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「日本人はiPhoneがキライ」論争

2009/03/01 11:30
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 WiredのGadget Lab(初め見たデザインはCult of Macだったような)に、「Why the Japanese Hate the iPhone」というタイトルの記事が出て、話題になっている。渦中には、日本のジャーナリストのnobiこと林信行さんもいた。

 Wiredの記事を書いたBrian X. Chenは、日本で始まった「iPhone for Everybody」キャンペーンと、そこから透けてくる日本でのiPhoneの低調ぶり、Motorola、Nokiaの失敗、Lunarrの浜口さんやNews2Uの平田さんのコメント、そしてnobiさんが過去にWiredにコメントした記事を参照しながら、「日本人はiPhoneがキライだ」だ、と指摘していた。

 日本人にiPhoneがフィットしない点について、引用ミスというか、古い情報での引用によって、事実と違うのではないか、という指摘がわき起こり、金曜日の夜、六本木でアイスクリームを食べようとしていたnobiさんは、英語Blogの記事作成とTypePad Connectのコメントの嵐に対応することになる。

 Wiredの記事では、

・iTunesに接続しなければならない点
・日本のケータイはファッションアイテムになっている点(iPhoneはかっこ悪い?)
・Cellular weapon of choiceはP905iで、海外の人に見せるとみんなびっくりする

 とそれぞれのコメントが引用されており、平田さんとnobiさんはそれぞれ反論の記事を出した。

nobilog returns: My view of how iPhone is doing in Japan by Nobi

About "Why the Japanese Hate the iPhone." : Daiji Hiratara

 nobiさんの長いエントリーにはBrian X Chenへのメールが引用されていて、これは我々日本人が読んでも、iPhoneに対する視点、視線として役立つモノになるはずだ。内容を簡単にサマライズしておくと、

・iPhoneは日本で大コケしているとは思わない。
産経新聞が出した、SoftBankは2008年末までに100万台出荷はずが、20万台しか売れていないという記事は間違いで、100万台売るという数字はSoftBankもAppleも出していないし、30万台〜40万台は売れているだろう。その産経新聞はiPhone向けに記事が全文読めるアプリを出して大きな成功を収めている。
・2008年初頭のケータイ業界の構造転換で、2年縛りと高い端末価格により、端末不況へと陥っている中で、年間出荷台数は4200万台に落ち込んだ。半年でiPhoneの30〜40万台という出荷台数は、約1%にあたる。この数字は、Steve Jobsが示した「ケータイの世界市場で1%のシェアを取る」という目標を達成していて、ネガティブな数字ではない。
・SoftBankは、日本におけるiPhoneの弱点ータッチインターフェイス、絵文字が使えない、ワンセグが見られない、おサイフケータイが使えないーのうち、おサイフケータイ以外のポイントをつぶした。
・そのSoftBankは、CM好感度No.1を何年も取っている、コンシューマーに親しまれているブランドだ。
・AppleとSoftBankのTug-of-warは、Bearing Pointへの1000台のiPhoneへの乗り換えなど、一定の成功を収め始めている。
・もちろんSoftBankはインフラ面、ブランド面で、企業財政面で、完璧なキャリアではない。
・これらがiPhoneセールスの阻害要因だとAppleが判断すれば、iPhone販売をdocomoに変えるかもしれず、その可能性があることがSoftBankのiPhoneセールスの阻害要因になっている。
・docomoはiPhone以降、大きな端末ラインアップの改変に追い込まれたが、まだ彼らはiPhoneに興味があると思う。
・そして私はiPhoneを愛している。

という指摘だった(ちょっと順番を変えました)。

 iPhoneのセールスについては、時期を見てAppleもSoftBankも数字を発表すべきだと思う。それが40万台に届いていれば、Steve Jobsの目標値である1%をほぼ達成しているわけで、別に恥ずかしい数字ではないと思う。そもそもケータイが売れていないのはみんな分かっているのだから。

 絵文字に対しては、はっきり言って十分対応出来ているとは思わない。先週になってだいぶ状況は改善されているし、これはSoftBankのせいというわけではなく、日本キャリア全体のせいでもある。ただより広い視野で、世界中に絵文字を普及させてやろう、というくらいの心意気は持っているべきかもしれない(CNET Japan: 絵文字が開いてしまった「パンドラの箱」第1回--日本の携帯電話キャリアが選んだ道)参照。

 ただ、スキ、キライという感情的な話と言うよりは、条件面での折り合いが付かず踏み切れない人たちがたくさんいる、というのがむしろ現状なんじゃないかと思う。

 挙げれば、メールアドレスが変更されてしまう、デコメール、JavaアプリやFlashゲーム、バッテリー、着信音やメール音のカスタマイズ、メモリカードなど、ケータイの日常をiPhoneではこなせない、という条件面でクリアしなければならない障壁はたくさんある。

 よくiPodと比較されるが、日本でiPodが奇異な存在でなくなるのに4年かかっている。iPodもMDウォークマン全盛の時代に登場して、現在のケータイと同じように、折り合いが付かない条件がたくさんあった。

 パソコンがないと使えない、デジタル音楽は音が悪い(MDだって、と思うんだけど)、高い、電池が持たない、大きい、ダサい、といった批判を浴びながらも、今は多くのファンを抱えている。しかしウォークマンのブランドはつぶれていないし、新しい価値を手に入れて息を吹き返しつつある。

 頑固だけれど、新しいテクノロジーに興味があり、それを無意識かつファッショナブルに使いこなす、スマートな民族、これが日本人の何とも言えないコンセプトなんじゃないか、と思っているけれど、iPhoneに対する日本人の反応や浸透のスピードは、まさに上の通りに進んでいるのではないか、と僕も思う。だからウォークマンも再び支持を取り戻しているし、iPhoneとケータイについても、この4年間で同じ事が起きそうな気がする、と僕は思っている。

 ケータイはウォークマンと違って契約して月額課金されるビジネスモデルではあるが、きちんと「iPhone way」に触れて、見極めていくことで、4年もかからずにiPhoneに肩を並べる商品を世に送り出せるようになるはずだ。

 そしてもう1点。

 今回、Wiredというメディアに記事が載り、Twitterで話題が伝搬しているところをnobiさんがiPhoneのアプリでキャッチし(この時点でiPhoneはnobiさんにとってweapon of choiceだ)、nobiさんはメールで反論を書き、Blogにコピーを掲載した。それが再びTwitterやTypePad Connectで伝搬して、今回の議論の連鎖がわき起こった。

 リンクなんかも使っているので反論のメールそのものはMacから書いていたと思うけれど、別にiPhoneからでも十分長いメールを書くことが出来るし、TwitterへのPostもアプリが充実しているし、TypePad ConnectはBlogのコメントをメールで読み、また返信することができるようになっている。

 そういった情報にまつわるライフスタイルの連続的な活動の中で、上に出てきた「Blog」「iPhone」「Twitter」「TypePad Connect」は、全て組み合わせて活用することが可能なツール・ブランド群なのだ。ライフスタイルの中での連続性やどんな役割を持つか、他のツールと連携するか、といった視点や経験は非常に大切であり、iPhoneやそのアプリ群は、確実にその1ピースとしての役割を果たしてくれていると、僕自身も感じている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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