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国際政治の曲がり角 〜 もう一つのCOP15

2009/12/29 15:30
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プロフィール

村上敬亮

長年、官の立場からIT業界に携わり、政策の立案、実行をしてきた経済産業省 資源エネルギー庁の村上敬亮氏が、ITやエネルギー、様々な角度から、日本の発展のための課題や可能性について語ります。
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 COP15も終わり、連日の徹夜(に近い)業務からも開放されました。疲れが心身に染み込んだ感じがします。歳ですね・・・

 この投稿まで、ずいぶんと間があいてしまいましたが、さすがに地球温暖化問題の一つの山場、COP15を迎えるに当たっては、自分も多少、週末まで含めて首が回らなくなっていました。Cnet編集部の皆さん、申し訳ございません。

 

 で、本来であれば、ケン・オクヤマさんにご示唆を頂いた話の後半戦をと思っていましたが、今月のCOP15が個人的には非常に示唆の深い会議でしたので、今回のエントリでも、是非、COP15についてご紹介をさせていただければと思います。

 特に、今回では、交渉プロセスからみたCOP15という点に絞って、ご報告をしたいと思います。Cnet全体のトーンから見ると、やや異色のエントリになるかもしれませんが、たまには、こういうことをご紹介するのも意味があるかなと思ったので、敢えて取り上げてみたいと思います。

 

 

1.交渉プロセスから見るCOP15

  

(1)首脳級折衝まで 〜放浪する会議の行方〜

 

 COP15は、約115の国・地域の首脳が一堂に会する大規模の国際会議となり、かつ、オバマ大統領、メルケル首相、ブラウン首相、サルコジ大統領、鳩山首相といった首脳自身が、自ら合意文書のドラフティングを本当にやってしまうという、異例の展開となりました。  

 

 これだけの数の首脳が集まること自体、国際政治的に見ても、稀に見る事態です。G8サミットって、いつも華々しく報道されますが、たったの8人です。G20にしても、20人。それが世界のトップが100人以上集まったわけですから、「環境の力、凄し」としか形容しようがありません。本当に100人以上の首脳が同時に集まっていたとすれば、ひょっとすると世界歴史上初めてのことだったのかもしれません。

 

 会議自体は、2週間に及ぶ長いものでしたが、前半の事務レベル折衝は、いつもの国連交渉の通り、先進国と途上国がお互いの主張をぶつけ合い、まったく歩み寄りがない展開となりました。

 

 地球温暖化問題の国際会議、といわれると、温度上昇の可能性や被害の拡大に関する討議やら、具体的な温暖化対策の内容やら、温暖化自体の内容について、アカデミックな分析も含めた深く突っ込んだ討議がなされているように思われるだろうと思います。しかし、実際のそういうやりとりは、どちらかというと政府間交渉より、NGOなどが主催するシンポジウムなどの方がよほど活発に行われているものです。

 

 政府間の交渉では、最後の上澄みのルールの部分だけが議論されますし、国と国とのエゴがぶつかり合う局面での交渉になります。そうと知らないで会議を聞かれると、温暖化の議論なんだか、別の政策の議論なんだか、よく分からないような議論に聞こえるかもしれません。初めてこられた方は、きっとびっくりされると思います。WTOやOECDのような先進国主体の会議では、まだしも内容に即して突っ込んだ議論が行われることが多いですが、国連交渉となると、中身自体よりも、南北間の容赦ない対立の深さが際だつものです。

 

 結局、国連交渉におけるゲームは、途上国が先進国からどれだけの支援を勝ち取れるかが基本。しかも、各国代表団は、この道の交渉のプロばかりです。途上国の代表の多くも、実は各国代表団の間を渡り歩く交渉のプロが、多数従事しているのが実態です。彼らも、自分自身の温暖化に対する思いとは別に、交渉屋として、自分の交渉成果を政府にアピールしなければなりません。結局、南北問題が第一で、先進国間での色々な温暖化問題へのアプローチの違いなどは、二の次になる、という感じです。

 

 しかし、今回の会合は、年に一回の条約締約国会合(Conference of the Parties:COP)。後半には、閣僚レベル折衝があります。実際、これまでのCOPも開催国以外の首脳が参加することは先ず無く、閣僚級折衝こそが最終舞台。さすがに閣僚まで出して何もまとまらないでは、格好が付きません。参加国の多くも、この閣僚級折衝が交渉の最終舞台、首脳級はスピーチ合戦にでもなるのではないかと思っていました。ところが、今回は、閣僚級折衝でも溝は全く埋まりません。閣僚級折衝の最後の数日まで、何の歩み寄りもないのは、京都議定書を決めたCOP3の時と同じですが、閣僚級になってもまったく歩み寄りが無いというのは、ちょっと異例のことです。

 

 具体的には、途上国側は、先進国と途上国の立場がまったく相容れていないことを、そのまま複数のオプション付きで書き込ませた(こういう複数オプションを表現する際に、該当部分を[]付きにするものですから、この業界用語でよく、「ブラケット付き」といいます。)各WGの議長がとりまとめた文書を基に、閣僚レベル・首脳レベルの折衝を行うよう迫りました。しかし、このテキストでは、重要な項目のほとんどがブラケット付き(つまり、見解の相違がそのまま書き込まれた争点だらけの文書)になってしまっています。

 

 議長国デンマークが新しい議論のたたき台を出すと、早々に宣言して待ったこともあり、先進国側も、新たなテキストが出てくるなら、WG議長の文書に厳しいことを言って悪者にはなりたくないという気持ちが働きます。その結果、文書はどんどん交渉の土台としてふさわしくないモノになっていきました。このテキストを土台にするのでは、閣僚レベル折衝といっても、ほとんど交渉をゼロからやりなおせと言っているようなものです。

 

 議長国のデンマークも、シナリオどおり、新しい議論のたたき台を出そうと何度も試みました。しかし、結局、閣僚クラスの集まりとなっても、途上国の壁は厚く、まともな合意のたたき台は、なかなか出させて貰えません。それどころか、用意していたテキストの一部と思われるものが、早々にイギリスの新聞にリークされてしまい、大騒動になる一幕があるなど、現場は大混乱。「一体どうするんだろう・・・、」みながそういう思いを強くし始める中、本当に首脳が次から次へと集まり始めてしまいました。

 

 こうなると議長国は、とてもつらくなります。今回は、あまり内容に立ち入らず、中身は先送りにしよう。そう弱気になるのも、無理からぬところがあるでしょう。しかし、オバマ大統領はじめ、首脳を送り込んでしまった各条約締約国かれみれば、それでは立場がありません。ここまで首脳を送り込んでしまって、何もないでは許されない。そこから、最後の二日間、結局、一日延長されたので実質三日間ですが、厳しい最後の折衝が始まりました。

 

(2) 首脳級折衝 〜首脳自らがワードバイワードで闘う会議〜

 

 今回の首脳級会議は、約25か国の代表が参加して行われた非公式の少人数会合がメインの舞台となりました。といっても、参加密度に起伏があり、この25か国以外にも部分的に参加していた国もあったようですし、ここに出ている国の首脳が会議の全工程に参加していたかというと、そうでもないのが実態です。

 

 本来、こうした少人数会合は、全体会合で、こうしたコンタクト・グループの承認を得て立ち上げるものですが、今回は、議長国の差配の悪さに業を煮やしたサルコジ大統領やメルケル首相が非公式に声がけをし、実態的に開かれたもの。中国の代表などは、「何故、このような会議を勝手に開くのか」と相当怒っていたといいます。実際、温家宝首相は、会場にはいても、この会議自体にはほとんど参加されなかったようです。

 

 この会議は、非公開です。中身は、僕も直接知り得る立場にありませんし、議事録めいたモノも残されていません。そういう意味では、何も書けることがないのですが、会議場の周りから聞こえてきた噂では、合意に後ろ向きな発言をする途上国勢に対して、最初に一串刺して政治合意への流れを作ったのは、鳩山総理であったと伺います。

 

 結局、会議は、晩餐会のあと、11時過ぎからはじまり、翌朝2時半まで。その後は、翌朝8時半に再開され、断続的に翌日の夜中の2〜3時前後まで。実質的にも10時間以上に及ぶ長い会議を首脳自身が行いました。結局、オバマ大統領も、鳩山首相も、現地20時頃までの滞在予定時間を遅らせ、準備が整いって政府専用機も待たせて、自ら折衝の陣頭指揮にたったと聞いています。

 

 中身は想像するしかありませんが、もとはといえば、オバマ大統領もクリントン国務長官も、弁護士です。メルケル首相、ブラウン首相も理詰めなことに関しては保証付きの才人ですし、我が鳩山首相も、スタンフォード大学博士号です。サルコジ大統領も、要所要所で激情をほとばしらせ会議をリードしたとのこと。なにより、オバマ大統領自身がドラフティング作業をリードし、温家宝首相とのバイ会談を行いながら、中国と直接やり合ったというのがもっぱらの噂です。中には、オバマ大統領が直接ドラフティングしてものもあったようで、米国代表団の面々が一言一句変えられないと真っ青な顔をして飛び回る局面があったと伺います。

 

 このような会議、これまでの国際会議の中では、なかなか聞いたことがありません。通常外交交渉は、著名登山家の山頂登山のように、シェルパと呼ばれる外交のプロの人達が積み上げてきた外交合意文書案を基に最後の調整をトップレベルで行う。そういうものだと思います。しかし、今回ばかりは、外交のプロでもなかなか読めないような難しい展開となりました。最後まで激闘が続いていたという印象です。

 

 そして何とか、夜中の3時前くらいでしょうか、首脳級折衝の成果としての「コペンハーゲン合意」が成立しました。原則、参加した約25か国は、これでOKという内容です。やっとここまで来たか。みんなそう思ったのではないかと思います。

 

 しかし、実は、議論はまだまだ終わりませんでした。展開は、最後の最後まで残されていたのです。

 

(3) 最後の全体会議 〜15時間続く最後の展開〜

 

 いよいよ、この26の国・地域の合意を、189か国の条約締約国が属する全体会合に持ち込む局面です。ここからはWebCastでリアルタイムに流されていたので、少し詳しめにご紹介できます。

 

 現地時間、午前3時頃、全体会合が再開され、まず最初に、ラスムセン首相からコペンハーゲン合意を紹介しました。各地域の代表と思われる国々の首脳級が集まって作った合意です。そこで、ラスムセン首相も自信を持って、各締約国は1時間以内にコメントを提出するよう依頼をしました。ところがです。スーダン、中南米過激派(ベネズエラ、ボリビア、キューバ、エクアドル、ニカラグア等)が一斉に「受け入れられない」と猛反発をします。周囲には、これは、とても採択どころではない。そんな悲観的な雰囲気がサアッと流れはじめました。あっという間のことです。結局、議長もどうすることもできず、全体会合は一時中断。

 

 それでも何とか、先進国中心に議長をもり立て、ラスムセン首相も気を持ち直し、4時過ぎに会議は再開。しかしここでまた、すぐに、スーダンから、次のように厳しいコメントが炸裂します。

 

 「コペンハーゲン合意はアフリカ諸国にとってホロコースト、1000億ドルで我々を買収できない、コペンハーゲン合意を撤回し、破壊すべき、デンマークの議長ぶりはバイアスがかかっており、国連のルールに完全に違反している。」

 

 ところが、このちょっとした言い過ぎが、また少し流れを変えます。というのも、首脳級折衝の成果を「ホロコースト」にたとえられると、さすにが先進国も怒ります。スペイン、カナダ、豪州、フランス、スウェーデン、英国、日本、ロシア、米国、ノルウェーと、次々反論の狼煙に火がつき、次々とこの発言に対する反論と、合意への後押しを図る発言が相次ぎました。

 

 さらに、ここで、途上国からもモルジブ大統領が次のような感動的な発言をします。

 

「1.5度目標が入らない等、中身は完全ではないが、重要な第一歩であり、これに基づいて法的拘束力ある枠組みに向けた交渉をすべき。我々は危機に瀕している。」

 

 これで会議の流れが大きく変わりました。エチオピア、セネガル、メキシコ、バングラデシュ、グレナダ(首脳が参加していたグレナダはスーダンを名指しで批判)、フィリピン、シンガポール、アルジェリア、ガボン、バルバドス、ベリーズ、ガーナ、ブラジル、レソトなどの途上国が、次々とコペンハーゲン合意の採択支持を表明します。この流れの中で、パプアニューギニアも、暗に中国を念頭に置きながら、次のように表明しました。

 

「自分たちの首脳は参加していないが、重要な成果。首脳プロセスでは先進国は首脳が参加しているのにG77は役人しか参加せず、しかもコペンハーゲン合意の重要なサブスタンス(世界半減目標、先進国80%削減目標)をつぶしたのは最大の排出国だ。」

 

 この動きに勇気づけられたラスムセン議長は、再度、コペンハーゲン合意の採択を試みます。普通は、こういう展開になれば、木槌さえ上手に打てば、合意できるモノ。しかし、ここでラスムセン首相の弱気がまたも会議の展開を変えてしまいました。

 

 オバマ大統領も、よもや、自分の調整した文言が「留意」付きのものになるという展開までは、想像していなかったに違い在りません。結局、ベネズエラ、キューバ、ニカラグア、スーダンに反論を許してしまい、これが受け入れられず、会議は、再び、1〜2時間ほど中断してしまいます。

 

     *     *      *  

 

 その間、議場ではそこかしこで人だかりができ、「これをどう打開するか」との鳩首会談が行われました。コンセンサスルールに従う限り、コペンハーゲン合意を採択することはもう難しい。デンマーク首相自身がへたってしまい、議長を降板して姿を消してしまうという異例の事態に発展します。この間、欧米各国は、積極的に関係各国に根回しをしていました。

 

 結局、午前3時頃から始められた会議ですが、一時間強程度の中断を挟んで、午前11時前(日本時間の夜7時前くらい)、再度、会議を再開。いなくなってしまった議長国デンマークに代わり、COP副議長団の一人であるバハマがPresidentの席に座ります。実はこの方、非常に会議慣れをしており、「コペンハーゲン合意に留意する」というCOP決定案を読み上げると、間髪をいれず、木槌を打ちます。合意自体が決定されたわけではないですが、この間にみんなで知恵を出し合った結果、「合意に留意する」とワンクッション挟む妥協案が作られていました。。議長からの決議内容を確認する声にも、バハマの副議長さん、冷静に復唱し、再度、木槌。そして、あっさり採択・・・。

 

 ここで皆が立ち上がって大拍手です。また、これを受け、パン・ギムン事務総長は、次のように発言しました。

 

「コペンハーゲン合意はバリ行動計画の重要な要素は全て含まれており、これを来年、法的拘束力のある合意にすることが必要。各国首脳がドラフティングに参加する等、首脳のリーダーシップが発揮された。首脳は今後もこれにエンゲージすべき。」

 

 ところがです。これで会議が終わるのかと思いきや、そう簡単には、終わらせてくれません。COP決定がこうした形で採択されると、今度は、ボリビア、ベネズエラ、サウジ、中国等といった途上国(?)が、待っていたように、「コペンハーゲン合意はあくまで留意されたのみであり、それ自身が法的拘束力のあるものではないし、UNの正規のプロセスでエンドースされたものでもない。コペンハーゲン合意に賛同する国が名前を連ねるというプロセスについても正規の国連プロセスを使ってやるのはおかしい」云々とコメントをします。

 

 特に、COP決定になるまでは、一言も発言しなかった中国が、採択後に、待ってましたとばかりに色々と発言していたのが、印象的でした。中国は中国なりに、国際的に悪者になる局面も回避しなければならず、さりとて、合意による過剰な排出抑制責任を負うわけにも行かず、辛い立場にあったということなんだと思います。その後も、中国のみならず、様々な国から、今後のプロセスについて同時決定されたCOP決定、CMP決定にいろいろとコメントすることで、コペンハーゲン合意を相対化し、あくまで正規の交渉はbottom-up, Party-drivenの両AWG議長ペーパーに基づいてやることを企図している発言が延々と続きました。

 

 しかし、結局、COP決定、CMP決定自身にも大きな変更が加えられずに、約12時間にわたって断続的に行われた全体会合は、15時過ぎ頃に無事終了。COP16の議長に、今後の議論のアレンジについて積極的に関与するよう記した異例のパラグラフが決定文に加えられ、会議は終了しました。

 

 

2.何が残ったのか

 

 僕自身、条約交渉は二度目になりますが、今回のこの交渉プロセス、幾つかの特殊要因があるとはいえ、非常に印象深いモノとなりました。多少の南北対立や途上国の行動には、著作権条約交渉で十分慣れていたつもりでしたが、今回は、正直、ちょっと経験したことのない驚きを感じました。

 地球温暖化問題の国際交渉としては、自分は、むしろ、今回のCOP15は王道を行く結果で、その内容について、特に悲観も楽観もする必要がないと思います。しかし、国際政治プロセス的に見ると、大きな転換点になるのかもしれない。政治学素人ながらにそんな印象を持った会議でした。自分でも的確な結論は持ち合わせていませんが、そう感じるに至った幾つかの気になる点を列挙してみます。

 

  • 国連プロセスに対する評価
    • これだけの国の数の首脳が集まり、オバマ大統領、メルケル首相、サルコジ大統領、ブラウン首相といった役者が集まって自ら筆を執り、ワードバイワードの交渉を行う異例の展開となったこと。
    • それでもなお、厭米派の強烈な行動や中国の攻勢に対して、今回の国連プロセスの中では、先進国は、ある意味為す術がなかったということ。 
    • 国連プロセスの限界?議長国の差配の問題?温暖化アジェンダそのものの脆弱性の問題?

 

  • 先進国と途上国の間の新たな力関係
    • 西欧型外交の常識に反して、平然と、首脳級の集まりに次官級の首脳シェルパしか会議に出さなかった中国など途上国側の対応。先進国が首脳、途上国が首脳シェルパ・大使級という構図で、結果として先進国が途上国に譲り続けたという構図。
    • また、それで途上国側は何一つ困らなかったという現実。 
    • 逆に言えば、それだけ、温暖化問題に関しては先進国が各国の国内政治を睨んだある種のエゴを先行させていていたということ?先進国における国内政治と国際政治の奇妙なアンバランスの存在。

 

  • 島嶼国や低開発国の位置づけ
    • 一島嶼国であるモルディブの発言が会議の流れを変えたと言うこと。島嶼国や低開発国の重要性の増大?
    • 国際政治における民主主義プロセスの徹底?

 

 国際政治は全く専門ではないので、これをどう読み解くべきか、正確な知見はないのですが、ただ、20年前、大学の講義で聴いたり読んだりしてことのある微かな記憶をたどるとすれば、米国ヘゲモニーのようでいて、そうでもなく、バランスオブパワーのようであって、そうでもなく、オリエンタリズムの世界を想起させるようで、そうでもなく、中米の難しい対米関係を想起させるようでいて、それだけでもなく、中国のアフリカ進出やスーダンとの連携といった新しい局面もあり、アフリカ諸国の分断が今後の合意の鍵を握りそうな情勢になってくるなど、何やら、従来の国際政治の常識では、あまり紐解けないような事態が、起きつつあるような気がします。一度、政治学の先生にも教えを請わないといけなさそうです。

 

 腰を落ち着けて温暖化対策に取り組むためにも、国際交渉は早く合意させたいものだと願っていますが、どうやら温暖化は、温暖化ということだけでは語れない世界に、はっきりと踏み込んでしまったということなのでしょうか。

 

 全く根拠が客観的に説明できない、別の個人的印象ですが、何となく、石油利権を背景とした建艦競争に歯止めをかけたワシントン条約会議(1922年)を連想させてしまうような、そんな会議でした。新たなCO2利権の構図といっても、石油と較べれば、全くお話にならない規模とインパクトですが、CO2排出という新たな利権構図、それをある種の資源と捉えて儲けようとする人が本格的にでてきているすれば、温暖化抑制どころではなくなってしまいますね。

 

 モノも作らず消費と金融を生業にしないと食べていけない国がいるのも事実。そんなこととはおかまいないしに、島が沈むことを心配している国がいるのも、また事実。最後は気候変動問題なんか本気で信じている余裕もなく、国内の二重経済問題と格闘している国がいるのも、また真実。その中を各国の国際交渉のプロ達がさまよい歩いているのも、また事実。

 

 気候変動問題は、改めて多面的に学ぶことの多い興味深い業務、と実感した次第です。

 

       *      *      *

 

 相変わらずの長いエントリ、失礼いたしました。このブログ(?)を地球環境問題のコラムにするつもりはないので、次回以降は、再びいつものトーンに戻ろうかと思います。 

 また、地球温暖化問題としての中身の評価を期待して読まれた方には、なんだがすっかり、交渉プロセスの話ばかりで、誠に申し訳有りませんでした。現在業務上、個人的所見を公の場で述べて良い立場にはおりませんので、この点については、何卒、お許しを賜れれば幸いです。

 来年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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