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「SidekickでPCいらず」 - こどもとケータイ特集

2006/08/09 21:02
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 「2006年からは、日本のケータイ事情はアメリカよりも決して進んでいない」そんな危機感にも近い衝撃を受けたアメリカ旅行のうち1週間近くお世話になった家に今年の6月に高校を卒業した女の子がいる(アメリカでは高校を卒業したら女性、と言うべきですね)。2002年頃からほぼ毎年会っている彼女から、こっそりとアメリカの東海岸のティーネイジャーのコミュニケーションについて教わっているんだけれど、今年は決定的に違っていた。 2005年までは実際あまり変化がなかった。使っているコンピュータがノートPCから省スペースデスクトップに変わっていたり、AOLの画面ばかりが占有していたかと思ったら、いつの間にかGoogleの画面が出るようになっていたりと、その時々のトレンドがかなり反映されていて話を聞くのが楽しかった。ただ今までは、ほぼ全てがコンピュータ経由のインターネットの話であった。 学校から帰ってきたら真っ先にコンピュータの前に向かい、AIM(AOL Instant Messenger。日本ではMSN Messengerの方がメジャーですね)にログインして、同じように学校から帰ってきてログインする友達とコミュニケーションを取り始める。eBayでいらなくなったモノを売ったり、プラチナチケットをゲットしたり。ログインしている間は度々「You've Got A Mail!」というあの有名なメール着信の音が聞こえてきたのも印象的だった。 そんなパソコンでネットを使いこなす彼女だったが、今年訪ねてみると、パソコンの前に座っているところをほとんど見なくなった。だからといってメールやチャットやeBayを使わなくなってしまったのか?そんなことはなかった。ただ、これらのコミュニケーションやサービスを使うツールが変わったのだ。そのツールこそ、Sidekick 3であった。Sharp AV200 / T-Mobile Sidekick 3 #10 Sidekickと言えば、パリス・ヒルトンである。2005年の2月に、パリス・ヒルトンがこの携帯端末に保存していた情報がハッキングに遭い、他のセレブたちの個人情報まで公開されてしまうと言う事件があったのを覚えているだろうか(CNET Japan記事「P・ヒルトン、携帯端末の登録情報がネットに流出--友人のエミネムも巻き添えに」)。こんな災難がありながら、懲りないと言うべきか、パリス・ヒルトンは2006年7月10日にリリースされたSidekick 3のお披露目パーティーにも、スワロフスキーを鏤めたセレブ仕様のSidekick 3を持って登場している。プロモーションも効果があり、このSidekickシリーズはティーネイジャーの間で爆発的な支持を得ているそうだ。日本で例えるなら、あゆ(浜崎あゆみさん)やエビちゃん(蛯原友里さん)がウィルコムのスマートフォン、W-ZERO3 [es]を持ってパーティーに登場するのと同じ感覚だろう。ちなみにW-ZERO3 [es]も、Sidekick 3と同じシャープ製である。Sharp AV200 / T-Mobile Sidekick 3 #11 さてSidekick 3とは、T-Mobileがリリースしたシャープ製のスマートフォンである。130mm×59mmのサイズ、21.8mmの厚さ、重さ約190gのボディに240×160ピクセルのディスプレイを搭載し、トラックボール型のポインティングデバイスも備えるGSM/GPRS/EDGEに対応した端末だ。Bluetooth、LEDライト付き1.3Mピクセルカメラ、最大2GBのminiSDカードに対応するという仕様だ。ボディのギミックがクールで、閉じた状態から液晶の部分をスライドさせると、ディスプレイ部が端末の上端を軸にぐるりと回転し、下からフルキーボードが出てくる。ちょうどPSPと同じような持ち方で、フルキーボードとトラックボールを駆使して操作する格好だ。 さて、高校を卒業した彼女の話に戻ろう。彼女はこの端末を使って、メール、チャット、ウェブといったインターネットのコミュニケーションやサービスを使いこなす。今までは自分の部屋にこもりきりだったが、この端末を握りしめてリビングにいる時間も長くなった。またクルマでどこかに行くときでも、コミュニケーションを逃さないし、絶え間なくキーボードをスライドさせて使っている様子は、日本の女子高生の放課後のケータイメールが飛び交う様子に似ている。 しかし決定的に違う点がある。インターネットの環境でそれが行われている点だ。相手は同じようなSidekickのユーザーか、パソコンのユーザー。メールサービスも、ウェブのサービスも、チャットも全てパソコンからアクセスするインターネットと同じ環境を使っているのだ。つまりWeb 2.0の流れが、Sidekickによって、一気にケータイの世界に流れ込んできたことになる。メールに貼り付けら得た住所からGoogle Mapsで地図を検索して、見つけた地図のURLを貼り付けてまたメールで送り返す、そんな作業が当たり前なのだ。 決して日本のケータイのウェブが不便だというわけではない。ユニークなサービスもたくさんある。しかし最新のサービスがいち早く使えるパソコン経由のインターネットの方が、新しモノ好きのワカモノにとっては魅力があるし、何よりそのサービスの数の充実度は圧倒的だ。アメリカのワカモノは、通信料だけで、これらの新しい、クリエイティブで変化の早いサービスをケータイからいつでも何処でもアクセスできるのだ。 そう思った瞬間、なんだかケータイウェブしか使えない我々日本のケータイネットサービスの状況が、アメリカに一気に突き放された、と言う感覚を覚えたのである。ならばW-ZERO3 [es]のようなスマートフォンが日本のワカモノの間に普及すればいいのか? もちろんその通りだと思うが、それだけでは足りない。 やはり日常のコミュニケーションに関わる部分なので、ネットで買わされるコミュニケーションの土台、プラットホームが必要だ。アメリカの場合、メールやチャットをパッケージ化していたAOLだったのかもしれないし、現在の日本で言えば、mixiやGREEといったソーシャルネットワーキングサービスがそれに当たると考えられる。 最後にもう1つ、彼女がPCからツールをSidekick 3に変えた後に起きた変化について1つ触れておこうと思う。今までPCばかり使っていて、ケータイは一応持っていたが、ほとんど使わなかった。しかしSidekick 3でネットコミュニケーションをすませるようになってから、逆にケータイの音声通話を使うようになったという。文字だけのコミュニケーションを音声通話付きの端末で交わすようになったら、通話が増えたというから、利用する端末の変化というのは面白い。 もし日本のワカモノにW-ZERO3 [es]が爆発的に普及したら、今まで通話料を気にして音声通話をしてこなかったワカモノも、ウィルコム定額で通話する時間が増えるだろうか。ケータイの使われ方やカルチャーは、ワカモノのコミュニケーションへの欲求、キャリアが提供する端末、サービス、そして大きな要素として通話料などの変数が密接に関わり合いながら変化する。僕はこの魅力にとりつかれているのであって、だからこそこれら変数の変化が大きく出やすい子どもやワカモノのケータイ事情を、これからも追いかけたいと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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