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「プッシュトーク」のポジショニング - NTTドコモ 山脇晋治さんに聞く(2)

2006/01/25 15:07
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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YAMAWAKI shinji - consumer service manager at NTT DoCoMo #07 DoCoMoがPTTを採用してスタートした「プッシュトーク」のサービス。標準搭載される902iシリーズが発売された11月11日から利用できる一方、最新機種を持つ者だけが使える特権でもある。これから対応端末が普及して行くにつれてユーザーが増えていくこのサービスは、ケータイで交わされるコミュニケーションの中でいったいどのようなポジションを目指しているのだろうか。引き続き、山脇さんにお話を伺った。変化する会話のペース、増える選択肢ーーケータイにおいて同じ音声を扱う音声通話のトラフィックに影響があるのではないですか? 「サービスを導入する当初、社内でも議論がありました。確かに全くないとは思っていませんが、心配するほどの影響もないのではないかと考えています。やはり音声通話と言っても、半二重通信なのでどちらか片方しかしゃべれない。プッシュトークでは相手が喋っているとき、自分の声が相手には届かないのです。コミュニケーションでは込み入った話になればなるほど、反応を伝える相づちが必要です。それが出来ないプッシュトークは自ずと音声通話と棲み分けが出来ています。恋愛や家族間の相談事という場面では、プッシュトークは使いにくいでしょうね」ーー実際使ってみると、これまでのケータイ通話での会話のペースと変わりますね。 「実は職場でプッシュトークを使ったりしているんです。課長からプッシュトークがかかってきて、30秒間いっぱいに用件を詰め込んで、反応を待つ、みたいな。1人ずつしかしゃべれないので、30秒間しゃべっている間は聞いている僕らは会話(と言うか発言)に割り込むことは出来ないんですね。だから言いたいことを言って反応を待つ事が出来る点は情報伝達にはちょうど良いかもしれません」ーーまたワカモノにとって、半二重の通話は初体験になります。 「そうなんです。マーケットのテストではケータイのコミュニケーションに敏感な若いユーザーよりも、むしろ40代以上のユーザーやシルバー層の方がすっと会話を成立させることが出来たのは、これまでのケータイ向けサービスの中で珍しいことでした。トランシーバーの多くが半二重通話なので、その経験がある人たちの方が簡単に使いこなしていたのでしょう。ただすぐになれて使いこなせるようになると思います」ーーどんな会話にフィットするとお考えですか? 「ムーバのサービスに三者通話という機能がありました。3人が参加して同時に通話が出来るという機能ですが、全二重の通常の通話で顔が見えない三者通話というのはとても難しかったのです。プッシュトークは音声を使ったグループコミュニケーションに最適なツールだと考えます。誰か1人の声が届き、これにプッシュトークのサウンドロゴである効果音が加わることで、グループでの通話が円滑に進むようにアレンジできました」ーーその上でのプッシュトークのポジショニングはどこにありますか? 「1:1のコミュニケーションにおいては、全二重・半二重という違いで音声通話とプッシュトークを使い分けるというシーンがまずあると思います。深い話ではなく、伝言のように手軽に音声を使う新しいメディアとしてプッシュトークをチョイスする。会話をきちんとしないといけないシーンでは音声通話を、より親密な通話をするときはテレビ電話を選ぶ。そんな会話の選択肢が広がったととらえています。そしてもう1つの新しいモードとして、グループでコミュニケーションが加わると思います」 ポンと渡して最初に使いこなせたのがワカモノではなくトランシーバーを使った経験がより多いある40代以上のユーザーだった、というのは今までのケータイ向けのサービスにないことだった。確かに僕も含めて、音声のやりとりと言えば電話・ケータイから使い始めたわけで、トランシーバーを使った経験はまるでなかった。メールを打つのが面倒くさいというシルバー層のユーザーにとって、プッシュトークは手軽なケータイでのコミュニケーション手段として定着する可能性もある。なかなかユニークな存在だ。DoCoMoとしては音声通話との共存が出来ると強気の姿勢も、このエピソードを聞くと頷ける。第三のコミュニケーションツールーーグループコミュニケーションが加わるというのはどのようなイメージですか? 「プッシュトークは、プッシュトークボタンを押すと電話帳が開いて、会話に参加する人を選んですぐに呼び出すというこの軽快感がポイントです。つまり何かを伝えたいと思った人が、誰に伝えたいかを選んですぐに話しかける。想定しているのは、グループと言っても多対多間ではなく、何か伝えたいことがある人から発信する1対多のコミュニケーションです」ーーここはauのHello Messengerとは違う感覚ですね。 「チャット型のやりとりはもう少し腰を据えて使うものだという感覚がしています。プッシュトークは出来るだけシンプルに純粋なPTTの形で提供しました。エンターテインメント性は絞らせていただいて、端末の普及と新しいボタンに慣れて頂けるようにしていきたいです。機能の追加はその次の段階だと考えています。音声と変わらないユーザーインターフェイスで使えるようにすることが第一段階です」ーー使っていて気づいたのですが、着信履歴も出てくるのはびっくりしました。 「着信履歴やリダイアル、電話番号直接入力、そして電話帳。どこからでもプッシュトークで通話が出来るようになっています。これはテレビ電話の機能がFOMAに入った時と同じです。着信履歴などでは音声通話か、テレビ電話か、プッシュトークかが一目で分かる。通話ボタン、テレビ電話ボタン、プッシュトークボタン、それぞれを押せば、その機能で返事が出来る。使い勝手を変えずに導入する。第三のコミュニケーションツールとして日常で使ってもらうためには必須のシンプルさです」ーー現在テレビ電話はボーダフォンとの間で通話が可能ですが、プッシュトークの他社との乗り入れは? 「実はそれぞれ各事業者が別々に開発を進めて導入してきたので、同じPTTのサービスと言ってもふたを開けてみたら、仕様に大きな違いがありました。他社との乗り入れは全く意識していないわけではありませんが、まずはドコモユーザーに自信を持って提供していきたいと思います。その過程で自ずとユーザーから要望が上がってくると思います。ドコモ内の普及は1年半〜2年を見込んでいます。その間の課題として考えています」 第三のコミュニケーションツールとしての地位を築こうと産声を上げた日本のPTT。しかしDoCoMoとauでは機能も違うし相互の乗り入れはかなわない状態での船出となる。ケータイでの通常の音声通話ははじめから固定電話や他のケータイと通話が出来た。テレビ電話はそういうわけにはいかなかったが、だんだん通話が出来る相手がが増えてきた。ケータイメールは始めはポケベルのようにキャリア間でのやりとりに便宜が図られていたが、アドレスが電話番号から「@」付きに変わってケータイの一大メディアと化した。そんな歴史がある中で、プッシュトークがどのようにして第三のツールの地位を確立するのか。 その答えを出すには、歴史をひもとくと同時に、僕自身もっとPTTに触れなければならないですね。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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