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SMS相互流通は、手遅れじゃないか?

2009/09/02 11:47
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 9月1日のニュースで、ケータイ5社がSMSの相互流通に向けて動き出す方針を打ち出した。各社から同文のプレスリリースが出されたが、SoftBankユーザー以外は何のことだろう、と疑問符が飛んだんじゃないだろうか。

 

 非常に簡単に言うと、SMSは電話番号だけでテキストメッセージを送ることが出来る機能で、今まで同様の機能は各社のケータイで利用できたが、他社に送ることは出来なかった。これをキャリアをまたいで送信・受信可能にしようという動きである。

 

 SMSとはショートメッセージングサービスのこと。日本ではW-CDMAを採用するdocomo、SoftBank、EMOBILEが全角70文字のやりとりに対応している。auはCメールという全角50文字のメールに対応している。これらはパケット通信ではなく、回線交換でメッセージのやりとりをするメールサービスだ。

 

 海外では当たり前、日本ではこれからというSMS相互流通について、少し考えてみたい。考える以前にこのニュースを目にした時、「ちょっと遅すぎたんじゃないか」と思ったが。

 

 

i-mode以前のメール

 

 docomoのi-mode以前、movaには「ショートメール」というテキストメールのサービスが搭載されていた。これはポケベルと同じように、メッセージセンターに電話をかけて*2*2とダイヤルしてから「ありがとう」なら「119221054513」と打ち込むと、相手にカタカナで「アリガトウ」と表示される仕組みだ。

 

 P205あたりになると、メッセージを作成しておけば電話をかけて文字コードを打ち込んで電話を切るところまで自動的にやってくれる簡単なインターフェイスを搭載して送信しやすくなっていたが、端末のインターフェイスからはdocomoのmova向けの送信にしか対応していなかった。

 

 しかし、一般電話や他者のケータイからは、090から始まるショートメールセンターに電話をかけて、相手の電話番号を入力して文字コードを打てば送信する事が出来た。しかしメールサービスがキャリア加入者増加の売りになるとして、各キャリアは利便性のあるインターフェイスを自網向けのメール以外に解放せず、ユーザーの囲い込みのツールにしてきた。

 

 

@付きが「ケータイメール」になった

 

 1999年、i-modeがスタートして、インターネットからも送受信可能な@付きのメールアドレスがケータイで使えるようになった。IDO、J-PHONEなども追随して、いわゆる第2.5世代のパケット通信を使うメールで、キャリア間の相互送信に対応した。

 

 この状況はプラットホームがW-CDMAやCDMA2000などの第三世代に移行しても、メインのメールサービスは@付きのパケット通信を使うメールであり、いわゆる「ケータイメール」という言葉が生まれ、「メール」と言えばケータイメールを指す方が一般的かもしれない。

 

※ちなみにJ-PHONEの@付きメールは、当初回線交換でスタートしていたそうです。 

 

 第三世代に移行しても、電話番号付きのメールサービスはSMS、Cメールなどの名前で残されていた。パケット定額の普及や3Gになってパケット単価も安くなったことから割安感があるケータイメールと、料金も1通2〜5円と割高感が強いSMS。ユーザーからすれば、キャリアをまたいで使えて安く、写真や動画、デコメを添付できるケータイメールを選ぶことは不思議ではないはずだ。

 

 

誰がSMS相互流通を押していたのか?

 

 総務省の通信プラットホーム研究会は、通信を今後どのように推進していくか、を考える場だ。2009年1月の報告書案の中で、「移動通信分野における携帯事業者変更を容易にする施策の検討」について触れられている(PDF)。つまり、MNPをより加速させるにはどうすればいいか、という議論が触れられていた。

 

 MNPは番号を変更せずにキャリアを変えることが出来るサービスだ。僕自身、docomoで使っていた番号を2006年10月にSoftBankにMNPしてみた(結局docomo回線は復活させて、今はL-05Aで使っていますが)。そのため、同じ番号なのに、変えた瞬間から「タダとも」ネットワークが拡がり、運良くというか予測通りiPhoneがSoftBankから登場したので、メインの番号でiPhoneを使うことに2年越しで成功したわけだ。

 

 MNPは電話番号が変わらなければ、キャリアを乗り換えやすくなるだろう、というアイディアで、当初はユーザーの10%が利用すると見られていたが、実際は5.8%程度。電話番号以外に引き継ぎたいものが多く、メールアドレスやコンテンツサービスなどが引き継げなければ利用促進につながらないとの見方もある。

 

 報告書の中で、MNPに関して、メールアドレス利用、コンテンツ利用、認証機能の柔軟化が指摘されている。このメールアドレス利用の柔軟化の項目の中で、電話番号によるメール送受信、つまりSMSのゲートウエイ解放について意見を述べていたのがSoftBankとEMOBILEだ。SoftBankは同時に、数年単位のメール転送も実施すべきとしている他、MNP後もメールアドレスを利用可能にすべきとの意見を述べたのはEMOBILE。

 

 さすがにauのケータイでドコモのメアドが使えるようにするのはちょっと節操がない気もするわけで、SMSの相互流通を実現させるところが現実的、というわけだ。

 

 

SMS相互流通も「現実的」なのか?

 

 ここ数ヶ月で、SMSを送った、と言うユーザーはどれくらいいるだろうか。

 

 おそらくVodafone時代から利用しているSoftBankユーザーか、iPhoneユーザーがその大半じゃないかと思われる。特にiPhoneでSoftBankを使い始めたユーザーは電話番号でメールが送れる便利さに一番共感しているグループだ。

 

 iPhone OS 3.0になって、iPhoneの電話帳の電話番号の種類欄に「iPhone」が追加され、使っているユーザーも多い。こうしておくと、誰にSMSが届くのかどうかが分かり、メールアドレスを知らなくても気軽に使えるメールとして活用しているのだ。

 

 もちろんSMSのゲートウエイが解放されれば、どの090/080番号にもSMSが届くので電話帳の「iPhone」のような分類は必要ないが、SoftBank同士のSMSが無料という点だから利用しているという点を考えると、料金設定によってはせっかく解放したSMSゲートウエイも、使われずに忘れられてしまうことだってあるんじゃないだろうか。

 

 また、SMSとケータイメールのシステムや端末上での連携が不可欠だ。docomoやauはSMSやCメールのメールボックスとケータイメールのメールボックスが分かれている構造で、もしSMSでメールを貰った時に画像を添付したい、となればケータイメールを作り直さなければならない。さらに、電話番号だけで送信できるため、迷惑メールも心配事になるだろう。

 

 そしてSMSを相互に流通させるための設備投資がどれくらいになるのかは、キャリアごとに変わってくるはずだ。上記のように、ただゲートウエイを解放したとしても、ケータイメールとの連携などの利便性が確保されなければ、そして前述の通り料金を安く抑えなければ、結局ケータイメールを使い続けることになり、MNP促進のツールにはならないだろう。

 

 

どうなれば便利か、を考える

 

 総務省の報告書の中で、ケータイ端末に対するメールのプッシュのゲートウエイの解放についても触れられていて、docomoは既にその仕組みを持っているという。SMSはケータイメールと同様、もちろんプッシュされてくるが、より手軽に企業やプロバイダのメールのプッシュが使えるようにすることも議論されている。

 

 このあたりを読むと、BlackBerryやAndroidなどのスマートフォンの存在がちらつくが、いずれもi-modeメールのプッシュは非対応。しかしiPhoneやNokia、HTCなどのソフトバンクで利用できるスマートフォンは、PCのメール、ケータイのSMSや@付きのメールに対応してくれる。

 

 Nokia端末が撤退してしまったため、iPhoneが、全てネイティブのインターフェイスで対応出来るメール達者な端末になった。MobileMeやExchange、Yahoo! Mail(US)などのネットのプッシュメールに対応し、ソフトバンク間のSMS・MMSだけでなくいわゆる@付きの日本のケータイメールにも対応している、希な存在なのだ。

 

 iPhoneでは、パソコンのようにサーバ名、ユーザーIDなどを設定する「メール」というアプリが利用でき、サービスによってはプッシュメールに対応する。例えばMobileMe(僕は以前からパソコンのメインのメールアドレスとして利用している)にメールが届けば即座に通知される。そしてSMSや@つきのケータイメールは「SMS/MMS」アプリに入ってきて、同様に通知。あらゆるメールに対応する端末としてもiPhoneのポテンシャルは高い。

 

 他のソフトバンク端末でも同様のことだが、SMSとケータイメールが1つのインターフェイス・メールボックスで使えて、その違いを意識することがない点はとても使い勝手に影響することになる。ネットワーク側では電話番号のSMSとケータイメールをいかに連携させるか。端末側ではこれらを意識せずに活用できるようにするか。

 

 とにかく、テキストや写真が相手に届き続けることが重要だ。長いメールアドレスも、11桁の電話番号も、何件も記憶しておくことは出来ないし、どちらで送ったかで届く内容やファイルが違っても、混乱するだけなのだ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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