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iPhone獲得は攻め続ける姿勢の現れ - 日本のケータイ夏の陣

2008/06/05 13:20
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 SoftBankによるiPhone販売の決定のニュースで昨晩はひとしきり盛り上がった。実はケータイの3大キャリアの姿勢について書こうと思っていたところだったので、ちょっと内容を変えなければならないかな、と思っていたけれど、あまりその必要はないようだ。

 5月末から今週の火曜日にかけて、ケータイ各社が一斉に夏モデルの発表を行った。会場で一緒になる他のジャーナリストの皆さんとのコンセンサスとして、docomoのプレゼンテーションはあまり評判が良くなく、auの発表会は「淡々としている」、そしてSoftBankのステージは「楽しくて分かりやすい」、という結果である。毎回同じ評価ではないのだが、プレゼンテーション性はSoftBankが一番良いと思う。

 もう少し発表した端末で考えてみる。まずdocomoは「906iシリーズ」と「706iシリーズ」を発表した。またauは「スポーツ」「ムービー」 「自分らしさ」という基軸を打ち出した。SoftBankは「女性」というターゲットを押した。この発表の仕方からしても、docomoとau・SoftBankの「新機種のとらえ方」というか「売り込み方」の違いが見えてくる。

 

アクティブに守るau 

DSC_8486.JPG 

 docomoは守りの姿勢に入ると報じられていた一方で、どうもその「Answer」をなかなか感じ取ることができないでいるのだが、auの今回の発表では「アクティブに守る」姿勢を感じ取ることができた。

 その象徴的なサービスとして興味深かったのが、 フルチェン・ナカチェンというサービスだ。端末の外装を全て取り外してカスタマイズできるソニー・エリクソン製の端末「re」のリリース、そしてメインメニュー画面を各コンテンツプロバイダがカスタマイズでき、独自のリンクを置くことにも対応した2つのサービスである。

 おおよそ2年間は使い続けることになる昨今のケータイ端末事情の中で、機種変更を頻繁に繰り返してきたユーザーには住みにくい世の中になった。 単に最新の機能を求めて機種変更する男性ユーザーとともに、常に新鮮な気持ちでケータイを使いたい、という女性ユーザーもまた、頻繁な機種変を求めるユーザーでもある。そんなユーザーにとって、「re」の外装パネル全てを新しくでき、端末のメニュー画面まで統一された世界観に変更できるこのケータイは魅力的ではないだろうか。

DSC_8492.JPG  しかしこのケータイにはもう少し別の意味もある。それは全国に展開するauショップの再定義だ。ポイントサービスなどで端末販売は量販店に流れていたので、これまで名義や契約の変更、修理などでしか訪れることがなかったauショップを、フルチェン・ナカチェンの拠点にしたのである。

 外装の交換には特殊なネジの取り外しも必要で、ユーザー自身が交換することはできない。そのため作業はauショップで行うことになる。またメインメニューのカスタマイズもauショップの店頭で対応。例えば赤いパネルと黒いパネルを持っていて、その日の気分で付け替えてから出掛ける、という気軽さはないが、その代わりトータルコーディネートで赤いケータイ、黒いケータイに変化する価値はある。

 この展開は、自分のケータイをアレンジするブティックを、auショップに持たせることを狙っているように感じた。 

 また外装やメインメニュー画面は、数多くのコラボレーターが参加する。これまでウェブやアプリという形で独自サービスを展開するしかなかったコンテンツプロバイダは、そのサービス展開の余地を端末全体のデザイン、メインメニューにまで広げることになった。つまり、ケータイというプラットホームが、情報でのビジネスフィールドから、ライフスタイルでのビジネスフィールドに昇華する事を意味する。

 このように、ユーザーの趣向、auショップのネットワーク、そしてコンテンツプロバイダの3者を上手に守る姿勢が、この夏のauの発表会から透けて見える。

 

楽しいSoftBankの裏にあるもの 

DSC_8591.JPG 

 こう言うとSoftBankの方に嫌な顔をされるかもしれないけれど、SoftBankのプレゼンテーションはAppleのSteve Jobsのキーノートに似ている。シンプルなスライドは孫さんの話を聞く姿勢を作るし、合間に挟み込むちょっとしたステージショーや映像によるメリハリも付いている。そしてテレビコマーシャルのストーリーから連続性のある「白戸家の記者会見」など、小粋な演出の目立つ。

 そして孫さんが言い切るのだ「ターゲットは女性です」と。この究極的なわかりやすさを支えるのは、純増ナンバー1を重ねているという事実かも知れない。「男女比を調査した際、男性ユーザーの方が多かった」というコメントもあったが、確実に取れていないユーザー層やユーザーの不満に対処していく様子は、利用者の方を向いているように映る。写真も、「1文字1文字全てで好感度No.1を目指せ!」という目標で際デザインさせた絵文字のお披露目。気合いが違う。

 これは守る側と追いかける側の違いである、といわれればその通りだと思うけれど、 ユーザーからすれば、親切にサービス設計をしてくれるキャリアを選んでいた方が「使い心地」がよいのではないか。

 そんなSoftBankがiPhoneの販売を進めることになったのも歓迎すべきだ。料金の面、そしてiPhoneというエクスペリエンスを忠実にトレースできる周辺サービスの対応なども、既存のビジネススキームの枠を超えて可能になるのではないだろうか。

 この話はまた別に触れようと思うけれど、僕はiPhoneがSoftBankから出てくれればいいな、と思っていた。昨年末、CNET Japanオンラインパネルディスカッションで「iPhone日本発売、どのキャリアから?」というお題「SoftBankに決まるんじゃないか」と指摘していた(証拠を示すみたいではありますが)。

 iPhoneを日本に送り出すのにSoftBankは良いポジションにあると思う。iPhoneの快適な電話機能も、SoftBankのホワイトプランでiPhone同士の通話無料が約束されることになる。通信インフラはdocomoにかなわないが、HSDPAの高速アクセスも整備を進めているので申し分ない。そして何より、発表会を見ても思うことだが、自分たちのビジネス、特にブランディングに、まっすぐとプラスの効果を享受できるのはSoftBankしかないだろうな、というのが最近の感想だった。

  もう少しiPhoneの話題を重ねていきたいと思うけれど、6月9日のApple年次開発者向けイベントWWDCのステージに、孫さんが登場するのも、想像しうるシチュエーションじゃないですか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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