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ケータイで調査する - Social Life of Mobile Media

2005/11/02 19:31
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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Undisciplined Places Workshop - Mimi-san & Okabe-sanケータイはとても多くのモノを飲み込んでいる。メールクライアントから始まり、カメラ、最近ではサイフ。そして、だからこそかもしれないけれど、とにかく人間の生活に密着している。ケータイを調べていくと、そのユーザーの日常生活まで見えてきそうなくらいだ。

 これは「ケータイを調べる」という視点だが、人間と密着していると考えれば、逆に「ケータイで調べる」というアプローチもまた、可能ではないだろうか。つまり、ケータイを何らかの調査のツールとして活用するということである。簡単な電子アンケートなどはすでにケータイ向けのウェブサイトで行われたりしているが、もう少しケータイの機能に踏み込んで活用しながら調査を行おうとしているのが、「Social Life Workshop」だ。

 世界各国の研究者が東京に集まり、ケータイによる社会生活に関する調査を行うワークショップが、2005年11月2日から4日にかけて行われている。11月4日には東京都港区の慶應義塾大学見たキャンパスにてシンポジウムが行われているので、興味がある方は以下のページからどうぞ。

・The Social Life of Mobile Media: An International View

 今回のワークショップでモデレータを努めている南カリフォルニア大学の伊藤瑞子先生にお願いして、11月2日の渋谷でのフィールドワークに特別に同行させて頂いたので、その模様をレポートします。

シブヤとアキハバラを切り取る

Undisciplined Places Workshop - Moblogging 2 渋谷駅の前で南カリフォルニア大学の伊藤先生(上写真・左)、慶應義塾大学の岡部先生(上写真・右)と待ち合わせをした。彼らは肩掛けの小さなバックとNTTドコモのビジネスFOMAとしてリリースされた端末「M1000」を片手に、渋谷の街に繰り出した。今まで街での調査というと、その調査の種類にもよるが、メモ、カメラ、ボイスレコーダー、地図、調査票など、かなりたくさんのモノを持ってマルチタスク的に扱わなければならなかった。それがケータイ1台になっているため、「楽だよ」と伊藤先生は言う。スイスイ渋谷の街を歩きながら、気になるモノの写真を撮っていくフィールドワークがスタートした。

 今回のフィールドワークでは、同じM1000の端末を持った研究者が、同じ時間帯に、渋谷で10台と秋葉原で2台を使いながら街を“切り取って”くる。切り取るテーマはグループごとに設定されており、外国人から見た気になるモノの収集(カバンや洋服など)、街の隙間にある(非公式な)広告とそれに対する人の動きなどがあるそうだ。それぞれのテーマに当てはまる写真を撮影して、その場でどんどんウェブにアップロードしていくことで、街からリアルタイムに情報を集めていく作業を行う。11月2日に街で収集したデータを元に翌日11月3日に分類したり検討したりして、調査結果としてアウトプットするそうだ。

センサーだらけのバックパック

 調査を行う際、写真の画像情報だけではなく、様々な環境情報も記録していくという。写真にも環境情報を表すデータが記録されている。ケータイのカメラにも、一眼レフなどマニュアル操作が可能なカメラと同じように、絞りとシャッタースピードがある。この数値は写真のExifデータとして記録されているので、同じ設定でM1000内蔵のカメラを使っていれば、その場の明るさを比較することも可能ということになる。

Undisciplined Places Workshop - Thermo & Hydrometer そして調査に関係ありそうな肩掛けの鞄の中身。これを見せてもらうと、なかなかびっくりする仕掛けがあった。センサーだらけなのである。歩数計、温度・湿度計、GPS、そしておそらくBluetoothだと思われるトランスミッターが入っている。

 「5分に1回、位置情報と温度・湿度などを計測しています。ケータイから写真を送るときに、最新のデータを一緒に送ることで、位置情報と環境情報を合わせて記録し、システム側の地図にプロットしていくことができます」(岡部先生)。これらの情報によって、その場所の状況や、そこにいる人の行動、街の中での意味合いを調査していくことができるという。

まだまだ課題も

 今回の調査は快調なように見えて、いろいろとトラブルもあった。まず最大の問題点といってもいいかもしれない、端末の電池の問題だ。ドコモのM1000も多分に漏れず、1時間も写真撮影とアップロードを続けていると、電池切れに見舞われる。途中ドコモショップに駆け込む場面もあった。代わりの電池パックなどを用意しておかなければなりませんね。

 僕もケータイをFOMAに機種変更したばかりの頃、さらにドコモがパケット定額プランをスタートした頃の2段階にわたって、かなりハードなモブロガーになっていた。たとえば六本木ヒルズに行ったら、とにかく目の前にあるモノを撮影しまくって、即刻ブログ(現在はFlickr)にアップロードする。こういうハードなモブログを行うと、おおよそ1時間前後で電池を消費し、画面に電池切れのマークとアラート音がむなしく鳴り響くことになる。

 もう1つは通信の問題。意外とGPSの測位やセンサーとの通信、画像や情報のアップロードなどに時間がかかるということだ。手軽にシステムを作るために既存のケータイを活用するせいか、1枚写真を撮ってから記録が完了するまでに5分以上かかることもある。街の中で決定的瞬間を押さえようというわけではないが、ある意味での調査の「慣れ」みたいなモノはまだまだ要求されるということだろう。

Social Life of Mobile Media

 今回は社会調査を行う人たちのためのモバイルツールとしてM1000やセンサー類が活躍していた。まだまだツールやバッテリーの問題、社会調査に参加してもらうため(モブログをして情報提供してもらうため)の動機といった問題点が存在している。ただ、やっていることを簡単に言い換えれば、街にモブロガーをばらまいて、彼らに興味のあること(研究対象)に関する写真を撮影・アップロードしてもらうということだ。

 「モブロガーをばらまいて」と言ったが、カメラ付きケータイはみんな持っているし、ブログだってユーザーが増えている。あとはFlickrやGREEフォトなどに採用されている「タグ」による分類を行うことで、このワークショップで行われるフィールドワークに近いことは日常生活の中で実現されていくのではないか。その情報をどのように使うか、どのような動機を持ってモブログするか、という点は考えなければならないけれど。

 そういえば、これに近いことを実現しているモバイル向けサービスが存在している。それはウェザーニューズのケータイ向けサービス「天気Plus」である。社会調査ではないが2005年の梅雨のシーズンに有料会員のユーザーに対して「雨カップ」を配布して、毎日カップにたまる雨量をケータイから報告させる「雨プロジェクト」を実施していたのだ。気象が好きで、i-modeのケータイを使い始めた1999年から有料コンテンツ「天気Plus」のユーザーである僕は、当然のように「雨プロジェクト」に参加していた。

 Mobile Mediaによって日常生活から気象観測をしてしまおうという雨プロジェクトは、今日の実験を経験すると、非常に興味深いケーススタディになっているのではないか。これは、取材しなければなりませんね。早速にも。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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