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「これからのモバイルの本流のサービス」 対談6 「メディア:バーチャルコミュニケーション 後編」

2007/05/31 18:00
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宮田拓弥

携帯電話向けアプリケーションの業界で、常に新しい製品・サービスを模索・開発してきた宮田拓弥氏(ジェイマジック株式会社代表取締役社長)が「ケータイ用アプリの未来」について考えていきます。
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■これからの展開 : 「街」の拡大と、リアルとの繋ぎ込み

宮田 S!タウンの今後の展開について教えていただけますか?
中谷 やはり、コミュニケーションサービスですので、まずはユーザを増やすということに力を入れていきます。そのために、S!タウンを様々な形で進化させていく必要があると考えています。一つが、ユーザが楽しめる「街」自体を拡大していくということです。今後新しいコンセプトのストリート(街)をどんどん投入することを検討したいと思ってます。そしてもう一つが、「アプリ」の機能拡張です。アプリには、現状1MBという容量の限界があるのですが、アプリの情報を引き継いで他のアプリをキックする仕組みを使うことで、容量にとらわれず別のアプリで新しい機能を展開していくことを検討しています。従来の街の中と、全然世界観もルールも違う様なアプリを検討したいと思っています。あと、当然対応機種を増やしていくことも必要ですね。
宮田 なるほど。さらにその先はどうですか?コンセプト的な話でもいいと思います。
中谷 まだビジョンのレベルですが、個人的にはパソコンと繋いで何かできないかと考えています。ビジネスモデルなど、難しい部分も多いですが、やはり表現力などの強みもありますので、いずれ取り組んでみたいと思っています。S!タウン自体が新しい取組みなので、利用できる環境をもつ人を増やしていくという意味ではパソコンも重要だと考えています。あとは、広告の仕組みですね。今は街の看板に広告が表示してあって、そこをクリックすると直接ブラウザに飛ばすという様な広告をやっていますが、いろいろと新しい仕掛けもやりたいと考えています。去年の12月にS!タウン内で調査員キャラによるアンケートというのをやってみたのですが、これが非常にいい結果でした。具体的には、ビジネスマン風のキャラを街中に立たせて、彼らが一般のユーザに話しかけるかたちで、S!タウンに関する要望「どんなアイテムが欲しい?」などのアンケートを実施しました。その結果、最初の3日間で全ユーザの4割以上の回答がありました。
宮田 レスポンスレート4割はすごいですね!
中谷 正直想定した以上の反応だったので、これはすごいっていう事で、これを広告的な仕組みと絡めて何かできないかと。バーチャルな世界の中で「人」に話しかけられるというのは、従来の広告とは全く違った仕掛けになりますので、アンケートという固い形だけではなく、少し面白おかしい、新しい広告を作ってみるのもおもしろいかもしれません。
宮田 広告の話でいうと、出口として「リアル」を用意する、つまりS!タウンの広告をクリックすると何かクーポンのようなものが表示されて、リアルなお店に誘導するということもできそうですが、そうしたことは構想の中にありますか?
桑原 単純なバナー広告ではない、バーチャルからリアルへの出口を考えていています。今は、あまり詳しく申し上げられませんが、リアルな感じのものとの繋ぎ込みを今まさに検討しています。
宮田 それは楽しみですね。御社でもICカード対応端末が増えていますから、カードとインテグレーションされたサービスの可能性はありそうですね?
桑原 十分にありえますよね。なんか、もっと集客したいっていう意図のある企業が、このバーチャルのユーザを使ってリアル世界に誘導した時に、ICカードとつなぐというのは十分にありだとは思いますね。

中谷 あと、最後になりますが、S!タウンのプラットフォームのAPIを公開するなんてこともおもしろいかな、と考えています。ログイン管理やチャットなどのAPIを持っているので、この辺をうまく使ってサブアプリ的なものを使って、どんどん世界を広げていくような方向に持っていく、みたいな。
宮田 外部の事業者がそれを自由に使ったバーチャルタウンなどを作ったりできるようになるかもしれないということでしょうか?
桑原 はい。あくまで可能性の話ですが。
宮田 Second Lifeの中でデジハリが学校を作ったというような形がS!タウンでもありえるということですね。具体的にどのような分野とのコラボがしたいとか、ありますか?
桑原 先ほど言った「ユーザが受身である」というのは、あくまで自分の情報を発信するのに対しては抵抗があっても、ゲーム感覚であったりすれば探究心はすごくあるのでどんどんクリックしていくっていう意味では、結講前向きな人が多いと思いますね。企画としては、やはり目新しいものを手がけたいので英会話学校とか、なにかが身に付くとか、そういうところはチャレンジしてみたいところですね。

■S!タウンは「本流」のサービスになり得る

宮田 携帯キャリアの方から見て、今回のS!タウンのようなサービスはこれからの「本流」になりうるサービスなのでしょうか?それとも、いわゆる「企画」的な形で捉えるべきなのでしょうか?どちらでしょう。
中谷 ここの意見は様々あるかもしれませんが、僕は、本流になってくると思っています。これまでの通話、メール、最近ではブログ、SNSとコミュニケーションはどんどん進化してきましたけど、その延長線上での進化には限界があるのではないかと個人的には感じています。音声、画像、動画と来て、次に来るのが「仮想現実」というか、3D空間の中でユーザも画面を見ているだけでなく実際に体験をしていくという新しいコミュニケーションスタイルが流行る可能性は大いにあると思っています。
桑原 PCでは、Second Life的なバーチャルコミュニティがすでにできつつあって流行っている。そういった世界が携帯にくるのは間違いないと思っていました。今のユーザの使い方を見ていると、バーチャルコミュニティのプラットフォームが、携帯電話の基本のプラットフォームに十分なりえると思っています。
宮田 正直「企画もの」的な扱いなのかと考えていたので、やや驚きました。ただ今回実際の利用状況やユーザのアクティブ率などを伺って、ユーザが求めている方向性にあったサービスなのだということが分かりました。


左から、ソフトバンクモバイル 桑原氏、中谷氏、筆者
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前回のサイバーエージェントさんの「ブログ」に続いて、携帯キャリアであるソフトバンクモバイルさんの「バーチャルコミュニケーション」を取り上げました。
「すでに一般化している」ブログ=モブログと、「これからの新しい潮流」としてのバーチャルコミュニケーションという対比で取り上げようという目論見でしたが、ソフトバンクユーザのみとはいえS!タウンが急速にユーザ層を拡大しており、本流のコミュニケーションサービスとしての位置付けも狙っているというお話は正直意外でした。
携帯電話におけるコミュニケーションの歴史で考えると、「通話」から「メール」への進化は、それまでの「一対一」のコミュニケーションの範疇の中で、「メール」がもつ「非同期」性という価値によって急速に進行しました。最近のブログやSNSといったコミュニケーションメディアは、通信本来の「一対一」のコミュニケーションとは違い、これまではアーティストや作家など一部の人間に限られていた「一対多」のコミュニケーション手段、情報発信手段を一般人に対しても可能にしたものであるということが言えると思います。現状は新規性もあり、これまでパーソナルなものであった「日記」や「写真」などを情報として発信することが流行っているという感じでしょうか。しかし、ソフトバンクの桑原さんも指摘されているように、一対多で情報発信を続けるということはそれなりに労力の要るもので、多くの一般人にとっては疲れてしまうという指摘も頷けます。ブログメディアであるアメブロの話の中でも、結局はプチ有名人的な人からの情報発信が受身のユーザたちの存在を支えているという話は、このあたりともつながるような気がします。
今回「メディア」というくくりで二つのサービスを取上げましたが、本来パーソナルデバイスである携帯電話のインターネットのメディアとして、いかに情報の「出し手」と「受け手」をバランスするのかということを皆さんが模索している最中であるということがよく分かりました。どちらのサービスも今後ユーザ数を大いに増やす可能性を秘めていると思いますが、特にキャリアであるソフトバンクモバイルさんなどは今後これまで「テレビ」のような基本一方向のメディアに慣れ親しんできたユーザ層(残りの加入者層)も取り込んでいくとなると、この情報の「出し手」「受け手」をいかにバランスするかがモバイルのメディアのキーになりそうだということを感じました。

最後に、少し個人の話を書きますと、私個人はこれまで「情報は受けるもの」という意識が強かった方ですが、最近ブログなどを書く機会を通して「発信」する側に回る経験をしてみると、発信することの価値に気づくことも多く、その結果自分自身の志向も少しずつではあるものの変わってきている気がします。今はごく自然な取組としてブログを書き続けています。恐らくこれは私個人特有の事象ではなく、これから「一対多」のメディアの中で情報発信を経験していく利用者の方々が感じることのような気がします。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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