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「ワカモノの文字盤」たるケータイ(中)

2006/09/26 17:33
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 タイポグラファーでJfonts協議会理事長の長村玄さんのお話を伺った折、明朝体は書き順や画数、文字の属性や構造を表す文化伝承の意図を鮮明にしたフォントであるという話をうかがった。では「ワカモノの文字盤」とも言えるケータイで表示された文字について考えてみることにする。SO902i #23 一部の端末では明朝体が使えるようになったものの、多くはゴシック体をベースにしたフォントで表示される。特に気にしたことはなかったが、それにならされている自分に気づいた。今僕がメインに使っているケータイはSO902i。メニュー画面こそ独自のアンチエイリアスがかかったキレイなフォントが表示されるものの、そのほかのメニューやメールなどは、文字サイズを「中」にしていると、ちょっと太さ(2ピクセルくらいだろうか)があるのゴシック体で文字が表現される。細かい文字の部分は2ピクセルの太さを1ピクセルにするなどして、極力文字をつぶさない配慮がなされている。 文字サイズを「大」にすると、さらに太く大きな文字になるが、「小」にしても「中」と同じ太さで、文字の大きさが変化する形だ。いずれにしても、書き順や文字の構造などといった文字に対する造詣を感じることは出来ないが、見やすいし、日常見慣れる文字として問題は見あたらない。おそらくSO902iに限らず、そのほかのケータイでも特に問題ない、という感覚ではないだろうか。F902i #11 前から述べているような、大きな役割を持っている明朝体の表示に搭載されている端末はどれだけあるだろうか。僕が知っている限りでは、D902i、F902iで明朝体フォントをチョイスできるようになっている。これを設定すると、ケータイのメニュー画面やメール表示に、このリョウミンが使われるようになる。英数、ひらがな、漢字、記号などが明朝体になるが、さすがに絵文字は明朝体にはならないようだ。そこまで凝っていたらまた面白いですね。 長村さんにケータイで表示されるフォントについて質問してみると、こんな答えが返ってきた。「ビット数の関係から、簡略化が余儀なくされる。例えば、我々が普段使う文字の中には画数が30画にもなる漢字がある。これをどのようにケータイのディスプレイで表現するか? 字体や字形、フォントの問題よりも大きなくくりで考える必要があり、どんなメディアやどんなキャリアを使っても、ある程度情報が同じレベルで伝わる加減を決める必要があるのではないか」(長村さん) ケータイのディスプレイの高精細化はこれからもすすんでいくモノと考えられる。現在多くの端末が320×240のQVGAか、ワイドQVGAと呼ばれる横長(縦長)ディスプレイを搭載しているが、VGA化、さらに高精細なHD対応のケータイ向けディスプレイが搭載されるようになるのも時間の問題だろう。当然高精細になればフォントの表現も細かくすることが出来るようになる。また現在の地上波デジタルテレビの字幕のように、フォント側が高精細に対応せずディザが出てしまっては台無しだ。さらに高精細になれば読みやすいか、と言われればそうではない。 これからケータイで扱われるフォントについて、技術や端末の進化の上では高精細化によって、文化の継承という役割を背負う明朝体を使うことが出来るようになるかもしれない。リッチなディスプレイ環境によって表現力が増すことは疑う点ではない一方で、長村さんの指摘のように、ある程度情報が伝わる要素に注目した視点も必要ではないか。 さらに言えば「ワカモノの文字盤」としての独自性と日本の文字環境との関係性を追求することが出来れば、これもまたエキサイティングではないだろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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