お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

メディア競争の新たな幕開け

2003/09/10 17:56
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
ブログ管理

最近のエントリー

某放送局の方から、ビベンディユニバーサルとNBC/GEの合併について私的に意見を求められた。せっかくだから、ここでも公開しておこうと思う

その方は、巨大メディアが目指した垂直統合型の時代の終焉を表しているのではないか、というご意見。マルチユース可能なコンテンツを集められるかどうかが重要で、もうインフラなんかどうでもよくなってしまっているのではないか、と

基本的に同意して、以下が僕の回答

<すでにインフラは整備が完了し切り離されている>

例えば、AOL-TimeWarnerが、WarnerCableに加えてAOLというインタラクティブインフラを持たざるを得なかった時代は終わったといえるでしょう。しかし、あのときですらケーブルを持つ必要があったかは、はなはだ疑問だったとは思います。多分に、ケーブルとインタラクティブサービスという組み合わせに魅力があった時代だったからでしょう

それに対して、インターネットを含むインフラ環境の整備が完了。と同時にFCCによる規制によって(上下分離された)コンテンツ提供者=チャネルが不利益をこうむることはなくなったという安心感が出てきました

<インフラを持っていても、自社に有利なチャネル編成ができない>

結果、仮に垂直統合していても、流すチャネルについては規制が入って自由にできなくなった。垂直統合をする必要がなくなったわけです

チャネル内での番組編成は別にしても、どのチャネルを入れるかという部分で公正に取り扱う(すなわち、例として、マストキャリーのABCは仕方ないとしても、それ以外のABC系チャネルは排斥する。それで自社系列の競合チャネルを入れ込む、といったことはできない)とことになったわけで、すでにインフラとしては整備されているし、自らインフラのようなアセットを持っているメリットがなくなったわけです

そもそもNBCのように、ケーブルを保有しない局(というかGE)ですから、コンテンツの配給力を強めて、複数チャネルを持ったコンテンツプラットフォーム事業者として活動した方が賢明になります

<コンテンツ・プラットフォームとしての放送局という立場に>

結果的に破綻してしまう企業が続出した欧州のスポーツコンテンツでは、それを買い付けたチャネルが破産しました。スポーツ開催者に大枚を払ったものの、チャネルを束ねているメディアコングロマリットが消費者からは回収できないわ、(せっかくエクスクルーシブで買ったんだから)他インフラには売れないわ、でこけた訳です

そんなこんなで、ちゃんと収入が見込める範囲内でコンテンツを制作・購入し、むしろ保有するチャネル間でのシナジーをいかに活かすかということが重要になってます。これは、広告収入の増加を意味するはずです。すなわち、ネットワークという比較的廉価にたくさんのアイボール(視聴率)を得られるツールと、細分化したセグメントに向けたチャネルを有機的に組み合わせることで、「広がり×回数」という広告効果に「深み」というファクターを加えることができるようになるはずですから、広告主はより自在に媒体の組み合わせを考えられるようになるわけです

典型的には、人気の出たネットワーク局の番組をケーブルチャネルで再放送したり、外伝やメイキング番組をケーブルでつくり、若手俳優を育て発掘し、彼らを使って広告媒体価値の高いコンテンツを作ってネットワーク局で流す・・・というサイクルをコンテンツ事業者の中で作り、まわすようになってきている

<新たな競争のフェーズに入った>

一方、米国では、通信事業者が放送と通信の両方を提供できるケーブルにますます過剰に反応するようになり、DBSであるエコスターらとの組み合わせを積極的に行うようになっています。ケーブルが、ケーブル会社の意向でコンテンツを選べなくなり、コンテンツ自体での差別化はある程度限定されたため、新たなサービスを提供でいるか否かという時代に突入するようになってきたということでしょうか

結果、メタデータによるサーバー放送やインターネットとの組み合わせなどの新サービスが改めて注目を浴びるようになるのではないでしょうか。日本ではゲームメーカーのようなインタラクションをベースにした事業者がいますが、、放送とどう組み合わせるかとなると未踏破領域でしょうし、今ないスキルもたくさん必要になるため、その実現には自社内ですべて集める垂直統合ではなく、アライアンスなどによる領域別に得意なものを持った人たちと任意に組むということになるのではないでしょうか

このような状況で、いいコンテンツを作る、と同時に新しいコンテンツのあり方をインタラクティブなどの部分で探ることが、放送局(コンテンツ・プラットフォーム事業者)には重要になってくるのではないかと思います

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー