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スコットランドの歌姫

2009/06/08 15:43
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スコットランドの歌姫

YouTubeの動画で有名になったのでご存知の方もいると思いますが、グラスゴーの近くの小さな村に住んでいるスーザン・ボイルさんという人が、2009年4月11日に放送されたイギリスのオーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」でミュージカル「レ・ミゼラブル」の挿入歌「夢やぶれて(I Dreamed A Dream)を歌って入賞した、ということです。この方、素人で見た目はさえないです(もし不適切な言い方だったらごめんなさい)が、歌唱力は素晴らしく、大変感動しました。この動画は、私が見た時にはヒット数1,000万だったそうですが、今では1億ヒットを超えているらしいです。

これって、インターネットの素晴らしさですよね? どんなに無名でも、才能があれば1億人以上に見てもらうことができるのです。まさに、フラット化された世界と言えると思います。ずっと以前に、インターネットの普及を見て、「情報の下克上」ということを言った大学の先生がいらっしゃいました。もともと、社会のヒエラルキーは、情報の流れをコントロールすることによって確保されていた、と彼は言います。大学の偉い先生が威張っていられるのは、その先生の人脈を通して先生しか得られない貴重な情報があり、それを知っているか知っていないかで、アカデミアの中に序列関係ができるからです。会社の中も同じで、上司が強いのは、上司しか持っていない情報があり、従って部下より上司の方がビジネスの状況が良く見えていて、それがリーダーの地位を保証する一つの重要な要素だったのです。

しかし、このような「情報の量と質の非均一性」は、インターネットの誕生によって破壊されてしまいました。インターネット上のWebや、Wikipediaや、e-mailやその他様々な方法で、誰でも平等に情報を得ることができるようになったおかげで、教授よりも学生の方が最先端の研究成果を早く知ることができたり、上司よりも部下の方が市場の動向を敏感に感じることができるようになったのです。これを、「情報の下克上」と呼んだのです。ですから、現代のリーダーは、自分の持っている情報の量や質ではなくて、もっと本質的なところで、リーダーシップを発揮できなければなりません。プロの歌手やアーティストの方々もそうでしょう。フラットな世界は実力がものを言う世界、ということですね!

もう1点、このビデオを見て思うことは、インターネットでは、(ほとんど)誰でも情報を発信できる、ということです。内容さえ良ければ世界的な有名人にだってなれます。さらに、この「誰でも情報を発信できる」ということは、うまく使えば、本質的に社会を強くしていくことができるのではないかと思います。日本はブログ大国と言われていますよね?総務省情報通信政策研究所(IICP)のブログの実態に関する調査研究では、国内のブログの総数は約1,690万、そのうち月1回以上更新されているアクティブなブログは約300万あるそうです。すごい数ですよね?赤ちゃんからお年寄りまで含めて、日本人の40名に1名が、アクティブなブロガーということになりそうです。中にはスパムのようなものもあるようですが、ほとんど(上記のレポートでは9割近く)がまじめなブログで、その中の多くは真摯に個人の意見を述べているもののようです。

元アメリカ合衆国副大統領のアル・ゴアの書いた、理性の奪還という本をご存知でしょうか?この本には、テレビなどの一方向のマスメディアによってアメリカの民主主義が危険にさらされている、という警鐘が書かれています。彼によれば、民主主義の根幹にある前提は、市民一人一人が社会の意思に関して真摯に議論をつくす、ということです。そういう観点から見れば、ブログ大国である日本はまさに、現代民主主義の準備が整っている社会と言えるのではないでしょうか?このブログ文化から出てきた議論が、やがて選挙やパブリックコメントなどを通して、政策に反映されるようになれば素晴らしいですね!

コンピュータの無い世界を想像できますか?

ちょっと話は飛びますが、情報処理学会はまもなく設立50周年で、来年3月には東大の本郷キャンパスで50周年記念全国大会を行います。東大の喜連川先生が組織委員長ですが、私もプログラム委員長として企画に参加しています。この大会のテーマが、「コンピュータの無い世界を想像できますか?」というものです。これまでの50年間、情報処理が社会のすみずみまで浸透してきて、もはやコンピュータの無い世界なんて想像できなくなっていますよね?では、次の50年、世の中はどうなるのでしょうか?情報技術が社会に浸透したことで便利になった面もありますが、いろいろなものが相互接続されたことによって、世の中の複雑さが手におえないほど増大している、という面もあるかと思います。環境や金融や交通など、なかなか社会全体の動きを把握することができない。私は、今後の情報技術の大切な方向性として、この複雑な世界を簡単化する、あるいは簡単化できなくても、複雑な世界をよりわかりやすくし、管理しやすくする技術が現れてくるのだと思います。IBMが提唱している、Smarter Planetは、まさにそういう考え方といえるでしょう。全国大会と併設されるソフトウェア・ジャパンでは、持続可能性社会におけるITの役割を議論する予定です。興味のある方は、是非来ていただきたいと思います。

早稲田大学IBM Day

前回のブログでご紹介した、早稲田大学IBM Dayがいよいよ今週にせまりました。思ったより好評のようで、既に申込者は500名を越えているそうです。先週、私がモデレータをつとめるパネルディスカッションの参加者の方々と打ち合わせをしてきました。なかなか楽しいパネルになりそうです。よろしければ、早稲田大学でお会いいたしましょう!

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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