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「見えないお金」へのエデュケーション - おサイフケータイで生活できるか(4)

2007/07/20 19:21
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 nanacoは身近な「見えないお金」を使うことへのメリットをアピールすることによって、利用者層をこれまで電子マネーを使ってこなかったユーザーにも押し広げ、また活発な決済件数の伸びを実現しているようだ。しかしそこには、これまでの広告に頼らず、ポイントというメリットによってダイレクトに消費を誘うマーケティングをも身近に呼び込んだことにもなる。「見えないお金」を利用するユーザーは消費が増やせる? 決してそんなことはないはずだ。そこには「見えないお金へのエデュケーション」が必要ではないか。 最近僕の地元の駅の目の前にあるファミリーマートに、EdyとiDが導入された。元々Suicaでの決済が可能だったので、レジにはSuica、Edy・iD共用の2台の非接触ID読み取り装置が置かれることになる。ちなみに2種類の決済が可能な端末が配置されるのは画期的なことだ。先日家電量販店に行ったら、Edy、Suica、iDの読み取り機がバラバラに設置されていて、とてもスマートとは言えないレジになってしまっていた。ちなみにNTT DoCoMoは2006年9月のリリースで、Edy、Suica、iD、QUICPayの4つの決済方法を1つの端末でこなす読み取り機を発表している。 各種端末の機能は似ている。先駆者であるEdyがそのスタンダードを作っているが、決済で引かれる金額が表示され、タッチするとそれぞれの電子マネーの決済音がして、残高が端末に表示される仕組みだ。読み取り部がレジ端末と一体型になっているコンビニのam/pmやセブンイレブンでも、画面表示は読み取り端末のそれと同様で、もらえるレシートに残高やポイントなどが印字される点も便利だ。 Edyが決済に音を付けた点は僕はとても評価している。お金を払うときに特に音がするわけではないが、共通の決済音を付けることで、キチンと決済されたかどうかが分かるだけでなく、オフィシャルに決済がなされた証明にもなっていると思うからだ。こどもにお使いを頼むとき、お母さんがお使いメモとEdyカードを渡して「これでシャリーンしてきて」なんて伝えれば、「見えないお金」を扱う場合でも分かりやすい。 前回の「現金で出来て電子マネーで出来ないこと」シリーズになりそうだが、お使いを頼んだこどもにどうやってお駄賃をどうやってあげればいいだろう。今ある手段で考えると、Edyをケータイで使う場合は簡単かもしれない。こどもが持つおサイフケータイに、親のおサイフケータイからEdyギフトでおつかい分のお金を入金しておく。キチンとお使いを済ませてきたら、またEdyギフトでお駄賃をあげればいいし、お使い分のお金と共に予めお駄賃を入れておいても良いかもしれない。 「見えないお金」をエデュケーションする媒体としてさらに秀逸だと思われるのがDoCoMoが提供するDCMX miniとiDの組み合わせである。「見えないお金」をエデュケーショナリングするiD プリペイドではない「見えないお金」とも言えるクレジットカードとiDの組み合わせの場合は、自分でセーブしなければ際限なく使えてしまう。しかもDCMX miniはFOMAのおサイフケータイでi-modeを利用している中学生以上のユーザーが対象。1万円までと言う制限付きではあるが、お小遣い以上にiDで決済してしまう可能性が大いにあるのだ。 ちなみに1ヶ月1万円未満という制限は、こどもにとってみれば充分大きな金額かもしれないが、クレジットカードからすれば赤字ビジネスであるそうだ。しかしケータイなどの通信の会社は、10円の通話料を取りながらビジネスをしてきた業種。DoCoMoがカード発行主になることで、少額課金のクレジットカードもビジネスモデルに載せられるという算段があり、だからこそ12歳以上のユーザーを1万円未満という限度額でiDの決済に巻き込むことが出来ていると言える。 iD利用者の低年齢化を進めるために気を遣っているのか、iDの決済端末は他の電子マネーの端末とは違っている。 プリペイド型ではなく後から請求されるクレジットカードのスタイルで利用するiDは、「残高」という概念がない(もちろん限度額はあるけれども)。そのため、決済端末をよく見ると、上段は決済金額で他の端末と同様だが、下段の数字は「当日利用額」になっているのだ。この表示は、これまでのクレジットカードの決済レシートにもないものだ。 この表示は、いくら使ったか分からなくて請求の時に大きな金額に、、、というクレジットカードが危険だとする人たちのストーリーを、1日1日の消費の場において防げるようになるモノではないだろうか。もちろん多くのクレジットカードは、ウェブサイトで明細を確認することが出来るし、ケータイから利用できる多くの電子マネーでもアプリから決済履歴を呼び出すことが出来る。 しかしiDの端末は、支払うその場で当日使った金額が分かるのだ。これは、ウェブやアプリで後から確認できることとは違うはずだ。お金が財布の中で見えなくなり、数字で動くようになったからこそ、自己管理を促す端末を導入している。DCMX mini + iDからクレジット払いに入門するワカモノの方が、「見えないお金」の扱いは上手くなりそうじゃないですか? nanacoのように顧客を囲い込んでいくために、ボーナスポイントなどのインセンティブを付けながら電子マネーに慣れてもらうのが現在だ。しかしDCMX miniとiDの組み合わせが低年齢層にも広がるようになると、前払い型や後払い型に限らず「見えないお金」を扱うことが当たり前になり、僕の実験のように無理矢理ではなく、自然に現金に触れず便利な生活を送る世の中が訪れることになることは容易に想像できる。 その「見えないお金」を扱う媒体としてもっとも有力視できるのがケータイである。いまはおサイフケータイという呼ばれ方をしているが、近々「ケータイがおサイフ」として当たり前になる将来が訪れるだろう。そうするためにも、「見えないお金」は現在の紙幣・硬貨などの「見えるお金」で可能なことを余すことなく実現する必要があり、そのスムーズな移行の上に新たな価値を提供する必要がある。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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