お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

コンテンツ・バブルの処方箋

2003/09/18 14:23
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
ブログ管理

最近のエントリー

山岸さんに「Blogが完全に軌道に乗ったようだ」と言われて早々、お休みしてしまった。当の御手洗さんや山岸さんとランチをとっても、実際にこのジャーナル/コラムのためにキーを叩く時間が取れなかったというのが正直なところ。講演とか原稿が続くと、どうも・・・

さて、気を取り直して

このところ、一種の「コンテンツ・バブル」的な状況になってきている

昨夜もアニメやらゲームの関係者と飲んでいたのだが、世の騒ぎようはさておき、内情的にはなかなかマズイよねという話が中心となった。ちょっと前に仕込んできた作品などが世界各国で当り、いまさらながらにして小泉首相までが「日本にはアニメやゲームのように誇れるモノがある」というご時勢ではあるが、すでにゲームのワールド・セールス・トップ・ランキングから日本発の作品が消えて久しく、アニメでもごく一部の特定作家の作品がスポット的に注目を浴びているに過ぎない状況が実際のところなのだ

# アニメ作品、今、来年から再来年に向けての大作は仕込まれているが・・・

すなわち、すでに業界の現実はピークを越えて一種の衰退期に突入しまっているのだ

勘違いされては困る。衰退期といっても、歴史的必然の結果でも、不可避のものでも、あるいは再起不可能なものでもない。単に不調といってもいいかもしれない。が、この状況を越克するにはそれなりの努力が、もっと具体的にいえば、外部からの資本注入や経営手法の導入などが必要不可避になっているのは事実だろう

こんなことをいうと、クリエイターのサンクチュアリに、弁護士や会計士、あるいはコンサルタントといった「スーツ」が土足で踏み込むべきという印象を受けるかもしれない。が、こうなったのもクリエイターたちの才能を最大限まで引き出し、次なる段階へのステップを講じることなく、単に消費するだけの仕組みが問題であり、それを何らかの形で変えないことにはどうしようもないことは明らかではないか。この衰退期を回避するための仕組みとして、「ビジネスがわかるプロデューサー」が欧米では機能しているのだが、日本での不在がこの衰退の原因として大きいという意見に多くの業界関係者は肯く

もちろん、プロデューサーがみなビジネスをわかる必要はない。しかし、もしクリエイター側に立つプロデューサーであれば、ビジネスのわかるパートナーを持つ必要があることは明らかだ。カウンターパートがビジネス・ドリブンであるにも関わらず、こちら側がクリエイターの発想で望めば、そもそもそのプロデューサーの存在意義は薄れ、悪意の有無を問わず状況的に不利な立場に置かれざるを得ないことは明らかだろう

つまり、現在、プロデューサー不在が故に消費されつつあるアニメやゲーム作品の残像に市場が反応しており、ストレートに作品投資を行うファンドでは、まず時期を逸しているのだ。加えて、これら外部から流入した資金が、疲弊した業界をいよいよ死の淵に追いやる可能性すらある。なぜなら、衰退期に入り危険を感じ取ったクリエイターたちは条件のいい案件に群がる傾向が強まっている。これら条件のいい案件とは製作著作などをクリエイターたちに残さず、長期的な回収機会を許さない仕組みであり、継続的な事業リスクを担保する内容ではないため、この業界の本質的な衰退をますます加速する恐れがあるからだ

これら日本のコンテンツ産業の本質的な課題を解決しようという努力は、Globis Capital Partnerが出資するGonzoなどが行いつつあるものの、「業界全体の構造改革にまでは着手しきれていないというのが現状だ」と同Partner代表の仮屋薗さんも認める

であれば、作品単位、制作会社単位、プロデューサ単位、あるいは業界単位ではリスクマネジメントが出来ないのであれば、オートフォリオという同レベルの投資案件を組み合わせ、スケールで担保するというアプローチと異なるレベルの投資案件を有機的に組み合わせ、アウトプットでの付加価値向上を狙うスケールでの担保を同時に実現するしかことでしか、本質的な意味での衰退期の克服はできないないのではないか

コンテンツ・バブルを語り、煽る皆さん、単なる作品投資だけではなく、インダルトリー・ターン・アラウンド自体を先導する仕組みの実現に投資してみるというのはどうだろうか

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー