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テレ朝裁判と日テレ事件は業界構造改革のきっかけとなるか?

2003/10/25 21:56
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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この1週間ほどで、民放には大きな出来事が2つあった

ひとつはテレビ朝日ニュースステーションによる所沢野菜ダイオキシン汚染報道事件の最高裁判断だ。16日に最高裁は、東京高裁のテレ朝勝訴を破棄し、差し戻しを決定した

もうひとつは、上記の決定から1週間あけた翌日の24日、日本テレビ特番プロデューサによる視聴率操作の発覚が、日本テレビ自身によって発表された

この2つのできごとは、後にテレビメディアのあり方を大きく左右したとわれる重大な出来事になるのではないか、と感じる

テレビメディアのコアコンピタンスはニュースじゃないか

そもそもメディアの報道機能自体が弱体化していたのが、テレ朝ダイオキシン報道の根本的な原因であることは誰もが疑わないだろう。しかし、テレビ報道がは速報性と信頼性という場合によっては矛盾しかねない2つの機能が期待されており、通信社、新聞や雑誌などの活字系メディア以上に「速報性」がウリになることはごく当然の流れになっている。どこまで信頼性を裏打ちできる報道が可能なのかについては、なかなか難しい問題だ

だが、今後、テレビ・メディアは、他メディアとの競合によって、映像による表現力とリアルタイム性にこれまで以上に依存せざるをえないため、ニュースや特集などが「テレビ」らしいコンテンツになっていくことは間違いない

バラエティやドラマは、コンテンツそのものの価値と配信手段こそが重要になり、商業放送の核である「編成(ターゲットとなる視聴者がテレビの前に座りやすい時間にあったコンテンツを企画し、それら視聴者にメッセージを配信したい広告主をマッチングする)」という儲けの仕組みから乖離していく可能性がある。それをすべて見越していただけではないものの、80年代の後半から欧米の有力局が、「金食い虫」といわれながらも報道機能を強化し、中にはCNNやMSNBCといった24時間報道のみのニュース専門チャンネルが伸びてきたのだ

# もちろん、McLuhanが予言したように電子メディアによって世界が「グローバル・ビレッジ」化して、常に新しいニュースが発信され、受信されるようになったという、環境そのものの変化も大きいが

ニュースであれば、視聴者を絞り込むことはあまりできないかもしれないが、誰もが見るという点でリーチが広く、「マス」メディアらしい効果が現れやすく、速報性と切り口次第で「アジェンダ(社会的話題)設定」が可能になる。すなわち、「仕掛け」をする正当な手段であり、それこそが文化装置としてのメディアの本質に違いない

そもそも視聴率って何を意味していたのか

しかし、日テレの視聴率操作発覚からもわかるように、現在のテレビは「仕掛け」るよりも「ウケる」ことを中心に据えるようになって久しい。その上、「仕掛け」はおろか、「ウケ」具合を見るためにすら視聴率が導入されたわけではないにもかかわらず、視聴率という数字は一人歩きをしてしまっている

# そもそも、ザッピングを繰り返している人たちで、偶然、それも一瞬、特定の局にチャンネルを合わせた人数を示すという瞬間視聴率にどんな意味があるというのだろうか? 手段が目的化している典型例ではないか

BSデジタル、CS110°、ブロードバンド放送など、話題性の割にはうまくいっているとは言い難い事業をこなしているテレビ局。そして、彼らを支える広告代理店や制作会社。構造疲労ともいえる出来事が続いてきている今、12月に開始を控えた地上デジタル放送という新たなフェーズでは、現在の仕組みに何らかの変更を加えないと立ち行かなくなるのではないかという声は、業界内部でも小さくなくなりつつある

# いきなりお亡くなりになった電源を修理したばかりの自宅PCにて

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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