。国際的にみても、今や再生可能エネルギーは、ごくごく普通にエネルギー供給のポートフォリオの中に組み込まれるている。日本もこれに遅れるわけにはいかない。
しかし、これまで日本のエネルギーを支えてきた大企業に代わって、その一部を支えよう。しかも、それを、自然の恵みをリアルタイムでエネルギーに変えようとする再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という)で実践しようとするのは、容易なことではない。
第一に、再エネは発電コストが高い。大雑把に言えば、太陽光は約40円/kWh前後と、火力や原子力の4倍程度。風力、地熱などその他の再エネは、約20円/kWh前後と、2倍程度はする。電力会社だって公開企業だ。同じ電気を作るのに、2~4倍もする材料は、特別な理由がない限り取り上げられない。
第二に、特に太陽光と風力は出力が不安定だ。そのための対策には、電力系統全体からの協力を得る必要がある。なかなか、簡単には独り立ちできない性格の電源だ。
こうした性格から、市場原理に任せていては、再エネを取り上げる誘因は極めて弱い。それでも、敢えて再生可能エネルギーに取り組み、それをみんなで受け入れていかねばならない。市場原理を超えた支援が、再エネの普及には必要となるのが現状。課題は満載だ。
1.固定価格買取制度
(1) これまでの取組
日本では、2003年以来、RPS制度という、電力会社に一定量の再生可能エネルギーの利用を義務づける方法で、再エネの導入拡大が進められてきた。しかし、このやり方には一定の限界があった。
第一に、確かに、義務づけのおかげで電力会社が再エネ電気を進んで買ってくれるようにはなった。しかし、当たり前だが、電力会社は設定した導入義務量以上には買おうとせず、その結果、義務量以上に再エネは決して伸びなかった。
第二に、RPS制度の下では、再エネ電気を買い上げる価格が、電力会社と再エネ発電事業者の間の相対交渉で決められる。ところが、その価格は、市場の蓋を開けてみたら、日本の自然条件の下で再エネ電気を作るには安すぎたものが多く、多くの再エネ発電事業者が採算性の確保に苦しむ結果となった。
このため、最近は、新たな再エネ市場への参入も足踏みがちであり、既に参入した事業者の多くにとっても経営の厳しい状況が続いている。
こうした状況を踏まえ、2009年、まずは個人が主たる顧客の住宅用太陽光に限って、自己消費した後の余剰電力を政府が決めた価格で買い取るよう電力会社に義務づける新たなルールが導入された。ある意味、量の規制から、価格による規制への転換だ。これを太陽光発電の余剰電力買取制度という。
結果は成功だった。これまで20年かけて50万世帯に普及した住宅用太陽光が、制度導入後の3年間で、更に50万世帯、普及したのである。
ならば、RPS制度から買取制度への転換を、全ての再生可能エネルギーに広げようという。これが、非常にシンプルに整理した場合の、現在の再エネ政策の立ち位置であるといえる。
(2) 再エネ発電事業の現状
現在、日本には、どことなく、「再エネと言えば太陽光、太陽光と言えば住宅用」というイメージがある。しかし、これは、日本だけに見られる特徴だ。国際的に見れば、再エネ導入量のNo.1は太陽光ではなく風力だし、太陽光といえば、普通はメガソーラー。日本のように太陽光発電市場の8割を住宅用が占めているのは珍しい。国際的には、逆に住宅用が2割程度である。
何故、こうした特異な市場ができたのだろうか。
これまでの日本の再エネ発電事業者の多くは、RPS制度に基づく電力会社の買取だけでは採算性がとれなかったため、政府からの補助金に大きく依存してきた。しかし、この補助金は、設備を建ておカネを使った後からしか、実際には渡してもらえない。でも、おカネが必要になるのは、建てる前だ。このため、再エネ発電事業者は、既存案件の開発が苦しい最中でも、無理に新規プロジェクトを強引に興こして補助金の交付決定をもらい、それを担保にとって、今進めている事業に必要なおカネを借り換える。こうした補助金漬けの自転車操業型資金繰りが業界に広がることとなった。しかしこうした自転車操業型ファイナンスでは、過小資本でスタートした再エネ発電事業者の多くは、どこかで破綻を来す。
今の再エネ発電業界は、こうした脆弱なファイナンス構造を抱え込んでいる。また、こうした脆弱な業界だからこそ、日本の優れたメーカーと再エネ技術も、本格的な発電事業者を必要とせず、メーカーが売り切ることで市場を作れる住宅用太陽光に、なだれ込んでいったのかもしれない。出口となる発電事業者がいなければ、優れた技術を持っていても、宝の持ち腐となるからだ。
このままでは、日本に健全な再エネ発電事業者は育たない。こうした歪んだ再エネ市場の是正を、欧米先進国並みに修正し、遅ればせながらその普及の本格的加速化を図る。そのためには、固定価格買取制度によって、しっかりとしたファイナンスが組める状況を作ることが不可欠なのである。
(3) 固定価格買取制度
本制度の下では、太陽光や風力、地熱など、再生可能エネルギーによって発電された電気が、政府が決めた価格で決められた期間、電力会社によって買い取ってもらえることが保証される。
もともと回収に長期を要する再エネビジネス。途中で買取価格が変わるリスクがあると、回収の目処が立たなくなり、市場参入意欲もぐっと減退してしまう。20年なり、10年なり、政府が決めた買取期間、ずっと同じ固定価格で買い取り続ける(Feed in Tariff)ことで、回収に長期を要する再エネ発電ビジネスへ、投資意欲を維持・喚起する。これが、本制度のエッセンスであり、最大の特徴だ。
作ったら作っただけ、20年間、同じ値段で買い取られることが保証される。こんな大胆な仕組みは、確かに、他の分野にはなかなか見られない。産業政策としては相当思い切った判断とも言えるだろう。
しかし、もし途中で価格を変わりうるルールになったら、どうなるだろうか。安定的な回収の見通しが立たなくなり、現状で火力と比べコストが2~4倍以上する再エネ発電市場に投資しようとする人はぐっと減るだろう。また、固定価格だからこそ頑張って期間中もコストダウンして利益を拡大しようとしていた発電事業者も、途中で価格を引き下げられてしまうと、その成果が政府や市場に奪われてしまうことになる。コスト削減インセンティブ自体も下がってしまうに違いない。
何より、日本の再エネは、大型ダムを多く含む水力を除くと、日本の電力の1%しかない。それが今の実力だ。このままでは、日本の電力供給の一翼を担うような存在とはいえない。
再エネはもちろん、これまでも、主としてCO2対策の分野からも大きく注目されてはきた。しかし、3.11.を経験した今、日本では、再エネには更に大きな役割が期待されている。それは、安定供給の確保であり、セキュリテイだ。
エネルギー・セキュリテイ確保のために大切なことの一つは、いかなる状況に対しても対応できる選択肢を確保することだ。今後の日本のエネルギーは、省エネ、再エネ、火力、原子力の4つの柱をどう組み合わせるかによって、戦略的にエネルギー・セキュリテイを確保していかねばならない。
原子力依存率が下がるのを受け、火力を増やす。この二つの選択肢だけではどうしても、日本のエネルギー・セキュリテイを担保するには事足りない。再エネには、エネルギー4本柱の一員として、立派に一人前になってもらうことが不可欠。そして、そのためには、どうしても、現状の1%では困るのである。
既存のエネルギー事業者に加えて、この分野に、既存の電力事業者とフェアに互しているだけの、強靱な経営力、資本力、人材力をもったプレーヤーに入って来て欲しい。日本のエネルギー供給の未来を担う強力なプレーヤーを育てていきたい。適切な買取価格と買取期間を保証する固定価格買取制度によって、既存の事業者も含め、新たな参入と新たな競争を生み出していくことが、今期待されている。
2.規制の合理化と系統の強化
再エネの普及拡大にとって、以上見てきた固定価格買取制度を必要条件とすれば、次に説明する規制の合理化と系統の強化は、その十分条件だ。買取制度がなければ、そもそも前に進まないが、買取制度だけでも前に進まないのが現実だ。
(1)規制の合理化
日本は、世界第三位の地熱資源国。しかし、そのポテンシャルの多くは、これまで開発不可能だった自然公園の中にある。結果として、我が国では、その地熱資源の数%しか、使われていない。地熱開発と自然公園との両立をどう図るかは、大きな課題だ。
ちなみに、世界第一位の地熱資源国である米国では、自然公園で地熱を掘っていない。自然公園以外で掘る場所がいくらでもあるからだ。日本には日本のやり方が、必要となる。
同じく、米国では、風力のために農地を犠牲にすることも、ほとんどない。風力に適した、人の住んでいない平地がいくらでもあるからだ。
日本の1キロメートル四方当たりの人口は約360人。他方で、米国や欧州全体のそれは30人台と、日本の1/10だ。確かに、ドイツだけを切り出せば、1キロメートル四方当たりの人口は約240人台となる。でも今度は、日本は山間部の面積が約7割。ドイツは平野部の面積が約7割だ。我が国は、人の住まない平地が少ない。平地があれば、そこは農地だったり、国有林・保安林だったりする。これらに対する土地利用規制と、風力発電開発とをどう両立していくのか。ここでも、日本では、日本なりの向き合い方を模索する必要がある。
欧米では、普通、風車と言えば、平野部か、せいぜい丘の上。他方、平地の少ない日本では、風の良い尾根の上に建てられている例が多い。しかし、その多くが故障に苦しんでいるのが現状だ。
第一の理由が乱流だ。風車はブレード一枚10トン、長さ約50mもある。その10トン、50mのブレードが、飛行機の揚力の原理を使って悠々と回っているわけだが、そのとき、風車の上の端と下の端で、風速や風向が違えば、ブレードはねじれ・よじれながら回ってしまうことになる。尾根の上だと、確かに上の端にはストレートな良い風が当たる。でも、下の端には、丘や谷に風向や風速を変えられた風が当たることになる。そして、こうした風速や風向の乱れが、尾根の上に立てられた多くの風車を故障に追い込む。
第二の理由は雷だ。特に、日本海側に被害が多い。考えてみれば、尾根の上から更に地上80mのところに2,000kW級の発電機を乗せている。それが山の上の風車の特徴だ。いわば、高原ゴルフ場のグリーンで、ドライバーを逆さに建てて雷が落ちるのを待っているようなものだ。避雷針などの仕組みはもちろん用意されてはいる。しかし、場所によっては、やられてしまうのも止む得ない。この対策も難しい。
では対処法はないのか。やはり、大切なのは発電所としての規模だ。多少壊れても補修部品が持て、メーカーにも大規模ユーザということである程度大切にされ、かつ、多少の故障があっても全体としての設備利用率が急落しない。そういう事業体制を確保することが、厳しい自然と向き合う入り口の条件になる。
回収に長期を要する発電事業では、安定的かつ継続的に収益を上がる見通しが立たない限り、事業の継続が難しい。ところが、日本では、無理な立地でも出来るところから少しづつ開発するというスタイルが続いたため、約500か所ある風力発電所全体のうち8割が、5基以下の超小型風力発電所となっている。これでは、その収益安定性はおぼつかない。
現状、世界の有力な風力発電所は、百数十基から数百基で開発している(ちなみに、イギリスは先般、7000基の洋上風車を立てる計画を改めて打ち上げた)。立地規制を合理化し、ある程度スケールメリットを生かせる風力の開発を進めないと、風況シュミレーションが良くなってきているとはいえ、日本の風力発電の前途は厳しい。そのためには、農地や保安林、国有林など、土地利用を巡る規制の合理化を進め、大型の風力発電所が開発しやすい環境を整えていく必要がある。
このように、欧米に風力が普及できたからといって、また、地熱開発が進んでいるからといって、同じように真似をしているだけでは、日本の再エネ開発は進まない。自然からリアルタイムでもらえるエネルギーの密度は決して高くなく、それを巧みにエネルギーに変えていくためには、狭い国土と山間部の多い日本の自然の特徴を踏まえた、日本なりの向き合い方を模索していくことが必要になる。
(2)系統の強化
もう一つの大きな課題が系統の強化だ。
「下げ代」という言葉をご存知だろうか。日本で言えば、風力の適地を集中的に抱えた北海道電力や東北電力が、この問題に苦しんでいる。
日本では原子力発電は、原則出力調整を行わない。こうした24時間ずっと使い続ける基幹電源は、昼夜を問わず一定出力で発電を行う。他方で、電力需要自体は、昼夜で2倍以上差がつく。このため、その差分は、火力発電所や可変速の水力発電など、出力調整が可能な電源を活用することで、補っている。
ここが案外知られていないポイントだが、実は、火力発電所も、翌日に出力を100%発揮させる必要があるとすると、夜間も完全にゼロにしてしまうことは難しい。平均30%程度は回しておかないと、翌日急にフルパワー運転しろと行っても、うまくいかないことが多い。そうなると、実は、需要の減る夜間であっても、基幹電源となる原子力などに加え、火力にも、最低限の出力を維持させておかねばならなくなる。
このため、電力会社は、翌日の昼の需要のことを考えると、夜間でももうこれ以上は、管内の発電出力を落とせないという、出力の下げ限界を持っているのだ。この下げ限界までの余裕のことを、電力業界では、俗に「下げ代」と呼ぶ。
実は、この下げ代が足りないのが大きな問題だ。というのも、下げ代がないのに、無理に夜間に風力発電の電気を受けてしまうと、翌日の昼、万が一風が弱くなっていたら、抜けた風力の穴は、もはや誰も埋められなくなってしまうからだ。
では、足りない下げ代をどうするのか。今、東北電力と北海道電力は、東京電力と協力して、夜間の下げ代不足で余った風力発電の電気を、需給に余裕のある東京電力に使ってもらうという実験に取り組んでいる。北海道電力の約10倍の需要がある東京電力なら、夜間電力需要もたっぷりあるからだ。
この実験自身は、まだ小規模なものであり、現在のところ、順調に進んでいる。しかし、ここで問題になるのが、もし仮に、下げ代対策が本格化した場合の、北海道から東京まで余った電力を送るための送電線の能力である。現在の地域間連系線は、当然、非常時や緊急時の融通を念頭に作られており、北海道の風力電気を東京に送るためには作られていない。そのためには、送電網に対する更なる投資拡大が必要だ。
「LFC容量」という問題もある。
ご存知のとおり、東日本は50ヘルツ、西日本は60ヘルツだ。しかし、それぞれにぶら下がっている発電機が、ごく一部の例外を除き、およそ全て、東日本が約3000回転/分、西日本は約3600回転/分で回っていることは、余り知られていない。そして、その回転数と周波数は、物理原則的に完全に同期して動いており、かつ、東日本、西日本それぞれの地域内で、どの発電機をとっても、ほぼ完全に同じ回転数・周波数で同期している。実際、東日本どこで計測しても、小数点数桁の単位で、厳密に同じ周波数が観測される。いわば、人間の体で言う血圧や脈拍数のようなものだ。
他方、発電用のタービンというのは、何百枚の羽を何百度、千何百度の過酷な環境の中で回転させている。回転数が急に1割も上下動してしまっては、いかな強力な金属であっても、共振という現象を起こして壊れてしまうのだ。このため、多くの発電機は、そもそも、回転数や周波数の急な変化を感知すると、自動的に停止するようにできている。
しかし、この回転数・周波数は、需給のバランスが崩れると、実は自動的に変化してしまう性格を持つ。需要が供給に対してオーバーすれば、自転車が上り坂を上るときのペダルのように重たくなり、周波数も回転数も下がってしまう。逆に、需要が供給を下回れば、下り坂で軽くなった自転車のペダルのように、周波数も回転数も上がってしまう。そこで回転数の異常を検知した発電機がどこかで止まれば、それによって更に需給ギャップが広がり、最悪、弱い発電機から順に強いものへと連鎖停止、そして周辺の連鎖停電といった事態を招いてしまう。このため、電力系統は、その中での需給が常に一致するように、厳密にコントロールされていなければならない。そして、その点でやっかいなのが、太陽光と風力の出力の不安定性なのである。
風も、日射しも、分単位で代わる。ひどい場合、太陽光発電所単位で見ると、分単位でメガソーラーの発電出力が4割程度も上下動してしまう。
もちろん、管内の電力が全て太陽光で賄われているわけでも、また、同一管内でも、例えば小田原と水戸が同時に曇ったり晴れたりするわけではない。このため、全体としての平滑化効果は相当ある。それでもなお、管内全体での数%の出力の上下動は残るし、数%という水準は、50±0.2Hz程度に変動抑えたい電力会社の周波数管理にとって、十分に問題となる水準だ。
そこで電力会社では、再エネ供給側の分単位での出力変動に対し、そのしわを綺麗にならすように、逆位相での出力変動を、他の電源でかけている。この周波数調整のために、出力をこまめに変動させることができる容量のことを、LFC(Load Frequency Control)容量という。このLFC、どんな電源でも提供できるわけではない。固定速の水力では無理だし、石炭火力でも、出力の上下動にタイムラグがある。原子力は出力調整しないし、地熱も難しい。主役は、可変速式の水力と、火力の中ではボイラーへの燃料吹き込みが容易な天然ガスだ。
太陽光や風力が大量導入されると、通常の需要変動ばかりでなく、太陽光や風力の出力不安定性に伴い、LFC容量が更に必要になる。もしLFC容量を提供できる調整電源が不足すると、管内の電力需給が自分の力では一致させられなくなる。そうなれば、周波数の乱れが発生し、管内のどこで発電機が自動停止してしまうか、分からなくなる。更に言えば、万が一そこでいずれかの発電機が止まってしまえば、そこで広がる需給ギャップが更に広い停電をどこで招いてしまうか、全く予測の出来ない事態を招いてしまうことになる。
しかし、LFCを提供できるの可変式水力やガス火力が無尽蔵にあるのか、というと、必ずしもそうでもない。特に、需要の相対的に少ない東北電力や北海道電力では、こうした調整力のある電源が不足気味となっており、その対応が大きな課題となっているのだ。
結局は、この対策も、東日本で言えば、東京電力に協力を依頼し、需給規模の大きい東京電力が大量に持っている調整電源の力を借りるしかないのが、実情である。しかし、ここでまた、問題になるのが、東京電力と連携するための送電線の容量、ということになる。
後編につづく
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