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SocialNetwork+ケータイの威力は

2004/02/04 16:11
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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Social Networkingが流行だそうだ。僕のところにも、プロフェッショナルネットワーキングとして広がりつつあるLinkedInからの招待が随分と来るようになった。ほかにもメジャーどころとして、Frindsterなど専業もあれば、GoogleのOrkut.comなどネットブランドプレーヤーが開始している。Social Networkとそれから派生するであろうサービスを、「出会い系」とおなじようなお遊びだと思っていると、痛い目にあうかもしれない

先走りすぎたsocioware.com

先週半ばから風邪をひいて、外出していない時間はずっと寝ているという生活をしてきたが、ようやく体調が戻りつつある。ベッドで寝ながらボーっとした頭でノートPCを立ち上げ、今まではちゃんと読まずに放置してきたメールを眺めてみると、SocialNetowrking系の招待メールの多いこと! いくつか最近届いたものを、まあ損することもないかと思いつつ、招待を受けてみることにした

いやいや、なんだかデ・ジャヴな気分だ

というのも、NY時代の友人たちと6〜7年前にSociowareという会社を作ったのだが、Sociowareと昨今のSocialNetworkingはコンセプトがまったく同じなのだ。いやいや、天才は早まるものなのだ(笑)

元々のコンセプト・ビルディングは、ヴァイラル・マーケティング(人間関係や口コミを利用したマーケティング)への着目から始まったが、基本的には個人の継続的な社会関係のマネジメントツールとして利用し、必要に応じてソーシャルキャピタルである知り合いの知り合いを紹介してもらうツールにしたり、紹介状を個人認証の仕組みと組み合わせて作ったりとかなりたくさんのデリバティブアイデアが出てきた

具体的なインプリとしては、メタファーとして名刺を使ってみることにした。日本では抽象的な関係というよりも、名刺という物理的な実体を持った記号で人間関係を整理できるのではないかと考えたからだ。結局、ユーティリティとしての使い勝手や、ビジネスモデルも組みやすいのではないかということで、「e名刺交換サイト」としてスタートさせてみた。投資家として、NetAge、NetYear、Neotenyと、まあ個人的つながりのあるとことばかりとはいえ、当時のネット系VCとしては有名ところを集めてみたものの、なかなか立ち上がらず、出資者のひとつNetYear Groupに移譲することになった

いやいや今から思うと残念。というのも、SocialNetworkingの雄Frinedsterとはコンセプトは前述のとおりだったが、インターフェースの構造からロゴマークまで、よーく似ているからだ

社会構造をネットの世界に取り込もう!

Sociowareの中核は、ヴァーチャル・コミュニティ・ビルダー的な役割で、まさしくSocialNetworkingの肝となるものだった

# 「ヴァーチャル・コミュニティ・ビルダー」というのは、利用者属性によって、利用者同士をグルーピングし、ネット上でのコミュニティを人工的に生成するシステムを指す言葉で、Microsoftに買収されたFireFlyやATGのDynamoの初期モデルなどが指向したアイデアだった。確かハワード・ラインゴールド氏のその名もズバリ「The Virtual Community: Homesteading on the Electronic Frontier」にも記述が出ていた気がするが、90年代初期から中盤には大いに注目を集めたコンセプトだった。しかし、eCRMなどで用いられるコラボレイティブ・フィルタリングやパーソナライズなどコアとなったイネーブリング・テクノロジーを残して、コンセプトはまだしも、製品としては消えてしまったという印象がある

ヴァイラル・マーケティングとヴァーチャル・コミュニティ・ビルダーというヒントから始まって、僕の好きな社会心理学者の一人であるStanley MilgramのSmall World Studyからインスピレーションを得てSocialNetworkのマネジメントや、目に見えない社会的な絆の効用に注目した社会学者のGranovetter、あるいは社会的権威の影響力についての研究で知られる社会心理学者Cialdiniなどの研究成果を、盛り込めるだけ盛り込んで、Sociowareのコンセプトは出来上がった

そのコンセプトの多くは人間関係のどう影響力を駆使するかということについてであったが、その最も基本となるアイデアは意外と素朴で、既存の社会的な人間関係をバーチャルな電子ネットワーク上にどう写し込めるかだった。出会い系というと、見知らぬ人とどうやって知り合うかということだが、むしろ逆で知っている人、あるいは誰かに紹介してもらえれば知りあいうる人を、ネットワーク上でどう見つけるかということがが重要だったのだ

いったん人間関係という社会構造をネットに取り組んでしまえば、帳票が電子化されるのと同様、その管理や応用は無限大になっていく

ケータイを加えると、もうお遊びではなくなく

人間関係というソーシャルキャピタルは、かけがえのない資産であり、その管理ツールであるSocialNetworkingサービスにいったんハマれば、その拘束力は大きくなるはず、とSociowareでは考えたが、そこまではいけなかった。が、いまだに理論的には正しかったと思っている。面白い反面、強力で、考えようには危険だ、ということだ

いったん利用者がSocialNetworkサービスを活用し始めれば、MSがプライバシー侵害の可能性に関する裁判所などからの意見によって断念した.NetPassportの戦略的な展開=総合認証サービスによる顧客エージェントサービスまでは一直線で、情報ポータルだけではなく、ウェブサービスなどと連携した機能的なポータルとして非常に重宝されることになったに違いない

現在、肌身離さず持ち歩く、ということでケータイにさまざまな個人情報が蓄積されつつある。正確には、ケータイとそのオペレータの顧客データベースに、というべきだろう。これは、情報ポータルという万能雑誌的なコンセプトで始まった「iモード」などとは根本的に異なる進化形だ。すなわち、ケータイはSocialNetrworkサービスと異なり、自動的に社会構造を取り込める究極のSocialNetworkのプラットフォームだからだ

もちろん、このことはプライバシーなどの重大な題を孕み得るもので、ハッキングができたかできなかったかという頓珍漢なレベルの議論をしている住基ネットの問題以上に深刻なレベルにあるにもかかわらず、世間はSocialNetworkのポータルとなりうるケータイの個人情報保護についてはあまりに無知だし、その重要性を認識しなさ過ぎている

実際、ケータイのアドレス帳とオペレータのDBをちょっと加工することでSocialNetworkサービスとして、ケータイはSocialNetworkポータルに一瞬にして化けることができるだろう。(もちろん、通信事業者がそんなことを軽々しくもするはずはないだろうけれど)僕らはLinkedInやFriendster、あるいはSociowareなどSocialNetowrkサービスの招待は無視しておくことはできても、ケータイで電話をしないわけにはいかないし、メールの受け取りもしているわけだからだ。加えて、現状の利用でもどんどん情報は蓄積してくし、その上、ICカード機能を駆使したクレジットカードやプリペイドなどの個人認証サービスまでをブラックボックスであるケータイに取り込もうとしているわけだから、僕らはどんどんSocialNetworkポータルとしてのケータイの呪縛にはまっていく可能性がある

もともとはお遊びをちょっとしたツールにし、利便性を感じてもらうといいかも、というSocialNetworkだが、米国のようにPCで個人が自己責任の範囲内で情報を公開してコネクトしているうちはいいけれど、ケータイ経由でいきなりとんでもないSocialNetworkサービスができてしまう可能性のある日本では、もう少し違う捉え方をした方がいいような気が漠然としている

ケータイオペレータの方、Sociowareで、一度、実験でもしてみましょうか?

# 昨晩撒いた豆が残るベランダ越しに、夕陽をバックにした富士山のシルエットを眺めながら

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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