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「モバイル版 Second Life?」 対談6 「メディア:バーチャルコミュニケーション 前編」

2007/04/26 06:15
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宮田拓弥

携帯電話向けアプリケーションの業界で、常に新しい製品・サービスを模索・開発してきた宮田拓弥氏(ジェイマジック株式会社代表取締役社長)が「ケータイ用アプリの未来」について考えていきます。
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スウェーデン政府が大使館を設置してみたり、あのmixiが新卒採用の新しい手段として活用してみたり、と従来のインターネットサービスの枠を超えて大きな盛り上がりを見せているのが、米国リンデンラボによる「オンラインバーチャルコミュニケーション」Second Life
インターネットの中に用意されたバーチャルな三次元空間の中を、自分が作ったアバターが動き回り、他のアバターとのコミュニケーションや様々な商取引(車を買ったり、土地を買ったり)ができるという、従来のサービスと大きく異なるその特性が受けて、すでに世界で400万人とも言われるユーザを集めているのはご存知の通りです。
このSecond Life、PCでもかなり「重い」印象があるのですが、それと同様のサービスを携帯電話で展開しているのが、ソフトバンクモバイルの「S!タウン」です。ソフトバンクの端末、かつ新機種でしか使えないサービスということで、まだ爆発的な注目を集めるには至っていませんが、「S!タウン」もこれからのモバイルアプリケーションの一つの形を提示するものとして、大いに注目に値すると思います。
前回のサイバーエージェントのブログメディア「アメブロ」に引き続き、今回は、その「S!タウン」のサービスの企画・開発に関わったソフトバンクモバイルのプロダクト・サービス開発本部の桑原氏と中谷氏に、その狙いと今後の方向性に関してお話を伺いました。

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■携帯キャリアによる「仮想空間コミュニケーション」
宮田 まず、最初にS!タウンのサービスの概要をお伺いできますか?
中谷 携帯電話から利用できる「仮想空間コミュニケーションサービス」ということで、自分が3次元のアバターになって、携帯の中に用意された街の中で歩き回って他のユーザとチャットを楽しんだり、様々なミニゲームを楽しんだりできるサービスです。2006年の10月からサービスを開始しており、現在、トータルで11機種の端末に、S!アプリとしてプリインストールされています。S!タウンは、「よりリアルタイム性を重視したチャットのようなコミュニケーションサービス」を立ち上げようという企画が持ち上がったところから始まりました。これまで、弊社はJ-フォン時代から含めて、スカイメールや写メールなど様々な新しいコミュニケーションサービスを提案してきましたが、さらに特徴のあるサービスを立ち上げたかったというのが背景にあります。


ソフトバンクモバイル 中谷氏

宮田 新しいサービスを提案し続けるという空気がJ-フォン時代から受け継がれているというのは個人的にも嬉しい話ですね。それにしても、私が初めてこのサービスのリリースを聞いたときの第一印象は「これ本当に携帯でやるの!?」というものでした。いきなり3Dですし(笑)
桑原 企画の際にかなり反対意見は出て「なぜ3Dでやるのか?」と、かなり喧嘩しました。ただ、3Dにはこだわりました。2Dでもという意見は多かったのですが、それでは既存のサービスの粋を出ず、ユーザにとっても仮想空間を「体験」するというよりも、画面を目で追うだけになってしまいますが、3Dであればユーザがその世界の中に入り込んで実際に「体験」できるということが大きいです。あと、もう一つはインパクトですね。2Dだと技術的には誰でも真似出来る可能性が高いですが、3Dで限界に挑戦してみれば誰も追いつけないというのがありました。


ソフトバンクモバイル 桑原氏

宮田 なるほど。あと、パフォーマンスを重視するのであれば、ネイティブで実装するというのが自然なような気がします。S!アプリは、プリインストールアプリですが、特に理由があったのでしょか?
中谷 速度の面では、もちろんネイティブの方が速いので魅力的ではあったのですが、全く新しいサービスということで、常に進化させていけるアプリを選択しました。リリース当初は、アプリの起動自体にかなり時間がかかったのですが、何度もバージョンアップをすることで、徐々にスピードも速くなっていますし、機能もどんどん追加しています。

■「受身」のコミュニケーション : ユーザを疲れさせない
宮田 ところで、現在の利用状況はどのような感じでしょうか?
中谷 ようやくユーザ数15万人を越えたところです。特徴としては、アクティブなユーザが多いということで、5割以上のお客様にアクティブに使っていただいています。サービスの仕様上、新規の端末からしか対応できないので、ユーザを増やすのは時間がかかりますが、現状では、当初の予定よりも順調に右肩上がりで進んでいる感じです。
宮田 どのような利用シーンを狙っているのですか?
桑原 現在、携帯電話で普段使われている通話やメールの相手は、実際に知っている人がほとんどです。まず、その壁をちょっと破ってコミュニケーションの幅を広げたいと思っています。つまり、リアルな世界では知り合いではない人同士でのコミュニケーションです。ただ、PCの世界にあるオンラインゲームのようなものになると、ややマニア向けというか、敷居の高さがどうしてもあるので、簡単なコミュニケーションのきっかけを与えたり、誰でも分かるゲームを用意したりすることで、もう少し敷居の低いコミュニケーション、幅の広いコミュニティという利用が目指している部分です。

20070320_115452.jpg
S!タウンの画面

宮田 新しいコミュニケーションという意味では、ブログやSNSも最近は携帯で広がっていますが、その辺との違いはどの辺でしょう?
桑原 SNSとかブログとかって、やる人は毎日のようにやってると思うのですが、基本が自分からの「情報発信」なので、発信するものがなくなってしまうということも多いのでは、と思っています。よく「SNS疲れ」のように言われるのは、こうした部分ではないかと思っています。我々としては、もうちょっと「緩い」感じのものを作れないかなと思っています。例えば、電車の待ち時間とか、今日暇だからやってみようとか。S!タウンの中を歩いていて、たまたまた出会い頭であった人とコミュニケーションをしたり、以前知り合ったユーザにメールを送ったりとか。ターゲット層という意味でも、「20代の女性」をメインのターゲットにしているので、「受動的」な感じでやっていけるよう、「こういうのしようよ」「こういうイベントあるよ」みたいな引き込むような仕掛けも多く準備をするようにしています。
宮田 最近流行っているいわゆる「ユーザ参加型」のメディアは、それぞれのユーザが「能動的」に参加をすることが前提となっていますが、あえてその逆を狙うということですね。目的思考というか、すごくアクティブに、前のめりにやるコミュニケーションを作っていくってイメージじゃないということですね。 ちなみにユーザの滞在時間と平均利用時間はどれくらいですか?
中谷 大体、10分くらいの利用です。機能としては、チャットとメールの利用が最も多くて、想定していた「知らない人」とのコミュニケーションが頻繁に行われている感じがしています。時間帯でいうと、ほとんど携帯電話自体の利用傾向と同じで、お昼休みにかけて1回ピークがきて、そこから一旦お休みが入って、おそらく学校が終わる3時4時くらいから序々に伸びていって、夜の11時くらいにまたピークがきて夜中にかけて落ちていくという感じですね。当初は、夜中にこっそりやる利用が多くて、夜中にピークがくることも想定していたのですが、そこはやはりPCとは違って何かをしながらという利用シーンが多いようです。例えば、OLさんがお昼休みにお弁当を食べながら、とか、帰りの電車とか。
宮田 サービスは「匿名」ですね。他のSNS的なサービスなどで徐々に「出会い系」的な利用が問題になりつつありますが、その点は何か工夫などはありますか?
中谷 一番大きいのはわれわれがキャリアだということです。つまり、サービス上は匿名であっても、ユーザさんは我々が電話番号や住所なども分かっていることを意識されていると思います。なので、ユーザ同志は相手がバーチャルな存在に見えるように「匿名」にしておくことで敷居は下げつつも、トラブルが起きないような形になっています。後は、実際の機能として、「ログ申告」という、トラブルがあったときにすぐに報告できる仕組みがあるのですが、これがサービス内の非常に目に付く場所に設置してあるので、予防的な機能を果たしていると思います。

■基本的にはパケット通信料収入: S!タウンのビジネスモデル
宮田 Second Lifeでは、有名なブランドがその仮想空間に広告としてお店を出したり、街を作ったりという「広告」ビジネスがかなりのボリュームになってきていますが、その辺はどのようにお考えですか?
桑原 まだ、試行錯誤の部分は残っているのですが、我々としては広告をいっぱい出して、広告だけで運営していくんだという考えはあまり持っていません。基本は通信会社なので、利用料は無料ながらも通信料という部分ではユーザさんから直接いただいている部分があります。やたらと広告だらけになってしまうと、ユーザさんとしては、面白くなくなってしまうという面を気にしています。
宮田 そういうビジネスモデルにできる部分はキャリアならではの強みですね。
中谷 個人的な印象として、最近のモバイルサービスはかなり広告の露出が多いですよね。現状のバナーやテキストなどの定型的な広告は、これ以上増えるとサービスの視点から淘汰される部分も増えていくのではないかなと思っています。そういった視点から、今S!タウンの中では単純な広告の看板を置いてそこをクリックするとそのサイトに飛んでいくという仕掛けの次に、イベント的なものやコンテンツ的なものと連携したものにしていければと思っています。
宮田 広告代理店さんからのお話は多そうですね、アクティブユーザも多いですし。
中谷 そうですね。実際広告主さんとしても、いわゆる大手の飲料メーカーや出版社さんなどが出していただいているので、今後面白い展開を一緒にできるかもしれません。
桑原 実際に、S!タウンを使っていただいているユーザがかなりスティッキネスの高いユーザだと思うので、こうしたユーザがタウン内で人の繋がりをどんどん作ったり、ここで買ったアイテムなどが価値をもっていくことで、ソフトバンクモバイルにはS!タウンがあるから他には変えたくない!というようになって欲しいですね。
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後編に続く。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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