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Music City - 音楽との出会いの遍在化 - iTunes Wi-Fi Music Store (2)

2007/09/08 02:55
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 昨日の記事で、iTunes Wi-Fi Music Store(iTWS)の機能とStarbucksとの協業で、どのようなユーザー体験が発生するか? と言う点に触れた。繰り返しになるけれど、iTWSはiPod touchやiPhoneのWi-Fi経由でiTunes Music Storeにアクセスでき、モバイルから楽曲を試聴し、その場で購入し、家に帰ってドックすれば出先で購入した楽曲がiTunesのライブラリに保存される。 またiPod touchやiPhoneを持って米国内のStarbucksに入ると、直近に店内で流れた10曲のリストを見ることが出来、またStarbucksがセレクトしたプレイリストやフィーチャーしているアーティストの作品を専用のボタンから閲覧し、iTWSと同様、店内で提供されるWi-Fiの電波経由でダウンロードし、購入することが出来るようになる。 昨日の記事では、これらは日本の着うたフルのカルチャーと、ニンテンドーDSを持ってデパートや家電量販店のDSステーションに群がる小学生のライフスタイルとを良く研究した結果だ、と言う点に触れている。 その記事を書いた後、六本木ヒルズを散歩してみた。森タワーの麓のDieselのブティックから森タワーとくっついているショッピング街ウエストウォークを歩き、オープンエアのけやき坂伝いにMINIのブティック、Louis Vuittonの巨大な店舗などを眺めながら坂を下り、TSUTAYA TOKYO ROPPONGIと併設されているStarbucksで一休み。もちろん日本でのiTWSの展開は発表されていないからiPhoneを持ち込んでも何も起きないけれど、冷たいアメリカーノを飲みながら考えた。 はじめに訪れたDieselでは、ものすごく新しい音楽が流れている。結構ハード目のサイバーなテイストながら、聞きやすいポップさ、キャッチーさを兼ね備えているような音楽。店内にディスプレイされているミライっぽいのイメージの洋服を音楽のBGMによって牽引している印象を受ける。 六本木ヒルズのロビーに入ってくると、要所要所でうすーく、六本木ヒルズのテーマソングである坂本龍一さんの『The Land Song』が聞こえてきて、ここが六本木ヒルズであることをハッと耳から気づかされる。ちょっと安っぽい音がする床を、『The Land Song』のちょっと速めのテンポに合わせて靴を鳴らして歩くと、六本木ヒルズを行き交う人の流れにフィットすることができる。MINI DJ Booth MINIのブティックではBeatがテーマだ。2005年の東京モーターショーでも、出店メーカーで唯一DJブースを出して、MINIのホットなクルマを、ホットなクラブミュージックで盛り立てるというプレゼンテーションをしていたのを思い出す。ハウス系の楽曲をがんがんかけて、いまはBMW傘下だけれども、ブリティッシュ・モーター・ブランドであるアイデンティティをぷんぷん臭わせている。 そうしてTSUTAYA TOKYO ROPPONGIまで下ってきたら、Starbucksの店内では、TSUTAYAでフィーチャーしている音楽が店内に鳴り響いていて、他のスタバとは違う雰囲気を醸し出す。六本木ヒルズをテンポのBGMだけ追いかけながら散歩しただけでも、これだけのことに気づかされるのだ。どのBGMも、音楽を選ぶことによってそこの場所の雰囲気を作り、場所の意志や意味を伝えてくる。ファッションやブランド、場所性、そこに来る人のライフスタイルなどと、店内で流す音楽の関係性を慎重に考えているわけだ。 アメリカのStarbucksでは、その気を遣って選ばれた音楽が購入できる、というサービスが今後展開されるのである。iTWSに対応することは、自宅でも職場でもない、3rd PlaceというStarbucksの店舗のコンセプトに、音楽を楽しみ、音楽と出会い、それをコーヒーとともに音楽を買うという、場所の意味づけを追加することになる。 しかし、これがStarbucksだけのモノであり続けるのは、いささかもったいない気がしないだろうか? もちろん、レーベルを持っているだとか、全米の至る所に存在しているというインフラ性だとか、様々な条件面でiTWSのパートナーとしてStarbucks以外確かに考えにくい。しかしiTWSのパートナーとして今後、ファッションブティックや自動車のディーラー、ホテルチェーンなどが追加されたらどうだろう? 彼らが慎重に選んだブランドにフィットする音楽を、ブランドを選んだお客である我々が楽しめるようになったらどうだろう? これは音楽との出会いの場が街中に遍在化することを意味し、またその場所へ行く、ショップを選ぶと言う行動が音楽を選ぶことにつながる。またショップは、自分のブランドを選んでもらうために音楽で訴求する、と言う逆のブランディング方法、あるいは音楽による顧客の囲い込みの方法を手に入れることになる。場所を意味づけする音楽を、商品とともに持って帰ってもらう。顧客の生活の中で、ブランドに触れ、ブランドが占める割合を大きくすることにつながるはずだ。 将来AppleがStarbucks以外のブランドとiTWSについて協業するかどうかは分からない。しかしDJでもある僕からすると、ぜひそうなって欲しいと思っている。音楽がトリガーとなった場所の意味づけや、コミュニケーションの新しいカタチが確立され、それがライフスタイルの中での選択に大きく関係してくる。ミライにはとてもエキサイティングな状況が待っていると思うからだ。 さらにその先には、お店だけでなく、すれ違う人のiPodの中身をサーチできたりするとさらに面白い。ぎゅうぎゅう詰めになるのが特徴的な日本の通勤電車という空間を、音楽との出会いの場に変えることが出来て、それもステキだな、と考えているんだけれども

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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